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2013年6月17日

カトレアと胡蝶蘭

今年は、南カリフォルニア花市場創立100周年記念の年である。ハワイ、カリフォルニアのサリーナス中心に広島や鹿児島、沖縄の人たちが移り住んで花を作った。その人たちが、より公正に取引が出来、生産者も仲卸や小売が良いようにと市場を作ったのだ。
20世紀の後半には、父ブッシュが麻薬の代わりに花を作ることを奨励し、関税をゼロにするなど、コロンビアとエクアドルがカリフォルニアに代わってアメリカ国内向けの花の産地になって行った。
今では、日系人たちが作ってきたハワイの花、カリフォルニアの花の足跡は、意識して見ようとしないと見えないが、カリフォルニアでは21世紀になって日系人に代わってオランダ系アメリカ人が花き生産の分野では南米に伍して活躍している。

 戦後、アメリカ人が好きであったアンスリウムやカトレアは日系人たちが深く関わっている。日本向けのアンスリウムの輸出基地は現在台湾となっているが、20世紀の最後の10年ではハワイが中心で日系移民のオザキさんが品種改良した赤の品種"オザキ"、里芋の葉に似て混色にもなる品種"オバケ"など、オランダの育種が進む前は日系人が育種したアンスリウムの品種が世界を席捲していた。

 カトレアの切花と言うと、年末のレコード大賞を思い出す。TBSがキー局になってレコード大賞を発表していた。胸には大輪のカトレアをブートニアとして入賞者の胸に付けられ、いかにこの賞が素晴らしいのかをテレビの前の視聴者に強く印象付けた。
カトレアは一番豪華な花、ランの女王様であるので、花持ちが一週間以内のものがほとんどであったが花持ちよりもその気品と豪華さで十二分に価値があった。カトレアの生産が増えるとともにブートニアやコサージュというよりも、むしろ花を最も多く使う人生の通過儀式・葬儀にカトレアが使われるようになった。

 一輪白菊とカトレア、この時代が続いている。人生の通過儀式は団塊の世代と団塊ジュニアの世代によって変革され続けている。既に成熟国家になった日本とヨーロッパでは結婚式だけではなく、葬儀も自分のライフスタイルに合ったものにしてほしいと亡くなる場所まで含め、本人が希望するようになって来た。
葬儀の話をすると、一輪菊を多く使用する葬儀から、棘があるので今まで使われなかったバラを使う葬儀、故人が好きだったり見送る上で遺族が好きな花で送ることが多くなってきた。個人的には一輪菊とカトレアは、シンプルで尊厳があり素晴らしい装飾だと思うが、「わぁ、綺麗。花に囲まれて送ってあげたら故人は幸せでしょうね」というような美しい花に囲まれた幸せを演出するようになって来た。これが、洋花と切花胡蝶蘭の需要が増えている理由である。


 カトレアは主体的な花形の上に持ちがあまり良くない。又、傷みなく輸送するのは中々難しい。その為、国産に限られる。しかし、胡蝶蘭は上手に荷作りすれば、現在全出荷されているベトナムのものも良い品物だ。十二分に使える。持ちも良い。
 こうなると、胡蝶蘭の品種改良は現在台湾で盛んなので、アンスリウムの産地がハワイから台湾に移ってしまったように、切花胡蝶蘭の産地も台湾に移って行くかもしれない。
 消費者の好みはその方向に向かっているとすると、ファレノの国内生産者は鉢物だけではなく、良い切花も出荷する必要がある。そして、高品質マーケットでシェアを取っておく必要があるのだ。

生産協会の洋蘭部会でカトレア部門とファレノ部門の会議に先々週、先週とこのような話をした。
育種はカトレア、胡蝶蘭に関わらず、新しい時代を作っていく源であるから日本発の新品種カトレア、ファレノでなければならない。これを洋蘭部会の活性化のルネッサンスの基礎に埋め込んでおいてほしい。

投稿者 磯村信夫 : 2013年6月17日 00:00

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