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2014年7月28日

「バトンタッチをお手伝い致します!」

 先週末の26・27日に、アジアフローリスト協会主催、静岡県・沼津市・花キューピッド協同組合共催、JFTD主管のアジアカップ2014が沼津市で開催された。

 花は平和産業。平和産業に相応しく、中国や韓国からも一流デザイナーがコンテストに参加した。土曜日のパーティーには食だけでなく、花の国を目指す静岡県の川勝知事も出席され、花き産業の振興にエールを送った。また、夜のパーティーの前には生産、川中流通、小売の意見交換会が催されたが、ここで花の専門店の活性化が望ましいと意見交換がなされたと聞いた。

 団塊の世代が早い人で65歳を過ぎ、後継者がいない所は店をたたむことを考えている。大田花きでは、とあるお花屋さんのアドバイスからこのような方の仲介の窓口をしようと品質カイゼン室がサポートを始めた。それは「バトンタッチをお手伝い致します!」というものだ。

 これは、花店を他の人に譲りたいという人がいたら、品質カイゼン室が可能性のあるお花屋さんにお聞きし、その花店を継承してもらおうというものだ。品質カイゼン室はお花屋さんに花持ち保証販売のお手伝いなどもしており、営業とは違った角度からお花屋さんをサポートしている。その部署では専門店の必要性を痛感し、もうこれ以上街のお花屋さんが減ってしまっては新しい花の提案をしてもらえる花売り場が少なくなって、価格競争主体の売り場が多くなってしまうという危機感の下に取り組んでいる。この危機感は、日本中の花市場が感じていることだ。

 駅中や駅周辺の店が得意な花の会社と、商店街やスーパーのテナントが得意な花の会社がある。後者に店を譲って経営してもらうことが出来るだろう。仲卸さんたちに聞いて、資本はまだあまりないがやってみたいとする若い人たちも必ずいよう。花屋さんはアレンジの腕とセンスさえあれば、その店独特のアレンジが作れて必ずお客さんがつく。まずは、外営業も含め、年間の売り上げで三千万円を目指してやっていける売り場を作ってもらいたいと思う。

 大田花きが今月から始めた新たな仕事「バトンタッチをお手伝い致します!」は、このような内容である。全国の花市場のみなさんも、仲卸のみなさんも、是非ともそのようなお店があったら花店を継承してもらえるようにして欲しい。

投稿者 磯村信夫 : 15:46

2014年7月21日

一輪菊改善策

 先週、一輪菊の大産地の方々が、相場が安い日が続くので心配になっていらっしゃった。その時、このように現在の状況をお話しした。

 一輪菊が葬儀と仏花に限定されて使われるようになったのは残念なことだ。だから、輪菊でもアナスタシアやピンポン菊など、若い人たちが好む一輪菊を今の一輪菊の作付けの10%位作付けて欲しい。二つ目は、確かに一輪菊の白は、葬儀の祭壇に使われたり籠花に使われたりしている。しかし、一輪菊は大きな祭壇の時には俄然引き立つが、家族葬などの小さな祭壇の時は洋花の方が綺麗なので、今の葬儀の動向からして、白一輪を使う比率が一時の半分以下になった。また、供花・籠花も、いくつも出るということではなくて、喪主や兄弟一同など、二つやせいぜい四つの場合が多いので、この分野でも籠花が少なくなった分、一輪菊が使われなくなった。三つ目に、仏花の需要は決して少なくなっていない。むしろ、亡くなる方が多いわけだから確実に増えている。しかし、露地菊の産地が少なくなって周年作型の産地が菊を供給しているが、ほとんどが白だから、仏花に必要な白・黄色・赤のバランスが崩れてしまって白だけが多くなっている。また、仏花はMSの等級が中心で、2Lのような立派なものはあまり使わない。このように、長さや太さ、色等の需要に対して偏ってしまっているのが問題ではないか。そして四つ目に、今年は物日の時にいつも需要より早く咲いている。この8月のお盆も10日から一週間、一番ぴったりな時期に出荷する産地も3日は早く咲いている。そういう風に、必要とされる前に荷があふれるので、'前進開花に高値なし'の定説の通り、安くなってしまっているわけである。

