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2015年2月 2日

四十年問題が顕在化

 一月の営業成果はどうだったであろうか。秋口からの天候に併せ、ここまで油の価格が下がるとは思っていなかったから、前年の収益から作付減となり、都合1割近く出荷量が少なくなった。お葬式で使われる白菊を中心に菊類は高値が続いたが、卸売市場によっては前年の売上に届かなかった所、また、届いたとしても少し増えた程度の所等、葬儀場以外に消費が活発にならなかったので、総合すると去年よりも消費のパイが縮んだのではないかと心配する。まだまだ寒い日が続くが、一月末からの愛妻の日や節分、フラワーバレンタインやアジア諸国の旧正月への輸出、そして雛祭り等、需要が本格化してくる。まず小売の取扱金額規模を前年よりも上回るように、花き業界を挙げてプロモーションを援護して行きたい。

 一月になって、いわゆる「四十年問題」の話が地元市場で持ち上がっており、相談が寄せられている。花き市場が公設市場に入場したのは青果より後だが、それを考慮しても二十年は経っている。青果は四十年問題で建物の老朽化による建て替え時期にきており、営業しながら立て替えるのか、それとも移転するのか意見が分かれるところだ。営業成績が良いなら話は別だが、多くの市場が業績悪化とともに家賃の減額措置や、場合によっては家賃を支払っていない所もある。関東の一部では、「メンテナンスは卸売会社がやってください。その代り、向こう五年間は無料で使用してもらって結構です。」というような公設市場がいくつか出てきている。そこに入っている花市場も、どうしたものかと相談にいらっしゃった。消費対象の人口はどのくらいですか。今いる市場は、昔開発したわけですから、今では町の中心部になっていますか。新しいところに建てる場合、青果と花は同じ場所で営業できますか。こういったいくつかの質問をさせて頂き、日本花き卸売市場協会会長として、第10次卸売市場整備計画の話し合いで小生がお話しした内容をお伝えして、参考にしてもらっている。

 ただ一つ、当事者でないとどうしようもないのは、社風や人材の問題である。それは、自社の花き市場にしても、お隣さんになる青果市場にしても、専門店はもとより量販店や加工業者と取引し、今後とも地域の消費者の為に役立てるだけの資質があるのか、仲卸制度があるなら仲卸と敵対していないか、という点である。花はそうでもないが、野菜では、産地はより安定価格を求めるので、四割近くは契約取引、それ以外は産地も買い手も納得する価格で販売するのが卸と仲卸の役目だ。その為、あらゆる知識や情報をその市場の販売担当者は持とうと努力しているか、持って仕事をしているのかに、産地との取引の有無がかかっている。卸売市場は地の利と人がモノをいう。それは、花や生鮮食料品は生ものだからだ。時期や生産者、品種や天候により、同じ商品などない。これを一定の規格をつくり、枠内に収める。絶えず代替品を、代替産地を用意しなければならない。管理が難しく品質数量が安定しないから、卸売市場が流通の本流なのだ。卸売市場があるから市場外流通が出来る。

 今、四十年問題による建て替えコストや移転コスト、自治体の財政問題。また、マスメディアなどから流れる卸売市場無用論。合併ではなく、卸売市場そのものが三十万都市にすら無くなる可能性がある。卸売市場経営に見通しが立たないとする、自信のない経営者が少なからず居る。今後とも、どのように数の集約を図っていくか。そして、早急に国や県レベルで卸売市場のあり方を、また、どういう卸売市場を作っていくかを検討しなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 2015年2月 2日 16:54

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