大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 2013年3月の低調市況から | トップ | 輸出倍増計画―市場で輸出検疫― »

2013年4月 1日

切花の卸売価格が上りにくい要因とは・・・

 先月、東京都中央卸売市場から、2011年1月~12月の都内中央市場の仲卸の経営状況についての報告書が刊行された。
 水産部では、約30%が黒字で約70%が赤字、食肉部では約40%が黒字で約60%が赤字。青果部も同様であった。花き部は、約6割弱が黒字で残りの4割強が赤字であった。
水産・食肉・青果はスーパーマーケットの比率が多くなり、自分より大きな会社と取引きするので、利益が出にくい体質になっている。花き部は、専門店の減少と、買出し人と言われるレストランや美容室などの活け込み業者の数が減ってきたことが赤字の要因となっている。

震災の年は、たしかに食料品はセシウム問題があったが、花業界では母の日まで需要がどこかへ行ってしまったような絶不調であった。2012年、暦年では改善したが、4月~3月の年度で考えてみれば、生鮮4品の仲卸業者は苦しかったのではないだろうか。それは2013年2・3月に単価が大幅に落ち込んだからである。
何故単価を抑えようとする力が働いているのか切花について考えてみる。青果の仲卸はキャベツを丸ごと納品する。量販店に直接売るのだ。なので、仲卸から専門店に卸しているのと変わらない。

しかし、切花はそこで加工業者が入る。花の仲卸が花束加工業者に納品し、花束加工業者がスーパーに納品する。そうなると、スーパーで販売するまでに一段階増えるので仲卸が花束加工業者になっていくのが潮流にもなってきた。また、こういうパターンもある。卸が花束加工業者に納品し、花束加工業者がスーパーに納品する流れだ。又、卸が別会社を作り、花束加工を行うといったパターンも含まれる。こうして切花の場合、従来より一段階多い流通過程となっている。
よって、この花束加工業者が食べていく為には、納品するスーパーから適切な対価を貰うか、そうでなければ仕入価格を安くして手間賃を出すことを考えなければならない。
こうして2012年度は、10年前の平均単価まで下がっていったと推定される。そして、更にスーパー用の花束花材の花は特定の卸・仲卸を通じてしか流通していないので、業界全体のパイは20数年前の1980年代と同じではないかと推測される。

今後、スーパーの花売場が伸びるということは、小売店の数が減少するということである為、仲卸・卸・産地とも本格的に数の調整局面に入ったと見て良いだろう。財務の健全性を第一にして、縮小均衡する卸・仲卸と下がった2012年度をばねに飛躍しようとする卸・仲卸とはっきり分かれた格好になった。当たり前だが今までと同じように働いて、皆が良い時代は花き業界において完全に過ぎ去ったのである。

投稿者 磯村信夫 : 2013年4月 1日 15:55

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.