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2013年5月 6日

母の日にクレームを出さない

 新聞や雑誌を見ていると、政府がTPP参加の意思表示をしたものだから、マスコミや国は"日本農業は強い。こんな農業分野は輸出が出来る"など、日本農業を持ち上げる記事が目に付く。

 イタリアはEUに参加する時、国土は縦長で山も多く、農業に不向きと言えば不向きだ。しかし、食は文化で生活はおしゃれだ。そこで、結局イタリア政府は、果菜類・軟弱野菜・花・果樹・畜産、そして食品加工業を更に力を入れて競争力あるものにし、フランスなどの農業国に対抗して行こうとした。結果は成功。今ではイタリアから日本にも花き類が輸入されるなど、イタリアの農業は競争力のある産業として確固たるものになった。
 
 日本では、団塊ジュニアを中心にイタリアンが大好きな人たちが実に多い。近頃は東京でもバールが目に付き、気軽にコーヒーや軽食、ワインやカンパリソーダが楽しめる。イタリアンフェアをスーパーなどで見ると、もちろん生のままイタリアから空輸されているものもあるが、イタリア産の農産物をベースにした加工食品も多数ある。日本の農業もこういう形でアジアや世界の中で認められる存在になってもらいたいと希望する。
 
 国際化の前提の中で、物日の時にどのように消費者に花を届けるか。普段の何倍にも需要が膨らみ、切花・鉢物もそれに合わせて生産され、鮮度保持輸送され、何倍の需要に応えるべく、花束加工やアレンジメント、出荷パッキングを行う作業場も必要となる。
 花は生鮮品だから、そんなに値段が高価ではない。そうすると、いきおい溜めた荷物が流通したり、鮮度保持対策がなされていなかったり、慣れた人ではなく、丸っきりの素人が花の出荷調整などに関わって、結局消費者の期待を裏切って信用をなくしてしまう。
 4月のオランダのフローリメックス倒産の一因もそれだった。昨年の母の日はコロンビア産、国産の一部の切花カーネーション、日に当てても咲かない鉢物カーネーション、すぐに水が下がってしまうアジサイなどあった。
 
 昨年の母の日のクレームの反省から、今年は事前にクレームを排除しようと力を入れている。国内産地には社内の責任者が出向き、海外産地は輸入商社の社員が現地の圃場に出向き、国内外の圃場だけでなく選別所・集出荷所へ向かい、又物流業者と鮮度保持流通の段取りをして、入荷した品物を荷主ごとにしっかりと品質チェックをして流通させている。
 
 今年の母の日は国産は品質に慎重になり、生産量が少ないことと、この時期にしては珍しく肌寒い陽気ということもあり、花の開花は遅れ気味で去年のように手に負えない量が一度に来ることはない。
 よって、十二分に準備をして仕事が出来ていると思われるので、後は輸入品の場合、空港について輸入の花が燻蒸した物とそうでない物など、外観だけではなく中身を考慮したメッセージを添えた流通が必要となる。又、国産では、※STSがしっかり効いているのかチェックするだけで良い。これは鉢物のカーネーションも同様だ。
 
 今年の母の日は去年のクレームに学んで一歩前進した良い流通が出来るものと花き業界は、準備・実行しようとしている。

※STS・・・硝酸銀とチオ硫酸ナトリウムの混合液で、エチレンの作用を抑制し、カーネーションその他の切花の寿命を長くする。切花保存液として用いられる。

投稿者 磯村信夫 : 2013年5月 6日 16:04

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