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2014年9月 8日

水面下では再編が始まっている

 今日は中秋の名月。天気予報によると、東京では月が見えないようだが、日本各地ではお月見を楽しめるところも多いようだ。花屋さんでピンポン菊とススキのセットを是非とも買ってもらいたいものである。また、明日は重陽の節句だ。今年はお彼岸の小菊や菊、リンドウ等も前進開花しており、早めに量がまとまってきた。しかし、年末の出荷物まで、天候不順で不作気味であるのはお分かりの通り。7、8月と、個人消費が振るわなかったのも、増税が一因として挙げられるが、やはり異常気象の影響も大きいだろう。消費地だけでなく、産地ももろに影響を受けているので、小売店の皆様は消費者に上手く説明をしながら販売をして頂きたい。

 さて、2015年から横浜市中央卸売市場南部市場は、横浜駅そばの本場に事業を集約し、市場関連用地となる。ただし、花き市場は横浜市唯一の中央卸売市場であったので、地方卸売市場として残すことが決まっている。主として青果流通を扱う農経新聞によると、産地が出荷する市場を絞り込む時、中央市場から地方市場になった市場には出荷を控える傾向があるとしている。そうあってはならないと、秋田市の中央市場花き部は、青果部が取引の自由を求めて地方卸売市場になったのに対して、中央市場のままで実績を残している。しかし、横浜では当初の取扱計画を大幅に下回ってしまい、農水省の指導により、このまま市場を続けるのであれば、市ではなく県が認可する地方卸売市場に、ということになった。地方の市場の場合、その役割を果たせるのは地産地消型の地元市場で対象人口が30万~50万人の市場である。そして、やっかいなことに卸が仲卸業務も行うので、既にある仲卸と共存できればいいが、現実には競争する。それより大きい道州制の中心にある地域拠点市場は、公設や第三セクターの地方卸売市場であることが多いが、この規模の場合、仲卸と協業する。

 東京の中央卸売市場五つの花き部は、いずれも県境にあり、一都六県を広域首都圏と考えた時、東西南北に延びる交通の要所にあり、東京以外の県の花き市場にここ20年、甚大な影響を及ぼしてきた。道路網が発達した上に、運賃高、そして今後とも続くと思われる運転手不足。また、トラックの平均積載稼働率は往復の2WAYで38%弱という事実を考えても、帰り荷がとれ、交通に便利で、量を多く取り扱い、そして顧客が多く相場が安定する市場に、産地は出荷してくる。横浜は、大阪市よりも人口が多く、国内第二位の"市"であるにも関わらず、花市場の場合、海側が大田市場、東名側は世田谷・砧市場、そして、川崎北部市場があり、もはや、中核市場としてはやっていけない所まで追い込まれた。これを、どう地産地消型の地元市場として、産地と買参人に喜んでもらえる市場にしていくのか。もうあと半年。南部市場の花き業者の英知が求められている所である。

 人口が減少し、市場再編が余儀なくされる花き市場は多い。可能な限り、産地も買参も共通する青果市場に隣接し合併をしながら、規模を拡大し、人材を揃え、人件費も含めランニングコストを削減し、地域の為、消費者の為、地元の生産者の為に、今まで以上に役立つ市場になってもらいたい。それを決断するのは、本年度と来年度であるように思われる。

投稿者 磯村信夫 : 2014年9月 8日 12:04

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