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2013年3月18日

生産性は値決めの方法にあり

 今年のお彼岸の相場は安い。安いのは量が多いからだ。何の量が多いかというと"競りの量"が多い。

 "競り"といっても、20年前大田花きが競り下げ方式を採用してから、人間が競っている市場でも競り上げの威勢の良い競りは小数派となり、競り人が最初に値段を出す競り下げの市場が多くなっている。
 潤沢感がある中で、競り下げとなると、よっぽど買参人の数が多い、或いは「量を売るぞ」という意欲のある買参人が一定数いないと競りは低調となる。
 競りで価格発見された相場は、次回の競り前取引きの指標になる。今年のお彼岸の相場は負のスパイラルにはまり込み、安値となったのだ。
 では、どのようにすれば生産者が生計を立てていける程の価格を作ることが出来るかというと、

① 契約取引の量を増やすことである。
②  競りの力が年々弱くなってきているので、産地は安値しか生み出せない市場には、契約品のみとし、競りの委託出荷をなくすべきである。
③  産地は輸入品が入らないレベルの価格に抑え、その価格を割ったら出荷しない。余剰の分は産地廃棄することによって、価格を守ることである。

 卸売市場は公共性を持つ。公共性とは、差別的取り扱いの禁止、受託拒否の禁止、それを前提に第9次卸売市場整備方針では、拠点市場を青果・水産で制定した。花きも実態はそのようになっている。その市場は今までの卸売市場の延長線上にあるのではない。
 仕事のやり方を変えて行かなければならない。それが拠点市場と市場間ネットワークの仕事のやり方だ。花き産業を成長させるには、経済成長の三原則通りする必要がある。 
 まず一つ目に、花き関連の設備投資を増加させること。二つ目に、花の生産や流通販売に携わる人たちの労働を増加させること。三つ目に、技術を進歩させること。2013年彼岸期は、この三つ目が必要なのに、旧来の競り方だけだったのだ。
 
 今までのやり方がどこの市場でも通用するわけではなくなって、競りから相対に取引のウエイトが高くなった。更に競りだけ見ると、取引所として機能する卸売市場は、全国でも小数となっている。
 こうした中、花き業界を進化させるのは、より生産性の高いやり方にしなければならないということだ。利便性の高い"せり前相対インターネット受発注システム"や"在宅せり"は、売り手も買い手も利便性の高い取引であるが、それよりも小売価格が決まっており、使う花のアイテムも決まっているとすれば、当然予約相対が最も安定した取引である。
 花き業界は、今でも"作るに天候、売るに天候"かもしれないが、量が潤沢なら発注しないで間際に安く購入しようという買参人が多数いる。買い手の立場からすると、それは分かる。
 しかし、それでは小売価格も大幅にばらつき、結局生産原価を割る価格しか生まれない。
 
 今年のように、予約相対した人が高いものを購入してしまうということがある。これではだめだ。契約取引をした人を損をさせてはならない。その為には、主産地・拠点的市場は価格に責任を持って取り組む。場合によっては、損をしてでも価格を守ることが花き業界発展の為に欠かせないことを3月の市況は教えてくれている。

投稿者 磯村信夫 : 2013年3月18日 16:50

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