大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 消費税10%時に軽減税率適用を | トップ | 失望させないプロの目 »

2014年10月 6日

花の輸出

 近頃農産物輸出の話が多くなってきた。花の場合、私自身が覚えているのは、鉄砲百合などの球根の輸出で有名な横浜の新井清太郎商店殿が、大森園芸でセリ買いし、香港を中心に長い間輸出をしていた。日中国交が図られ、台湾との正式な国交はなくなってしまったので、国際線が成田に移った後も、中華航空は羽田から出ていた。私の母は台湾からの引き揚げ者なので、台湾の方達と心情的にもかなり近い。そんな関係から、台湾の生産者は父を頼って輸出の話を持ってきていたし、大森で開校されたマミフラワーデザインスクールに勉強に来た台湾女性の方々は、仲卸から荷を買って手荷物で台湾に持ち込む方が数人いた。また、クリスマスの時期になると、羽田の側の花屋さんが、セリ買いしたクリスマスツリーを日本からアジアや中東に輸出していた。米軍のベースに送るのだという。そして、もう四半世紀前頃だが、岩手県は長野県を抜いてリンドウの切花日本一になった。しかし、8月のお盆が終わった20日頃に、当時の品種はピークがきてしまって、タダ同然となる年が続いた。岩手県でも№1の産地・安代は輸出を計画し、伝手を使ってアルスメール花市場に輸出した。オランダでは、「リンドウといえば岩手県安代のリンドウ」と言われるような一流の銘柄になった。そして20世紀後半、中国のお正月に向けて、シンビジュームの鉢物が旧正月の前の贈答用に使われるようになった。日本のシンビジュームの種苗会社が、直接中国で生産を始めるようになる前の話である。2010年までは、船便でコンテナを利用し、いくつもの花市場が要請を受けてシンビジュームの鉢物を輸出した。そして、2010年以降、魚貝類、果菜類、軟弱野菜、そして花を輸出しようとする機運が盛り上がってきた。花の場合は、日本の生産技術の高さが売り物だ。代表的なものとして、グロリオサとスイトピーがある。両方ともツル性のもので、ステムの長さをとるためには、しっかりした固い茎を作る等、高い技術と手間暇がかかる。後から続くラナンキュラスやダリアなど、いずれも海外にもあるので、こちらは生産者の技術に加え、世にないものを生み出す育種の力がある。今後とも、冬場を中心に切花の輸出は増大していくだろう。

 大田花きの場合、輸出は仲卸の仕事と位置づけ、輸入国の仲卸と大田市場の仲卸が連絡を取り合い、理想的には週2、3回、コンスタントに先方が捌けるだけの量を送っていく。そして、いつも日本の花があることによって、安心して使ってもらえるようにする。価格の問題もあるが、化粧品の資生堂が活躍しているエリア、ミキモトが活躍しているエリアには、きちんと取り組めば、日本の花のマーケットは確実にあると思われる。現地の優秀な仲卸と大田市場の仲卸をどう良い関係になってもらうか。そこが鍵である。日本中の飛行場の側の卸売市場は、場内、場外の仲卸と組んで、ぜひとも輸出を試みてほしい。これにより、病虫害などの駆除の問題で、国内の生産レベルは必ず上がり、その国の催事や価値観が微妙に違っていることで、一国一文明の日本が多様な価値観を持つ国々を勉強し、認めることに繋がっていく。ビジネスとして成り立たせる為にはやはり経験を積まなければならないが、花き市場として是非とも取り組んでいきたいのが、切花の輸出である。取引のある輸入商の方と取り組むという手もある。

投稿者 磯村信夫 : 2014年10月 6日 13:09

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.