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2012年11月19日

寒くなりましたが、"灰色カビ病"注意!

 昨日の日曜日、読み終えた本が田中修先生の「植物はすごい(中公新書)」その中に、桜の葉が落ち、水気を含んだ時に桜餅のあの葉の香りを出すというので、平和島界隈の桜の名所をジョギングした。平和の森公園に弓道場があるが、そこの裏手にある桜並木の所は土曜日の夕方、大嵐だったので葉が堆積し、まさに桜餅の香りが漂っていた。

 桜の葉は人間にとっては良い香りだが、虫などには嫌な臭いを出して寄せ付けず、自分自身は肥やしとなり、桜を長生きさせようとしている。まさしく世の中には無駄はないと思いながらジョギングを楽しんだ。

 今、大田花きではクレーム時の病虫害について調査機関へお願いし、特定化してもらっている。その調査結果を元にいつどこで発生したかが病原菌の大きさでわかるので、産地や輸送会社に連絡し病気の予防に努めたいと思っている。

 この上半期の調査によると、市場クレームの病気の80%が灰色カビ病(ボトリチス)であった。品目でいうと、多い順にバラ・トルコギキョウ・カーネーション・リンドウ・ガーベラ・ヒペリカムである。なんとバラ・トルコギキョウだけで50%を占めている。灰色カビ病の発生し易い温度は、私たちの業界において使われるショーケース内の温度帯の8~15℃でも繁殖し、4~30℃までの間は繁殖が止むということがない温度だそうだ。これは大変なことであり、花き業界は灰色カビ病と一緒に作業をしているということである。

 生産者の温室、作業場やストッカー、農協の集出荷施設、輸送中のトラックの荷台、卸売市場、仲卸の店頭やストッカー、花束加工場、小売店の店頭やストッカー等、言い出したらキリがない。市場で灰色カビ病を見つけたら早速何かしらの策を考える必要がある。委託品なので実際は廃棄というわけにはいかないので、こういうリスクがありますというように、灰色カビ病の花を購入するお花屋さんにも知らせなければならない。

 今、花束加工業の活躍でスーパーマーケットで花を購入することが一般的になってきた。食品売り場で灰色カビ病が付いた花を売るわけにはいかないので、花束加工の段階で差し止めなければならない。

 寒くなってきたが油断せずに灰色カビ病のチェックをしていきたいと思う次第である。

投稿者 磯村信夫 : 12:05

2012年11月12日

忘れてしまった基本が原因

 今朝、現場巡回をしていたら、品質管理室の室長 五十嵐がスイートピーの事故品(損傷した花)について荷受け・荷捌きチームのメンバーと原因は何か、どこにあるのか話し合っていた。4人も寄っていたものだから、どんなことかと私も覗いて見た。スイートピーは軽量なので荷捌きをしていた時、少し手を滑らせてしまったということだった。

 その結果、よく見ると薄いピンクの花の頭に少し筋が入っているものがある。私の見立てでは100本のうちの10本くらいが傷んでいると見たが、五十嵐はよくチェックをし、水をしっかり吸わせたら20本くらい傷が出る可能性があると見たようだった。
その花が損傷したのは社内の荷受け・荷捌きの時点の出来事なので、当然当社が負うべきものだ。指摘する者はいなかったが、荷造りの基本がしっかり出来ていないことに品傷みの原因の一つとしてある。

 箱の外板の内側に足元をしっかり付ける。すべての切花の荷作りはまずここから始まる。同様に基本中の基本がもう一つある。それは選別して束ねる時は花の表を前に、裏を後ろに向けることである。この鉄則が守られているのは、多くが枝物・葉物の荷主様である。花の場合は南向きに育ったのが表、北向きに育った花が裏、どの花でも必ず日本の花は表と裏が出ていることに留意していただきたい。表を必ず上にして荷造りするということが出来ていない方がいる。花束加工でも素人は花に裏表があることすら分らない。お客様に表を向けている花が微笑むから、花束は売れるのだ。

 荷造りに話を戻して、グラジオラス・ストック・スナップ・コスモスのように頭を上に持ち上げようとする力(軽力...ゲーテが作った言葉)が強いものは、裏を上にしておけば、輸送中に頭の持ち上げ方が軽微で済む。それが束ね方や荷造りする時の基本だ。
 
