大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

« 四十年問題が顕在化 | トップ | フラワーバレンタイン定着の兆し »

2015年2月 9日

だからやっぱり、基本は六十歳代以上

 先週の土日、日本各地でフラワーバレンタインの催しが執り行われた。その中には、愛知県知事自らが先頭に立ち、六本木でフラワーウォークをした愛知県のキャンペーンがある。大村知事をはじめ、男性諸君が格好良かった。今まで様々な業界がチョコレートのバレンタインデーに挑んだが、失敗を重ねてきた。しかし、バレンタインデーの花は確実に拡大しそうな予感がする。男性から女性に花を贈るフラワーバレンタインデーと、3月8日の国際婦人デーは、男性のお客さんをターゲットとして世界の花き業界の稼ぎ時となっている。フラワーバレンタインに時代のうねりを感じた。

 さて、フランスの経済学者・ピケティ氏が先週来日し、700ページ以上からなる「21世紀の資本」がベストセラーになっている。また、国会答弁でも、安倍総理は「トリクルダウン(まず裕福な人々から、そして、徐々に富が裕福でない人に浸透し、全体が豊かになっていくという富の流れ)」という言葉を使っているが、世界200ヶ国のうち、相続税がある国は一割にも満たない。日本では相続税率が高いこともあるが、それでも資産家は労働による対価で得る富よりも、資産運用による富でますます豊かになって、それが格差となって表れているのも事実である。しかし、日本はオートクチュールのお客さんである人は誰もいないし、一着一千万円以上する服を身につける人がいるとも(すなわち、しょっちゅう世界の社交界に出席する人がいるとも)聞いていない。従って、日本では富の格差は確かに深刻だが、これも英連邦の国々に比べてみたら、資産による格差は少ないのではないか。

 「21世紀の資本」でそのような富の流れが語られているが、ピケティ氏が提唱する格差是正政策を先進諸国が取るようになるまで、時間がかかる可能性がある。先進国ですら、若年層で学校に行けなかったり、職につけなかったり、憤懣やるかたない30歳代以下の人達が非常に多い。ISILが、その不満の若者の受け皿になっているという事実を各国政府はよく分かっており、それゆえ、ピケティ氏の提案を真摯に受けとめているわけだが、それで格差是正の速度が確実に早まるとは思えない。となると、豊富な年輩者について日本の花き業界は、所得とライフスタイルで何通りかにパターン化し、彼ら、彼女たちにどのようにもっと花を使ってもらうかをさらに深堀する必要がある。さらに、この年代の人達は、友達三世代のおじいちゃん、おばあちゃんであるから、子供夫婦、また、孫への資金供給源となっている。二世代、三世代住宅が無理でも、子供たちの住まいへの関心、ライフスタイルの指導やお世話は、もう既に住まい、家具、洋服、政府の教育に関する税制措置まで行き届いてきたので、花も当然、その中に入ってきた。

 週末になると、お母さんと娘さんの二人で買い物をする姿をよく見かける。そこに花も入れてもらう。また、仏様の花ではない年配者の花、また、団塊ジュニアへの花を、もう一度、我々プロがお教えする時代になっている。「あなたの欲しい花はこれでしょ。」との作品作りだ。具体的にはそれぞれの現場で行うこととして、今日は考え方をお伝えするにとどめておく。

投稿者 磯村信夫 : 2015年2月 9日 16:09

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.