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2014年2月24日

いざとなった時に頼りになる卸売市場

大田市場の花き部に植えられている河津桜がようやく咲き始めた。毎年河津桜の咲く時期と世界らん展の行われる時期がほぼ同じで、一足早い春を先取りする。今年はバレンタインデーの大雪で、河津の観光地も世界らん展も来場者数が今一つだったと聞く。一週間経って、ようやく平常に戻りつつある。
今年の世界らん展のチャンピオン(日本大賞)はエピデンドラム。我々花き業界でも流行の最先端を行きつつあるが、世界らん展でも同様で、特に大賞受賞作品は本当に立派で美しいものであった。読者の皆さんにも、是非機会を見つけてこの花の写真を一度見てもらいたい。

今回の大雪で静岡・長野・山梨、関東地方から福島・宮城に至るまで、農業用ハウスに甚大な被害が出た。花市場より一足早く青果市場では、関東地方からの供給が細り、相場は高くなった。2011年の3.11の時と同様、西からの産地の荷物の入荷を促して、首都圏の人たちに安心して食生活を行ってもらうべく、東京の青果市場は供給に努めたが、日頃は市場外流通や市場流通でも契約取引の業者などが、急遽市場取引に戻った形になり、困った時の卸売市場頼みで青果市場は高騰した。

花は供給も少なくなったが、需要も少なくなって、19日の水曜から小反発。21日の金曜に強含み。そして、今日から青果と同様の供給需要構造となり、関東の主要花き市場は強めの市況が続くことになる。強めといっても、4月からの消費税値上げで消費者は大型の買い物にお金を使う予定だったり、既に使っていたりしているので、上物の市況は変わらず、中位下位品が高くなって平均単価を押し上げる様相を見せている。今後は西南暖地など、西の産地の物の激しい荷引き合戦が展開されることが予測されており、関東地方の市場にとって母の日以降の産地である長野県・群馬県・栃木県・福島県にも甚大な被害が出ていることを考えると、7月の東京のお盆頃まで激しい荷引き合戦が行われることを想定しておく必要がある。

花き振興法が国会を通る予定の本年を"花き産業再生元年"と位置づけ、活性化に尽力する予定であるが、決して順調には行かないことが2月の2回の降雪で分かった。しかし、例え供給マイナスからの出発でも、生産者と苦労を共にする気で卸売市場は頑張っていくので、是非とも業界人の物心ともに具体的な支援をお願いする次第である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2014年2月17日

消費者は二度評価する

 今回の太平洋側の降雪は、前回よりも湿った重い雪で高速道路の閉鎖だけでなく、産地においてはハウスの倒壊など、甚大な被害を及ぼしている。しっかり調査をし、被害にあわれた生産者の方と今後の対策を検討していきたいと思う。

 先週の金曜日、14日はバレンタインデーで、フラワーバレンタインを頑張っているお店は大雪の天候の割には売れたという報告を数多くいただいた。
 バラと季節の花をバレンタインの花として販売していたところが多いので、先週とある小売店で購入したバラが咲かなかった話をしたい。家内が買ってきたのだが、40センチの黄色いバラで品質が良く、葉の緑も濃く良く締まっている国産のものだと見立てした。切り前はかたいが、栄養剤をやり、上手く手入れをすれば咲くと思っていた。しかし、そのバラは咲かずに終わった。最後まで花首もしっかりしていたので、ベントネック現象(花弁から数センチ下の花梗部がしなり、花が首を垂れたような形になること)が起きたわけでもなかった。このバラはどこの産地のものだったのだろうか。

 輸入バラも輸入商社の方々が検品し、水揚げをして出荷してくれている。購入した花が咲かないというのは消費者はがっかりする。消費者からいうと、原産地表示をしてほしい。産地で荷造りする時、花弁がやや傷む心配もあるかもしれないが、花芯が緩んだところで出荷してもらいたい。この2つを守ってくれるとバラの需要が更に増える。

 フラワーバレンタインで一番の売れ筋である赤バラを恋人や奥さんへ贈り、その花が咲かなかったとなると、我が花き業界は何の為にフラワーバレンタイン運動をしているのか分からなくなる。
 我々が日々取り扱う花の消費拡大を図る為には、"買ってもらうプロモーション"と品質をもう一度チェックし、"購入後にお金を出して良かったと思える品質保証の取り組み"、消費者は買う時、買ってからの計二度評価することを肝に銘じて花の仕事をしていきたいと思った。

