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2015年11月 9日

店員にその気にさせる突然の祭りとフェア

 8日の日曜日の雨は非常に残念だった。大安だからと一週間早く七五三をした家族もいるだろうし、私の場合だと、「大田臨海部まちづくり協議会」で、東京オリンピックに向けて、大田市場前に水上タクシーの船着き場を作ったり、場外店や水辺レストラン等を作る為のイベントを日曜日に計画していた。しかし、朝からの雨で9時に集まった朝礼は解散式となってしまった。こんな風に、昨日の雨に泣いた人が日本中でいたのではないだろうか。本日は暖かい。鍋物や漬物にしないので、近所では四つ切100円の白菜が売れ残っていた。ここのところの暖かさから花も誤算で、ストックやスナップ等、冬の商品が安値に泣いている。品物は良いのだから、こんな時にこそ小売店に頑張ってもらいたい。

 この頃の小売店の実態はこうだ。1990年代は、安売りと言われようが、何と言っても量を売る花屋さんがいた。負けじとばかりにホームセンターでも量を売った。それが、21世紀になって、特にリーマンショック以降生産が減って、品揃え重視、量よりも質と言いながら、ロスを出さない少量の販売になってきた。何店舗も抱えている店では、店の販売責任者が仕入れ担当の人に発注する。従って、仕入れ人は受注したものしか買わないから、天気の具合で量的に出回る品物が極端に安くなってしまった。それでは困るので、卸はセリ前取引をしようとする。量を販売しようという意欲のある花店が本当に少なくなっている。要するに、「素敵な花屋さん」で、固定客に合わせる花屋さんが圧倒的に多くなってきてしまった。

 こうして、青果も魚も花も縮小均衡してきたわけだが、今注目されてきている花屋さんや魚屋さん、八百屋さん、あるいは、それらの生鮮品の売り場は、仕入れ人が各店舗の品揃えから販売総額まで考慮し仕入れた商品を、販売の責任者が何としても売らなければならないと創意工夫して売り切ってしまう、こういった店だ。消費者から"面白い店"、"楽しい店"、"覗いてみたい店"と言われている店である。量を売る店が無くなって、素敵だが、いつもお行儀良く販売するような店ばかりになった昨今、お客さんの主体が団塊ジュニアの世代になって、なおさら、荷は偏るが、どかーんと、それで勝負するような地元密着の店が人気になってきているのだ。

 具体的に言うと、本日9日の月曜日は暖かい。例年の気温に戻るとしても水曜日以降だ。花の場合、切花は2日ですっかり売ってしまう。鉢物なら3日~5日で売ってしまうのが理想だ。こんなに品目と品種が多い花を扱っているのだから、この位で売り切る気持ちがないと、次々と違った種類の花を売れないし、お客さんに持ちの良いモノを楽しんでもらえない。例えば、ストックだったら、店の販売担当は、この陽気でストックは売りたくない。12月から本格的に売っていきたい。こう思うだろう。これを、品質の良いモノが多くて安いから、仕入れ担当は大量に買う。それを売り切る為、お祝いカゴの注文が来たら急遽一足早いストックを入れる。葬儀の注文でも花祭壇にストック入れる。七五三の花にも、何でもストックを使用していく。ちょうど、魚のブリを沢山売らなくてはならないとなった時、刺身や照り焼きだけではなく、しゃぶしゃぶやブリ大根等、なんでもかんでもブリを使うのと同じように。さらに、店は突如ストック祭りやブリフェアなど、なんでもいいからイベントにして売り切ってしまう。こういう気概が、生鮮食料品花き産業の人たちには必要だ。天候により採れすぎたストックやブリ、白菜は必要量以外は捨ててしまう。などと言ったら、ストックやブリや白菜に申し訳ない。消費者に飾ってもらい、食べてもらう。その為に全力を尽くす。こういったことが必要だ。そして、PDCAサイクル※が必要なのは言うまでもない。しかし、売るに天候、作るに天候の生鮮食料品花き産業は、消費者が欲しない時でも欲するようにさせて売り切ることが必要なのだ。

 今、"売り切る"人たちが、そういう店が消費者にウケている。しかし、この「利益は薄いが量を売る」という人があまりにも少ない。是非とも、今申し上げた時代になっていることを、生鮮食料品花き業者は肝に銘じてほしい。そして、計画していない、急な○○祭り、○○フェア等、突如行う祭りやフェアであれば、社員も「売るしかない」とやる気になって、一生懸命売るだろう。こうしてもらいたいのである。


※PDCAサイクル:
  Plan(計画)・Do(実施、実行)、Check(点検、評価)、Act(処置・改善)を行い、業務改善を図る手法

投稿者 磯村信夫 : 2015年11月 9日 15:43

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