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2014年6月30日

バケツの水のバクテリアチェックを徹底する

 昨日の日曜日の集中豪雨は短時間であったが激しかった。東北では死傷者も出て何やら買い物どころではなかった。これから7月に入り、需要がしっかり出てきて市況も好転して来るのに、こんな天気だと外出するのも億劫になる人もいるだろう。

 温度・湿度ともに高いので、大田花きでは鮮度保持対策に忙しい。品質カイゼン室で荷受場からセリ場の後ろ、或いは荷捌場、定温庫などの温度管理とバケツで水揚げした花きには水質チェックをしている。困るのは浅水にしていても、すぐに水が汚れることだ。暖かくなりバケツの水の中にバクテリアが繁殖しやすくなったが、6月に入り露地物が本格的に出てきて草物や枝物を水に浸けたものは本当にバクテリアが早く繁殖する。これでは植物の導管を詰まらせてしまう。仲卸店の水質を見てみても滅菌剤を入れていないとすぐにバクテリアが繁殖する。水質保全の為の滅菌剤の代金だけで余分な出費のように思う人もいる。嘗ては弊社もそうであったが、そうであれば水に浸けない方がむしろ花持ちが悪くならない。この事実をしっかりと認識する必要がある。

 オランダではバケツ輸送が切花でも基本だが、バケツ洗浄は徹底している。また、綺麗なバケツに綺麗な水と滅菌剤を必ず入れて流通させている。日本でもリサイクルのバケツをしっかり洗っているだろうが、綺麗に洗わないで水揚げして花を流通させる場合がある。花持ち保証等というと、バケツで水揚げしたものの方が優位に思うかもしれないが、綺麗なバケツ、綺麗な水、滅菌剤が条件となる。ここを徹底しない限り、むしろ普通の箱で流通させた方が良い。バケツのバクテリアチェックシートは廉価で手に入る。日本全国の仲卸・小売店はバクテリアをチェックし、滅菌剤を入れた処理剤で水揚げ・販売すべきである。

投稿者 磯村信夫 : 11:56

2014年6月23日

例え小さくとも「会社」の時代になったのである

 先日、小売店の二世の方々との勉強会で人手の話題になった。日曜日の日本農業新聞でも福島の農業関連の方々の人手不足について記事があったが、今まで家族だけで仕事を回せるようにしていたのを、ここにきて人を雇って教育し、お客さんの立場にたって物事を考えられるように戦力にして更に社業を発展させる。このような考えを持つ小売店が増えてきた。逆に言って、このままではお客さんの要望に応えられず、お店が駄目になってしまうという危機意識を持ち始めている。これは生産者も一緒だ。定期採用とまでは行かないまでも、2年に1回や3年に1回は、農業関係の高校から大学、或いは専門学校から採用して行きたいという希望がある。 

 小売店の方々と話していると「なかなか気の利いた人がいない」というが、そんな時にまず「人に親切にしなさい」ということを言って実行させては如何だろうか。親切にするということは、必ず相手の立場で考える。相手にこういう風にしたら喜ぶだろうということを自分で考えて実行する。この癖をゆとり教育や電子ゲームで育った世代に習慣化してもらう。仕事はお取引先にお役立ちをすることだから、相手の立場にたって物事を考えられない人が仕事の役割を果たせるわけがない。結局自己都合の品物やサービスを提供しておしまいだ。これでは商売にならない。まず親切から始めようというのだ。

 こういう残念なこともある。お客さんに喜んで貰う為に、相手の気持ちがわかるようになって技術を磨いた社員が辞めたり、花店として独立していったりすることだ。卸や仲卸であれば、お客さんを連れて他社へ移ったりすることもある。結局、その会社が厳しいけれどもやりがいがある良い会社でないとそういうことが起きてしまう。良い会社であれば多少は防げるか辞める人は少ないだろう。
 日本も花き業界だけではなく、ほとんどの現場仕事で人手不足感が出てきた。私ども卸売市場においてはトラックの運転手さん不足が直接的に影響が出ている。九州や四国の産地が関東地方まで出荷しているところは少なくなってきた。また、東北、北海道地方で関西地区まで出荷しようとする産地もそうは多くない。いずれも運賃高とトラックの運転手さん不足から来るものである。

