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2015年12月28日

希望します。カッコいい八百屋さんみたいな花屋さん

 2015年は、量販店の花売り場が生活者に認知されたこと、駅ナカ・駅周辺やショッピングモールの花き専門店がますます生活者に当てにされるようになったこと、また、葬儀が小さくなり、それに合わせて花の消費量も少なくなったことが、花き業界のエポックとなった。来年の目標として、量販店の花売り場の更なる充実、葬儀の花を扱う業者の吸収合併による大規模化が挙げられる。そして、今後とも天候不順で出荷の波が大きく振れることから、安かったらいくらでも販売しようとする、意欲のある値付けの上手い専門チェーン店の存在が、花き業界の消費のパイを大きくすると予想される。

 指摘していることから分かる通り、情報収集、商品化を企画立案し、値付けをして販売するというスーパーやチェーン店の売り方は商売の基本だが、天候の振れ幅が大きい昨今、生鮮食料品花きの販売には不都合が起こる。アドリブが効かないので卸売価格だけが暴落し、小売価格が一定、販売量は予定通りということになってしまうのだ。豊作で価格が安いなら、量を小売店に売ってもらい、消費者に沢山買ってもらえば良い。食品の場合、少子高齢化で胃袋が小さくなったことで、一人、二人世帯では消費量が少なくなり、また、加工品の比率が多くなってもやむを得ない。一方、花は、切花も鉢物も苗物も、セット販売で今まで以上の量を売ることが出来るはずだ。また、荷が少なくて高い時もあるから、生活者の値頃感に合った値付けを行う技量のある花店が必要だ。魚や青果ではそういった会社が活躍している。

 素敵な花屋さんは花き業界にはいるが、八百屋さんや魚屋さんを多店舗展開する会社のように、質と値段にこだわり、量を売っていこうとする会社がもっともっと活躍してもらわなければ、花が家庭に入っていかない。切花を全部で3本入れるところを、計画とは違うが値段が安いので倍入れてしまおう等、切花も鉢物も二日で全て売り切る意気込みのある花屋さんの活躍が、現在の花き業界に望まれているのである。そんな会社が来年のスターになるだろう。

投稿者 磯村信夫 : 12:02

2015年12月21日

花き業界、金額ベースで下げ止まる。来年から反転の年に

 今年の12月は暖冬の為、需給のミスマッチが起こり、生産者も小売店も苦しい展開が続いている。昨年は通常の天候で陽気が引き締まっていたので、日々の出荷量や販売額は今年の1,3~1,4倍の金額で推移していた。生産者も、卸・仲卸も去年の金額を見て青くなっている12月の展開だが、特に小売店は、花き業界の最終ランナーとして直接生活者と接しており、悪戦苦闘の日々が続いている。まして今年は、松や千両が不作で割高だったので、小売店の苦労は大変なものだ。こういう時こそ、作柄、出荷状況を正確に小売店に繋ぐ等、流通業者の小売店への応援体制を強くしていきたいところである。

 一年間を振り返ってみると、天候に振り回されてきた感があるが、総じて需要はしっかりしていた。また、人手不足や高齢化、そして、円安により国内外の生産供給が不足した分、相場は安定して、暦年ベースで前年を2~4%上回る状況で推移してきた。

 切花は、花束や装飾の素材として流通する。小売店は素材としての花を使って花束やアレンジを作成し、お客様に自分の花が気に入って貰えたか、反応を瞬時に読み取ることが出来る。一方、鉢物は完成品が流通している。生活者と生産者に距離がある為、流通しているものが生活者に好まれるものばかりとは言えない。どこにでもある完成品の花鉢を販売する小売店は、値付けを上手にしないと売れ残ってしまう。従って、2015年、切花は堅調、鉢物類は軟調となった。生活者に喜んでもらえる鉢物類の商品化が、鉢物生産、流通業界の所得に繋がる。来年は鉢物業界が立て直す反転の年にしたい。

 2016年は、切花類の面積拡大と、天候異変に備えた生産・流通技術の装備を、また、鉢物類の時代に合わせた商品化を行えば、花き業界は確実に拡大へと進むものだと思われる。

投稿者 磯村信夫 : 12:06

2015年12月14日

需要はある。足りないのは潜在成長率

 因果律が分かれば、解決に向け努力をすれば良い。
 例えば、先週の10、11日と季節外れの暖かさで、しかも強い雨だった。そうなると、店はきかないし、暖かさで前進している作柄から咲いていってしまう。本日月曜日は予定した大量入荷だったが、売れ行きは良くない。従って、まだクリスマスやお正月には早すぎるので、柔軟な値付けをしている限られた小売店に大量に売ってもらうしかないだろう。17日の木曜日から陽気が冷え込むというので、今日から三日間くらいはぱっとしない市況が続く。

 昨日、東京は松市だった。スーパーマーケットが生活者の花のお買い場になったので、スーパーは量も質も花売り場を充実させてきた。しかし、専門店の花の取扱いは6割以上あるので、相場のリーダーシップは専門店が決めて良さそうなものだが、筋ものと言われる若松や門松は、量販店が価格決定権を持ってきた。一方、華道やアレンジ等の基礎知識が必要な根引き松他は、専門店が価格のリーダーシップを相変わらず持っている。また、現在は、タワーマンションが示す通り、居住空間は縦長が主流だ。天井も高くなっているものの、決して横に広くなっているわけではない。そうなると、松を飾るといっても、まっすぐなものが邪魔にならない為に多く使われよう。