投稿者 磯村信夫 : 12:28

2014年2月10日

団塊ジュニアが活躍する花きマーケット

 先週末の爆弾南岸低気圧の影響で、今朝の入荷が終わったのは、日の出の時刻。高速道路が止まっているところもあり、搬入搬出とも苦労した一日である。

 先週の火曜日4日は立春。この日に「第55回日本花き生産者大会ちば」が千葉県館山市で盛大に開催された。
昨年の花きの売上高は、卸売市場ベースで、1990年に大阪府の鶴見で開催された「国際花と緑の博覧会」以前と同じ規模になってしまったので、こんなことでは駄目だと、今年は種苗から生産、小売業界も「反転の年」と意識の中では思っていた。議員立法で花き振興法が今年国会を通る見込みとなって、花きに携わる種苗、生産から市場、小売りまでの業界人、文化である生け花やフラワーデザイナー、庭や盆栽、そして公園などに至るすべての花きの方々は、2014年を「花のルネサンスの年」と位置付け、本格に取り組んでいこうとしている。この熱気と意志がちば大会で発表され、「OK,やってやろうじゃないか」と同意された。

 日本花き卸売市場協会では、生産者に呼びかけ、生産拡大をお願いしている。また、市場に買いに来ている小売店の方々に働きかける。もっと沢山売ってほしいとお願いし、その為の助力を惜しまない。このようなことを花き市場では、本年本格的に行うことにしている。
 私ども大田花きのお取引先との取り組みは、35歳から50歳前半までの生産者と小売店の社長たちとの取り組みを計画したり行ったりしている。業界挙げてのこれらの取り組みのシンボルは、フラワーバレンタイン推進委員会の諸活動である。予算も少額なのに担当者は手弁当で商品作り、話題作りなどマーケティングを本当に良くやってくれている。この活動を手本に大田花きでも特定の生産者と小売店と共に消費者が使うシーンをそれぞれ想定しながら、マーケティングして行こうというのだ。

 花き業界は、1991年の日本バブル経済崩壊後も順調に推移した。この間、若き優秀な人が沢山花き業界に入ってきた。種苗から生産、市場、仲卸、加工業者、小売店というすべての分野で優秀な若い人たちがいる。この人たちは21世紀に入ってデフレ現象が起きたことを受け止め、自助努力でその中で発展していく術を身に付けている。そういう人たちは沢山いる。この人たちに面積を広げてもらい、沢山作ってもらう。この人たちに花店を数多く出店してもらい、沢山売ってもらう。これが花のルネサンス第1年目にやることだ。何故か?ヨーロッパは団塊ジュニアも親の世代同様に花を生活の中に取り入れて楽しんでいる。しかし、日本は「失われた20年」で団塊ジュニアが花を買ってくれる人が少ないのだ。作る方、供給する方が同じ世代なら消費者の気持ちや好みが分るだろう。そうだ、フラワーバレンタインに続けだ。花き生産者たちが熱き思いをぶつけた第55回日本花き生産者大会に出席した帰り道に思ったことである。

投稿者 磯村信夫 : 16:29

2014年2月 3日

小口の花は運んで貰えなくなる?

 先週の木曜日(1/30)は、ガーラ湯沢スキー場で滑っていた。"今日はリフトがよく止まるな"と思いながら、その原因を係員に聞くと、「アジアからのお客様が多いので、降りるのに慣れておらず、リフトをゆっくりしたり止める回数が多いのです」とのことだった。
 そういえば、下山コースを滑ってゴンドラで往復すると、数回に一回はアジアの方のグループと一緒になる。一家で来ている人が多いが、この間は香港かシンガポールの大学生だと思うが、アジアの英語かと思ったらイギリスのイントネーションでもなく、綺麗なアメリカ英語で会話をしていた。旧正月の休暇で、ガーラ湯沢スキー場もニセコや蔵王のように国際化している。
 
