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2014年3月10日

復興援助 沖縄に続けて

 昨日9日、朝のNHKラジオの時事問題の番組で、2回目の大雪で多くの農業用ハウスが倒壊し、野菜の生産が出来なくなっている。早急に対応策を行わなければ、農家の平均年齢は65歳なので、これを機に農業をやめてしまう人が出る。なので、政府や自治体は対策を急ぎ、もう一度農業をしてもらえるよう消費者からもお願いしたい旨の放送があった。

 野菜農家を中心に話が進んでいたが、花き農家も同様で後継者のいないところはやめざるを得ないとしている農家が、大田花きの取引先だけでも何人もいる。支援策は出揃った。
 気持ちの切り替えが出来た元気な生産者は、古いハウスが倒壊したので、これを機に新しく大きな強いハウスを作るという。是非とも生産者の皆さんに前向きに捉えてもらいたい。

 明日で3.11(東日本大震災)から3年の歳月が経ち、そしていよいよ卒業式やお彼岸など、色々な花の需要がピークを迎える。2011年の3.11を含め、過去3年間、花き生産者は1勝2敗、従来の3月相場であったのは2012年の3月だけであった。過去3年間のうち、2回も3月利益がなかったわけだから、暖房費がかかる3月に出荷するのは永年作型の産地か、消費者やお花屋さんのことを強く思っている産地か、一部の需要増をターゲットに絞った産地である。それでも3月は需要期の為、従来通りの産地の顔が出揃うが、いずれも2桁マイナスの出荷予定だ。

 しかし、沖縄県だけは「太陽の花」「JAおきなわ」の2大産地は安定した生産量である。それはなぜか。この2団体が今年の雪害と同じ大打撃を台風やら相場やらで受けた時、このままではいけないと農家が立ち上がれるように「ヒト・モノ・カネ」で支援したからだ。その後、行政も上乗せしてくれて、生産者は以前と変わらぬ生産力を保持するだけではなく、台風にも負けない防風ネット栽培をして、以前よりも一歩も二歩も前進した。こういった沖縄の花き生産業界が取り組んだ努力が安定供給に繋がっているわけだ。このお蔭により日本中の花き市場、仲卸、小売業者は消費者に仏花を安定供給できる。このことを幸せに感じてやって行かなければならない。

 我々は、実質的に恵まれていたり、良いサービスを受けてもすぐ当たり前だと思ってしまう。このような傲慢さが現代人にあるように感じる。
 ドフトエフスキーの「人間が不幸なのは自分が本当に幸福であることを知らないからである。ただそれだけの理由によるのだ。」という言葉がある。
 今年のように寒く、燃料代が上がっていて、生産者は3年間の間に2回も痛い目にあっている。3月向けの作付けを減らしても当然なのに、荷物をコンスタントに出荷してくれている。それを取り扱わせてもらっているだけで幸せである。3月の全体量からしたら、今年は昨年よりもやはり5%以上は少ない。沖縄が頑張ってくれていても、全体数量を埋め合わせるというわけには行かないのだ。こう思うのが普通だ。

 ある物は欲しくなくて、ない物は欲しくなる。こういう癖を人は持っているのは分かるが、プロは努力に報いる。ある物を上手に使い、消費者に価値を認めてもらう。これがプロの仕事だ。4月以降、暖かくなってビニールハウスの中は一足早く初夏の陽気にもなる。その時、有り余るものを一生懸命売る努力をしよう。それを生産者のペイライン以上に持って行き、スムーズな流れを作るのがプロの流通業者の役目である。

投稿者 磯村信夫 : 2014年3月10日 16:04

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