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2012年8月 6日

支出ではなく投資です

 先週は8月1日のフロリアードジャパンデーに合わせて、花き市場協会でツアーを組んで行って来た。オランダは、デンマークと同様、自尊自立の寛容の国で日本と価値観が合う国である。デンマークやオランダはかつては広い領土や植民地を運営していたが、その運営の仕方は日本と同様、同化でなく、自尊自立を以ってその民族が良い暮らしが出来るような施策を取ってきた。領土が狭くなって自国のみとなった現在でも早期教育に力を注ぎ、国民としての自尊自立の精神を植え付けている。

 フロリアードに行くまでに市場や産地を見てきた。オランダ市場の収入は日本とは違い、販売手数料だけでなく、固定手数料の収入もあることを説明した。例えば販売手数料の収入が3%とした時は、相場によって収入額は変動するが、バケツ貸し賃、台車貸し賃、また輸入品の場合、水揚げ代金も定価であり、相場の高い安いにかかわらず収入が安定化している。相場が安いバカンスシーズンの時など日本の手数料と同じように換算したら農家が市場に払う手数料率が15%になっていたり、値段の安いソリダコなどでは7月下旬では40%という換算になってしまう。卸売市場からしたら、大変合理的な料金設定だが、生産者にとっては大変だと思う。

 8月1日のジャパンデーにオランダの花き業界の主要メンバーとジャパンデーに参加した日本の花き業界、植木業界の方々との意見交換会があった。通訳を付けてもらってなので、時間の関係からディスカッションをするまで至らなかったが貴重な意見を聞けた。まず一つ目はグリーンシティーに対しての意見。落ち葉の清掃が必要だったり剪定が必要だったり、とかくこれを経費とのみ決め付けてしまわずに投資として見てもらいたい。落葉樹のあるところには、ファッション性がありそこの商業地価は上る。木々や花壇は環境を良くし住宅地としての地価も上がる。なので投資と考えてもらいたい。グリーンシティーは経費でなく投資。人の生活を経済活動を含め豊かなものにしてくれるのである。二つ目は花の輸出入のこと。日本とオランダは新しい花のトレンドを生み出している。高い品質を誇るのは2国が共通していることだが、世界に眼を向け輸出をしていく農業のオランダは価格競争力をつけることを重要な要素と見ている。選択と集中でどういうものを大規模に作って1本辺りのコストを落とすか、設備投資を惜しまない。一方日本は日本国民だけに花を売ろうとしてきたから細かいところまで神経が行き届いて、こういった細かいところの差異で優劣が付くので良く手の入った完璧な物を生産している。そうなると、当然コストが高くなり、生産量は多くはない。この価格という三つ目が輸出競争力があるかどうかが問われる重要なポイントである。今後日本もまず2割くらいは輸出をしていく必要があると思われる。そうなると、価格が高くても違いがわかる一目瞭然の品目や品種、形状の物を集中して一定規模で作っていく必要があるのである。どのようにコストを抑えて新しく上質な花を作っていくか、日本に欠けているのはコスト低減についての執念だ。車産業を見習って、車はコストの中で人件費は15%しかないのに徹底的に作る人の能力開発をしている。日本の花作りはコストの50%以上が人件費に含まれているというのに、ここにコスト低減生産性アップの取組みがなされていない。日本の一番大きな問題はコスト意識。共にコスト計算をきちっとして生産流通に取り組もうではないか。

投稿者 磯村信夫 : 2012年8月 6日 15:11

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