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2016年2月 1日

多様化の中で生活者に選んでもらう

 大相撲初場所で、琴奨菊関が日本人として10年ぶりの優勝を遂げた。菊は花き業界にとって№1の消費実績を誇る花で、スプレー菊や新しいディスバット菊も、元とは言えば日本の菊をオランダの種苗会社が品種改良したものだ。菊の品種改良から消費拡大まで、琴奨菊関が優勝したことにあやかって、もう一度、花き業界でも頑張っていきたい。また、つい先日のSMAP解散騒動の影響で、『世界に1つだけの花』のCDが売れたり、音楽番組で流されていたりした。こちらも、花き業界にとっては良い宣伝活動になった。花き業界とは幸せな産業だと思う次第である。2月に入り、節分、立春、旧暦のお正月(本年は8日)、バレンタインデーと、花の需要期が続く。そこへ向けて、今度は業界自ら消費宣伝活動を心掛けなければならない。

 2025年には団塊の世代が75歳以上になり、葬儀や仏壇の花も需要が高まり、花屋さんは忙しくなるだろう。それまでの10年、自分の葬式は「こうして欲しい」という本人の意向もあって、葬式や仏壇の花の需要も従来と比べてますます小さくなっていく。そんな中、家庭需要とパーソナルギフト、レストランやオフィスに花を飾るウィークエンドフラワーやフラワービズを根付かせる努力をしていく必要がある。また、年代層で花の消費を捉えるのもマーケティングの一つだが、それだけでは、小売店からすると自社を時代とともに合せていく努力に欠けてしまう。「自分の店は年配者の店だから」と、売上減を認めることになりかねない。「花店の老舗という定義があるとすれば、そのご家族の三世代の方にご利用いただき、満足して頂ける店」だと、サンフローリストの藤澤さんが仰っていたが、まさにその通りだと思う。ここに向けて努力していかなければならない。

 需要者である生活者は、もう満ち足りている。何か他にはないかと思っている。すなわち、既成概念の中だけではもう伸びがないのだ。供給者である法人は、この成熟社会の中で殻を破っていく必要がある。従って、マイノリティとは言わず、ダイバーシティ(多様化)として捉え、オルタナティヴ(二者択一)ではなく、アンドで、境界線を外した商品や「コト」等が求められる。LGBT、カーシェアやハウスシェア、おにぎらず等が認知されるようになったこともその一つだろう。その家三世代の人に満足してもらえる花の専門店。難しいが、専門店はこういう店づくりをしてもらいたい。私も、具体的にこうすべきだ、という点はまだちょっと分からないのでお示し出来ないが、感覚的には、いつも新しい老舗の和菓子店などが思い浮かぶ。何かそこには、琴奨菊関の努力やら、『世界に一つだけの花』で訴えられているもの、すなわち、真実のようなものがある気がしてならない。とにかく、冠婚葬祭の花、仏花需要が縮小している昨今、マイナスを補う消費を、花き業界をあげて努力していきたい。

投稿者 磯村信夫 : 2016年2月 1日 15:16

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