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2015年4月20日

今までの習慣を断ち切る

 自宅の近所に新しいマンションが建った。"グリーンベルトに面した全館南向き"という売り出しが当たったのであろう、さっそく完売になっていた。バイオフィリアは住むときに当然に必要とするもので、広く自然に接することが出来るというのは売りの一つだろう。自然にも新陳代謝があるから、排泄物がゴミになる。今、壁面緑化や室内の観葉植物等が見直されているが、よく見るとフェイクが混じっていることが分かる。テレビのニュースやバラエティーショーでも、フェイクの中に生きているものがある。生き物が面倒なのは分かるが、人はコミュニケーションの中で自分があるのであるから、面倒がらずに、本当に生きているものを使用して欲しい。

 さて、株価が二万円を超えるまでになり、経済問題を語ることが多くなってきた。業種によって、また、会社の規模によって、ベースアップも行われている。しかし、一般論として、団塊世代が六十五歳以上になり、嘱託で働いているとしてもお給料は下がっているのだから、上がる人もいれば、下がっている人もいる。トータルからすると、可処分所得が減ったところがあるのも事実だ。しかし、気持ちは確実に前向きになってきている。

 遡りますが、花の場合、業務需要では、少子化で先に結婚の組数が少なくなった結果、二十世紀に入り葬儀需要の比率が大きくなった。しかし、ここ二、三年で、五人、六人兄弟等の戦前の人達はお亡くなりになっており、戦中の二、三人兄弟、戦後の長男、長女の子供は二人の人達が、今後の葬儀需要の中心となる。従って、葬儀の件数そのものが少なくなってくるので、葬儀の花を手掛けているお花屋さんたちも、さらに整理と統合が必要になる。これは当然、お彼岸やお盆の時の仏花束の需要数、一日、十五日のお供え花の需要数にも変化が見られ、一昨年辺りから誰の目にも仏花需要が少なくなったと理解されたのである。一輪菊を中心にした相場は、路地菊の産地が高齢化の為少なくなり供給減。周年作型の菊の産地は、利益は少なくなったが、まだまだ頑張ってくれているので、需給は縮小しながらもバランスは基調としてとれている。市況は季節や生産コストによって量の増減があり、ある時期は余り、ある時期は足りないということが起きている。ただ一つ言えることは、戦前の五人、六人兄弟等の人たちはもう残り少ない。これからは、多くて三人、そして二人兄弟、一人っ子世代の葬儀需要の花を賄うだけで足りる、と言うことである。

 切り花においても、鉢物においても、家庭需要やオフィス需要、公共の場所での植栽など、新しい需要を定着させていく。そうしないと、十パーセント近くの生産・出荷が減ってもおかしくない現況に、花き業界があることを再認識してほしい。明日は昨日の続きだが、その明日はみじめな明日が待っているだけだ。さあ、努力して、過去を断ち切っていこう。

投稿者 磯村信夫 : 2015年4月20日 16:45

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