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2011年3月21日

コラボ消費

今日の立合は1時間40分で終わった。相場を戻したものもあるが、需要は浅い。
福島第一原発による放射能問題、前日指示される計画停電という名の停電で事業所や小売店、飲食店は計画が立てられないこと、自動車のガソリンと温室生産用の重油不足、自粛ムードによるイベント停止などがある。原発の問題が解決しない限り、正常にはならない。

春のこの時期、日本列島の花の需要は東北、北海道で30%、広く関東圏と言われる一都六県プラス静岡、長野、新潟で40%、残りの30%は浜松以西の需要であると言われている。現在7割の需要のある北海道、東北、関東で大きな影響を受け続けている。すぐには元に戻らない。時間をかけてゆっくりと正常に近づくと思うが、花き業界全体で見ると、地図が変化するかも知れず混乱が続くと言わざるを得ない。

さて、今日の話題はコラボ消費についてだ。今の言葉として、ハイパー消費とコラボ消費という言葉がある。リーマンショック以前は消費者として違いを見せることが大切で、自分だけ良ければ良いと、どんどんものを所有していた。地域社会のことを口では言うが、実際には地域社会のことなど考えず、そのために時間も使わず、自分や家族だけが良ければ良いと消費していた。それがリーマンショック後、サスティナブルな社会を作り上げること、子どもたちに未来をプレゼントする生産・消費活動をすることが必要だと気付いた。消費で言うとコラボ消費が大切だということに気付いた。またそれが格好良いと思ったり、コラボ消費こそ人間の消費のあり方だと思うようになってきた。コラボ消費の具体的なものとして、ファーマーズマーケット・直売所が世界中で増えて来た。プリウスがNo.1の販売台数になった。パリやロンドンで展開されている自転車シェアリングは今の社会での生活の仕方を象徴している。エシカル(倫理的な)消費など自分が出来ることをして、地球環境を良くしたい。コラボ消費はグローカルに考える地域社会人としての消費のありようだ。「奪い合えば足りず、分け合えば余る」という消費のありようで、「もったいない」や「お互い様」を前面に押し出したものである。これで事業規模が拡大するかというとそうではない。コラボ消費では生産量、消費量は大きく増えない。このようなコラボ消費が消費のあり方として定着しつつある中、大震災による花き業界のダメージだ。これは花き業界だけではない。ここでは花き業界のことだけ言えば、「足るを知る」をかみ締めつつある日本の消費者にリーマンショック後の今までとは違い、新しくコラボ消費の時代に入った花の提案をしていく必要がある。具体的に「差別化と値段」の切り口で言うと、良くて安い普通のものが、消費者が受け入れる基本になっていく。1・2月は日経平均で15,000円を狙うところまで日本の経済は回復すると期待したが、お金がこれだけだぼついても10,000円狙い。分を知った消費、「プリウス消費」が基本というのが今日のセリ場から読み取ったメッセージである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年1月10日

2011年見通し②

2011年の予測の第二弾、今回は「ターゲットは団塊ジュニア」についてです。

アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校のギウリアーノ教授とIMFのスピリンドーゴ氏の気になる研究成果が『競争と公平感』(大竹文雄著)に取り上げられていた。内容はちょうど高校や大学を卒業した18~25歳の頃、不況を経験すると「成せば成る」の努力よりも運の方が成功への第一条件になるというものだ。今期の就職内定率を見ていても、内定をもらえたかもらえないかを努力より運に求める気持ちもよくわかる。しかもそれによって内向き思考が大変多くなる。

この研究成果の正しさを裏付けるかのように、結婚式で披露宴までする人は半分近くになってしまったという。皆さんの身近でも婚姻届は出すが、結婚式に同僚を呼ばない方たちも結構いるのではないだろうか。推定でしか申し上げられないが、結婚式の花の大手の花屋さんに聞くと、「半分くらいが両家のご家族だけでおしまいにしてしまう結婚式ではないでしょうか」とのことだ。不況が長く続いているので、披露宴もごくごく慎ましやかな、花屋さんの出番のない結婚式が30万組近くもある状況が今年も続く。
葬儀の場もご案内のように自宅からセレモニーホールになり、そこも部屋が大きすぎることとなってしまったところが多い。