 先述のスイートピーは頭が側面に向けてあり、箱の中程で足元をクラフトテープで留めてあった。荷造りをした昨日はしっかり留まっているように見えたかもしれないが、一日経って水分が抜ければ緩くなる上に、今日は雨で湿度が高く箱に張りがない。また時折、輸入のスプレー菊やリパックしたカーネーションの頭と箱がぶつかりそうなものがある。花の頭は箱から一握り分間を空けておかなければならない。
そして根元を箱にしっかり付けて、互い違いにしておけばそう簡単に動かない。例え少し位の衝撃を与えたとしても、びくともしないのだ。

 ここで気づくのが見てくれを気にするあまり、荷造りで基本が継承されていないということである。流通上の事故処理のほとんどが基本的な荷造り、運び方にある。我々流通業者も基本に立ち返って花の物流を行う。荷主様は上手には束ねて、荷造りの基本をもう一度チェックしなければならない。
せっかくこの世に生まれてきた花を消費者の手の中で咲ききって一生を終えさせたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 15:47

2012年10月22日

素材の旨味が日本文化の特徴

 昨日の21日、大田市場祭りがあった。花は文化そのもので、華道池坊流の組織は神社仏閣の建築業の金剛組に次いで現存する二番目に古い組織体であることでもわかる通り、今に生きており、世界のフラワーデザインにも強い影響を与え続けている。

 食においてはゲルマンの民やアングロサクソンの人たちのように身体を健康に保つ為のものとしている国がある一方、中国・トルコ・イタリア・フランスのように食を文化として捉えている国がある。日本食は素材そのものの持ち味を活かし料理する。素材に過度の手を加えていないように見えて適確に手を加えるその手法は現代フランス料理のみならず、中華料理、近頃はベトナム料理にも強い影響を与えている。素材を活かした装飾と食の文化、これを支えるのが我々卸売市場である。

 全国花卸協会(仲卸)は目利き会を開催し、「情報取引が多くなっている中で我々仲卸が真の目利きが出来なければならない。そうでないと、規模は小さいが本物を作りこなす生産者の品物を適切に評価出来ない」と勉強会を開き後継者の育成に力を入れている。我々卸売会社もセリ前相対の比率が大きくなり、実際に品物を触る機会がめっきり少なくなった。産地においても共選・共販が多くなると農協担当者が実際に畑に行ったり集荷場で品物を触ったりする機会が少なくなる。それでは良くない。農協の担当者も本物を見極めることが出来る人であって欲しい。

 そんな危機感から大田花きでは3年前、研修所をもう一つ作り農業実習を行っている。新聞で見るとモスバーガーやワタミ他、美味しい野菜を積極的に食べてもらおうとしている外食産業の人たちも農業実習していると云う。農業実習はとば口だが、日本の食文化・花卉装飾文化をさらに前進させる為に我々市場人は目利きを発展させなければならない。

 そう思って昨日の市場まつりを見ると、卸と仲卸が用立てしたが、花では切花・鉢物とも良い品物を即売出来たと思う。鉢物は全て国産であったが、育種は外国の種苗であるものが半分あった。切花では外国産のものが1/3。球根・切花のように外国の球根を使ったもの、或いは種苗の発案が外国産であるものが1/3あった。

 グローバリゼーションは花の場合、当然のこととして日常の取引の中に存在している。それ故、国産の切花・鉢物類であっても海外の育種動向・生産動向を見極めておく必要がある。鮮度を加味した素材そのものの価値は国産に勝るものはない。しかし、その価値の差は輸送手段の発達やケミカルコントロールによって少なくなってきている。よって、大田花きは5年前時間が経つと飛んでしまう香りを国産の花の勝負どころの一つとして提案したのであるが、香りは重要な一つと云うよりも付随の価値に今のところ留まっている。

 素材そのものを活かしきる技、お花屋さん・華道家・アレンジャー、そして料理人の技と我々プロの市場人の評価眼、これが今後とも日本の装飾・食文化を支えてゆくのである。成田屋(市川家)の歌舞伎十八番助六の紫の鉢巻きは今でも築地の旦那衆、仲卸組合が届けている。このことこそ市場の目利きの役割を象徴するものである。

