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2012年7月 9日

安値の理由は自由放任だから「総合の誤謬」

 おそらくここ20年なかったことだが、7月のお盆の相場がべたべたである。8月とは違い7月のお盆は普段の日に行われるので、私も出張があり、15日(日)にお袋の所へ行く。仏壇にお線香をあげ、今あることをご先祖様に感謝し報告をする。お花屋さん達も今年は誠におっとりしたもので相場が上がる気配がないから、売れる本数は決まっているので安くても買いたくないのだが、ついつい余分に仕入れてしまう。

 今年の6月の安値と7月のお盆の安値を体験してつくづく思うのだが、誰か産地に指揮官がいて、全体の需給バランスを考え、品目別に自分の産地の時期別の作付け計画を作り、生産者はそれに基づいて生産・出荷する。こうしていかないと、バランスの取れた魅力ある産地作りは出来なくなったことを立証している。農協・花き部会の共選・共販でも生産者が各自の意向で作っていた花をまとめて選花・選別して卸売市場に分荷するのでは、リスクが大きい。こうして、今年の6月と7月は、菊や仏花素材の安値となっている。元気な商店街が少ないのもこれと同じ理由だ。商店街として魅力ある品揃えをしなければならないのに、ただ単に軒を連ねた小売店の集まりでは、地域の消費者が必要とする業種がなかったり、悪い成績の店は退場させたりするコントローラーがいるショッピングセンターやスーパーマーケットなどに利便性や魅力度で負けてしまう。成熟時代には、消費者に役立って行こうとするヘッドクォーターの役目と、それに従って行くグループ化された生産者達が必要で、ただ単に自分達が思うままに花を作って、農協に持って行き、共販にしても生産価格で売れる時代ではなくなっているのだ。

 「弱り目に祟り目」で安くなると自分だけ得をしようとしているのか、共販から離れて個人出荷の人達が多くなる。個人で出荷するには、独立店舗と同様の気構えが必要であり、一人で戦うだけの能力が欠かせない。誰もが作っている花を荷が纏まらないなら、個人で出荷しても面白くとも何ともない話だ。東京にある荷受け所を見ていると、こんな生産者もいたのかと思えるほど分裂した生産者があちこちに荷を出しているのがわかる。このような行動が安値を長引かせている。生産過剰の場合には、産地廃棄する。そして、県や出荷団体のヘッドクォーターの指示に従って出荷する。こうしていかないと、お金が取れない時代になっている。リーマンショック後、価格が下がってから、系統農協は農家各自にいつ、何を生産・出荷するのかの判断を委ねてしまっている。ここが問題なのだ。沖縄県では太陽の花・JAに出荷する生産者は、コスト上昇などで内地の生産者と同じように苦しいが、後継者が育ち若者達が希望を持って花を作っている。全農岩手県の各農協花き部会も同様だ。それはコントローラーが農協に系統に居るからだ。

 市場(マーケット)に身を委ね生活をする者は、時代の変化の中でお金を出して買ってもらえる花を作る計画、これがない限り花でお金は取れない。繰り返すが、それは商店街とシッピングモールを見ても明らかである。ヘッドクォーターを中心にチームを組んで花作りにあたる。欲しい時期に欲しがる品種を欲しいだけ作る。スポーツと同様統制化されて、生産をすることが産地の必要条件なのである。

投稿者 磯村信夫 : 2012年7月 9日 12:18

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