日本で所得格差があるというのは不況の影響、ITの発達でコミュニケーション能力が必要で考える仕事が多くなり割合と簡単な仕事は非正規雇用としたため、またグローバリゼーションの影響、そして高齢化、さらに離婚率の増加などに原因を求めることが出来る。その中でも、何と言っても大きいのは高齢化の影響だ。会社勤めでも40歳から所得差が出る。60歳以上はもっとだ。70歳以上はさらに所得格差が広がる。したがって所得の面からも葬儀は小さくなっていくことが予測される。冠婚葬祭とも、半分は花屋さんのお出ましがなくなってしまったのが2010年で、この傾向は更に強まるものと予測される。

今年の経済界は「政治に頼らない」とどの会社でも言っており、2010年は2009年の売上を超えたので、今度は2008年の売上を抜くのが今年だとしている。法人税が5%少なくなるので、これを設備投資の財源にし、相変わらずコスト削減の手綱を緩めようとはしない。しかしコミュニケーションのツールとしての花の贈答はほとんどゼロから復活しており、企業業績を見てもまたM&Aの活動を見ても、法人需要がまだ低水準だが少し期待できる。そして需要がしっかりしているのは何と言っても、リタイアを前にした団塊の世代の家庭需要、仏花需要だ。しかし、これだけでは2008年水準を越えられない。超えるには新たに花の楽しみを習慣付けていく団塊ジュニアをターゲットにした売場作りが必要だ。シンプルに生きる上で、決して高価でない、質の高い生活をするためには花と緑は欠かせない。効能をしっかり明記して団塊ジュニアをターゲットに販売をしよう。日本の農産物でこれだけの国際競争力のある産物は他にあるだろうか。原産地表示や生産団体の顔などをしっかり明記し、旬を謳って販売したい。それができないところは花き業界のどの流通段階にいようがふるいにかけられていく。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年12月20日

大きな流れになったETHICAL消費

道徳的、倫理的消費と言われる消費動向「ETHICAL消費」が盛んになって来ている。身近なところでは地産池消もETHICAL消費行動が下地になっていると見る見方がある。

日本のようにすでにポスト成長社会に入った国では、マズローの欲求段階の一番上の欲求である自己実現の欲求が自分の根源的欲求であるかのようにふるまう人たちが増える。高学歴になり、そうは気に入った仕事などあるわけないから失業率が高まるのだが、そういう成熟社会でETHICAL消費は一つの潮流となっている。「この自販機は地元のサッカーチーム○○を応援しています」として利益の一部をサッカーチームに寄付する消費だとか、食堂で利益の一部を貧しい国々の子どもたちの給食費として寄付をするだとかだ。

農産物はCO2を体内に取り込み成長する。野菜を多く取り、花のある生活を絶やさないようにすることは地球環境からもETHICALと言える。このETHICAL消費の対象物である生鮮食料品花きを生産するとき、生産者は今年よりも更にETHICALに農業生産する必要がある。それは花の場合MPSを批准するということになるのであろう。オランダはこうして地球環境を改善するという点からMPSの認証制度を開発してきたのである。花き業界も大きな潮流となっているETHICAL消費に応えられる商品やサービスを行っていく必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年10月25日

2010年度下半期の注意点

今頃秋の長雨のような天気が続き、国産のマツタケを美味しくしかも手軽なお値段でいただけるなんて季節が10日から20日遅れているような気がしてならない。


10月から下半期が始まったが、上半期とは勢いが違ってしまったことを肌身で感じる。花き業界の場合、本年2010年度上半期は2009年度を上回り、2008年度に近づく勢いがあったが、下半期の10月からは、少なくとも2009年度は上回りたい(取扱金額ベース)とする状況に変わってきた。その理由は、今年は国内の花き生産量が需要量よりも少ないのは日ごろ取引している市場関係者なら誰でも肌でわかっていることだが、需要に勢いが
なくなってきたことだ。

