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2016年5月 2日

自分の所属する組織体がこの世で何を実現すべきなのか理解する

 三菱自動車の燃費試験データ不正問題が話題となっているが、三菱自動車が信頼を回復するには、かなりの時間を要するのではないかと推測する。問題点の一つは、チェックをせずに当事者の発表に任せるという、性善説に基づいた方式では、日本ではもはや通用しなくなっていることだ。アメリカと同様の、オーソライズされた調査機関が日本でもあるべきである。農業分野で言えば「エコファーマー」や、「有機」は誰がチェックしているのか。人は自分のことを現実よりも2~3割は甘く見る習性があるので、オーソライズされた機構がチェックをしない"自称○○"の場合、あらかじめ割り引いて、あるいは、最初から信用しないで、そのモノやコトを買ったり使ったりする必要がある。

 もう一つ、今回の三菱自動車の起こした問題で小生が思うのは、自社が何のためにこの世に存在しているのか、その理念や夢が社会のお役立ちの下にあることを忘れてしまったのではないか、ということである。いつも競争の中で他社と比べて優位になることしか、即ち、相対価値しか頭になかったのではないか。古い話になるが、カリフォルニアで厳しい排ガス規制が設置された時、本田宗一郎は新興自動車会社として名を挙げる絶好のチャンスと捉え、この問題に取り組んだ。一方、社内の技術者は、子どもたちに綺麗な空、空気を残したい為に排ガス規制に取り組んだ。他者との相対的優位に心が奪われていた本田宗一郎だったが、CVCCエンジンを作った社員たちが「夢を追い求めた」ことを受けて反省し、ホンダイズムが会社の資産になったことを喜び、会社を「任せた」とリタイアしていった。ホンダは相対価値をつくる会社から、「真・善・美」の絶対価値をつくる会社となったのである。

 三菱自動車は、何をやりたいと思っていたのか。GE(ゼネラル・エレクトリック)のように、「市場」、「競合」、「自社」を分析(3C分析)、競争に勝つことにより、有名企業となっている会社がアメリカには多い。しかし、3Mやgoogleのような会社もある。競争が激しくなる中、会社では監査役や公認会計士、あるいは、業務の上ではオーソライズされた認証機関が、今の日本、そしてもちろん、花き業界の生産、流通、小売の分野においても必要だ。さらに、自分が働く企業は何の為に生まれてきたかを理解し、その為に進化をすることだ。三菱自動車が再起を図るには、もう一度、自分がやりたいことを確認し、それを行う一つの種として進化することである。我が花き業界でも、甘いことがあまりにも多い。もう一度チェックシステムを見直して、心を引き締めてコトにあたるとしよう。

投稿者 磯村信夫 : 2016年5月 2日 16:17

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