 国際化しているのは観光客だけではなく、日本の花もアジア圏の旧正月に向けて多数輸出された。20世紀末は、シンピジュームの鉢が中心だったが、今は切花が多くなりつつある。
 大田花きは、仲卸の仕事のバックアップとして、アジア圏の問屋との取引きを開拓しており、仲卸間の日本の花輸出ビジネスとして、今年の感触ではかなり期待出来るのではないかと思う。
 ちょうど2月というと、来期に向けての経営計画を策定している最中だが、昨年の4月より金融円滑法がなくなり、大田市場でも仲卸が1件廃業するということになったが、日本花き卸売市場協会首都圏支所の管内でも経営状況が思わしくない所が出てきた。
 イーコマースが益々盛んになってきて、箱の大きさが違ったり、逆さまは勿論のこと、横に倒してもいけない花は運んで貰えないという大手宅配業者があって、その動きが本格化してきた。どう運ぶかというのは来期の大切な課題だ。
 花は軽くて高価なものとして運送業者に優遇されていた時期があったので、箱の大きさもまちまちのままだ。こうなると、輸送効率だけでなく、産地集出荷場内の物流や共同荷受所、卸売市場の場内物流も今やコストが掛かり過ぎてしまうものになっている。
 我々花き取扱業者の考え方はすっかり時代遅れになってしまっていたのだ。大田市場では、仲卸業者のお客さんへの宅配便に困っている。特に水入りバケツ等は、水を抜いて再度荷づくりしなければならないのでコストがかかる。もう一度、荷姿の規格化、ダンボールや鮮度保持の仕方など、抜本的に考えなければならない時期となっているのだ。輸送効率に合わせた箱の規格、逆算して中身の規格を運送会社や物流機器メーカーの意見を取り入れながら、再統一する必要があるのだ。
 
 20世紀のまま仕事が出来るはずがない。我々はガラパゴス化しているのだ。問題点を発見した段階で具体的な施策を、しかもグローバルスタンダードの規格で考える必要がある。これは早急に取り組まなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 13:04

2014年1月27日

単なる物を販売するだけではいけない

大森の池上通りに地元の食品スーパーがあり、郵便局のすぐそばにご年配の人達を主要のお客様とした百貨店がある。そして、その隣にコンビニがあったが、目の前に「マイバスケット」ができたため、コンビニが立ち行かなくなったのだろう。閉店した。その場所に二つ目の「マイバスケット」が入った。

大森の駅から10分以内の所には、たくさんの食品スーパーとGMS、駅には複合店などがある。こんなにいっぱいあって、皆一所懸命に物を売ろうとしている。しかし、消費者である我々は物が溢れれば溢れる程、何かが不足していると感じ、満ち足りた気持ちになれないでいる。プライベートブランドと言ったって、価格遡及や利益遡及ばかりして、安さや効率、そしてシェア争いだけでは何か違うように思う。

そう感じていた時、家内が品川駅そばの花の専門店で花を買ってきた。そこのご主人は販売する花にこだわりがあると言う。珍しいカーネーションはご主人が大好きなカーネーションで、特別な物だそうだ。生産者のこともよく知っており聞いてきた。スプレーのストックも、何かそこにこのような産地や産地のこだわりなどがあり、もちろんお店のこだわりも聞いてきた。そして、一緒に飾ってあるユリもこだわりのユリで、それも家内は何か聞いてきたことを言っていた。

2週間近くなるというのに、買ってきた時から綺麗だったが、それがますます玄関で綺麗に咲いている。満開になっている今の美の調和も素晴らしく、満足に浸っている。この満足は、その品川のお花屋さんのこだわり、そして、満開になった時まで考えた取り合わせや造形のプロとしての腕、さらに、全ての蕾まで咲かせるだけのそれぞれの生産者のこだわった生産技術、想い。そういうようなものを一緒に家内は入手してきた。花の一本一本に物語があるのだ。

B to Bの卸売市場と仕入れるお花屋さんとの間ではブランドや序列があるかもしれないが、素人の私の家内にはそんなことはわからない。それをそのお花屋さんはしっかり教えてくれて、良い花を家内に持たせてくれた。この対極に、ただ単に売らんかなとしている販売方法や、その店が取り扱っているただ単の物という商品がある。価格志向と効率化などは個人の中にある価格の二極化指向で必要な販売方法であることはわかる。また、プライベートブランドを悪いとは言わないが、匿名化し、物語が何も感じられない。ここに日頃毎日生きている我々の不安や満足しない何かがあるのではないか。

不満要因と満足要因は違う。満足要因は達成感や認められることだ。小売店は、確かな利益は酸素のようなもので欠かせないが、花と一緒に過去と未来の物語を売っていくことが必要なのではないだろうか。

