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2012年11月26日

悩み多き人が活躍する花き業界にしよう

 時代は確実に変化するのである。先週の木曜日は11月22日"いい夫婦の日"であったが、三連休前にも関わらず、午後の結婚式が多かった。今まで少しは"いい夫婦の日"に披露宴を行う人がいたが、結婚コーディネーターを利用して結婚する人が増え、記念日が覚えやすい"いい夫婦の日"に披露宴を開催していた。

 先週は4日間も結婚式の多い日が続き、第3四半期一番の結婚式需要の高まりとなって洋花類は高騰した。結婚披露宴のパーティー会場では主に新婦の趣向に合わせた花が飾られ、流行の色使いだけでなく、時代を先取りした色使いや花の素材も使われるようになっているが、その需要に応えられる小売店や卸売市場(卸、仲卸)は然程多くない。生産者は先週の相場を見て、自分の出荷先市場が結婚式と関係があるかどうかを判断することが出来る。高くならないとすれば、宴会需要のある小売店が仕入先と選んでいない市場であるということだ。

 いよいよ暮れに突入するが、今年は度重なる台風で沖縄県の花の産地は甚大な損害が出たが良く立て直し、どうにか不足分を求めて東奔西走せずに済みそうである。この復旧措置は立派なことだ。

 また、松や千両は夏の異常干ばつと、9・10月の記録的な暖かさで出荷本数が前年並みには確保出来ない可能性がある。その上、外国人労働者が少なくなり、毎年お願いしている年配の人たちだけでは選別から出荷までの手仕事をこなしきれないでいる。こうなると結局出荷量は全体的に減るが、万遍なく少なくなるというのではなく、ある市場にはあって、ない市場には畑の作柄以上に少なくなってしまうということが起きる。それは今までの生産者様との取組み具合において、販売代金の払い方、販売するロット、上がる金額、運賃などの経費、その産地にとって利益が出たかの収支と今後どのようになるかの予測によって生産地は市場を絞ってきているからだ。

 3.11後、特にこの2012年、どこでも利益を出すことが難しくなり、今までの収支と今後期待出来る収支から取引先を変えてきている。結局は財務体質とそこで働く人の人材レベルが生産にしても流通にしても生鮮食料品・花き業界において生き残るかどうかの分かれ道となってきている。

 こういう詩がある。
「老いぬれば悲しみ多し 若ければ悩み多し 人の世はある」
この悩み多き若い人に活躍してもらう場が与えられ、生き甲斐を持って働いている組織体が生き残れるし、そういった悩み多き若き人たちの数が多い産業が伸びていくのである。

 高齢化社会にあって、悲しみ多しを理解し、分に則った仕事をすることも必要であるが、それだけでは変えられない。悩み多き人たちが活躍してこそ業界のブレイクスルーがある。

投稿者 磯村信夫 : 12:47

2012年11月19日

寒くなりましたが、"灰色カビ病"注意!

 昨日の日曜日、読み終えた本が田中修先生の「植物はすごい(中公新書)」その中に、桜の葉が落ち、水気を含んだ時に桜餅のあの葉の香りを出すというので、平和島界隈の桜の名所をジョギングした。平和の森公園に弓道場があるが、そこの裏手にある桜並木の所は土曜日の夕方、大嵐だったので葉が堆積し、まさに桜餅の香りが漂っていた。

 桜の葉は人間にとっては良い香りだが、虫などには嫌な臭いを出して寄せ付けず、自分自身は肥やしとなり、桜を長生きさせようとしている。まさしく世の中には無駄はないと思いながらジョギングを楽しんだ。

 今、大田花きではクレーム時の病虫害について調査機関へお願いし、特定化してもらっている。その調査結果を元にいつどこで発生したかが病原菌の大きさでわかるので、産地や輸送会社に連絡し病気の予防に努めたいと思っている。

 この上半期の調査によると、市場クレームの病気の80%が灰色カビ病(ボトリチス)であった。品目でいうと、多い順にバラ・トルコギキョウ・カーネーション・リンドウ・ガーベラ・ヒペリカムである。なんとバラ・トルコギキョウだけで50%を占めている。灰色カビ病の発生し易い温度は、私たちの業界において使われるショーケース内の温度帯の8~15℃でも繁殖し、4~30℃までの間は繁殖が止むということがない温度だそうだ。これは大変なことであり、花き業界は灰色カビ病と一緒に作業をしているということである。

 生産者の温室、作業場やストッカー、農協の集出荷施設、輸送中のトラックの荷台、卸売市場、仲卸の店頭やストッカー、花束加工場、小売店の店頭やストッカー等、言い出したらキリがない。市場で灰色カビ病を見つけたら早速何かしらの策を考える必要がある。委託品なので実際は廃棄というわけにはいかないので、こういうリスクがありますというように、灰色カビ病の花を購入するお花屋さんにも知らせなければならない。

 今、花束加工業の活躍でスーパーマーケットで花を購入することが一般的になってきた。食品売り場で灰色カビ病が付いた花を売るわけにはいかないので、花束加工の段階で差し止めなければならない。

