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2016年8月 8日

人手不足で需要が満たせない8月

 リオオリンピックが始まっている。表彰式を見ていると、ビクトリーブーケではなく、記念品がメダルと共にプレゼントされていた。何か物足りない感じがする。東京・お台場のヴィーナスフォートでは、今月6日(土)、7日(日)で、東京オリンピックのビクトリーブーケを「こんなブーケはいかがでしょうか」と提案する、『ビクトリーブーケコンテスト』が開催された。主催は東京都花き振興協議会で、今年で3回目になる。シンプルだが、そのレベルの高さは思わず人を唸らせるものばかりだった。さらに、東京都花き振興協議会では、どんな苗物だったら暑い屋外でも元気に咲いて、お客様をおもてなしすることが出来るか、最寄り駅の東京テレポートで植栽トライアルの花庭も設置し、遊びに来ているお客さんたちの目を楽しませていた。

 人口動態を考えると、東京オリンピック後、花き業界だけでなく、日本全土にわたる発展の礎を、この4年間で確固たるものにしたい。2021年以降も、前向きで平和に、心豊かに生活をしたい。それが出来る日本の産業や家庭生活の仕組みづくりを、今やっておきたいのだ。東京の花き業界は、おかげさまでビクトリーブーケやお盆、敬老の日、さらに、フラワービズ、ウィークエンドフラワー等、花のある生活の素晴らしさをアピールする活動を迷わず行っている。しかし、地方において、また、他の産業において、具体的に何を今やっておかなければならないか分からずにいたり、分かっていても、"ゆでガエル現象"で、同じことの繰り返しの日々を送ってしまっているところもある。ここをどうにかしたいと思う。

 今年の8月盆は鬼灯が凶作だったり、切花リンドウが前進開花してしまったものの、他のお盆用の花は天候にも恵まれ、また、生産技術により欲しい時に欲しい数量が見通し通りに生産されている。問題は、人口動態による花き業界人の人手不足である。実際、物流上で混乱してしまい、納期に荷が揃わないのだ。もう3年前とは違うのである。生産から輸送、卸売市場、花束加工、小売りの各分野で、赤字を無くすことが第一だったので、人をカットして、人材的に余裕のあるところは殆どない。その間、ここ3年で切花も鉢物も、スーパーやホームセンターが花売り場の主力となってきた。例えばスーパーなら、物日には通常の12倍以上売れるので、売り場面積を広くする。しかも、売っているのは置き花だから、お客さん一人一人を接客する必要はなく、レジで精算して終了だ。スーパーの人は花き業界人ではないが、花束加工までは花き業界人だ。花束加工業者は、物日には通常の12倍のオーダーを抱えるので、人を集めようにも、なかなか満足するほど集まらない。それは卸も仲卸も、輸送業者や荷受センターも同様だ。

 大田花きに入ってくる荷物を見ていると、パレット輸送・台車運送ではなく、一つ一つ直積みしているトラックが多いことに驚く。物日は入荷が何倍にもなっているのに、人手が増えていないから、一個ずつ積んでいれば当然、遅れるに決まっている。人手が足りず、作業スペース(トラックの車両スペース)が足りない。時間がかかって遅れてしまうので、結局消費者が欲しいときに荷物を間に合わせることが出来ないことになる。出来たとしても、業界人は徹夜作業でコストも上がりフラフラだ。

 去年は天候の具合で前進開花したから、肝心の時には花が足りないだけだった。花が足りないから値段は高くなったが、荷が少なかったので物流上は問題なかった。しかし、今年は、需要に合わせて荷が出てきたので、手が足りないから、結局、遅れ遅れでみんなへとへとになって、それでも需要を満たすことが出来ない。こんなことは最初から想定されていることだ。労力が増えないのだから、頭を使って合理的に考える以外方法がない。それは、パレット輸送や一日で処理できる量が限られているわけだから、定温にして毎日物流させる。これを来年からやることだ。花はそれに見合った物量を納品する。鮮度が必要だから、間際にというのが理想だが、量販店では通常の12倍売れるわけだから、適切な品出しの為には、どういう段取りで仏花を納品するか、もう一度、きちんと考えなければならない。

 今年、花き業界は物流上の課題を頂いた。将来に向けての改革をせよ、という天の声なのであろう。まず、物流の合理化を急がなければ、需要を満たすことが出来ず、花の需要は他のモノにとってかわられてしまう。そんな恥ずかしいことは出来ない。必ず物流改善を行って、業界全体が良くなるようにしたい。

投稿者 磯村信夫 : 2016年8月 8日 15:38

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