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2012年12月10日

夏までの潮流 2012~

■ギリギリの加温でも母の日までに出荷
 4月から初夏にかけて表れた傾向で、今後とも続くものと思われる潮流を紹介したい。
原発停止で節電が叫ばれ電気料金が上がり、先進的なバラ農家はヒートポンプを入れても暖房経費削減に繋がったとは言い難い状況になってきた。
そうなると、3月中に出荷できないものは母の日目当てになってくる。とにかく暖かくなってから荷が潤沢なのだ。施設物も露地物もこの傾向は今後とも変わらないだろう。

■咲かせて出荷が国産
 切花は硬めに切って咲かせると、後処理をしっかりしていないと色呆けするし花が小さい。物によっては、咲かないで終わってしまう、咲かせた物を切って出荷する。
その方が綺麗な状況が長く、持ちも良いというようにバラ・カーネーションは変わってきた。輸入品との差別化だ。
球根切花は難しいかもしれないが、それ以外のものは硬すぎない切り前が評価されてきて、店頭でも「バラはある程度咲いていた方が良い」と消費者の中でも「咲いたものを買うこと」が浸透してきた。

■母の日は鉢物優位
 切花のカーネーションは母の日前、一年分の10%を売ってしまう。イギリスのバレンタインデーのバラのようだ。母の日は徐々に鉢物のウエイトが高まってきた。
団塊ジュニアが団塊世代の母親に贈る。団塊の世代がその母親に贈る。消費者の好みもそうだが、発送やラッピング、プレゼントとしてすごい数だ。
商品化する手間を考えれば鉢物が簡単だ。ラッピング、荷造りだけで良い。
新年度4月から母の日まではまさに花と新緑のシーズン、花の価値が高い時期だ。それが母の日の鉢で締めくくられる。そんな潮流になってきているのだ。
 
■母の日過ぎは夏まで輸入花が少し
 日本には花の大産地が6つある。輸送園芸地帯として、北から北海道、東北、九州沖縄。そして、地元の産地として一都六県関東地方、中京には中京地方、関西には関西地方がある。
高齢化と直売所が増えたことから、春と初夏、秋と初冬が産地である関東、中京、関西の市場出荷量が減っている。
この時期単価が下がるのだが、下がらないことも多くなって来た。高冷地の早出し物がとても必要になっている。単価が安定してきたのは、この時期母の日以降輸入品も盆まで少なくなるからである。

■無加温の時期、販売促進有効
 無加温の時期になると、天候によって一斉に出てきて、一気に終わるということがある。週で見ても月曜日に多く、需要が高まる週末は増えないから相場はやや上がる。
しかし、月曜日のたびに相場が潰れ、週末立て直したと思ったら、また月曜日にということが露地物の季節の良くないパターンだ。
月単位で見てもだいたいが生産はもう多くないのだから、出荷量が多くなると、その次が少ない。だから予測が可能で、多くなる時に販売促進を小売店に計画してもらえばいい。
そうすると、お値打ち品が割安で手に入るから消費者も喜ぶし、花を買う習慣化にも繋がる。
こうしてコミュニケーションが良くとれている産地は、出荷市場を通じて54週のうちの一つの週に多すぎる花を入れてもらって売り抜けている。
露地の時期は、よりコミュニケ-ションを密にとることが所得の向上につながる。

■試飾で売上増
 花小売会社の蓑口社長が発見し、皆さんに必ず売上が上がるからと実行を呼びかけている販促活動が、「試飾」で時々前年比30%以上増の売上になる。
普段あまり花を買いそうにない人たちに試飾をしてもらって試したところ、必ず前年よりも売上が上がるが、「お花を飾ってみてください」というと、怪訝そうな顔をする。
しかし、「試しに飾って見て下さい。試飾です。」というと笑顔で貰ってくれる。
その人たちが300円の花でも買いに来てくれるのだ。こうして花の良さを感じてもらい、店の売上に繋がっていく。
時期的に売れない時、相場が安い時は試飾を行って店の売上を伸ばそう。ただし、普段花を買わない人に渡すことが大事。

■前向きが七夕人気
 お中元の時期だが、何よりも人気なのは七夕の笹だ。団塊ジュニアの子供たちが幼稚園で、そして自宅、商店街で自分の夢を短冊に書いて吊るす。随分と日本人は前向きになった。その証が良く売れて来た七夕の笹に良く表れている。

投稿者 磯村信夫 : 2012年12月10日 16:15

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