①マクロ経済が悪い。株価が下がっている。花の売れ行きにも60歳、70歳代の株式保有者がすぐ反応するようになって来ている。少なくとも日経平均で1万円台に回復してもらわないと花を買う意欲に陰りが見える。

②ここのところ目立つようになってきたのが花き業界にあっても他の業界同様、従業員5人以下の小規模な花店の経営状態が悪化しているということだ。むしろ家族だけでやっているところの方がコストを切り詰めて、良い経営をしている。小規模小売店はリーマンショック以降ロスを少なくし、品揃えを豊富にするため、仲卸の利用率を高めた。しかしここに来て、品揃えでも仏花を中心にしていた店はスーパー等の仏花売場との競争で「ついで買い」出来るスーパーの仏花売場に負けることが多くなってきた。専門店である花店は、やはり「新しい花との生活」が提案できる。弊社が考える商売の常道「創って作って売る」が出来なければ、客が離れるのだ。これが目立ってきた。卸・仲卸からすると、売掛金の回収に一層気を配る必要が出てきた時代となったのだ。


この下半期に上半期と違い気をつけたいのが、円高で輸入品はしっかりある、しかしコンスタントに品質の優れた花を出荷してくださる商社と取り組まないとだめだということだ。円高故、いろいろな業者が花を輸入する。市場外流通で捌ききれなかったから、急遽卸売市場に出荷してくる業者もいるのだ。これで相場が崩されて次の日が安値で始まったり、軟調市況が続いたりするときがあるのだ。

卸売会社はこの下半期経営的には①売掛金の回収、②信頼のおける輸入商社との取り組みに注意を払い行動することが大切となっている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2010年9月13日

コミュニケーション能力を身につけよう

 8月20日からこの3年間で最低の単価水準に陥っていたが、来週の20日からの需要期を前に単価がジリジリ上がってきた。仲卸通りの人も多いのに、入荷は前年より1割以上も少ない見通しでお中日が終わったら彼岸用の荷が出てくる予定で、猛暑による開花遅れを恨むしかない。8月は猛暑による売上減を様々な小売業界で経験したが、IMFは10日の経済見通しの中で、先進国の金融不安と個人消費が低調でデフレになることを懸念しており、今年後半から来年の最初のころにかけての経済予想を当初より一段低く見ている。切花は2008年度以上にならないもののようやく昨年を上回った。しかし、鉢物類はここ3年で最も低調な市況で、花き業界は雨のち曇りとなりIMFの景気予想は今秋冬期に不安材料を投げかけている。
 しかし頑張るしかないわけで、仏花需要は健在なので他のカテゴリーの消費がさらに活性化するよう30歳代、40歳代、50歳代この層にポイントを絞り販促活動を強め、取引先の生産者に再生産価格を必ず返していきたいと考えている。今までより思いを強くしているのは、ここのところの円高で法人税が少しくらい下がっても工場の現地化は避けられないということだ。だから日本の職を維持していくためには1次産業と第3次産業を活発化させることが必要で花き産業をもりたてることは第一だが、職場を作るという意味から1次産業の農業と第3次産業の花き流通業を活性化させる役目があると考えている。
 90年代から工場が消費国に移転し、いわゆる現地化がなされているがブルーカラーの雇用が減ったことはとても大きい。公共投資が少なくなって建設労働者の職が減ったことも、大手サービス業がチェーン展開し個人商店が減ったことも、さらには2010年の農業センサスにもある通り5年間で70万人以上の農家が減り漁業者が減ったことも職場の喪失としてとても大きい。今挙げてきた職場はいずれも対人関係を中心としない職業で、それらが少なくなった分、日本の職場はホワイトカラーとか販売やサービス業という対人業が圧倒的に多くなった。だから日本ではうつ病の人が多くなり、その数は100万人~300万人いると言われ、それは職種がいずれも人間関係の上に成り立っている仕事になったからだ。大田花きでも月に1回産業医の先生が来てくれて社員の健康問題を指導してくれている。健康診断でも心の病を診断項目に入れるという動きもある。
 先進国として日本はホワイトカラーや販売サービス業の対人折衝をする仕事が多くならざるを得ず、国際化すればするほど外国人を使う立場の人たちも増えている。文化の違いを含めどのように日本人は対人折衝能力を高めていけばよいか。それは多様性を是とし、違いを違いとして互いに認め合い、共感して思いやりを持って接する他ない。思いやり、謙虚、素直、言葉で言うのは簡単だが少なくとも適材適所。職を2つに分けるとすれば、対人折衝が得意な人、得意でない人に働く場所を分けて当面やっていくことであろう。そして日本は多くの商社マンの能力開発にならい、自らのコミュニケーション能力を鍛えて国際化にふさわしい日本人として仕事をしていける道を選んでゆくことが必要だ。コミュニケーション能力が共感と思いやりに基づく能力であることをもう一度認識し、本来持っている日本人の良さ、"お互い様""武士に二言はない""有言実行"をしていこうではないか。日本社会の中で産業構造が早いスピードで変わっていっている。それは売るのが難しくなっている花き業界も同様である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年10月13日

