大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 水面下では再編が始まっている | トップ | 生産減と運賃高で側道の流通 »

2014年9月15日

経営者不足と経営理念

 13日の土曜日、イオンモール幕張新都心にて、日本花き卸売市場協会 青年部会が、東北花き産地復興支援のイベントとして模擬ゼリを行った。セリは参加型の双方向コミュニケーションであるから、会場に立ち寄られた方々も目的外で参加し、花を買って頂いた。市場の大切さを知ってもらおうと、市場協会の青年部会が積極的に模擬ゼリでジョイントさせてもらっているが、いつも人気で市場という所はわくわくする所という印象を、今回も与えることが出来たと思う。

 花のイベントを積極的に行おうと花き業界が考えているのは、プロモーション活動をしなければ花の消費が下がってしまう、という危機感からである。花き振興法が国会で可決され、花き業界が元気を取り戻そうとしているが、生産者と花き専門店の高齢化、生産資材や油代の高騰、運送費の値上がりやトラック運転手の不足、さらには消費地における流通業者の人手不足等、目の前には困ったことだらけだ。そして、一番困っているのは、需給とも変動期にある花き業界の中での経営者不足だろう。「経営者」と名のつく人は、リーダーと代表者、そして設計者の、三つの役割を果たさなければならない。また、経営とは「人にしてもらう」ことであるので、取引先を含めた「巻き込む力」が必要である。20世紀の間はずっと良かったので何も変える必要がなかったが、21世紀に入って徐々に悪くなり、変えるきっかけを失ってしまった。従って、次世代の経営者を育てる環境に花き業界がなかったと言ってよい。このような状況の中で、入社10年以降の社員で、高い志を持ち、大きな仕事を任されて結果を出し、人間的にも磨かれた人は、どの業界にもそうはいないが、花き業界には、花を扱うゆえに大きな野望もあるわけではなく、「あの人についていきたい」という、経営者として出来る人を見つけるのが難しくなった。しかし、創業者が多い仲卸の中には、魅力的な経営人がいる。しかし、全体を見てみると決して経営者の人数は多くない。

 産地が市場集約し、卸売市場の役割が地政学的な条件により何通りかに分かれ、家庭消費は量販店の花となっていく中で、花き業界の生産から小売りまでの各社は、何を目指して仕事をしていくのか。このことが今、求められている。解は、社会は広いからたくさんある。ただ一途に、その会社がそこへ向かって努力を積み重ねることが出来るのか、である。結局、その花会社の経営理念を心底信じ、社員に理念実現の為、日々仕事をしてもらうことが重要だ。そのためには経営理念を作り、それを唱えて仕事をしていくことを進めたい。変動期には、都合不都合で言えば、不都合なことが多くある時だからである。以上のことは、年下だが師であるBE WEフラワー'Sの佐藤社長から教わったことである。

投稿者 磯村信夫 : 2014年9月15日 11:57

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.