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2014年3月31日

新年度の目標は生産性・マーケティング・コミュニケーションの三つ

 昨日の日曜日はすごい雨風だった。市場にある常緑樹も冬の葉から春の葉に変わる時期、沢山の冬の葉が隅に積もっている。雨風のせいもあるが、暖かくなって荷が増え、到着が遅くて困る。花き業界はすっかり人手を減らし、損益分岐点を下げたので、少し荷が多くなると流通の各段階で手に負えなくなって結局仕事が遅れてしまう。これでは良くないので、もう一度雇用について考える時期に入っている。

 昨年と今年で明らかに違うのは、団塊の世代でリタイア組が増えたこと。代わって1970年代生まれが社会の中核になって、昇格を含め異動が多く、また個人の生活でも彼らの消費感覚が出てきて、お別れ会や昇進会のお祝いの席で花束や胡蝶蘭のギフト、桜の時期に仲間で花見はするが、家族連れで散歩しながらの花見と洒落て家庭用に花を購入する等、変化がはっきり見えてきている。

 さて、先週の3月26日(水)のことだが、安倍総理がハーグ近くに位置するウェストランドのパプリカ生産者の元へ訪問された。30年前、生産性は日本とオランダではあまり変わりなかったが、日本は91年のバブル崩壊後、設備の更新すらおぼつかない状態となっている生産者も多い。オランダは腰高のフェンロー型温室で栽培環境を整え、栽培技術も改善に改善を重ねて、収穫量において日本の3倍の生産性を誇るようになっていった。総理が見学されたこのパプリカ生産システムは規模を縮小して、石巻に導入されると聞いている。
 
 「学ぶ」とは「真似る」ことなので、今後の日本の施設園芸の手本として、オランダの施設園芸を導入する意味は大きい。日本の特性で、キメの細かいところまで見る精緻さ、そして文化に見える優雅さ、それはスポーツでもフィギュアスケートや体操に良く表れている。勿論青果と花にもだ。
 
 しかし、農産物を輸出するようになって、当たり前のように大きな壁にぶつかっているのが価格の問題である。どのような形で生産性を上げて、輸出先の消費者にコストパフォーマンスを感じてもらうか。価格の高さは本当に大きな壁である。日本は移民は行わないから生産性を上げるしかない。農業分野において生鮮食料品花きはこれを正面から取り組んでいかなければならない。
 
 この3月期を見ても、仏花需要はピークを過ぎ、減少して来ていることがわかる。一方、季節の花や洋花類は需要に手ごたえを感じる。団塊ジュニアの人たちが経済を担っていることが多く、コストパフォーマンスとコミュニケーションに敏感である。そうなると、業界として、更にマーケティングして花を流通させることと、一般消費者に対する情報発信が欠かせなくなってきたということだ。これらを新年度のやるべきことにしたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 2014年3月31日 14:54

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