株価が下がっても、いたずらな心配をしないでください

日曜日に政治が作られると言うが、ここのところは各国の首脳が共に経済政策を協議し政策合意を発表している。こうして株安の恐怖心を取り除こうと躍起になっている。経済は車で言えばエンジンで、政治はハンドルだから政治が中心になって全体を再度落着きのあるものにしようとするのである。
現時点での花の消費動向を見ると、次のエピソードが物語っているような気がする。昨日の東北道や中央道はガソリン代が下がった事による安堵感から紅葉狩りに向う車が大変多く、行きから渋滞していた。確かに安近短かもしれないが東京ディズニーランドやお台場の人出もすごかった。去年と比べてどうだったかわからないが、よくもまぁこれだけの人出があるものだ。というところである。
うちの近所の蕎麦屋で愛知屋というところがある。それ以外にも旧東海道の立会川近くの吉田家という蕎麦屋も有名で、土日の昼は中高年で賑わっている。江戸前の蕎麦屋は酒処だから夜は年配の酒好きでいっぱいだ。なぜこんなに人がいるのだろうといつも思う。安い訳ではないが、とにかく美味い。だから割安だ。すなわち人はお金を使う。花と生活をしている人は花を買う。確かに花の需要は1割やそこら下がっているかもしれないが、1万円以上の花と言ったら胡蝶蘭や葬式の籠花ぐらいでほとんどが手軽な値段だ。だから株価の暴落で年配者の需要を心配する向きがあるが、そうは心配いらない。それが年配者の出入りする所で食べたり、買ったりした小生の実感である。花は日本人のライフスタイルに根付いているのだ。だからいたずらな心配はしないでもらいたい。

これから金融不安真っ只中のオランダのフォーティーフェアーに行ってきます。来週は今年の傾向をお話できるだけでなく、単価水準やオランダ花市場の対応についてお話できると思います。
それでは行ってきます。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年12月 3日

昨年の冬より輸入品が増加する見通し

円が相対的に安かったのは金利のためであった。外銀が円を低金利で調達し、円を売ってドルに換える。あるいはユーロに換えるなどして投資を行ういわゆる「円キャリー」が、サブプライムローンの焦げ付きから急速に減ってきているという。為替を見るとドル全面安で、「円」は1ドル110円を割り、気の早い人は昔80円だったことを思い出し、そういった発言をする人もいる。

