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2014年5月26日

ワーキングウーマン

 今朝のNHKラジオのニュースで、NHKの調査によると"結婚をしてもそのまま仕事を続ける"という人が初めて50%を超えたということであった。ニュースになるくらいなので、まさに初めてのことなのであろう。
 安倍首相が日本経済の活力を引き出す為にも、女性の活躍を謳っているが、OECD加盟国34ケ国のうち、日本の女性(25~54歳)の平均就業率は69.2%で24位であった。また、もっと厳しいデータとして、世界経済フォーラムが経済、教育、健康、政治の各分野での女性の活躍を諮ったところ、ジェンダーギャップ指数で136ヶ国中、105位であった。

 今後、日本の生産労働人口は減少していくので、女性の負担がこれ以上重くならないで仕事を続けられる環境を作り出さなければならないのは言うまでもない。特に花き業界は、花を購入してくれるのは女性が多い。女性の活躍こそ、売れる花が流通し小売店も生産者も稼げるキーポイントとなっている。花き産業すべての分野において女性が生きがいを持って働けるような職場にしていくことが今後の急務である。
 話は戻るが、世界フォーラムの調査のジェンダーギャップは、社会で働く女性にフォーカスし日本を105位と言ったが、既にお分かりのように全ての場面で日本の男女格差が大きいかというと決してそんなことはない。奥さんやかみさんという言葉で分かる通り、女性は家族の意思決定のあらゆる分野で絶大な権力を握っているし、一人になっても長生きするだけ心身ともに健康である。

 さて、花店ではもう既にお洒落な花束やアレンジメント、鉢が素敵な花鉢、観葉植物など、一人何役もこなす働く女性が気軽に買える花店は、駅ビルやデパ地下のお惣菜コーナーと同様に繁盛している。
 NHKの調査だけでなく、実際に1965年以降に生まれた人たちをターゲットに繁盛店は、働く女性たちの好みやライフスタイルを考え、そこへ向けた商品作りをしている。男でも女でも、まさにジェンダーフリーで若い人にとっては、ワインと同じように花を気軽に楽しむことは素敵な時を過ごすことである。

 今後、益々女性の社会進出が進むと、仏花も明らかにセンスが変わってくる。どんな風になって行くかは、素敵な働く女性たちに聞きながら新しい花束商品を作って行きたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 16:17

2014年5月19日

サービス社会において顧客はスタッフでもある

 週末話題になったのが、4月に中国人女子留学生が友人とすきやばし次郎六本木店へ行った際に起こした出来事である。女子留学生の友人が「生では食べられないので火を通してほしい」と店に頼んだところ、店は断った。女子留学生はこのことをブログに書いたところ、中国人から非難が殺到した。後日、再度店に出向き謝罪したということである。六本木店の店長もその友人を非常識だと非難するのではなく、悪いのは海外で寿司店と称して天ぷらやら煮炊きする料理を出すお店が多いことだと言って慮った。

 このことから学びたいことは良いサービスが完結する為には、ただ単にサービスを提供する者だけでなく、顧客はサービスの受け手プラスそのサービスに携わるスタッフの役割があり、正しい作法が欠かせないということである。即ち顧客は寿司店の作法に則り寿司を食べ堪能することが望ましい。醤油は嫌いだからソースで食べたいと言ってもすきやばし次郎の六本木店において顧客は本物の寿司を味わう者、サービスを受容するスタッフとして、寿司が料理として最も際立つ醤油で味わう。スーパーの買い物にしても、花市場のセリ取引にしても顧客はいずれにしてもそのサービスをより良きものにする為のスタッフとして作法をわきまえ、それを知って参加することが必要である。それがサービス業において、顧客はスタッフでもあるという点だ。

