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2016年6月20日

特定サプライチェーン三割

 昨日の父の日では、黄バラやヒマワリ等、花き業界が"お父さんの花"とPRしている花が、期待通りの売れ具合であった。日本は母系社会だから、母の日みたいに飛ぶように売れた訳ではない。しかし、専門店やスーパーでも、父の日の花として用意したものがよく売れた。父の日の花は確実に前進しているように思う。

 本日は"契約取引"について話をしたい。青果市場では、荷不足から卸売市場が値段を決めて注文するが、結局、大手買参人や仲卸に無理を言ったり、最終的に残ってしまったり、残品相対や値段を下げての販売、そして事故処理をすることがあると聞く。農協合併で産地も大きくなり、小売店も、野菜・果物の専門店が少なくなり、スーパー主体の売場になった。しかも、スーパーも寡占化が進む中にあって、仕入れも販売も大手の間に小さな卸売市場がある。こういった状況が、現在の青果市場の取引状態を生み出していると想像出来る。

 薬卸や食品卸は合併を繰り返し、仕入れ先・販売先に負けない規模となって、価格競争だけではない能力を身につけて卸業を営んでいる。しかし、生鮮食料品花き流通の太宗を担う卸売市場は、最大手といっても、買い手の小売会社の規模からするといかにも零細だ。また、公共性を重んじる為、差別的取り扱いの禁止を実行しており、日頃は市場外流通をしている産地も、捌けきれなくなると卸売市場に出荷出来るし、同じく市場外流通している買い手も、足りなくなると市場に買い出しに来たりする。従って、卸売市場は相場の乱高下の振れ幅が出きてしまう傾向がある。卸や仲卸は極力、安定価格で仕入、販売をしようとしているのに、買い手より事業規模が小さい卸売市場は、入荷数量や相場に振り回されて、利益を確保出来ない状況になってきているのだ。このような中で、第10次卸売市場整備計画では、卸売市場に対し、多面的な機能が必要であると指導をしている。花き卸売市場の場合、まだ青果取引のようには業界全体はなっていない。しかし、生産減でその方向に進んでいる所もちらほら出てきている。

 では、どうすれば良いか。産地の生産部会、卸・仲卸会社、販売する小売店が一気通貫でチームを組むことだ。無理のない範囲で、即ち、産地の販売量からすると、普段の市場流通の三割ほどの量を別枠で取り扱うのを基本形とするのが良い。三割以上は、「作るに天候、売るに天候」で天候に左右される為難しいのではないか。これなら、ある意味で特定関係のサプライチェーンとなるが、卸売市場を利用する多数の産地や買い手に変に悪影響を及ぼさないで済む。こういった取引を、嗜好性の高い花きで実現をする。そうすれば、「あの市場はあの産地、あの小売店と」と、サプライチェーン同士の競争になる。競争の在り方は、地域ではなく、言葉は悪いが、サプライチェーン系列下の競争、または、サプライチェーンの取組みの競争となってくる。このやり方は、「何でもいらっしゃい」という、平等だがややもすると責任が雲散霧消してしまい、それぞれが利己的になっていく弊害がある生鮮食料品花き流通業界において、新しい活性化の方向にいくのではないかと小生は期待している。日本中の花き市場が、そちらの方向に進んでいくことを祈っている。

投稿者 磯村信夫 : 2016年6月20日 15:51

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