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2015年10月12日

花き産業でも関係の深い中国と韓国ですが、、

 中国が南京大虐殺文書を記憶遺産に申請し、ユネスコがこれを登録したことが報じられた。日本で問題視されているが、アメリカにおいてだけでなく、中国・韓国による国際機関を使った新たな日本との歴史戦が始まっているようだ。花き産業人としても、自国の利益を守る為、歴史戦において間違ったことがおきぬよう注意すると共に、もし起きたら、それなりの措置をもって臨むことが必要だ。

 冒頭から私の意見を申し述べたが、私は大学の時、成城学園の友人とソウルまでドライブに行ったことがある。その年、下関から釜山までの国際フェリーが開通、また、釜山からソウルまでの高速道路が開通した。韓国とはもう45年の付き合いで、毎年少なくとも一回以上は韓国に行っている。ドライブに行った時には、人前で日本語を使うと身の危険があるので、日本人同士でも英語で会話をした。また、中国については、大学生になる前から興味があり、文化大革命の最中であったが、日中学生友好会の会員であれば中国渡航も可能であると聞いて、それまで中国は芸術一辺倒で偏愛していたが、中国へ行くためには政治的な団体にも入る必要があると考え加入した。すでにその時、中国はソ連と敵対し世界で孤立していた。確か当時のアルバニアだけが地球上で唯一の友好国であったと記憶している。中国へはその後何度か旅行し、大都市は大体行ったことがある。

 特に二十一世紀となってから、中国も、そして、通貨危機を脱した韓国も経済的に浮上してきて、中国では昆明国際花市場の立ち上げ、韓国ではソウル花市場のシステム変更等、市場のオペレーションにつき、会社として指導的立場でお手伝いするようになった。また、両国とも新しく花の産地が出来て、日本に輸出したい意向が強くあったので、政府や州政府と日本の輸入商社の中継ぎをさせて頂いた。更にここ十年、今度は輸出の話となってきた。日本は失われた二十年でGDPが二十年前と殆ど変らない。一方、韓国や中国は毎年のGDPの伸び率が5~10%とグングン成長している。両国とも儒教国家として、国内的には問題になっているものの、貧富の差を日本のように問題視する国ではない。金持ちは勝者で、べらぼうな金を持っている。両国を見ていると、中国では江沢民政権の時から、韓国ではノ・テウ、キム・デジュン政権の時から、私が大学生の時の反日感情が非常に強かった時と同じようなアゲインストの風を感じ始めた。そして、パク・クネ政権と習近平政権になって、何かあると一方的な歴史問題を叫ばれることが大変多くなってきて旅行しづらくなってきた。それは明らかに、中国で言えば1990年代から反日愛国主義教育を徹底的に実施しているせいで、韓国ではノ・テウ政権の時、事後立法で特別法を作り、国交回復時の約束を破って(自分の都合の良い時と言ってもよいだろうが)法律をつくりかえた為であったと思う。

 釜山やソウルで大田市場の仲卸さんが、韓国の問屋・仲卸さんに花を販売しているが、スムーズに出来ている時は問題がないが、何かちょっとトラブルがあるとこじれる。感情的になり、勝ち負けしかなくなる。何故イーブンな関係になれないのか。日本では今、インバウンドで、韓国も中国もたくさんの旅行客が来ているが、向こうで販売するとなると、友好関係をどう作っていくのかの前に、もう一度、お互いを認めあうだけの国際的なルールにのっとった互恵関係を作る必要がある。その為には、繰り返しになるが、事後立法の禁止、歴史の実証主義、そして、教科書教育に自国の都合ではなくこの二つのことを反映させて教育をしていく必要がある。両国に行き商売の話になると、ご年配の人達とは普通に話が出来るが、反日教育を受けた若い人達と意見が合わないのは、違いをお互いに認めようとしない為である。

 花商売の場合、日本と中国、韓国では色の好みも異なるし物日も違う。従って、輸出入の関係では良い花の取引が出来そうなのだが、そのベースにある国民同士が互いに違いを認め合うことが出来ていないと、お互いに市場開拓どころではないというのが現在のところである。

 今まで中国から、韓国からの花の輸入は盛んに行われていたし、今後とも日本としても中国の花、韓国の花は必要だ。しかし、輸出となると両国とも障害がある。原発問題だけでなく、民族問題がここのところ出てきてしまったことが、コトを感情的にしている。

 これまで商売しながら花から教えてもらったこと、それは、花は場や繋がりに欠かせないものであるということ。長年、韓国、中国と一民間人として付き合ってきた小生としては、花の輸出入を通じてお互いに素晴らしい関係を構築したいと考えている。しかし、民族的な問題があるのは事実だ。当面この認識をふまえて仕事をし、互いに花き業者として両国間の良い関係を構築していく先頭に立っていきたいと考えている。

投稿者 磯村信夫 : 2015年10月12日 17:01

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