花の輸入に限ればマレーシアは準固定相場制だから、マレーシアのSP菊やラン、ハモノ類は円が弱かった時期もコンスタントに増加してきた。しかしユーロ圏内のオランダやイタリア、そしてイスラエルなどは品目を絞って細々と取引が続いていた。ドル決済が中心の太平洋諸国も日本円が弱く、日本の花の単価も上がらないので、日本への輸出は先細った。それがここのところの「円キャリー」が少なくなって「円」が1ドル110円を割るようになると、そろそろ日本向けを考え出そうとするアジア太平洋地域のシッパ?もあると聞く。国内では油高で1?3月の出荷量が前年を割り込むと予想されており、昨年よりも日本への輸出量が増えてくる可能性がある。もっとも中国「元」がここのところで一番高くなっているから、中国からの輸入量が急増するということはない見込みである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年4月23日

利益と資金繰りが勝ち負けを決める

21世紀の日本では会計や経理、お金の問題についてなどの本がよく売れている。「さおだけ屋・・・」や「なぜ、社長のベンツは・・・」、はたまた「女性の・・・」など、本屋に行くとかなり読みやすい入門書がある。

営業力があっても、何か新しいものや新しいサービスが思いついたとしても、結局経理の知識がなければ会社は存続しえない。起業しても10年間で7割が消え去っていくわけだから、お金のことがわからなければ、またお金の動きから企業活動が見られなければ会社は存続し得ないのである。

何もそんなに難しいことではなく、独り者にしても家族のいる者にしても、家計を営んでいるはずで、そこでは収支をつけて黒字にして生活をしているはずだ。事業もそれと同じようにすれば良い。事業を営む上ではビジネスをやっていくわけだから、当然ビジネスの勉強をしなければならない。花屋さんで弱いのは、このビジネスをお金で置き換えて見るという見方である。日次決算でも、週次決算でも、月次決算でも、ちゃんと決算金額から、自分の姿を映し出してPlan do check actionすべきだ。花屋さんだけでなく、花き業界全般といっても良い。そうでないと銀行への金利を支払うのが仕事になってしまう。僕自身は、お金は貯めてから投資をする、回収してからまた投資、こう考えて経営をするのが性分なので、結果として黒字が続き、手数料自由化前に大田市場が地震に遭い、しばらく閉鎖しても、その地震が原因で、会社を倒産させないで済みそうだし、卸売市場の自由化でビジネスチャンスを物にするため手も打てそうだ。“備えあれば憂いなし”で、キャッシュを大切にする経営は、僕は小売ではないが、一番重要だと考えている。会社は作るときは企業家のものでも、出来てしまったら社員と取引先と株主、それはいわゆる世間様のものだから、そんなに簡単につぶすわけにはいかない。

消費者は本能的に家計を黒字にすべく、行動をしている。もちろん一時の情動に駆られる、気分で消費するといったことがあるだろう。でもこの気分まで含めて、かなり経済合理性はありそうで、かしこい消費者である。そうなると、小売店は時代に合わせて内装や外装を変えたり、場合によっては出店したりしなければ売上を維持・発展できないから、当然、積立金を別途用意しておかなければならない。このような経営に則った施策が欠かせないわけで、もう一度花き業界の人たちは経理を勉強して、予算管理を徹底する必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年2月 5日

規制緩和の理由

 政府の規制改革会議は毎週300程の案件を俎上に乗せている。
皆さんはウィンブルドン現象と言うのをご存知だろうか。ウィンブルドンではイギリス人以外の人たちが活躍しているが、それを運営し世界に発信しているのはイギリスの人たちだ。すなわちプレイヤーは違うがイギリスが稼いでいるのである。この規制緩和に伴うウィンブルドン現象がもうかれこれ10年以上もイギリスの経済成長に貢献している。前年よりも絶えず伸びているのである。このウィンブルドン現象は中国の経済成長の一因でもある。外資や合弁を入れ、成長してきているのだ。とすると、少子高齢化で生産人口が減るとされる日本において、どのように国力を保ち発展させていくか。