卸売市場からすると、共撰共販の場合にも生産者の個人名を箱に書く。完全共撰の場合には、完全共撰などと書かず、共撰所で選別した旨のメッセージを入れる。買ってくれたお花屋さんへ伝えるため、写真やメッセージを箱の中へ入れておくなどの繋がりや物語を彷彿とさせるメッセージ、情報を産地に入れてもらうことが必要だ。これは、買った人に空虚感や何か不安感を持たせないための積極的な措置である。こうして、お店は繁盛していく。

投稿者 磯村信夫 : 15:51

2014年1月20日

もう後へは引けない

 文庫本になった池井戸潤氏の「下町ロケット」を読み終えた。舞台は大田区でも大森の隣町、上池台だ。私は生まれも育ちも大森で、明治の大老たちが住んでいたお屋敷町の大森・山王と優れた町工場が多い海側の下町の両方に友達がいるが、町工場の社長をしている友人が言っているのとほぼ同じようなことを主人公の佃社長は言っていて、時間を忘れて読みふけった。
 佃社長のように格好良い社長は私の友達にはいないが、中小企業の悲哀をなめている人たちも多い。だが皆、寅さんに出てくるタコ社長の会社と同じように楽天性を持ち合わせている。小さい会社ならば、山椒は小粒でもピリリと辛くないとやっていけない。技術もそうだが、人格もそういう輩が多い。
 中小零細企業というのは、農家の方々と接していてもそうだが、本当に素晴らしい人が多い。とある町工場の友人から言われ、私も仁徳を積む為、バーでは必ずジントニックを飲む。

 さて、仕事の話をする。ここ2ヶ月で、西南暖地と言われる産地に行った経験からだ。
 東日本大震災が起きた2011年3月、昨年の2013年3月。
3年間のうち、2回3月市況は暴落し、生産者はお金が取れなかった。なので、例えば切花チューリップ。4月からは商品の魅力が少なくなってくる。新潟、富山、埼玉ともに作付けは本当に少ない。チューリップほど種苗費が高くないものでも、暮れから3月までをメインにしている品目を作っている産地は作付けそのものが少ない。
 この1月、なぜ出荷量がこんなに少ないのかと産地に問うと、「寒さが厳しく、油代が高くて」と言うが、それよりも3年間のうち、2回も収入が得られなかったので、作付けそのものが少ないのだ。だが、確かに他の花よりも少し低温でも収穫できるスイートピーはそれなりに出回っている。
 また、沖縄県のように主要2団体が農家の赤字救済の為、低利融資や国や県の助成金を使ったりして限られた範囲だが、花き生産農家に何らかの支援策をとっている所は、生産をやめないでくれていて頑張って今年も作付けている所もある。
 しかし、これは例外といって良い。関東の近辺であれば、南房総や伊豆を見たら良い。我々花き市場はエールを送っているが、過去3年のうち、2年間も丸っきり取れなかったから、生産を減らしたことで産地を責めるわけにはいかない。
 
 今現在、寒くて需要も減退しているが、それよりも入荷が少ない状況が4月の入学式の頃まで続く見込みだ。今出荷をしている生産者の荷を適切に販売し、お花屋さんや花束加工業者を通じてこんなに消費者に喜んでもらっていることを伝えていきたい。
 今年は消費税が上がるので楽観視は出来ないが、悲観的になり過ぎる必要もない。何せ節分から特にバレンタインから母の日までは花と緑の商品価値が最も高い時期だ。お花屋さんたちに頑張って売ってもらって生産者にこの冬は花を作っていて良かったと言ってもらえるよう、花き市場は頑張って行く。

投稿者 磯村信夫 : 16:24

2014年1月13日

2つのインパクト

 今月末の旧正月で需要が高まっているのであろう。アジア諸国からのラン、菊、カーネーション、バラ、ユリ、葉物の輸入品が少なくなってきた。今年は、日本からもアジア諸国へ向けて輸出が洋ラン鉢、切花とも一定量あるだろうと期待する。
 
 さて、本年日本経済に及ぼす大きな影響は、消費税アップとTPP問題である。消費税アップは、少子高齢化で今まで日本を支えてきてくれた老人に対して社会がお世話するのは、当たり前だと思われるので税負担は止むなしとするところだ。これからも税率が上がっていくことが想定されるので、業者はしっかりと転嫁出来るように、また表示方式は外税方式にして行くべきだ。来年度の第1四半期は消費が鈍ることが想定されているが、品目も期間も日本経済に与える影響は限定的なものになると言って良い。
 
