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2013年4月15日

BCP(事業継続計画)をしっかり立て経営する

 4月10日(水)、フローリメックス社が倒産手続きをしたとのニュースが入ってきた。2月のチコレラ社倒産に続く、オランダ花き業界で2回目の大型倒産だ。
 フローラホランドが敗戦処理に向けて従業員や施設など業務を引き継いでくれるところを探す助力をするという。

 2月の時点では、イタリアやスペインを中心にしていたチコレラ社なので不景気の為、然もあらんとも思った。
 
 しかし、フローリメックス社は大元はドイツの会社であり、ヨーロッパが今バランスシート不況と言えども、ユーロはむしろ割安に動いており、ロシアなどにも着実に輸出出来ているのでトータルの輸出金額は増えていたはずだ。
 それなのになぜ・・と調べてみた結果、

・子会社の花束加工で大クレームが起き損失がかさんだこと。
・社員の給料遅延があり労働争議に発展していったこと。
・大手の顧客をライバル会社に取られてしまったこと。

以上の3つが原因であった。
 
 メインバンクでもナーバスになっているこの時期ゆえに起きた倒産とも言えなくはないが、BCP(事業継続計画)など経営の根幹に関わる視点がずさんだったのだ。
 このことは、規模は違うかもしれないが日本でも起こりうる。本年度は、スーパー、ホームセンターとも2014年4月の消費税上げ、2015年10月の消費税上げを見込んで出店を加速している。今年一年で量販店は、もう出店する場所がないくらいまで新たに出店する。

 2012年度から、すっかり儲からなくなってきた花束加工でバレンタインデーやお彼岸のように物日で大クレームをされたら、立ち行かなくなるかもしれない。
 どのような品質管理をすれば良いだろうか。クレームが来ない安心して販売してもらえるものを作るだけではなく、店頭での管理まで納入会社は気を遣わなければならないのだ。もちろん宅配便を使うとしたら、温度管理も欠かせない。

 日本の花き業界は利益が出にくくなっているが、社員の給料は労働に見合うものになっているだろうか。人を使うことが出来る優秀な人材はしっかり確保出来ているだろうか。会社が嫌になり、優秀な人材が優秀な若い社員を連れて退社するという事例が日本の花き業界にもある。会社はそのようなことがないようにしなければならない。何も煽てたり甘やかしたりするのではない。
 仕事場は戦場と同じなので、厳しさは当然のことだが、よく教育をし、信頼し、任せていくことが更なる発展に繋がる。
 フローリメックスの労使騒動は働く人たちに責任を取らせようとし過ぎたのではないかと思う。2ヶ月分の遅延が結局4ヶ月分の給料を支払うように命じられた。

 最後に大手顧客がライバルに取られるということは起こり得ることだ。ただ、取ったら取り返す、そのくらいの意気込みでないといけない。

 この間、バーに行った時にジャックダニエルがアサヒビールになって、ジム・ビームがサントリーが新たに代理店になったことを知った。サントリーはやられたのでやり返した。こういうバーボンウイスキーの世界でも生き残っていく為にはどうすべきか視野に入れて置かなければならない。
 これは花き業界でも同様だ。BCPは、存続維持する為にどうしても必要だ。日本は3月末の送迎需要を見ても、花束なら昨年は、1500~3000円、今年は3000~5000円に。卒業式、入学式など年度の始まりに使われる胡蝶蘭は、昨年よりも一週間長く相場が持った。  
 
 デパートの活況とともに、花も高額な商品から需要が復活してきている。しかし、量販店の大量出店でも分かる通り、更に激しい競争が繰り広げられる可能性が高い。花屋さんの数が更に減少していくことも予想しなければならない。
 消費税が上がりディスカウンターが人気になったが、低価格の花が更に人気になっていくことも勘定に入れて行かなければならないだろう。
 
 資金繰りまで含めたBCPの立案がまだならば、まず社内の部長以上に社長の意志を伝え目合わせすること。そして早めにプランを立てることがどうしても必要だと思われる。

投稿者 磯村信夫 : 2013年4月15日 15:46

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