 今花き市場はセリ取引サービスだけでなく、セリ前取引サービスも行っている。1999年卸売市場法が改正され、セリと同等な取引法として、相対取引が認められるようになったからである。相対の申し込みは、前日に行われることがほとんどだから、出荷者の作法として厳格な品質区分、間違えのない出荷情報、写真や色や香りの情報等、時代に合わせた出荷情報の提供が作法となる。買い手は相対取引もセリ取引もその都度書面で契約書を取り交わさなくても、言ったことは買ったこと、すべて真剣勝負で二言があってはならない。これが作法だ。

 しかし、出荷者にしても買参人にしても人間として間違いはあるだろう。その間違えをどうジャッジするかは卸売のセリ人の判断だ。世の中は進歩している。情報については、あふれんばかりだ。取得も発信もコストが掛からずに出来るようになっている。こういう中で、顧客がサ-ビスという商品を完成させる為に顧客としての作法、すなわちスタッフとしての適切な行為が欠かせない。

 生産者や買参人の納品間際になってからの出荷のキャンセルや、単純な買い間違いではなく、前に高く購入したものを返品するという行為を許してはならない。サービス業が中心の社会というのは、コンビニのレジで人が並ぶ場所が決められているように、顧客もスタッフ、コンビニサービスを完成させる為にスタッフとして行うことが欠かせないのである。花き市場は顧客サイドの出荷者、買参人という顧客においても作法を明確化し、良い流通サービスが出来るようにしなければならない。具体的にはそれぞれの花き市場が規定をすべきところだが、卸売市場でセリの取引と同じように、フェアに振る舞うことが最低限出荷者と買参人に要請されるところである。

投稿者 磯村信夫 : 15:57

2014年5月12日

例年並みの需要に戻った母の日

 5月12日(月)今日のセリ場は、母の日疲れでセリ参加者は少ないのではないかと心配したが、普段の人数以上の買参人が朝一から参加している。小売店各社は予想した範囲の母の日の売上げであったし、今日から初夏の装いに店も品揃えを変えて行く必要があり、仕事を前向きにやって行こうとする意欲が感じられた。

 東北地方では、今年の母の日が11日であったことから、3.11と同じ11日なので、お墓参りに行った人も多かった。菊とスターチスを手向けた人ばかりではなく、カーネーションを手向けた人もいて多彩であったという。首都圏では、2011年3月11日から、4回目の母の日となった。思い起こせば、11年の3.11直後から、一ヵ月間花どころではないと感じた人が多く、お彼岸の需要期であるにもかかわらず価格が低迷した。

 GWの前くらいから、少しずつ国民の気持ちも自分の仕事を通じて被災された方たちやその地域に役立とうとした。自分の楽しみの為に使うお金も東北の人たちに使ってもらえるような気持ちになり、家族や友人たちの絆が大切なことを改めて感じた。母の日前から花の相場は、従来の相場に戻って行った。
 
 翌年の12年には、GW中の日めぐりの問題もあり、例年並みの母の日需要であった。13年はGW中の日めぐりの問題やお母さんに何か贈ると孫の誕生日プレゼントや服などを倍どころか3倍以上になって返ってくること、また地縁・血縁の「絆」の価値の高まりと伴に地元のお花屋さんで購入する人が多かったこと。また、「絆」の大切さから浮動票的な人も花を購入し繋がり消費のピークとなって3.11から3年後の母の日は燃えた。

 そして本年は、新年度になり"3.11を忘れるな"とメディアで呼びかけても自分なりに贅沢にお金を使うこと、またそのような時を過ごすこともそれなりに悪いことではないという雰囲気から、絆消費分の花のプレゼント量は減ったと思われる。それはピークから減っただけで、11日の昼前のラジオでもお花屋さんに花を買いに来た消費者に質問する等、母の日のアイテムとして定番のカーネーションを中心とした花は広く国民の中に浸透している。その売れ行きは例年通りの母の日需要に今年はなったと見て良いだろう。どのお花屋さんでもカーネーションやバラの切り花、或いはカーネーション、アジサイの鉢が母の日のプレゼントとして良く動いていたように思う。