 TPP問題は、日本の国民一人当たりの年間所得は4万ドル以上であるので、安い人件費の国で作られた品物と真正面からぶつかってくる。そういう状況で競争するとなると、少子高齢化の中で、IT等を使いシステム化、ロボット化する等、合理化・省力化が欠かせない。また、普通の産業でも新しいやり方をする、新しい物を作る。或いは文化的なもの、芸術文化を創っていく。そして、海外から観光客に来てもらうべく、日本をフランス並の観光立国にする。
 
 せっかく高齢化で最先端を走っているので、四苦(生・老・病・死)に関わる産業を更に深め拡大し、そのソフトを輸出する。また、優秀な人を招くことが必要となる。言いたいことは、今までの内向き、後ろ向き、下向きではいけないということだ。従来の無駄なこと、不合理なことや日本人の価値観でフェアではないことを改善し、国として生きていくということだ。
 
 人に言うことを聞かせる為には、武力や軍事力、経済力、人徳や文化の力、この3つを兼ね備えていかないと人として国として未来を確実なものには出来ない。花き産業も同様で、国や地方自治体の援助がなくても他産業に打ち勝っていくだけの強い生産力と販売力、経済基盤の力、そして文化の力が必要だ。それらの力をつけていくのが今年だ。各自、実行力、資金、人徳を心掛けて行こうではないか。

投稿者 磯村信夫 : 15:47

2014年1月 6日

人の若き頃の決心したこと

 2014年、第2週の今週から、平常の生産・消費活動となる。マンションのゴミ置き場で、宅配便により届けられた空ダンボールが目についたが、年末は最後まで、御節料理を届けるなど宅配業者が活躍していた。

 時間指定ができる宅配業者も時間に間に合わず、同系統の輸送会社が産地から荷を運んでくるのも延着となった。宅配便を事業にしているところは、これからもeコマースで大忙しとなり、花のように横積み厳禁だとか、水が入っているだとかいうものは、扱ってもらうのに一苦労する時代となっている。JFTDは再度花屋さんネットワークの業務に力を入れるときが来ており、再度ビジネスチャンスが来ていると私は見ている。

 12月の小売店の業績を聞いてみても経営者が若いところは、伸びている店が多い。中には、"父親の代の5倍の事業規模まで持って行く"と、頑張っている若き経営者もいる。もちろん若くても花の商売を甘く見て、荷を残しているところもある。概して言えば、団塊の世代以上の年齢の経営者は、縮小均衡だ。

 年末から正月にかけてつくづく思うことは、志のことだ。ファーストリテイリングの柳井氏や、ソフトバンクの孫氏とは比べものにならないかもしれないが、業績を伸ばしている小売店に共通するのは、"辛苦に遭逢するは一経に起こる"ということだ。色々と苦労するのは若い頃に立てた志によって定まった運命である。安倍総理もそうであろう。成功とはいうが、新たに苦労を買って出ているだけのことだ。
 その為には、特に若い力がどうしても必要だ。年老いても若き心が大切だ。こういう人たちは、花き業界に多くいる。この人たちと具体的に組んでサプライチェーンを作り、仕事をして行くことが大切だ。このことを正月に改めて思い、具体的に実行するプランをこれから練って行く。

投稿者 磯村信夫 : 10:42

2014年1月 3日

いつも気になる売場作りのお手伝いを

 明けましておめでとうございます。
 本年は、首都圏の花売場を「いつも気になる花売場」でいて欲しいと思い、それに向けて魅力的な素材流通だけでなく、小売店への支援をしていきたいと考えております。
 
 首都圏の花き市場として大田花きではいくつかの取引方のうち、在宅セリでの成約の伸びが最も著しくなっています。
花の商売の難しさは、工業製品ではないので、品質の見立てをするにはプロの目が必要だという点であります。それゆえ、花束にした時のデザイン力だけではなく、素材そのものの見極め方が正しいと、例え夫婦二人で花屋さんをしても十二分に繁盛店になって行ける商売です。これは、花の仲卸や花束加工業者、アレンジャーにおいても同様で、目利きである必要があるのです。
 情報売りのセリ前取引や在宅セリで懸念されるのは、プロの目利きの人がそれらを利用するのなら良いのですが、成長過程の若い人にはセリ前取引や在宅セリは弱点となるのです。これら情報取引は分かっていることしか行わない保守性があるからです。
 目利きは、日本の花き業界で生きていく為の必須条件であるとすれば、情報売りや在宅セリを利用する人は、三現主義【現物、現場、現実】を週に一回は体験しておく必要があります。栽培上の気象条件は、近年振れ幅が大きくなっています。
 お客様の手元では常温で管理され、鑑賞されるわけですから、いくら鮮度保持をし、コールドチェーンが進んでるといっても、その植物体そのものの持つ生命力を見極めないとお客様を失望させることになるのです。

