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2014年5月19日

サービス社会において顧客はスタッフでもある

 週末話題になったのが、4月に中国人女子留学生が友人とすきやばし次郎六本木店へ行った際に起こした出来事である。女子留学生の友人が「生では食べられないので火を通してほしい」と店に頼んだところ、店は断った。女子留学生はこのことをブログに書いたところ、中国人から非難が殺到した。後日、再度店に出向き謝罪したということである。六本木店の店長もその友人を非常識だと非難するのではなく、悪いのは海外で寿司店と称して天ぷらやら煮炊きする料理を出すお店が多いことだと言って慮った。

 このことから学びたいことは良いサービスが完結する為には、ただ単にサービスを提供する者だけでなく、顧客はサービスの受け手プラスそのサービスに携わるスタッフの役割があり、正しい作法が欠かせないということである。即ち顧客は寿司店の作法に則り寿司を食べ堪能することが望ましい。醤油は嫌いだからソースで食べたいと言ってもすきやばし次郎の六本木店において顧客は本物の寿司を味わう者、サービスを受容するスタッフとして、寿司が料理として最も際立つ醤油で味わう。スーパーの買い物にしても、花市場のセリ取引にしても顧客はいずれにしてもそのサービスをより良きものにする為のスタッフとして作法をわきまえ、それを知って参加することが必要である。それがサービス業において、顧客はスタッフでもあるという点だ。

 今花き市場はセリ取引サービスだけでなく、セリ前取引サービスも行っている。1999年卸売市場法が改正され、セリと同等な取引法として、相対取引が認められるようになったからである。相対の申し込みは、前日に行われることがほとんどだから、出荷者の作法として厳格な品質区分、間違えのない出荷情報、写真や色や香りの情報等、時代に合わせた出荷情報の提供が作法となる。買い手は相対取引もセリ取引もその都度書面で契約書を取り交わさなくても、言ったことは買ったこと、すべて真剣勝負で二言があってはならない。これが作法だ。

 しかし、出荷者にしても買参人にしても人間として間違いはあるだろう。その間違えをどうジャッジするかは卸売のセリ人の判断だ。世の中は進歩している。情報については、あふれんばかりだ。取得も発信もコストが掛からずに出来るようになっている。こういう中で、顧客がサ-ビスという商品を完成させる為に顧客としての作法、すなわちスタッフとしての適切な行為が欠かせない。

 生産者や買参人の納品間際になってからの出荷のキャンセルや、単純な買い間違いではなく、前に高く購入したものを返品するという行為を許してはならない。サービス業が中心の社会というのは、コンビニのレジで人が並ぶ場所が決められているように、顧客もスタッフ、コンビニサービスを完成させる為にスタッフとして行うことが欠かせないのである。花き市場は顧客サイドの出荷者、買参人という顧客においても作法を明確化し、良い流通サービスが出来るようにしなければならない。具体的にはそれぞれの花き市場が規定をすべきところだが、卸売市場でセリの取引と同じように、フェアに振る舞うことが最低限出荷者と買参人に要請されるところである。

投稿者 磯村信夫 : 2014年5月19日 15:57

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