 さあ、農業実習をして生きたものに触れ、良いものを味わい、実際に市場で品物に手を触れ、目利きの役割を果たして行こう。品物のプロだけでなく、市場人は相場のプロでなくてはならないこともお忘れなく。

投稿者 磯村信夫 : 11:25

2012年8月20日

「セリ機 2012年度セリシステム完成」

シャープは来月までにリストラ案を、まとめて復活の準備に入るという。液晶テレビがこんなに値段が安くなるとは思わなかったが、シャープの大型画面を大田花きはセリ時計に使った。

1990年、市場法ではセリ取引が中心でセリ前の取引を「引き荷」とか「先取り」と云っていた。バブル経済が崩壊し、荷物が余り気味になると、先取り価格は高値を付けていたが、1995年からセリの中値で良いということになった。そして、1999年セリ取引と同等の取引として相対取引が市場法によって認められた。委託品に対してセリと相対、それ以外の取引で契約取引である予約取引がある。セリ取引のウェイトは特に青果市場で下がり、花き市場でも中央市場を中心にセリ取引のシェアーが下がっていった。2004年卸売会社の買い付けが認められるようになり、普通の商売と同様、卸売会社は再販で利益が取れるようになり、青果市場を中心にますますセリ取引の比率が小さくなって行った。2009年の第9次卸売市場整備方針に於いて青果と魚を中心に中央中核市場の選定が行われると、花もその影響で地方の市場が荷揃えの為、中核的な市場をセリ前に利用し、自社の品揃えをするようになった。そうなると、ますますセリ以外の取引の比率が多くなる。
しかし、花は品種・等階級まで入れると15,000アイテムもの花々を一日で取引することになる。こんなに多種多様な花の価値基準はやはり大多数の人の意見集約であるセリに拠らなければならない。そのセリの値段を参考に生産者は出荷計画を立てるだけでなく、日々のセリ前取引である相対に於いても、セリ価格が欠かせない指標として用いられることとなる。
そこで花の場合、大田花きとなにわ花いちばのセリ場が切花の日本の指標を生み出す東西の市場として、日本の花き業界にとって欠かせない存在となっている。問題は放っておいたら衰退しそうなセリを活性化させなければならないという点である。そうでなければ指標にならない。

世の中の需要を背負った人達がセリに参加し、セリの相場形成されることが大切なのだ。量販店・花束加工業者・結婚式・葬儀の仕事花屋さん、この人達はセリ前取引を利用したがるが、極力セリでも買ってもらわなければならない。地方市場も同様である。セリに参加するのが東京・神奈川・首都圏の専門店だけではその時の需要に反映した相場ではない。全国の指標になる相場とは云えないのだ。なので、大田花きは、在宅セリを開発したし、今期在宅セリシステムとセリ場のシステムを同じものに揃えることにより使い勝手を良くし、セリの中で最もコストが高かったセリ表示盤を値段の下がってきた市販の液晶パネルを使って時計を表示することにして多大な設備投資を回避した。この様式であれば大型市場でなくても中規模な市場でも十分にペイラインに乗る。22年前、大田花きがコンピュータでセリをするようになり日本中至るところでセリ機を使ったコンピュータセリが誕生した。しかし、セリから相対が多くなり、セリ機を導入した市場は設備のリニューアルに頭を悩ませている。もう既に数社見学にいらっしゃっており、担当者から説明をしたが、是非ともセリのリニューアルと設備投資に悩んでいらっしゃる市場があったらどうぞお気軽に声をお掛け下さい。今までよりも安く、買参人にとっても良いシステムが誕生しました。そして共にセリの活性化に向けて、もう一度奮起しようではありませんか。時代と共に歩んでいくセリシステムが今日すべて完成しました。これで商売しようという気は更々ありません。沢山の来場と同業者からのお問い合わせをお待ちしております。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2012年5月14日