 家族のイベントの中で、唯一出費が伸びているのは葬儀や仏事なのに白菊が安いのは、こういう理由が背景にある。これを来年は、周年栽培の菊の産地も、かつての菊全体の作付け割合を参考にし、立派なものよりも、よりお手軽なものを。すなわち葬儀関係、一本売りのL、仏花関係のMSなどを中心に作付けてもらえば、必ず生産者は利益がでる。なにわ花いちばさんがいう「アジャストマム」だ。そして、新しい一輪菊のピンポン菊等をたくさん作ってもらえば、菊類全体が活気づく。そう思われるので、菊の産地は、あまり心配しなくても良いと思われる。また、小菊は仏花としての小菊だけでは駄目で、可愛らしい雛菊のイメージの小菊を必ず作付けて欲しい。特に露地の季節は、開花がずれることが多々ある。その時に、仏花用だけでは買い手がつかないことになってしまう。

 最後にもう一つ。小売りの皆さん方は、是非とも榊について原産地表示をしてほしい。中国で束ねられた榊を、何も表示せず売っている店があまりにも多い。人によっては、神棚に捧げるのに、「国産の物でなければ嫌だ」という人もいよう。一方、「神様は心が広いから、国産のものでなくても構わないでいてくれる」と思う人もいるだろう。現在、「国産の榊をもう一度消費者に届けたい」という生産者の会もある。もし何も表示していないとすると、日本の神様の神棚に、かなり多くの輸入ものの榊が飾られているのは少し問題ではないかと考える。ぜひとも店では、原産地表示をお願いしたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 11:24

2014年7月14日

コーディネートで売れ方が異なります

 東京は、お盆でよく売れている小売店と、売れなかった小売店がはっきりしていた。また、物日というと日頃の評判が物を言うが、商品構成によっても売れたり売れなかったりしていることがはっきりした。今や、仏間のある家は少数である。仏壇を含め、盆用のしつらえをしている所は少なくないが、室内装飾全体はおしゃれな色調になっている。それは、家具や小物がこれだけ売れていることでもよく分かる。そういう中でお盆の花も飾られるわけだが、今までと違うのは、お盆の花も白を求める比率が少なくなっているということだ。それは、品の良さが必要だが、色々な色があってよい。ということであろう。
 もう約20年前だが、日本で初めてインテリアコーディネーターのキャリアを提唱した方から「家は、畳や絨毯からフローリングになってきますから、暖色系の色合いを多くしたらいかがでしょうか」と、今までどちらかというと花の色は黄色やオレンジ、緑は売れにくかったが、その比率を増やしてもらうように産地さんにお願いしたことがある。今は、ウッディ、白、黒、シルバー、アクリルやガラスの透明が主体だから、仏様の花も室内の雰囲気に合わせて、つい2、3年前まで主流だった白のおしゃれから、はやりのブルーやオレンジ、黄色、赤などを使ったものが好まれているようだ。そういう素材を売っている所や、組合せで売っている所は、古典的な、あるいは保守的な今までの仏花もよく売れている。
 今回のお盆で、小売店において、コーディネートによって売れ行きがはっきり違っているのが分かったので報告する。

