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2012年11月12日

忘れてしまった基本が原因

 今朝、現場巡回をしていたら、品質管理室の室長 五十嵐がスイートピーの事故品(損傷した花)について荷受け・荷捌きチームのメンバーと原因は何か、どこにあるのか話し合っていた。4人も寄っていたものだから、どんなことかと私も覗いて見た。スイートピーは軽量なので荷捌きをしていた時、少し手を滑らせてしまったということだった。

 その結果、よく見ると薄いピンクの花の頭に少し筋が入っているものがある。私の見立てでは100本のうちの10本くらいが傷んでいると見たが、五十嵐はよくチェックをし、水をしっかり吸わせたら20本くらい傷が出る可能性があると見たようだった。
その花が損傷したのは社内の荷受け・荷捌きの時点の出来事なので、当然当社が負うべきものだ。指摘する者はいなかったが、荷造りの基本がしっかり出来ていないことに品傷みの原因の一つとしてある。

 箱の外板の内側に足元をしっかり付ける。すべての切花の荷作りはまずここから始まる。同様に基本中の基本がもう一つある。それは選別して束ねる時は花の表を前に、裏を後ろに向けることである。この鉄則が守られているのは、多くが枝物・葉物の荷主様である。花の場合は南向きに育ったのが表、北向きに育った花が裏、どの花でも必ず日本の花は表と裏が出ていることに留意していただきたい。表を必ず上にして荷造りするということが出来ていない方がいる。花束加工でも素人は花に裏表があることすら分らない。お客様に表を向けている花が微笑むから、花束は売れるのだ。

 荷造りに話を戻して、グラジオラス・ストック・スナップ・コスモスのように頭を上に持ち上げようとする力(軽力...ゲーテが作った言葉)が強いものは、裏を上にしておけば、輸送中に頭の持ち上げ方が軽微で済む。それが束ね方や荷造りする時の基本だ。
 
 先述のスイートピーは頭が側面に向けてあり、箱の中程で足元をクラフトテープで留めてあった。荷造りをした昨日はしっかり留まっているように見えたかもしれないが、一日経って水分が抜ければ緩くなる上に、今日は雨で湿度が高く箱に張りがない。また時折、輸入のスプレー菊やリパックしたカーネーションの頭と箱がぶつかりそうなものがある。花の頭は箱から一握り分間を空けておかなければならない。
そして根元を箱にしっかり付けて、互い違いにしておけばそう簡単に動かない。例え少し位の衝撃を与えたとしても、びくともしないのだ。

 ここで気づくのが見てくれを気にするあまり、荷造りで基本が継承されていないということである。流通上の事故処理のほとんどが基本的な荷造り、運び方にある。我々流通業者も基本に立ち返って花の物流を行う。荷主様は上手には束ねて、荷造りの基本をもう一度チェックしなければならない。
せっかくこの世に生まれてきた花を消費者の手の中で咲ききって一生を終えさせたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 2012年11月12日 15:47

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