信頼のコロンビア産に品質問題

花き業界にとって春の最大のイベントである母の日が終わった。お天気に悩まされた母の日前であったが、お母さんに花を贈る人が多く、花屋さんは大忙しであった。

自分達ではどうにもならない外的な要因と努力によって成せば成る内的要因とがあるが、お天気や経済動向はどうしようもないが、今年の母の日は花き業界の問題として2つ流通がうまく行かなかったことがあった。
一つはコロンビア産のカーネーションの品質の問題があった。現地コロンビアの悪天候かマイアミの物流業者の問題か、まだ原因は特定出来ていないが、一年中安定して入荷しているコロンビア産のカーネーションに日本各地の卸売市場でクレームがあった。国産のカーネーションにおいてもGWの前半は暑い日もあったのでクレームが出た。国産は明らかに手が回らなかった為の咲き過ぎだが、コロンビア産のカーネーションについては、輸入商社が成田到着後、選別したにもかかわらず、信用を傷つけることとなって誠に残念であった。それが、5月4日の金曜日、5月7日の月曜日に日本中の市場で起こったことだ。

もう一つの現象は油代が高かったので需要がしっかり見込める母の日にあらゆる切花や鉢物が集中して出荷された。それは去年、3.11以降初めて絆消費で母の日から花が本格的に売れ始めたからである。花き業界人は価格に手ごたえを感じた。去年は荷が少なく何でも売れたので、今年も何でも売れると思って母の日に合せてしまった。普通に考えれば、ギフトの花に使われる花が小売店は必要なのであって、そのアイテム数は20くらいのものであろう。それ以外のものは7日の月曜日から安めとなった。

業界内で消費者が好む物を作り、流通させ、小売店はそれらを仕入れてお客様に喜んでいただく。この当たり前の努力をさらにしっかり行う必要がある。この努力を行った品目としてカーネーションの鉢がある。品種改良により窓辺に置けば蕾が必ず咲く物しか流通していない。だからプレゼントされたお母さんには長く喜んで貰える。こういった誰がどの段階で改善すればより消費者に喜んで貰えるか原因究明をし、次回の物日のサプライチェーン作りをしていかなければならない。原因究明を先ず行い、余熱が残っているうちに来年の母の日へ向けサプライチェーンの修復をはかっておこう。

注) コロンビアの花の輸出先順位2011年
第1位 米国  9億5700万ドル
第2位 ロシア 6100万ドル
第3位 日本  5000万ドル
第4位 英国  4400万ドル
第5位 カナダ 2800万ドル
(2012年5月09日コロンビアの輸出業者の業界組織であるASOCOLFLORESが発表した報告書のよるもの)
出典元:
Hortinews / CdM

投稿者 磯村信夫 : 16:01

2012年4月23日

入社試験の一場面から

先週は風邪をこじらせて一家で寝込んでいたから、近所のコンビニがさらにおいしく便利になったので大変助けられた。時代と共に絶えず新しくなっているコンビニの姿は、我々事業を行う者にとって一つの手本で、商売というのはこうあらねばならぬ。頑張らなくちゃあという気にさせる。
21日の土曜日に来期採用予定の学生面接を行った。生まれは1990年、鶴見緑地で花の博覧会があり、大田市場の花き部が開場した年だ。その年に生まれた大学生たちを選考していると思うと、次世代の我が社を創っていってくれる人達を選考する気になって、ついつい力が入りすぎたと今にして思っている。
開業した1990年以後に入社した社員は1970年代以後生まれの人達だ。これらの世代はロストジェネレーションと言われ、社会に出た途端、バブルが崩壊し「こんなはずじゃなかった」と、毎年生活が良くなるはずが現実は経済が下降した為、先行き暗く不安で憤懣やる方ない世代である。しかし若いからその状況に順応し、時代に合わせて活躍している。大田花きの基幹的な業務を担っているのはこの世代で、昭和の時代に住んでいる先輩たちやバブルを体感した先輩たちより「昔はこうだった」などと言わないから良い仕事が出来ている。
家計支出を見ると、1990年を100%とした時に2010年は93.3%である。デフレで色々な物が安くなった割には、毎年0.5%弱しか家計支出はこの20年減っていなかったのだ。業界として一番市場規模が小さくなったのが衣料品だ。20年間で約半分の50.5%になった。この業界で生きて頑張っている人達は、タフでまさにサバイバル精神に長けた人達だ。食品はというと、企業の交際費が減って少子高齢化になった分、約16%減った。日本の世帯のうちの半分が一人世帯、二人世帯だからお惣菜は増えたし、パンでもピンキリで、この「キリ」の物も100円で美味いのである。
21日の土曜日の面接の中でも一人の男子学生は、「今は確かに野菜の時代だと思います。しかし花は心に栄養を与える商品だと思い受験しました。40年もやっている近所のお花屋さんに、花関係の会社を受けに行くというと、花はもうあまり良くないんじゃないかと言われたのが悔しくて。絶対花業界は良くなると思うんです」という学生がいた。私からも少子高齢化の中でもやり方を間違えなければ需要は減らない。それどころか増やすことが出来ると云った。ここ20年で教育費は7%増え、住居光熱費は25%増えた。交通通信費、或いは医療費などの3割以上の伸びのものもある。少子高齢化の中にあっても、人々はより素晴らしい人生や暮らしにお金も時間も使っている。そして、花は住環境の中にこそ需要が沸き出でるもので、豊かな空間生活に欠かせないアイテムである筈だ。