 私共が売場を活性化させる為には、お客様と接する小売店の意見を良く聞き、私共から産地の生産状況や新品種状況を伝え、共に勉強し合って、プロの目が品揃えしたものを陳列し、いつも新しく目が離せない売り場にしたいと思っております。
 これが地元、首都圏の花き市場として、大田花きが仲卸と一緒に行うべき本年一番大きな仕事です。
 本年も宜しくお願いいたします。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2013年12月23日

お正月まであと1週間余り

 第3四半期の最後である12月は、ちょっと変わった相場展開をしている。この3ヶ月の経過はこうだ。強気だった上半期9月が終わり、10月は週末に台風が必ずと言って良い程来て、花全般が失速。11月は天候に恵まれたが、切花・鉢物ともに不作で単価高。中級品を多く扱う市場は単価高ゆえに取扱高は続伸。
 しかし利益となると、荷集めで買い付けなどもあり収益圧迫。12月は例年並みの滑り出しであったが、中旬に松・千両の市があり、出荷量も例年並みであったがここ数年作柄が悪かったので、その分入荷が不足して単価が高いかもしれぬとの生産者の思惑から、畑掃除をしたような下級品も出回り、千両は久しぶりの安値。松も後出しは安値。
 そしてこの中旬には、例年並みの売れ行きなるも相場の波は下降トレンドに入っており、ようやく今日23日から平常の相場に戻ってきた。
 以上が日本列島の概況だが、大田花きでは暮れのもの(新年のもの)は、20日前には松・千両・オモトは止むを得ぬものの、それ以外のものは今年の日巡りだと23日から販売しようと計画を立てていた。
 それは、菊や小菊の予対相対の納品希望日の動向から見てもよく分かる。昨年と今年の一番の違いは、スーパーマーケットやホームセンターなどで花持ち保証販売をし始めた点である。そんなに何日も前に切ったものをいくら鮮度管理と言ってもいかがなものか。葉まで含め、品質・鮮度ともに良いものを提供しなければならない。そうなると、暮れの花の納品は、当然23日の天皇誕生日の取引きからとなるのは止むを得ない。そして問題は間際になった分、今後どのように裏日・表日ではなく、毎日出荷の形態にするかということである。

 生産者は、今日は手入れをする日、今日は出荷をする日と一日おきの方が仕事が捗る。花屋さんも今日は仕入れの日、今日は店で或いは配達をする日というように分けた方が良い。出荷する人も購入する人も残業・深夜・早朝手当てがなく、仕事をしている人たちであるので、いつの間にか12月や3月の需要期でも一日おきの取引きとなった。もう少し鮮度を考えた上で、一日おきにしないで流通出来ないものか。確かに遠距離から東京にある共同荷受所に荷を取りに来る地方の市場は、積載効率から考え、一日置きというのも分からないではない。

 しかし、花を切った後の日数が、月曜の場合は最長4日とか、生産者によっては木曜午後に切り、5日目販売とか、国内の産地としてはいただけないのではないか。花持ち保証、鮮度流通、新鮮なものをいち早く消費者の元へ。昨年とは違い、花持ちの良い菊類でも生産者と卸売市場が取り組まなくてはならない重要な課題である。

 今後、特に物日の対応に付き需要があるし寒いからと、2週間も3週間も前から流通させるというのはいかがなものか。もし、流通させるとすれば、鮮度管理をしっかりとして小売店、或いは花束加工業者の責任のもとにおいて行う。このようにしてほしい。
 もう昨年までの花き業界が処理してきた鮮度のレベルとは違うのである。花持ちを保証していない店舗も保証しているのと同様のサービスレベルでないと生き残っていけない。消費者から見放されないよう、産地と卸・仲卸は花き流通を行っていきたい。

投稿者 磯村信夫 : 12:50

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