投稿者 磯村信夫 : 16:24

2014年7月 7日

小売から要望される仲卸業も行う花き市場

 第十次卸売市場整備計画に向けて「卸売市場流通の再構築に関する検討会」が農水省で始まったが、第九次の「拠点市場化方針」について、東京・大阪の市場を除いては国から指定されたとしても、集散機能が高まっておらず、実際には市場間ネットワークが実施されていない事が分かっている。青果と水産について、国は正式に市場を指定したが、それらよりも消費者の買い物頻度が低い切り花や鉢物を取り扱う花き市場では、荷をまとめないと産地は運賃が高くなるし、買参人も品揃えも出来ないことから、切り花のメインは週3回、鉢物のメインは週2回の市となってしまった。そして、人口が多い京浜・中京・関西の中央市場や公設、三セクの市場などが国から指定されなくても拠点市場化する。繰り返すが、いかなる花好きでも家庭需要は一週間に一回である。それに比べて青果の場合、一日3回お腹が空き、計21回、しかも家族の数分だけ必要になる。一週間の需要量は二人世帯が平均値であったとしても、42対1のビジネス規模でありビジネスチャンスである。一週間に一回花店に行った時、花店で品揃えが出来ていて欲しいとお客様は思っている。

 切り花・鉢物ともに消費者の買い物頻度からして、品揃えが小売にとっては欠かせない。しかも、鮮度(花持ち)がレストランの生け込みだろうが、家庭の花であろうが、どうしても一週間もって欲しいと期待されているので、自分の市場で足りないものは当然、大手市場とネットワークを組まないと地方の市場はお客さんのニーズを満たせない。このようにして、花市場は年商30億円以上の市場と、10億円代10億円未満の市場と二極化しているわけだ。第十次の中で花市場の場合、10億円未満の取扱金額の市場と言えど、地域・文化が違い、独特の花の使われ方をしている地域が多いので、花市場は既にその地域で文化を扱う業者として欠かせない存在になっている。その為、地域の花市場は地産地消の仲介を第一に行う。大手市場と良い関係を結び、量や品揃えで足りないものを買ってきて小売店に満足してもらう。地域の特色と拠点的な市場とのネットワークが地域市場のオーソドックスな形である。

 どの市場も絶対欠かせないのが、その地域の買参人から負託を受けていること、良い関係にあることである。そして、地域によって役割が異なるということだ。もちろん産地市場としての卸売市場があって良い。農協や系統組織とは別に、地域農業の中で系統外でチームを組みたいという農業者がいるからだ。系統にしても直売を手伝って欲しいと市場に云っているところもある。このように、多様な、しかも形が違った卸売市場があるということが必要だ。ただし、産地市場以外は、花束加工などは、卸ではなく、他の業者に任せておいた方がよい。成功している卸会社は余程熱心な所だけで例外的な存在だ。理由は、卸はどうしても買う人の気持ちが分かっているとは言えないからだ。

 売るのが大変難しくなっている昨今、小売店はまだラーメン屋のように自ら美味しい店にラーメンを食べに行って、お客さんの立場から自分の店をどのようにしていくのか、もっと食べてもらうにはどうしたらいいのか等の研究が足りない。お花屋さんでライバル店に自分が消費者として花を買いに行ったことがあるだろうか。そんな話は聞いたことがない。まだそこまでいっていないのだろう。仲卸は小売店だった人が多いので、消費者の気持ちが少しは分かっている。卸と仲卸、そして小売は、どうも消費者の立場に立つというところで気持ちの理解度が随分と違うようだ。なので、卸は花束加工をした時に決まりきった仏花以外には、なかなかしっかりとした商品が作れていない場合が多い。こうなると、卸売市場の収入の多角化で、花束加工をするとすれば、その道の人を入れて社員になってもらい、新しく部署を作って行う必要があると思われる。

 多様化の中でも、川下に行って卸売市場を運営すればいいというわけでなないが、卸売市場はますます仲卸の機能を自社内に取り込まないとやっていけないところが多くなっている。それはお花屋さんの仕入れ代行業として、お花屋さんから利益を頂き、それによって、委託販売手数料10%と買付品から得た利益を合算してやっていかないと、取扱量が少なくなっている中では経営が成り立たない。新たな問題、仲卸との競合をどうするか。どのようにすれば仲卸と共働できるか、独自で仲卸業も出来るかがその市場の存亡の鍵となっている。 

投稿者 磯村信夫 : 15:53

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