同じことをやっていれば、職を失うか、買ってもらうとすれば単価を下げざるを得ない。居住空間に投資をしている消費者に向けて、又、ダブルインカムの人達の居住空間の豊かさを演出するものとして花を買ってもらうというのが、まず我々がやらなければならないことである。

投稿者 磯村信夫 : 11:58

2011年12月 5日

フラワー オブ ザ イヤー OTA 2011

ボーナスは48週、今週の49週、そして遅いところでも50週に支給される。個人消費が期待されるが、これまでの個人消費は基礎的支出の必需品は価格が上がり、選択的支出は人気のものの価格は堅調だが、二極化して安いものが大半で、総じてデフレが止まっていない。地域的にはこの10月から日本全体のGDPを0.8%押し上げるという東日本大震災の復興景気が、東北、一部北関東を中心に出てきたが、ショッピングセンター、デパートなどの激戦区西日本は前年を下回っている。
花の消費は遅効性だが、東北の花き業者は12月から活況になっていくのか、それとも春まで待たなければならないのかやきもきしている。

さて今日はFLOWER OF THE YEAR OTA 2011について発表したい。
毎年、大田花きでその年に最も人気が高かった切花を子会社の大田花き花の生活研究所が選定。魅力のある花を作り出した生産者の方へ、その功労を称え「FLOWER OF THE YEAR OTA」として表彰している。

2011年は以下のような結果となった。
最優秀賞■ 安代 新いわて農協 様 リンドウ「ニューHBアシロライトブルー」
コメント:咲ききるリンドウ。美しさ、花もち抜群。半月以上花もち保証。
優秀賞■ 大野重雄 様 ケイトウ「オレンジクイーン」
コメント:一本ステムで大輪、現在最も単価の張る花の一つになってきた。需要期も長く、夏から冬まで。
特別賞■ 尾崎洋蘭園 尾崎進一郎 様 エビデンドラム「チドリ」
コメント:同様に一本ステムで小さな花が密集し、アジサイと同様大きな花に見える。花もち抜群。リバイバルだが、新鮮な印象を団塊ジュニアは持っている。
新商品奨励賞■ 東北第一花卉 大山邦夫 様 バラ「ブラッドオレンジ」
コメント:人気品種のバラの量を増やし、コンスタントに結婚式でも店売りでも使えるようにした。人気品種の定番化は生産者の決断によるものである。

表彰式は12月9日(金)、セリ開始前の6時50分から行われる。ぜひとも花屋さんたちは早めに席に着き、表彰式に参加して欲しい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年7月 4日

共同荷受所がきめ細かい花き流通を促した関東・東海

先月の29日、花き卸売市場協会首都圏支所の初会合があった。関東から長野、そして静岡県では浜松以東50社の花き市場で構成される首都圏支所は、日本の人口の4割強の消費者のために過不足なく花を届けることを使命としている。東北支所管内の市場まで含めると約60社が、都内にある4つの共同荷受所を経由し、出荷物を販売している。その4つの荷受所とは東京花き共同荷受、永井荷扱所、夏目荷扱所、羽田日通である。

東京になぜ4つも共同荷受所があるかというと、もう40年ほど前になるが、花き振興をはかるために静岡県経済連、愛知県経済連、長野県経済連、千葉県経済連が中心になって、環状7号線の鹿浜橋を渡ってすぐの埼玉のところに共同荷受所を作った。花はまだ取扱量が少なかったから、花専用のトラックターミナルを作ることによって、産地には輸送の合理化、出荷先の広がりを持たせること。そのためには花市場の新規参入障壁を低くすることが必要だった。花き市場の数が増えれば、花の需要が増えているときだから、従ってどこの市場でも競い合って高値で売り、品物を多く出荷してもらおうとした。

