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2014年7月 7日

小売から要望される仲卸業も行う花き市場

 第十次卸売市場整備計画に向けて「卸売市場流通の再構築に関する検討会」が農水省で始まったが、第九次の「拠点市場化方針」について、東京・大阪の市場を除いては国から指定されたとしても、集散機能が高まっておらず、実際には市場間ネットワークが実施されていない事が分かっている。青果と水産について、国は正式に市場を指定したが、それらよりも消費者の買い物頻度が低い切り花や鉢物を取り扱う花き市場では、荷をまとめないと産地は運賃が高くなるし、買参人も品揃えも出来ないことから、切り花のメインは週3回、鉢物のメインは週2回の市となってしまった。そして、人口が多い京浜・中京・関西の中央市場や公設、三セクの市場などが国から指定されなくても拠点市場化する。繰り返すが、いかなる花好きでも家庭需要は一週間に一回である。それに比べて青果の場合、一日3回お腹が空き、計21回、しかも家族の数分だけ必要になる。一週間の需要量は二人世帯が平均値であったとしても、42対1のビジネス規模でありビジネスチャンスである。一週間に一回花店に行った時、花店で品揃えが出来ていて欲しいとお客様は思っている。

 切り花・鉢物ともに消費者の買い物頻度からして、品揃えが小売にとっては欠かせない。しかも、鮮度(花持ち)がレストランの生け込みだろうが、家庭の花であろうが、どうしても一週間もって欲しいと期待されているので、自分の市場で足りないものは当然、大手市場とネットワークを組まないと地方の市場はお客さんのニーズを満たせない。このようにして、花市場は年商30億円以上の市場と、10億円代10億円未満の市場と二極化しているわけだ。第十次の中で花市場の場合、10億円未満の取扱金額の市場と言えど、地域・文化が違い、独特の花の使われ方をしている地域が多いので、花市場は既にその地域で文化を扱う業者として欠かせない存在になっている。その為、地域の花市場は地産地消の仲介を第一に行う。大手市場と良い関係を結び、量や品揃えで足りないものを買ってきて小売店に満足してもらう。地域の特色と拠点的な市場とのネットワークが地域市場のオーソドックスな形である。

 どの市場も絶対欠かせないのが、その地域の買参人から負託を受けていること、良い関係にあることである。そして、地域によって役割が異なるということだ。もちろん産地市場としての卸売市場があって良い。農協や系統組織とは別に、地域農業の中で系統外でチームを組みたいという農業者がいるからだ。系統にしても直売を手伝って欲しいと市場に云っているところもある。このように、多様な、しかも形が違った卸売市場があるということが必要だ。ただし、産地市場以外は、花束加工などは、卸ではなく、他の業者に任せておいた方がよい。成功している卸会社は余程熱心な所だけで例外的な存在だ。理由は、卸はどうしても買う人の気持ちが分かっているとは言えないからだ。

 売るのが大変難しくなっている昨今、小売店はまだラーメン屋のように自ら美味しい店にラーメンを食べに行って、お客さんの立場から自分の店をどのようにしていくのか、もっと食べてもらうにはどうしたらいいのか等の研究が足りない。お花屋さんでライバル店に自分が消費者として花を買いに行ったことがあるだろうか。そんな話は聞いたことがない。まだそこまでいっていないのだろう。仲卸は小売店だった人が多いので、消費者の気持ちが少しは分かっている。卸と仲卸、そして小売は、どうも消費者の立場に立つというところで気持ちの理解度が随分と違うようだ。なので、卸は花束加工をした時に決まりきった仏花以外には、なかなかしっかりとした商品が作れていない場合が多い。こうなると、卸売市場の収入の多角化で、花束加工をするとすれば、その道の人を入れて社員になってもらい、新しく部署を作って行う必要があると思われる。

 多様化の中でも、川下に行って卸売市場を運営すればいいというわけでなないが、卸売市場はますます仲卸の機能を自社内に取り込まないとやっていけないところが多くなっている。それはお花屋さんの仕入れ代行業として、お花屋さんから利益を頂き、それによって、委託販売手数料10%と買付品から得た利益を合算してやっていかないと、取扱量が少なくなっている中では経営が成り立たない。新たな問題、仲卸との競合をどうするか。どのようにすれば仲卸と共働できるか、独自で仲卸業も出来るかがその市場の存亡の鍵となっている。 

投稿者 磯村信夫 : 2014年7月 7日 15:53

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