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2014年8月11日

2025年の市場像

 7月に入り街角景気は大分持ち直してきたが、花の場合まだ前年に戻ったと言えず、過去5年でも平均値より下の単価水準で推移している。しかし、8月のお盆の需要期を境に回復基調になりつつあり、上半期の締めとして9月の堅調相場を維持したい。

 8月のお盆の需要期を見ても、輸送コストの高止まりや長距離運転手の不足などにより、市場間で荷が随分と偏ってきている。大田花きは東京の大田市場にあり、横浜から成田までの特に湾岸エリアは日本で最も物流施設が並んでいる所だから、帰り荷の心配はない。また、大田の青果市場は世界でも有数の青果市場であり、園芸地帯として青果が盛んな地帯は花の産地であるので、私ども大田市場花き部は実力以上の集荷が出来ていると言えるだろう。これから10年、2025年を考えると日本の人口は減る。日本では、首都圏のようにグローバルビジネスを標榜し、効率を追いかける商売を行うエリアがある。このような所は国内では3割の大都市圏でしかない。7割の地方都市は、もちろん食べていかなければならないので、目的を持った事業体として同じように優勝劣敗の効率を重んじているかというとそうとは限らない。存続することが目的で、何やら地縁、血縁の家族のような、ゲマインシャフト(共同体)の仕事場や仕事上のつながりであることが多い。こういう所には、一年で一回のお祭りのために生きていているといった人もいて文化が伝承される。花市場も、2025年までにこの地産地消、地域の繋がりを中心にした地場の花、地場の消費を介在する市場という形に持っていかなければならない。

 花市場が相手にする消費者の対象は30万~50万の人口になり、スモールシティ構想を元に自治体が合併しながら、その中で花き流通は花市場が核となって働く必要がある。出来ればその時、青果市場と隣接しているか、青果市場と合併して一つの会社になっているか、そんな姿が望ましい。また、こうした公設市場が少なくとも各県に一つ、物流網を考えて少子化の中で機能することが望ましい。大都市圏は、地方で養育してもらい、働ける年代になったら若い働き手を吸収しているので少子化の中でも人口が減らない。すなわち、東京に来て働いてもらっているという実態がある。だからこそ、地元の花市場をサポートする。地元の花市場が中心となり地産地消する中で、地元の産地が早く咲いたりして足りなくなったら大都市圏の市場が足りない分を補う。大都市圏の花市場は、そういった機関に徹することが必要だ。

 花の価格相場をつくる、新しく需要を生み出す新商品の開発、リテイル・サポート。これらを人、モノ、金、情報で効率よく行っていく。ビジネスとしての効率重視のグローバル卸売市場の姿はすでにオランダのフローラホランドにある。国産のみならず、輸出入品を取り扱う業者として、大都市圏の市場は今から機能に磨きをかけていくことだろう。

投稿者 磯村信夫 : 2014年8月11日 14:18

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