そこの鹿浜橋の産地主体の荷受所が事情により廃止されることになって、当時の新日本園芸株式会社の練馬の西部園芸市場と世田谷区上野毛の南部園芸市場に、都内だけでなく関東・東北の市場のため、共同荷受所を作ることになった。この際、一緒に経営しようと都内の4つの花き市場組合は大同団結し、東京都花き市場協同組合が出来ることとなった。そこが共同荷受を運営することになる。

東京では大島、三宅島、神津島、八丈島の4島は日本でも屈指の切葉、切花の産地である。ここは東海汽船が運航しており、東海汽船永井も共同荷受所化した。房総半島の東京への入口である小岩の夏目も房総の荷の共同荷受所になった。その後、飛行機便の花も増えると、羽田日通も共同荷受となった。

花の需要が増え、取扱金額も増えていった時代は共同荷受所引取りのコストも十分に販売手数料でまかなえ、利益を出すことが出来た卸売市場がほとんどであった。しかし21世紀に入ると単価も下がり、近年は荷も少なくなり、せり前取引も盛んになって、早く自社に荷物を到着させることが市場間競争上どうしても必要になっている。そうなると、例えば東京花き共同荷受に引取りのトラックを差し向けたとする。積載効率が良いように満載にして持ってくるということは、引き取り時間が遅くなってしまう。それでは大手の買い手に他から取るからいいと言われてしまうので、早い便と最後の荷まで引き取る便と2台出さなくてはならなくなるのだ。こうして物流コストが上がってきている。

荷受所があったから関東一円、10億円前後の年商の花き市場でも品揃えを良くし、その花市場を利用する地域の小売店が決して近所のスーパーに負けない品揃えの花店を営業し続けることが出来ている。しかし、運賃の負担増と個人の生産者が高齢化し花の生産をやめる人が出てきて、農協出荷は直送が増え、荷受所の経営もなかなか厳しいものがある。青果や水産は大正の末から昭和の初期に中央市場流通となったので、花の荷受所経由とは違い中央拠点市場経由の流通となっている。では花も青果や水産同様、中央中核市場、少なくとも中央市場と地域の公設市場、ここがターミナル駅の役割を果たし、多数の地域密着の市場は直荷とこれらの市場からの買付でその地域の小売店を、そして消費者を満足させることが出来るのか。この点が現在の花き卸売流通の課題となっている。当面の間は、各市場が直送してくれる産地と取り組みながら、共同荷受所と中核市場の花き部の両方を使うということになろう。各社に車を出すのがコスト的に無理ならどこを選択するかと言えば、自社が競争力を保てる要件を満たすところとなるだろう。それは納品時間が正確か、コストが経営上負担にならないか、品揃えがきちんと行われるかのポイントから業務の見直しを行い、自ずと選択されるであろう。一般社団になる市場協会は会員各社が社会的な役割をきちんと果たせるようになってほしいとの想いから、市場機能に踏み込み、具体的な経営に踏み込もうとしている。それは今物流機能を中心とした流通そのものに踏み込む必要があるからである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年5月30日

父の日は黄バラ?それともヒマワリ?

月末の稼ぎ時に雨で花屋さんたちは残念でしょうがないという顔をしていた。朝せり前に挨拶を交わすと、「土日の雨はしょうがないことだけど、週末もっと売れたのに」とか「月末で仏様の花を買いに来るお客さんにこの花もすすめたいのに」と異口同音に残念がっていた。

今度の震災で、当初独立店舗の花屋さんがやる気を失ってしまうのではないかと心配したが、それは全くの杞憂で、逆に「花の価値を高め販売する花屋という良い仕事をさせてもらっている」、「もっとがんばって花を届けよう」という意識に専門店は満ち溢れている。むしろスーパーマーケットの花売場の人たちや花束加工業の人たちの方がクールで、今花屋さんが持っている商売への情熱というものが伝わってこない。そう言うと少し失礼に当たると思うが、至って普通の量販店の人と比較すると、花屋さんの方がやる気だ。

