大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 『花き振興法』に合わせ振興するには | トップ | 新年度の目標は生産性・マーケティング・コミュニケーションの三つ »

2014年3月24日

便利だが三現主義に反する在宅セリ

 3月は異動の時期で、ご挨拶に来ていただく方も多い。そんな時、私の父を知る方から、「歳を取ってきてお父さんに似てきましたね」と言われることがある。そういう目で、同業者の役員を見ると、どこかしら皆先代社長のお父さんと似てきている。
 人は生まれて乳幼児の時から母親の真似をして経験をし、育っていく。幼児期からそれ以後も父親よりも母親と一緒にいることが多いと思うが、男は歳を取るとなぜか父親に似てくるのは不思議なことだ。きっと仕草も生き方も真似をしているのだろう。これは、社風にも表れる。私がこんなに市場の仕事が好きなのは、父親譲りなのではないかと思う。

 鮮度が失われやすい花のスピーディーでフェアな物流、商流、資金の流れ、情報の流れを考えると、卸売市場システムは、経済学的に最も有効な手法だと考えているが、何よりも花を通じて生産者や仲卸・小売店と接するのが私は好きなのだ。おそらく、今花の仕事をしている人は、華道家にしてもお花屋さんにしても生産者にしても、今自分のやっている仕事が天職のように思っているのではないかと思う。
 その中で、在宅セリを考えた。それは、普通の小売店なら百ケースも購入しない。数十ケースで十分だ。市場に来て始めからセリに参加すると、2時間半以上セリ場にいることになる。確かにセリ場では、自分では普段購入しないものも上場されているので、実物を見て勉強することが必要だ。
 
 
 しかし、忙しいときは配達などで仕入れの時間は勿体ない。だとすれば、在宅セリのシステムでは、セットしたパソコンが自分の必要としている花の5つ程前にチャイムやメールでそろそろ上場されることを教えてくれる。その時にパソコンの前に座れば良い。それ以外の時は、他の仕事が出来る。また、手の空いたときに荷物を取りに来れば良い。このようにすることがリストラでスリム化した小売店にとって欠かせない。これが導入したきっかけだ。来なくても購入できることは、私は困った時の在宅セリ頼みで良いと思う。

 しかし、利は元にあり。仕入れは小売店にとって、とても大切なことだ。そうなると、自分の買わない物も上場されるセリは勿論のこと、仲卸が何を扱っているのかどうか見ておくことは欠かせない。なので、市場に来なくてはならない。
有名なフラワーデザイナーはセリで購入しなくとも、一週間に一回は必ず市場に来ている。技術が売り物のデザイナーとしても市場に来ることが欠かせない。「仕入れは必要悪」と言わんばかりに市場に来なくなることは、時代に遅れることになる。

 花に接する。同業者に接する。市場の人間や生産者に接する。そうしてこそ、消費者に支持される繁盛店になれるし、生産者は市場に来て、ライバルの荷を見て、仲卸や小売店と接する。そうして初めて良き花作りになれるのである。市場というのは、そういった場で、花好きだけではなく、人好きが集まる場所でも現物、現場、現実の三現主義の場である。

投稿者 磯村信夫 : 2014年3月24日 11:31

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.