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2013年12月23日

お正月まであと1週間余り

 第3四半期の最後である12月は、ちょっと変わった相場展開をしている。この3ヶ月の経過はこうだ。強気だった上半期9月が終わり、10月は週末に台風が必ずと言って良い程来て、花全般が失速。11月は天候に恵まれたが、切花・鉢物ともに不作で単価高。中級品を多く扱う市場は単価高ゆえに取扱高は続伸。
 しかし利益となると、荷集めで買い付けなどもあり収益圧迫。12月は例年並みの滑り出しであったが、中旬に松・千両の市があり、出荷量も例年並みであったがここ数年作柄が悪かったので、その分入荷が不足して単価が高いかもしれぬとの生産者の思惑から、畑掃除をしたような下級品も出回り、千両は久しぶりの安値。松も後出しは安値。
 そしてこの中旬には、例年並みの売れ行きなるも相場の波は下降トレンドに入っており、ようやく今日23日から平常の相場に戻ってきた。
 以上が日本列島の概況だが、大田花きでは暮れのもの(新年のもの)は、20日前には松・千両・オモトは止むを得ぬものの、それ以外のものは今年の日巡りだと23日から販売しようと計画を立てていた。
 それは、菊や小菊の予対相対の納品希望日の動向から見てもよく分かる。昨年と今年の一番の違いは、スーパーマーケットやホームセンターなどで花持ち保証販売をし始めた点である。そんなに何日も前に切ったものをいくら鮮度管理と言ってもいかがなものか。葉まで含め、品質・鮮度ともに良いものを提供しなければならない。そうなると、暮れの花の納品は、当然23日の天皇誕生日の取引きからとなるのは止むを得ない。そして問題は間際になった分、今後どのように裏日・表日ではなく、毎日出荷の形態にするかということである。

 生産者は、今日は手入れをする日、今日は出荷をする日と一日おきの方が仕事が捗る。花屋さんも今日は仕入れの日、今日は店で或いは配達をする日というように分けた方が良い。出荷する人も購入する人も残業・深夜・早朝手当てがなく、仕事をしている人たちであるので、いつの間にか12月や3月の需要期でも一日おきの取引きとなった。もう少し鮮度を考えた上で、一日おきにしないで流通出来ないものか。確かに遠距離から東京にある共同荷受所に荷を取りに来る地方の市場は、積載効率から考え、一日置きというのも分からないではない。

 しかし、花を切った後の日数が、月曜の場合は最長4日とか、生産者によっては木曜午後に切り、5日目販売とか、国内の産地としてはいただけないのではないか。花持ち保証、鮮度流通、新鮮なものをいち早く消費者の元へ。昨年とは違い、花持ちの良い菊類でも生産者と卸売市場が取り組まなくてはならない重要な課題である。

 今後、特に物日の対応に付き需要があるし寒いからと、2週間も3週間も前から流通させるというのはいかがなものか。もし、流通させるとすれば、鮮度管理をしっかりとして小売店、或いは花束加工業者の責任のもとにおいて行う。このようにしてほしい。
 もう昨年までの花き業界が処理してきた鮮度のレベルとは違うのである。花持ちを保証していない店舗も保証しているのと同様のサービスレベルでないと生き残っていけない。消費者から見放されないよう、産地と卸・仲卸は花き流通を行っていきたい。

投稿者 磯村信夫 : 12:50

2013年12月16日

お客さんも一生懸命やっている店を応援します

 街を見ていても、確かに販売競争は激しくなっている。独立店舗でもチェーン展開をしている店でも、また小売の業態に関わらず、昨年とは違い、何かより顧客目線で工夫をしたり、潜在需要を顕在化した物やサービスを売っている。そうしていないお店は繁盛していない。
 
 昨日、お台場と丸の内のいつもの定点観測をしているスポットを見て、そう思った。とすれば、花店はどうしたらお客様の心を捉えることが出来るだろうか。商品と接客の総合サービスが肝心なことは言うまでもない。接客サービスといっても、青山フラワーマーケットさんの渋谷東横店で開発した切花をバイキング方式で自由に手に取って選び、レジで支払う。これも接客の一つの方法だろう。
 
 JFTDもお届けサービスの一つで安心だ。インターネットも気が向いたとき、24時間注文できるので便利だ。メッセージカードや、シンプルでゴミが出ないが素敵な包装も必要だろう。花店は出来合いアレンジと色合いによる陳列の仕方が必要だし、原産地、品目・品種名の表示、もちろん価格も随分と表示をしている店が多くなってきたが、まだまだそこまで行っていないところもある。
 卸売市場ではユーレップGAPを批准しているMPSだとか、無農薬栽培だとか、バラであれば香りも表示しながら販売しているのに、そのことをお客様にお伝えしていない花店もまだ多いのは残念だ。
 ある繁盛している花の小売店は、オネストカード方式で"この品物がなぜ高いのか、なぜ安いのか"現在の市場の状況を知らせている。花瓶に10円玉を水に入れても、花の持ちは水とたいして変わらない。フラワーフードを使うことが大切だ、ともタイムリーに知らせている。
 
 毎年、12月の51週は、クリスマスと年末前の需要一服期だが、こういうときに繁盛している店を花屋さん以外でも見て歩くことはとても参考になる。是非とも自分の目で見てほしいのである。