 寒くなってきたが油断せずに灰色カビ病のチェックをしていきたいと思う次第である。

投稿者 磯村信夫 : 12:05

2012年11月12日

忘れてしまった基本が原因

 今朝、現場巡回をしていたら、品質管理室の室長 五十嵐がスイートピーの事故品(損傷した花)について荷受け・荷捌きチームのメンバーと原因は何か、どこにあるのか話し合っていた。4人も寄っていたものだから、どんなことかと私も覗いて見た。スイートピーは軽量なので荷捌きをしていた時、少し手を滑らせてしまったということだった。

 その結果、よく見ると薄いピンクの花の頭に少し筋が入っているものがある。私の見立てでは100本のうちの10本くらいが傷んでいると見たが、五十嵐はよくチェックをし、水をしっかり吸わせたら20本くらい傷が出る可能性があると見たようだった。
その花が損傷したのは社内の荷受け・荷捌きの時点の出来事なので、当然当社が負うべきものだ。指摘する者はいなかったが、荷造りの基本がしっかり出来ていないことに品傷みの原因の一つとしてある。

 箱の外板の内側に足元をしっかり付ける。すべての切花の荷作りはまずここから始まる。同様に基本中の基本がもう一つある。それは選別して束ねる時は花の表を前に、裏を後ろに向けることである。この鉄則が守られているのは、多くが枝物・葉物の荷主様である。花の場合は南向きに育ったのが表、北向きに育った花が裏、どの花でも必ず日本の花は表と裏が出ていることに留意していただきたい。表を必ず上にして荷造りするということが出来ていない方がいる。花束加工でも素人は花に裏表があることすら分らない。お客様に表を向けている花が微笑むから、花束は売れるのだ。

 荷造りに話を戻して、グラジオラス・ストック・スナップ・コスモスのように頭を上に持ち上げようとする力(軽力...ゲーテが作った言葉)が強いものは、裏を上にしておけば、輸送中に頭の持ち上げ方が軽微で済む。それが束ね方や荷造りする時の基本だ。
 
 先述のスイートピーは頭が側面に向けてあり、箱の中程で足元をクラフトテープで留めてあった。荷造りをした昨日はしっかり留まっているように見えたかもしれないが、一日経って水分が抜ければ緩くなる上に、今日は雨で湿度が高く箱に張りがない。また時折、輸入のスプレー菊やリパックしたカーネーションの頭と箱がぶつかりそうなものがある。花の頭は箱から一握り分間を空けておかなければならない。
そして根元を箱にしっかり付けて、互い違いにしておけばそう簡単に動かない。例え少し位の衝撃を与えたとしても、びくともしないのだ。

 ここで気づくのが見てくれを気にするあまり、荷造りで基本が継承されていないということである。流通上の事故処理のほとんどが基本的な荷造り、運び方にある。我々流通業者も基本に立ち返って花の物流を行う。荷主様は上手には束ねて、荷造りの基本をもう一度チェックしなければならない。
せっかくこの世に生まれてきた花を消費者の手の中で咲ききって一生を終えさせたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 15:47

2012年11月 5日

販促第一

 コートの季節になって来た。市場にも白ぬりが出るようになって、何か今年は秋が短く、秋物を売り損ねた気がする。季節の訪れが遅いと、今年の10月のように前年を下回ることが多い。景気の先行き見通しは明るくなさそうだが、花の場合には天気と景気をやる気の工夫で補えることも多く、プラス5%、マイナス5%の幅に収めようと小売店も市場も努力しているが、今年の10月は10%マイナスになったところが多かった。

 卸売市場では切花を中心にセリ前取引の比率が上がってきて、情報が大切になってきている。早い的確な産地からの送り状情報はどこの市場も欠かせない。これによって得意先のお客様に売り込める可能性があるからだ。買い手の小売店や仲卸はかつて自分はここからしか買わないと云う時代があったが、今は2社以上仕入先を使っているのが普通だ。なので、どこの売り手が高いか安いかは、市場や仲卸より買い手の方がよく知っている。

 そうなると、大切なのは仕入れ先のコストが安いかどうかである。すなわち品揃え、代替品があるかなどどこでも値段はそんなに変わらない為、必要な時にしっかりと品物が揃うか、走り物があるか、そこにしかないオリジナルな物があるか、余っている物を押し付けられないかなど、物流まで含めてトータルの仕入れコスト・パフォーマンスが決め手となるのである。

 20世紀と比べて一般的な花でも、その市場が得意とする花の取扱数量のシェアーが上がっている。それは日本中の買い手が仕入れソースを多元化した為であろう。「他にはなくて、ここの市場にはこんなにあるのか」ということが起こってくる。そうなると流通業者は、自分のところを選んでもらうには、商品開発に力を入れて行くことになる。それが卸・仲卸・小売店まで含め価格競争から脱する方法だ。

 しかし、その前に花は本当に十分だと云われるくらいレストランや家庭に飾られているだろうか。商品開発も大切だが、まずは販促活動であろう。そこで、フラワーバレンタインだけでなく、まず11月22日の"いい夫婦の日"を取り上げ、小売店の皆様に道行く消費者へアピールしてもらえるよう販促活動をしよう。

 "オランダ屋"様の試飾は、実際に好評である。売上増を見込んで、相場が下がる10日、20日近辺に試飾を行おう。新しいお客様、普段花を買わないお客様に花のファンになってもらえれば業界は発展する。消費地にいる者の責任として、まずは販促、次に商品開発、優先順位はこの順番だ。

投稿者 磯村信夫 : 12:06

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