大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 2010年度県民所得が発表されたが・・ | トップ | 信頼 »

2013年7月15日

雨降り

 猛暑の中での東京のお盆の需要期であった。暑いのでバラは安くなったが、菊類は数量が不足して盆に入った13日のセリまで高かった。こんなことは21世紀に入って初めてだ。

 食品スーパーの競争が激しくなって、今まで花を扱っていなかった食品スーパーも本年度から物日には扱うようになったところが多い。そんなこともあり、卸の段階では盆用の花は良く売れた。
 しかし、小売店はよく売れたところと売れなかったところがはっきりとしており、立地条件よりむしろ日頃から一生懸命花店として商いしているかどうか、その姿勢が商売繁盛か衰退していくかの分かれ道のように思う。
 駅中や駅周辺の好立地でなくとも一生懸命やっているかどうかの姿勢で応援してくれるお客様が増えたかどうかわかる良い時代になっていると思う。

 さて、来週は日帰りだが、神奈川の丹沢三景の大山阿夫利神社参拝登山をする。阿夫利神社は五穀豊穣の雨降り神社であり、関東地方は干ばつ気味であるので穏やかな天候で商売繁盛をお願いして来るつもりである。
 同じ先導師のところに東京青果卸の講もある。江戸時代の神田のやっちゃばの頃から続いている青果の仲卸の講で、こちらはここ70年の講だから弟分として何かあると協同歩調をとっている。
 この大田花き大山講のメンバーのお一人に花幹 水口会長がいらっしゃる。創業者である水口会長は、社員を社長にし、現在会長を務めている。ご子息は立教大の助教で『渡航僧 成尋、雨を祈る』という本を出版された。いただいたので、通読した。
 
 成尋は平安後期(1072年)62歳で宿願の宋にわたった天台宗の僧で(1081年)、69歳で中国で没した。成尋が有名なのは、時の皇帝に3日間の祈りで雨を降らせますと約束し、台密で法華経を唱え、見事に3日目に雨を降らせ、皇帝から称号をいただいたという大人物だ。
 どこまで成尋和尚が降雨を祈ったかことが天に通じたかはわからないが、人は思ったことしか実現しない。やったことしか実現しない。それは真実であるから、雨降りが偶然であったにしても、成尋の威徳だったことは間違いない。

 「感動する」とは"気とリズム"がまさに動いていることを感じた時である。それは、芸術には欠かせない。古いものでも魂は生きている。今でも生きているように見えるし思える。これは、絵や彫刻や文だけではなく、神社や仏閣など大きな建造物に対しても我々は感じることが出来るし、富士山という山、大山という山にも感じることが出来る。
 「気韻生動」という言葉を思いながら、水口氏の成尋の本を読み終えた。人間が我欲の為にでしゃばったことをし過ぎて、神である自然からしっぺ返しをされて今暑さで唸っているが、もう一度宇宙と一体化しリズムを整え自然としての自分を知り、そして科学を使い、良き花の仕事をしたいと真夏の今日考えている。

投稿者 磯村信夫 : 2013年7月15日 16:34

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.