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2014年10月13日

失望させないプロの目

 今年の6月末、花き振興法が国会を通ったが、花き振興法の前に民主党政権時代、お茶の振興法が制定され、ペットボトルのお茶にも抹茶が入ったり、日本各地のお茶の産地では地元の銘柄で打って出たりと、お茶の産業が消費者の心を捉えて事業が拡大していることがわかる。

 ヨーロッパでは、フランスから広まってきた日本茶のブームが、お茶や抹茶のお菓子だけでなく、日本と同様、ほうじ茶にも及んできた。ほうじ茶を飲みながら、ほうじ茶のエキスが入ったケーキを食べるなど、健康も兼ねたおいしいお茶の楽しみ方など新しい提案がどんどん出てきている。天ぷら屋でも塩だけでなく、店独自で作った抹茶を混ぜた塩を出す所が増えてきている。

 花き業界は、お茶に関わる加工食品飲食産業と異なり、業界に大手がいるわけではないので、方向性を決め、引っ張っていく力に欠けるきらいがある。一丸とならなければならないので、全国花き振興協議会や花の国日本が中心になり、仕掛けを行っていく必要がある。農林水産省花き室や都道府県にも是非ご指導いただきたいところだ。

 さて、第十次卸売市場整備計画の議論を農水省で行っているが、委員の中から、「目利き」の話が出た。確かに花き業界でも目利きは少なくなっている。

 卸売市場でも、セリ前取引の割合が高くなりつつあり、情報取引で、現物を見ないで取引する。目利きからすると恐ろしいことだが、慣れてしまうと何でもなくなる。こうして、品物の見立てが出来ない卸の社員が増えていく。先日、社内で名古屋・松原地区の卸・仲卸さんの目利き度について、何故あんなに商品知識が優れているのかと話題になった。結局、激しい競争の中で、知識と感性が磨かれていったので、あれだけ素晴らしい人々が育っていったのであろう。現在では、箱でそのまま買う人だけでなく、束で品揃えをする人達も出てきたから、特に仲卸は目利き度が上がっている。この教育をどのように行っていくかだが、やはり、生産地と小売店での研修、そして、卸・仲卸とも、市場で出来るだけ現物を触り、価格をチェックする。これしかないのだろう。目利きとは外観だけでなく、中身の品質と生産者の根性を見極める目を持つことだ。

 花き業界も、生産から小売りまで、同業者間だけで競争しているのではない。サプライチェーンというシステムのセットになっていて、チームを組んで競争しているのだ。そうなると、物流の合理性と、素材の目利き、そして、料理されたアレンジやブーケでの目利き、これらの商品の目利きも含め、花以外の商品とも競争し合っている。お金で評価される価値に対して、我々は目利きになって、消費者をリードしていかなければならない。現在の所、花き業界では名古屋が東西から攻め込まれているが、このプロの目は「さすが名古屋」であり、大したものである。名古屋を手本に。花き業界は、目利きを育てていかなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 2014年10月13日 10:40

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