さて、6月に入ると父の日となるが、父の日というと「お父さんの日」で、年配のまさにお父さんかお父ちゃんの感じだが、今は結構「パパの日」で、団塊ジュニアのお父さんもその対象者に入ってきた。そこで脚光を浴びつつある花はオーソドックス派は黄バラ、そして近頃はヒマワリである。天照大御神の時代から、女性が太陽というのは日本の伝統であったが、これが6月の父の日になるとヒマワリが近頃の父の日の花になろうとしている。パパは料理もするし、後片付けもする。子どもとよく遊んでくれて、そして何より外でタフに仕事をして稼いできてくれる。時代とともに父の日は内容が変わってきて、父の日の花も変わる。母の日には比べるべくもないが、"Say it with flowers"で、父の日に花が着実にプレゼントされるようになっていることは、成熟した国家の押さえが利いた文化のように思うが皆さんはいかがであろうか。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年11月22日

私なりの第9次卸売市場整備基本方針

今日は切物・枝物(以下:切)のクリスマスツリー市である。日本経済は決して順調だとは言えないが、それなりに落ち着きを見せており、最悪だった昨年の相場からすると平常の相場に戻り、4~5割高となった。繰り返すが、平常の状態に戻ったのであって、日経平均が10,000円に戻したのとほぼ同じニュアンスの商況であった。またアメリカ産のクリスマスツリーも小売店で販売が始まっているが、昨年よりも幸先が良く、例年並の販売を予測している小売店が多い。

クリスマスと言うと、すっかりリースが一般的になってしまったが、一本物のツリーを飾る人たちは少なからずいて、それもフェイクではなく本物のツリーが必要な人たちが専門店にオーダーをしてきている。家庭用はフェイクとリース、販促やらちょっとしたおしゃれな空間には本物のクリスマスツリー、このようにすみ分けてきている。切のクリスマスツリー市を見ていて、つくづく思うのだが、切のツリーの需要減とともに、ツリーを販売する市場の数はめっきり減った。だから大田市場はクリスマスツリーの大市をするが、他でやるところが少なくなったから活況になるのだ。

農水省卸売市場室が10月に出した第9次卸売市場整備基本方針はたぶん、宅配便やインターネットなど新しい商売環境の中で従来の卸売市場システムは大きな影響を受け、同じやり方をしていては存続することすら覚束なくなっていると警告を発して方針を出したのだろう。卸売市場は時代に適合できず、収益率が著しく低くなっている。卸と仲卸がいて卸売市場だが、青果の中央卸売市場の卸売会社の税引き前利益率は0.5%にも満たない。花も同様である。仲卸は2~3割が赤字である。花の仲卸は青果の仲卸よりもまだ良いが、本年は天候不順による不作単価高が続いているから大変だろう。少なくても1%の税引き前の売上高利益率が確保できないということは、その業界では合併するなり、新たな機能を身につけるなどして社会に役立つ存在にならなければいけないと言われる。

たまたま大田市場は魚と東洋一の青果を扱う青果市場が花よりも1年早く開場した。花き部が開場したときにはすでに日本の一流産地と各分野の一流小売店が大田市場を出荷や仕入の場所とした。だから花き部がそれなりに当初の計画を達成し、それなりに花き業界でも注目されるようになった。決して卸と仲卸の努力だけではない。まず地の利、そして卸売市場の機能を発揮させる人の利、そして大田市場は1990年の花博のときに出来たので花きが産業化するタイミングで時の利があった。このようにいくつかの幸運が重なったが、大田の後に開場した花き市場を見るといくつかの不幸が重なり、合併しても拠点化を図れなかった市場もある。もう一度花き業界の主役は生産者と消費者、準主役が小売店であることを認識し、あそこの市場に出荷したら儲かる、あそこの市場と付き合っていなければ状況の変化に的確に対応できない、明日が不安だと生産地と買参人に思ってもらえるようになっておく必要がある。

この第3四半期はもう一度地域に役立つ卸売市場としての機能と規模、そして数とネットワーク化を考える時としたい。人のことを考えられる元気なうちに一緒になるか、自分のことしか考えられなくなった赤字体質になってから合併のことを考えるかはえらい違いだ。二宮尊徳翁は我々に教えてくれる。貧乏な人も豊かな人もやっていることにはあまり変わりない。ただし豊かな人は今明日の仕事をし、乏しい人は今昨日の仕事をしている。我々は今、いつの仕事をしているのだろうか。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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