投稿者 磯村信夫 : 12:05

2013年12月 9日

「踏ん張りどころの専門店」

 8日の日曜日、首都圏に花を供給する東京の中央市場で松市が行われた。小さな首都圏と言われている皇居から50キロの千葉・埼玉・東京・神奈川には、日本の約4分の1の人たちが住んでいる。「東京は良いですね。一極集中で景気も良いし」とおっしゃる人がいるが、4人に一人が本当に景気が良ければ、日本の経済はもっと良くなるはずだ。
 例で、団塊の世代で言えば、長男は地元に残ったが、その弟たちは首都圏に出てきたわけで高齢化は倍して進んでいると言っても良い。しかし、人口が密集しているのは事実で、徒歩と自転車で、生鮮食料品・花きを買いに行く。花屋さんは、しっかりと商売になるエリアなのである。
 
 私は大森に住んでいるが、いつも利用しているCGCグループの食料品スーパーが花を販売するようになったのは今年からだ。徒歩で5分くらいのところに3つのスーパーがあるが、いずれも花を販売している。花屋さんも花の専門店として良い品揃えをしているので、しっかりと営業していると思う。
 このような商売の環境の中で、8日松市が行われたわけだが、私が見立てをしたところ、思っていた以上に量販店の集客力が強くなっているようだ。買参人である花の専門店の買う力が弱かったのだ。物日の店頭において、花が売れる数量は専門店では通常の2~3倍、量販店では7~10倍くらいである。花屋さんたちは頑張っているが、売れる時期になっても売り場面積をこれ以上増やすことは出来ないし、人手も沢山増やすというわけにはいかない。スーパーなどはセルフが多く、売れるときには面積を拡大することが出来るので商品を多く配置できる。なので、通常の10倍の売上げになっても不思議ではないのだ。
 
 花き市場の私たちは、お得意先であるスーパーへの納品業者である花束加工業者の優勝劣敗が今年決着したと見ている。素晴らしい花束加工をする業者がどんどんシェアを広げ、そういった勝ち組の業者は量販店からの申し出を断っているところもある。このことは分かっていた。市場での取引の内容を見ると、予約相対(注文品)やらセリ前取引も、以前に比べ多くなってきているのだ。こういう状況の中で、昨日松市のセリが行われた。消費者の気持ちは前向きだし、専門店の人たちは高級な花を扱う業者として、晴れやかな日であるお正月の花は今まで以上に頑張ってもらいたいし、彼らもやる気であろうと思う。なので、大田花きとしては、品質の素晴らしい松やブランド産地の松はしっかりセリで購入していただこうと準備をした。
 
 しかし、しかしである。セリの結果からして量が多かったということであった。素晴らしい品質のものも量が多いと食べ切れなかったのである。一年で一回の松市、良いものが安くては生産者に申し訳ない。大田花きとしては、今後とも専門店の花屋さんに期待をする。しかし、量販店の花売場は優秀な花束加工業者などの納品によって、ここまで消費者に当てにされるようになったのだ。"量販店の花売場はここまでシェアを伸ばしていたのか"と改めて思い知った松市であった。
 
 花の小売店は、新しい花との生活を提案する専門店。ワンストップショッピングで良いもの安くの量販店・スーパーマーケット。生活の場所ごとにそこに似合う花を販売するホームセンター。花の買い物時間削減のカタログ販売・インターネット販売。これらの4つが消費者にとって必要であるが、近年スーパーが激しい業態競争とともに着実に花売場を運営されているようである。
 人口密度は高いのだから、首都圏の花屋さんは絶えず新しい提案をし、消費を引っ張る花屋さんでいてほしい。昨日の松市を見ていて、スーパーと同じ若松だけでなく、もっと根引き松や他の松など、自分のデザインが活かせるものを予算内で消費者に提供していただきたいと思った次第である。
 販売額や利益は、景気と業界と各社の開発力の三重の要素に依存する。専門店と一緒になって、伝統文化に則った新しい花のあるお正月を提案しなければならないと強く感じた松市であった。

投稿者 磯村信夫 : 15:27

2013年12月 2日

地元の市場にもっと荷を

 昨日、生産者の結婚披露宴で茨城県へ行ったが、同席された花市場の社長が荷が少なくて困っている旨の話をされていた。
 東京には共同荷受所が3つあるが、生産者はそこへ持って行けば東北地方まで含めて50以上の市場に出荷できる。都内は共同荷受所の運送部門が配達するが、東京以外のところは荷受所に取りに行く。もちろん運賃は荷主さんからいただくのだが、場合によってはその運賃が高いと感じているのだろうか。
 現在の日本は、地方の方が経済規模は小さいが明らかに東京よりも豊かな生活をしているように感じる。そういうところは花の需要がしっかりあるのだから、そこの市場に入荷量が少ないのは問題である。
 この頃、生産者が地元の道の駅や直売所と都市部の市場の二箇所へ出荷している。
直売所が出来た分、地元の市場への出荷が少なくなっているように思うのだ。是非とも、地元の市場を大切にして、出荷先を使い分けて欲しい。

 来年、花き振興法が国会を通っても、早速花の生産が増えるわけではなかろう。ここ2、3年は、団塊の世代の後の方はまだ現役だ。従って、収入もしっかりあり、花の消費欲も旺盛だ。なので、花の卸売価格は上ってきているのだが、この間に生産量が需要を充たせないというのは痛いことだ。花き市場としては、デフレストップから実質単価アップ、そして油代、資材高を生産者に吸収してもらい、再度生産拡大をお願いする段階になっている。だから、生産量を増やして大都市圏と直売所への出荷だけではなく、地元市場への出荷、これを是非とも昔通り続けてほしいのだ。
 日本全土、独特の花き消費文化がある。それを小売店と一緒に生産者は地元市場に出荷することによって発展させてほしい。

投稿者 磯村信夫 : 14:56

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