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2014年2月24日

いざとなった時に頼りになる卸売市場

大田市場の花き部に植えられている河津桜がようやく咲き始めた。毎年河津桜の咲く時期と世界らん展の行われる時期がほぼ同じで、一足早い春を先取りする。今年はバレンタインデーの大雪で、河津の観光地も世界らん展も来場者数が今一つだったと聞く。一週間経って、ようやく平常に戻りつつある。
今年の世界らん展のチャンピオン(日本大賞)はエピデンドラム。我々花き業界でも流行の最先端を行きつつあるが、世界らん展でも同様で、特に大賞受賞作品は本当に立派で美しいものであった。読者の皆さんにも、是非機会を見つけてこの花の写真を一度見てもらいたい。

今回の大雪で静岡・長野・山梨、関東地方から福島・宮城に至るまで、農業用ハウスに甚大な被害が出た。花市場より一足早く青果市場では、関東地方からの供給が細り、相場は高くなった。2011年の3.11の時と同様、西からの産地の荷物の入荷を促して、首都圏の人たちに安心して食生活を行ってもらうべく、東京の青果市場は供給に努めたが、日頃は市場外流通や市場流通でも契約取引の業者などが、急遽市場取引に戻った形になり、困った時の卸売市場頼みで青果市場は高騰した。

花は供給も少なくなったが、需要も少なくなって、19日の水曜から小反発。21日の金曜に強含み。そして、今日から青果と同様の供給需要構造となり、関東の主要花き市場は強めの市況が続くことになる。強めといっても、4月からの消費税値上げで消費者は大型の買い物にお金を使う予定だったり、既に使っていたりしているので、上物の市況は変わらず、中位下位品が高くなって平均単価を押し上げる様相を見せている。今後は西南暖地など、西の産地の物の激しい荷引き合戦が展開されることが予測されており、関東地方の市場にとって母の日以降の産地である長野県・群馬県・栃木県・福島県にも甚大な被害が出ていることを考えると、7月の東京のお盆頃まで激しい荷引き合戦が行われることを想定しておく必要がある。

花き振興法が国会を通る予定の本年を"花き産業再生元年"と位置づけ、活性化に尽力する予定であるが、決して順調には行かないことが2月の2回の降雪で分かった。しかし、例え供給マイナスからの出発でも、生産者と苦労を共にする気で卸売市場は頑張っていくので、是非とも業界人の物心ともに具体的な支援をお願いする次第である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2014年2月17日

消費者は二度評価する

 今回の太平洋側の降雪は、前回よりも湿った重い雪で高速道路の閉鎖だけでなく、産地においてはハウスの倒壊など、甚大な被害を及ぼしている。しっかり調査をし、被害にあわれた生産者の方と今後の対策を検討していきたいと思う。

 先週の金曜日、14日はバレンタインデーで、フラワーバレンタインを頑張っているお店は大雪の天候の割には売れたという報告を数多くいただいた。
 バラと季節の花をバレンタインの花として販売していたところが多いので、先週とある小売店で購入したバラが咲かなかった話をしたい。家内が買ってきたのだが、40センチの黄色いバラで品質が良く、葉の緑も濃く良く締まっている国産のものだと見立てした。切り前はかたいが、栄養剤をやり、上手く手入れをすれば咲くと思っていた。しかし、そのバラは咲かずに終わった。最後まで花首もしっかりしていたので、ベントネック現象(花弁から数センチ下の花梗部がしなり、花が首を垂れたような形になること)が起きたわけでもなかった。このバラはどこの産地のものだったのだろうか。

 輸入バラも輸入商社の方々が検品し、水揚げをして出荷してくれている。購入した花が咲かないというのは消費者はがっかりする。消費者からいうと、原産地表示をしてほしい。産地で荷造りする時、花弁がやや傷む心配もあるかもしれないが、花芯が緩んだところで出荷してもらいたい。この2つを守ってくれるとバラの需要が更に増える。

 フラワーバレンタインで一番の売れ筋である赤バラを恋人や奥さんへ贈り、その花が咲かなかったとなると、我が花き業界は何の為にフラワーバレンタイン運動をしているのか分からなくなる。
 我々が日々取り扱う花の消費拡大を図る為には、"買ってもらうプロモーション"と品質をもう一度チェックし、"購入後にお金を出して良かったと思える品質保証の取り組み"、消費者は買う時、買ってからの計二度評価することを肝に銘じて花の仕事をしていきたいと思った。

投稿者 磯村信夫 : 12:28

2014年2月10日

団塊ジュニアが活躍する花きマーケット

 先週末の爆弾南岸低気圧の影響で、今朝の入荷が終わったのは、日の出の時刻。高速道路が止まっているところもあり、搬入搬出とも苦労した一日である。

 先週の火曜日4日は立春。この日に「第55回日本花き生産者大会ちば」が千葉県館山市で盛大に開催された。
昨年の花きの売上高は、卸売市場ベースで、1990年に大阪府の鶴見で開催された「国際花と緑の博覧会」以前と同じ規模になってしまったので、こんなことでは駄目だと、今年は種苗から生産、小売業界も「反転の年」と意識の中では思っていた。議員立法で花き振興法が今年国会を通る見込みとなって、花きに携わる種苗、生産から市場、小売りまでの業界人、文化である生け花やフラワーデザイナー、庭や盆栽、そして公園などに至るすべての花きの方々は、2014年を「花のルネサンスの年」と位置付け、本格に取り組んでいこうとしている。この熱気と意志がちば大会で発表され、「OK,やってやろうじゃないか」と同意された。