 良い人に来てもらい仕事をしてもらって応分の対価を払う。花の流通業者として高い理想を持った会社が多数ある、そういった花き業界にしなければならないと小売店の勉強会で痛感した次第である。

投稿者 磯村信夫 : 12:28

2014年6月16日

縮小の向こうに

 "イエローリボン"の黄色から、父の日には黄色い花をプレゼントしようと、黄色のバラや向日葵を販売するようになった。切花だけではなく、鉢物を取り扱う生産者や市場は、父の日には観葉植物のプロモーションをした。首都圏の花店では、父の日に向日葵のプロモーションを行うところが最も多く、昨日15日の午後はお天気が良かったこともあり、父の日のプレゼントだけではなく、普段の家庭使いでも向日葵が良く売れていた。

 花はさまざまな物日があり、商品からしたら幸せ者だと思うが、商店街の花店では昨日の15日、父の日も日曜日は定休日だからと休んでいる所も多くあり、残念に思ったりもした。

 地縁・血縁が薄くなって結婚式や葬儀の規模が小さくなっている。小さければ小さい程、サービスは良くなり価格が下がって行く。1日、15日の榊や仏花の需要も少なくなってきたので、家庭需要や新たなイベント需要を花き業界では増やして行こうとしている。また、日本の花き文化を継承する為に花育活動を本格化したり、自分を極める為のお稽古ごとに年配者でも参加してもらえるよう、華道教室やフラワーデザイン教室をより盛り立てようとしている。

 今花き業界で言えることは、やる気のあるところとないところ。繁盛しているところと衰退しているところで分けて二極化と言っているが、それは二極化ではない。質の高いテイラーメイドの花や緑を供給する場と、システム化され同一品質のものが供給される切花や鉢物、或いはアソートされたものを提供する場。このような例えて言えば百貨店とスーパーを二極化と言う。今はまだ未分化でその手前であって、繁盛する衰退するということを二極化と言っていることを花き業界は認証するべきである。専門店の花と言ってもどれくらい個性的なのであろうか。卸売市場と言っても考え方によりどれくらい生み出すサービスが違うのであろうか。50歩100歩の違いなら結局価格競争になってしまう。
 しかし、そうは言っても価格競争から脱している小売店がいて、それらの店舗はいずれも地元に立脚し地元の個性に合わせた専門店だ。そういう専門店の仕入先として地元文化に市場が合わせれば価格以外の競争が卸売市場で出来て、地域特有豊富な品揃え、特徴的な市場となる。こうして取扱量の大小に関係なく小売店や卸売市場は生きて行けるし、社会的に存続の意味を見出せる。今花き業界はここに向かって二極化しようとしているのだ。

投稿者 磯村信夫 : 14:35

2014年6月 9日

咲き切るバラ売場が作れれば繁盛間違いなし

 「あのお店のバラは咲き切る」と評判になれば、その花売場は絶大なる信用を得るだろう。それくらいプロの我々が見ても購入した時は良さそうに見えても、一週間も経たないうちに茶色に変色するボトリチス菌に侵された花だったり、ベントネックになったりする。

 冒頭からこんなことを書いたのは、人気の専門店でバラを購入した時はほとんど失敗がないのに、スーパーやホームセンターで購入したバラがしっかりと咲く確率が本当に少ないのだ。輸入品が咲かないというわけではない。大田花きでも花持ち試験室だけでなく、常温の事務所で花持ちテストや開花テストを常時行っている。おそらく原因は市場から後の水揚げや鮮度管理のやり方と花束加工場などがボトの出やすい環境にあったのではないか。

 近年、バラの価値が上がっているが、経済情勢からバラの単価は上がらずにいるので、今まで安い輸入のバラを使っていたスクールの人や量販店も国産のバラに切り替えてきた。大変良い傾向だと思っていたが、その後の品質保持の管理体制までしっかりとチェックする必要がある。今年は梅雨入り前に30℃以上の高温になり、バラは一斉に咲いて価格が下がって梅雨に入った。値段はお手頃だが、病気の出やすい時期だ。

