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2015年1月19日

花の生産、まだ増えない

 加工食品メーカーに勤めている方にお聞きしたのだが、大手外食チェーンの鶏肉消費期限切れ問題から、「うちみたいに万全の態勢で生産・出荷している業者まで、多数の取引先から『中国工場のものはやめて欲しい』と言われ、中国と全く同じような工場をベトナムで立ち上げる算段をしている」と彼は言っていた。大手衣料品メーカーの品質を見ると、素晴らしい品質で、中国の方々の仕事に対する姿勢が伝わってくるが、食品については悪いイメージになってしまった。同じ大手外食業者からいくつもの商品の不具合が出てくると、今度は料理されたものの素材が、どこの産地のもので、どこで料理され、製品化されたものであるのかと、安心して食べたい消費者の希望は国内産の農産物に関心が来ている。大手外食チェーンでは、"当店の野菜は国内産です。"と宣伝文句にしている所もあるし、さらに、"自社農場です"ということを売物にしている業者も出てきた。

 国産野菜の卸売市場経由率は、農水省の発表によれば約9割とのことだ。とある仲卸さんに話を伺ったところ、「伝票だけは通っているものを入れたら8割近くあるかもしれないが、9割はどうですかね。」ということだった。しかし、日本列島は縦長で、桜前線、紅葉前線が春、秋にこれだけ足早に移動する立地条件だから、天候によって大きく影響を受ける農産物は、特定の地域と契約していたのでは、質、量とも計画通りには確保出来ない。卸売市場は契約取引の仲介を今後とも本格化させるだろう。

 今は野菜から食べ、メインディッシュ、そしてごはんという様に、炭水化物を最後にする食べ方が定着してきたので、去年は新米価格も戦後初めて下がった。このような潮流の中で、野菜は必要不可欠になったので、花から野菜生産へ変わった人もいるし、併用して野菜と花を作っている人も、野菜のウェイトが高くなった。そして2014年、そろそろ野菜の需給バランスが取れて余りだした。2015年、私は花が足りなくなっているので、その単価が上がるとみていた。そして、単価が上がるので、2015年後半ないし16年には花の生産がまた増えていくと想定していた。しかし、お総菜や外食まで国産野菜が優位になってくると、花の生産は増えないことを前提に花き流通をしなければならない。今年はどうすれば予算内で美しい花束、装飾を作ってもらえるか。また、花のある生活を消費者に楽しんでもらえるか。今しばし、業者の知恵の出しどころが重要な時となってきた。

投稿者 磯村信夫 : 2015年1月19日 15:41

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