 日本花き卸売市場協会では、生産者に呼びかけ、生産拡大をお願いしている。また、市場に買いに来ている小売店の方々に働きかける。もっと沢山売ってほしいとお願いし、その為の助力を惜しまない。このようなことを花き市場では、本年本格的に行うことにしている。
 私ども大田花きのお取引先との取り組みは、35歳から50歳前半までの生産者と小売店の社長たちとの取り組みを計画したり行ったりしている。業界挙げてのこれらの取り組みのシンボルは、フラワーバレンタイン推進委員会の諸活動である。予算も少額なのに担当者は手弁当で商品作り、話題作りなどマーケティングを本当に良くやってくれている。この活動を手本に大田花きでも特定の生産者と小売店と共に消費者が使うシーンをそれぞれ想定しながら、マーケティングして行こうというのだ。

 花き業界は、1991年の日本バブル経済崩壊後も順調に推移した。この間、若き優秀な人が沢山花き業界に入ってきた。種苗から生産、市場、仲卸、加工業者、小売店というすべての分野で優秀な若い人たちがいる。この人たちは21世紀に入ってデフレ現象が起きたことを受け止め、自助努力でその中で発展していく術を身に付けている。そういう人たちは沢山いる。この人たちに面積を広げてもらい、沢山作ってもらう。この人たちに花店を数多く出店してもらい、沢山売ってもらう。これが花のルネサンス第1年目にやることだ。何故か?ヨーロッパは団塊ジュニアも親の世代同様に花を生活の中に取り入れて楽しんでいる。しかし、日本は「失われた20年」で団塊ジュニアが花を買ってくれる人が少ないのだ。作る方、供給する方が同じ世代なら消費者の気持ちや好みが分るだろう。そうだ、フラワーバレンタインに続けだ。花き生産者たちが熱き思いをぶつけた第55回日本花き生産者大会に出席した帰り道に思ったことである。

投稿者 磯村信夫 : 16:29

2014年2月 3日

小口の花は運んで貰えなくなる?

 先週の木曜日(1/30)は、ガーラ湯沢スキー場で滑っていた。"今日はリフトがよく止まるな"と思いながら、その原因を係員に聞くと、「アジアからのお客様が多いので、降りるのに慣れておらず、リフトをゆっくりしたり止める回数が多いのです」とのことだった。
 そういえば、下山コースを滑ってゴンドラで往復すると、数回に一回はアジアの方のグループと一緒になる。一家で来ている人が多いが、この間は香港かシンガポールの大学生だと思うが、アジアの英語かと思ったらイギリスのイントネーションでもなく、綺麗なアメリカ英語で会話をしていた。旧正月の休暇で、ガーラ湯沢スキー場もニセコや蔵王のように国際化している。
 
 国際化しているのは観光客だけではなく、日本の花もアジア圏の旧正月に向けて多数輸出された。20世紀末は、シンピジュームの鉢が中心だったが、今は切花が多くなりつつある。
 大田花きは、仲卸の仕事のバックアップとして、アジア圏の問屋との取引きを開拓しており、仲卸間の日本の花輸出ビジネスとして、今年の感触ではかなり期待出来るのではないかと思う。
 ちょうど2月というと、来期に向けての経営計画を策定している最中だが、昨年の4月より金融円滑法がなくなり、大田市場でも仲卸が1件廃業するということになったが、日本花き卸売市場協会首都圏支所の管内でも経営状況が思わしくない所が出てきた。
 イーコマースが益々盛んになってきて、箱の大きさが違ったり、逆さまは勿論のこと、横に倒してもいけない花は運んで貰えないという大手宅配業者があって、その動きが本格化してきた。どう運ぶかというのは来期の大切な課題だ。
 花は軽くて高価なものとして運送業者に優遇されていた時期があったので、箱の大きさもまちまちのままだ。こうなると、輸送効率だけでなく、産地集出荷場内の物流や共同荷受所、卸売市場の場内物流も今やコストが掛かり過ぎてしまうものになっている。
 我々花き取扱業者の考え方はすっかり時代遅れになってしまっていたのだ。大田市場では、仲卸業者のお客さんへの宅配便に困っている。特に水入りバケツ等は、水を抜いて再度荷づくりしなければならないのでコストがかかる。もう一度、荷姿の規格化、ダンボールや鮮度保持の仕方など、抜本的に考えなければならない時期となっているのだ。輸送効率に合わせた箱の規格、逆算して中身の規格を運送会社や物流機器メーカーの意見を取り入れながら、再統一する必要があるのだ。
 
 20世紀のまま仕事が出来るはずがない。我々はガラパゴス化しているのだ。問題点を発見した段階で具体的な施策を、しかもグローバルスタンダードの規格で考える必要がある。これは早急に取り組まなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 13:04

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