 トレンドは変わるが需要がしっかりしているといえども、松の生産は減ってきた。何故か?松の場合、需要はしっかり見えるのだが、年に一回のお正月用に合わせて畑から切り出し、選別し、市場へ出荷する等、11、12月は日頃の従業員にプラスして、一時的に沢山の人を集めて働いてもらわなければならない。この労働力確保に見通しが立たないのだ。トラックの運転手さんも同様で、運送の場合には常時仕事があるが、それとても人手不足である。この原因は、経済的に言えば、この仕事には潜在成長率アップが期待できない為だ。

 問題は、潜在成長率の低さだ。松だけではない。日本経済全体をとってみても、需要がないのではなく、少子高齢化による潜在成長率の低さによる不安が、設備投資や投資意欲の減退、後継者不足に繋がっているのだ。まずは、機械化やロボット化、一部専門分野の人の移民等により、生産性を上げる必要がある。人口が増えなくとも潜在成長率を向上させる。そうすると、期待される成長率が上がってくる。また、非定型的な仕事の分野でイノベーションが起こり、期待成長率が上昇してくると、この分野の仕事は機械に置き換えることが出来ないわけだから、賃金が上がってくる。こういう循環を作り出す。農業で言えば、オランダは農業以外の会社が農業に参入して成功したわけではない。農業者が事業家農家として、園芸農業を活性化させてきたのだ。EUが広がった分、人件費が安い人達に働きにきてもらったり、機械化したり、MPSの指導により最適な農薬やエネルギーでの生産を行うことによってトータルの生産コストを下げ、社会的にも評価される農業にしていく等、成長率を上げてきた。これを行えばよいのだ。

 需要がもし足りていないとすれば、増やせばよい。花の場合、男性が女性にプレゼントをするフラワーバレンタインでアピールし、男性が女性に花を贈るのはカッコいいようにしていく。また、いつのまにか造花に変わった観葉植物をもう一度、CO2の除去やリフレッシュな環境を売り物に、生きているものへと代えてもらうプロモーションして行けば良い。さらに、子どもたちと一緒に過ごす週末に、花のある生活を提案する。公園の散歩もいいだろうし、切花を卓上にそっと飾って、楽しい会話をしながら食事をするのもいいだろう。どの分野を増やしていくのかは、花の場合、努力目標は決まっている。このように、因果律や目標がはっきりしている中では、仕事の生産性アップによるペイラインの引き下げと潜在消費量の掘り起こしによって、その産業は活性化する。需要が足りないのではない。潜在成長性に疑問があるから尻込みしてしまう。この潜在成長性を確実に引き上げることが、今必要なことであろう。作業のICT化、後継者を含む優秀な人材のリクルートがその第一歩だ。

投稿者 磯村信夫 : 15:36

2015年12月 7日

アスリートを育てるつもりで人を育てる

 日本では、売れない時代になって四半世紀が過ぎ、おとなしくて言うことを聞く子どもたちを育てる教育からの改革が行われつつある。今、日本社会ではそのようにして育てられてきた人たちが、第一線で仕事をするようになっている。ICTを使いこなすことに利点があるものの、現時点では未だ、個人の消費生活が中心で使われており、各業界の社業において今一つ合理化が進んでいない。

 教育の問題は、国から個人に至るまでの成功に結び付く。成功とは物心両面のことである。組織と個人との関係でいえば、そこで働く人たちが尊敬され、生活者として心技体、モノとコトに「足るを知る」ことをいう。

 売れなくなっている時代だから、同じことをやっていても毎年売上は落ちる。だから、社内から経営者を登用するにしても、改革者であることが必要だ。社長の息子に能力があればそれにあたる。息子を社長にさせない代わりに娘の亭主という場合もある。あるいは、金融業界や商社からヘッドハンティングするという手もあるだろう。私が良く知っている、加工食品業界でポテト製品を作るある会社は、創業者の後を継いで優秀な人材を社長として迎え入れた。外から最適な人物を選んでトップに据えたその会社は今、大躍進している。その会社を大躍進させた人は、人材の宝庫として有名なアメリカのトイレタリー、化粧品会社の出身だ。

 花き業界においては、輸送業界の人手不足が深刻になったことから始まり、生産、卸、小売りまで人材が少なくなってきている。どこの組織でも、優秀な人が育つには一つの法則がある。アスリートのように、歳ではなく、能力がある人に高いノルマを負わせることによって、その人が人材化していくのだ。こういう教育をしながら人材を育成していくことが、生鮮食料品花き業界にも必要なのだ。そのことが、花き業界の発展の決め手になるし、どの業界でも、日本の潜在能力の顕在化につながるということだ。

 アスリートの意識。これを、日本人は忘れてはならない。文武両道は真実なのだ。はがゆい日本の花き業界はもう沢山だ。

投稿者 磯村信夫 : 16:33

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