 日本花き卸売市場協会では、カーネーションとバラの切り花の母の日向けの生産重要予測と鉢物ではカーネーション、アジサイの生産需要予測の会議を3月、4月とそれぞれ行い、そこで話し合われた通りの数量であったが、市況は昨年が絆消費で良かったものだから、それと比べると消費者から早めの予約がなかったので価格は安くなった。
 例年通りの形になったので、来年は小売店は積極的にGWに入る前にも受注を取るようにすれば良いと思われる。生産と需要のバランスは、やや生産が多いだけであったが、花き流通業者が楽観的に需要予測をしたので、期待が大きすぎた分だけ裏切られて、相場が下がったと見るのが適切だろう。

 団塊ジュニアの消費者があてにする花売り場の場所は、前年の地縁の絆の価値が薄れた分、(60歳代以上は、地元主義は変わらず強くなっている)駅周辺、通勤途上や活性化している商店街、そして量販店に限られたが、そこのお店は来年もまた母の日は忙しいはずである。
 しかし、母の日プレゼントを他業界に流れないようにするには小売店での積極的な母の日PRを4月中からしていくことが欠かせないことは言うまでもない。

投稿者 磯村信夫 : 12:40

2014年5月 5日

世間では倒産件数が少なくなってきたが・・

 5月11日(日)は母の日。和歌山県農殿(経済連に相当する)、JA紀州殿が中心に行っている「母の日参りキャンペーン」(亡くなったお母さんの為に母の日にお墓参りをする)でスターチスや菊の動きが良くなって来た。潜在需要を顕在化できつつあるのは有難い。

 さて、金融円滑化法の期限が2013年3月31日で切れて1年少々経つ。その間、大田市場の仲卸が破産申請をし、1件の地方卸売市場が同様に破産申請をした。それ以外にも、経営が大変という噂のあるところは少なくなく、20世紀と変わらない仕事のやり方をしているところは、花も当然のように篩に掛けられ落とされていく。
 東京の場合、中央卸売市場には仲卸がいて仲卸の競争力=卸の競争力であるが、卸は仲卸とどのような形で協業を図り、大田市場なら大田市場としての他市場に対する競争力をどう図っていくかを検討して行かなければならない。話は戻るが、資金繰りに悩んでいる花き業界人は多い。それは、91年バブル経済が崩壊した後も花き業界は順調に伸びていて、"八百屋さんのポケットの法則(※)"を守らずとも、どうにか仕事をやって来れたからだ。
 
 21世紀に入り、銀行の金利が0になるくらい各企業はお金を返済に回し、内部留保に努めてきたのだが、花き業界はピークが20世紀末だったので、まだまだ"八百屋さんのポケットの法則"を守らずとも事業運営が出来たのだ。
 資金繰りに困った小売店でこういう人もいる。市場で仕入れる場所が卸・仲卸と2つあるから、仕入代金を卸で溜めて取引ストップされた場合に仲卸で購入して卸に支払う。卸でまた溜めて仲卸で支払う。市場と市場との間で、行ったり来たりしながら溜め込む人もいる。いつの時代もこのような人はいるが、現代社会においてカードローンを組んだりする個人はいても、事業を営む者には現在ほとんど見られなくなった。経営者失格はほとんど退場させられたのである。しかし花き業界にはまだいたということである。

 出荷者と卸との取引は勿論のこと、卸と仲卸、仲卸と小売店、運送店との取引も同様である。取引先と決算書の交換による相互信頼の上に契約を結んで取引しよう。
 気配では、いま少し業界では倒産が増えそうである。

 (※)"八百屋さんのポケットの法則"
 なぜ八百屋さんの前掛けには2つのポケットが付いているのかという話。公私混合させない為、一つは売った代金で、預かり物の仕入れた代金で市場に払うお金を入れるポケット。
 もう一つは、アルバイト代や自分の給料、お店の家賃などに使えるお店のお金。しかし、まだ利益ではない。利益を含むお金を入れるポケット。売上げを二つに分けること。

投稿者 磯村信夫 : 12:15

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