 バラについてはもっと花き業界で注意を払い、鉢物も切花もどういう風にすれば消費者に楽しんでもらえるか、失望させない為にも消費者に説明したり作業場を6S(※)する必要がある。消費者からすると、花のガクが落ちていて咲き気味のバラを買うこと。必ず栄養剤を使うこと。そして、店員さんに産地表示がなければ、どこ産のものか聞くこと。それしかない。
 流通上は、ベト病・ボトリチス等を温室の中、産地の集出荷場、卸・仲卸・小売店の作業場で絶対に出さないよう、生ごみ等を出さないよう清潔に保つこと。あとは温度管理だ。

 切花においては今、切り前が変わろうとしている。その花で一番エネルギーを使うのは咲くときだ。なので、少し咲いてから切った方が持ちが良い。昔、西洋人は咲いた花が好きと言われてきたが、日本人は蕾からやや咲き気味のところが好き、と現代は変わってきている。
 家で必ず長持ちするカーネーション人気の復活をどう捉えるか。トルコキキョウもユリも菊も失敗しない。絶えず失敗するリスクが高いのはバラだ。
 我々プロの流通業者にとって、暑くなって行くこれからの時期こそ万全の注意を払って行く決意であることを今週は皆さんにお伝えしたい。

(※)6S・・整理、整頓、清掃、清潔、作法、躾

投稿者 磯村信夫 : 15:22

2014年6月 2日

花店はB to C良し、B to B横ばい

 第一四半期も残すところ後一か月。消費税が上がって青果や花の売れ具合はどうであったか。
 生鮮品の売り上げの中で、野菜・果物・切花、鉢物を比較してみると、"みかんの花咲く丘"、"リンゴ追分"でヘビーユーザーが戦中派と初期の団塊の世代の人たちが中心の果物が苦戦。
 次いで、ヘビーユーザーの年代が50歳以上の花が振るわなかった。人口が多い団塊の世代も60歳以上になり、団塊ジュニアも40歳以上となって、健康をいよいよ考えるようになってきた。なので、果菜類・軟弱野菜は消費税率上げでも然したる影響は受けていない。

 では、花の小売店では、どのような状況だろうか。全国の仲卸業者で花束加工をする人が多く、彼らはもともと出身母体が花の専門店だったので、花のことを良く知っている。そのようなわけで、納品先の量販店の花は良く売れている。
 ただし、ロス率ばかり気にしているスーパーは、持ちの良い仏様の花しか置かない売り場となり、つまらなくなってお客さんに相手にされなくなっているところがある。

 専門店は二極化して来ていて立地条件に関わらず、やる気のある専門店は売れているが、やる気のない専門店は、淘汰されていくと思われる。縮小している小売店の数が少なからずあるので、卸売市場としてゾッとしているのだ。頑張っている花の専門店はいずれも前年より10%は良い。B to Cの流れは(ビジネスから一般消費者)は期待できるのだ。

 花店でも、B to Bの事業は決して楽観視出来ない。B to Bとは結婚式、披露宴、葬儀の花などを業者に納めているところだ。競争は益々激しくなっており、今までよりもバックマージンを余分に要求される花店も出てきた。花の売れ具合は、B to Cは上昇、B to Bは横ばい。
 ただし、業界全体からしたら、一般小売店がスーパーマーケットの花売り場によって淘汰される局面にあるので、ちょうど地震の構造のように花き業界のプレートは下へ潜り込んでいる。エスカレーターで言えば、下りのマイナス5から10%位のものに乗っていると言えるだろう。
 このような中、通称"フラワー振興法"が国会を通って予算付けがなされる。勿論、国の為にも花き消費を、花き生産を、業界を挙げて盛り上げて頑張るが、実際に効いてきたなと実感できるのは、2016年の後半から2017年に入って、今から3年くらい経ってからだろうと思われる。それまで、ふるい落とされないようにしながら経営をして行かなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 12:58

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