その答えの一つが外国のプレイヤーたちが日本に投資を入れてくれることだ。そしてもう一つは、日本の工業の物つくりの力は国際競争力が高い。他に我々市場のサービス業や農業の生産性は韓国よりも劣るとされているが、この生産性をあげていくことだ。この2つを行うことによって移民を促したりしなくてもやっていける。このように政府は考えているわけだ。だから海外からの投資が得られるよう、国際的なルールに則った透明感のある会社の財務諸表やJ-SOX法による内部統制、そして外資による三角合併などのルール化を急いでいるし、花の卸売会社の手数料自由化の問題なども話し合われている。いずれも参入障壁を低くし、利便性を高めようとするものだ。確かに日本のインターネット網や現在行なわれている携帯電話競争はカスタマーベネフィットをもたらし、生活の質を高めるものである。規制改革は優勝劣敗となり、並行してセーフティーネットを作るためには税負担が必要となる。企業が税負担するのか、個人が税負担するのか、それはチョムスキーが言っているように、企業は国際人であり、ケイマン島などに握らされてはたまらないから、個人負担するという構造が良いであろう。

友人のドイツ人から電話があって、日本の花が花束にしてもアレンジメントにしても同じ5%の消費税であることにビックリしていた。形状によって、付加価値によって、税が異なるのが嗜好品の花では当たり前なのに、その点だけを見ると日本の花き業界は恵まれている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2006年5月 1日

信条としている原理で

 昨日、今期最後のスキーに越後湯沢へ行った。上毛高原も越後湯沢もソメイヨシノがちょうど満開で、今年はお花見を何回もしたことになる。
昨年の4月は、母の日がゴールデンウィーク直後ということもあり4月の下旬から相場が高揚していったので、今年の4月は前年実績を大きく割り込んだ。予定通りといえば予定通り前年を下回ったわけだ。5月は14日が母の日と最も長い前哨戦を送るので、小売大手各社は昨年よりも2割多い取引量を予定している。4月が落ち込んだ分5月に期待したい。

さて、ビジネス誌を多く出版するダイヤモンド社が『世界を変えたビジネス思想家』という本を出版しているが、その本の最初にクリス・アージリスが載っていたので思わず買ってしまった。
 大学時代は経営学部であるにも関わらずほとんど経営学の勉強はしなかったが、唯一このクリス・アージリスだけは学んだ。経営者に向かって従業員に対して、確かこういった本の題名だったと思うが『人間をこう見てほしい』と訴えた経営学の本に惹かれ、アージリスにのめりこんでいった。経営学について他に勉強しなかったから、当然アージリスの考え方がいつの間にか自分の考え方になっていて、「言うは建前、行うは本音」など僕はこれを自分で考えたことだと思っていたが、アージリスの著作を読み返してみると、前者は「信条としての原理」、後者を「実用のための原理」と呼んでいて、僕はアージリスの受け売りをしていたのだと気付いた。
 立派な理想とする原理を体得したとしても、先月の4月期のように10%以上売り上げが落ち込んで利益が出にくくなると組織が生きていくために実用のための原理が働き、生産性をいかに高めるかという議論でなく、経費をいかに削るかという実用のための原理ばかり働いてしまう。会社という組織はこのように過去の経験が役立ちにくい組織で、いかにして信条としている原理(この場合生産性を上げること)に経営資源を集中させて、うまくやるかを考えることが必要だ。結局、組織自体が学んでいこうとする文化をもっていかなければならない。なかなか難しいことであるが、信条とする原理に基づき、会社や業界を運営していくことこそ、健全な社会が出来上がっていく道であろう。花き業界の各組織体も、本音と建前を使い分けるのでなく、どのように信条としている原理で行動できるかを考え、社内文化を改造していく必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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