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2014年7月21日

一輪菊改善策

 先週、一輪菊の大産地の方々が、相場が安い日が続くので心配になっていらっしゃった。その時、このように現在の状況をお話しした。

 一輪菊が葬儀と仏花に限定されて使われるようになったのは残念なことだ。だから、輪菊でもアナスタシアやピンポン菊など、若い人たちが好む一輪菊を今の一輪菊の作付けの10%位作付けて欲しい。二つ目は、確かに一輪菊の白は、葬儀の祭壇に使われたり籠花に使われたりしている。しかし、一輪菊は大きな祭壇の時には俄然引き立つが、家族葬などの小さな祭壇の時は洋花の方が綺麗なので、今の葬儀の動向からして、白一輪を使う比率が一時の半分以下になった。また、供花・籠花も、いくつも出るということではなくて、喪主や兄弟一同など、二つやせいぜい四つの場合が多いので、この分野でも籠花が少なくなった分、一輪菊が使われなくなった。三つ目に、仏花の需要は決して少なくなっていない。むしろ、亡くなる方が多いわけだから確実に増えている。しかし、露地菊の産地が少なくなって周年作型の産地が菊を供給しているが、ほとんどが白だから、仏花に必要な白・黄色・赤のバランスが崩れてしまって白だけが多くなっている。また、仏花はMSの等級が中心で、2Lのような立派なものはあまり使わない。このように、長さや太さ、色等の需要に対して偏ってしまっているのが問題ではないか。そして四つ目に、今年は物日の時にいつも需要より早く咲いている。この8月のお盆も10日から一週間、一番ぴったりな時期に出荷する産地も3日は早く咲いている。そういう風に、必要とされる前に荷があふれるので、'前進開花に高値なし'の定説の通り、安くなってしまっているわけである。

 家族のイベントの中で、唯一出費が伸びているのは葬儀や仏事なのに白菊が安いのは、こういう理由が背景にある。これを来年は、周年栽培の菊の産地も、かつての菊全体の作付け割合を参考にし、立派なものよりも、よりお手軽なものを。すなわち葬儀関係、一本売りのL、仏花関係のMSなどを中心に作付けてもらえば、必ず生産者は利益がでる。なにわ花いちばさんがいう「アジャストマム」だ。そして、新しい一輪菊のピンポン菊等をたくさん作ってもらえば、菊類全体が活気づく。そう思われるので、菊の産地は、あまり心配しなくても良いと思われる。また、小菊は仏花としての小菊だけでは駄目で、可愛らしい雛菊のイメージの小菊を必ず作付けて欲しい。特に露地の季節は、開花がずれることが多々ある。その時に、仏花用だけでは買い手がつかないことになってしまう。

 最後にもう一つ。小売りの皆さん方は、是非とも榊について原産地表示をしてほしい。中国で束ねられた榊を、何も表示せず売っている店があまりにも多い。人によっては、神棚に捧げるのに、「国産の物でなければ嫌だ」という人もいよう。一方、「神様は心が広いから、国産のものでなくても構わないでいてくれる」と思う人もいるだろう。現在、「国産の榊をもう一度消費者に届けたい」という生産者の会もある。もし何も表示していないとすると、日本の神様の神棚に、かなり多くの輸入ものの榊が飾られているのは少し問題ではないかと考える。ぜひとも店では、原産地表示をお願いしたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 2014年7月21日 11:24

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