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2014年4月21日

ニューノーマル消費

 今日の日本経済新聞で、4月から消費税が8%に上がった後、今迄通りに支出する人は世論調査で全体の3分の2近くいることを知ってほっとしているが、花の商いは過去5年間の中で単価水準が下から数えた方が早いくらいのところで取引量・金額ともに低迷している。これからゴールデンウィーク、母の日とガーデニングやギフト用の花を中心に、活気を取り戻したいところだ。

 近年、燃費の良い車が多くなり、ガソリンを入れに行く回数が減ったが、先日ガソリンスタンドに行った際にスタンドの状況はどうか聞いてみると、確かに経営は大変そうだが、新たにレンタカー事業を行い健全経営しているという。ガソリンスタンドのレンタカー事業は、"ニューノーマル消費"に応えたものだ。

 ニューノーマル消費とは、2011年にニューヨークのウォール街で、マネー資本主義に対してデモがあったことを記憶されている方も多いと思うが、近年の環境変化は新たなお金に換えられない価値観や消費行動を生み出した。それは、2012年頃から特に目立つようになってきた。前年に日本は3.11があったのではっきりと分かる。持続可能なライフスタイルは、地方に新しい雇用を生み出している。勿論、観光業の復活も地方の求人においては大きな要因だが、地産地消的な動きは今日の日経新聞の有効求人倍率の記事にも表れている。日本の各地で頑張っているのだ。

 園芸作物には、小売りの現場で(生産者のことや原産地がわかる)"顔の見える表記"がされており、安全安心だけでなく○○県の繋がりの消費で国産品を選んで購入する人が多い。これを花束やカット野菜などにもしっかりと表記してもらいたい。特に切り花バラに対しては、咲き切るかどうか品定めをしたいので、是非とも原産地表示をお願いしたい。ヨーロッパでは、カーボンフットプリントや、この花を買うと現地の子供たちの給食費として寄付されます等のフェアートレードのメッセージを添えている。別の角度からのニューノーマル消費だ。

 大田市場でも自動販売機の収入は場内花壇の植栽費として、使っていることを自販機に明示している。このような社会が良くなることを考えた投資・消費スタイルが、新しい良識ある消費スタイルとして、人々の中に定着してきている。私の住んでいる大森の町がそうだ。ご家族で頑張っている飲食店が仮に値段が少し高くても、応援したいと思ってそういうお店に行くことが多い。地元、家族の繋がり、地域がより良くなるように。
 そうなると、日本全国で江戸期の藩の時代に培われた伝統や花文化が継承出来たり、場合によっては復活できる可能性がある。農家と小売店が地元の市場と一緒になって、一緒に農業の6次産業化をしていくことになる。一方で、グローバルエコノミーの中で生きていく。効率性と利便性の追求だ。生産者の立場でも消費者の立場でも、である。
 
 そしてもう一方に、ニューノーマルの価値観で生産し、消費する。この2つの使い分けのポイントだが、幸せが一つの基準となるので、売上げやら利益では推し量れないものとなる。ただ、食べて行かなくてはならないので、収支合わせが大変だ。そこだけがポイントとなるのでしっかりと行っていくことが大切だ。
仕事の立場にたった時、得意な手立てが2つのうちどちらかに偏ることはあるだろうが、大きな企業であろうがニューノーマル消費を思い、小さな企業であれば、長期的且つ効率的に生き残れる方法でニューノーマル消費に向けていくことが必要だ。

 世界の中でも地方の文化に独特のものがあるのが日本だ。外国の方が来ると日本各所の多様な文化に驚く。この多様な文化のそれぞれの発展の時が来ていると言って良い。よく生産者と話すと、農家が生きて行く上でそこまでお金はかからないという。すなわち、ニューノーマル消費を行っているのだ。もう一度、自分の地域の素晴らしさを再確認し、それを売り物に農業、仕事、ボランティアまで含め、働く場を地元地域の維持発展のために作ってもらいたい。これが、差別のない花から学んだことである。

投稿者 磯村信夫 : 2014年4月21日 12:51

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