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2013年12月16日

お客さんも一生懸命やっている店を応援します

 街を見ていても、確かに販売競争は激しくなっている。独立店舗でもチェーン展開をしている店でも、また小売の業態に関わらず、昨年とは違い、何かより顧客目線で工夫をしたり、潜在需要を顕在化した物やサービスを売っている。そうしていないお店は繁盛していない。
 
 昨日、お台場と丸の内のいつもの定点観測をしているスポットを見て、そう思った。とすれば、花店はどうしたらお客様の心を捉えることが出来るだろうか。商品と接客の総合サービスが肝心なことは言うまでもない。接客サービスといっても、青山フラワーマーケットさんの渋谷東横店で開発した切花をバイキング方式で自由に手に取って選び、レジで支払う。これも接客の一つの方法だろう。
 
 JFTDもお届けサービスの一つで安心だ。インターネットも気が向いたとき、24時間注文できるので便利だ。メッセージカードや、シンプルでゴミが出ないが素敵な包装も必要だろう。花店は出来合いアレンジと色合いによる陳列の仕方が必要だし、原産地、品目・品種名の表示、もちろん価格も随分と表示をしている店が多くなってきたが、まだまだそこまで行っていないところもある。
 卸売市場ではユーレップGAPを批准しているMPSだとか、無農薬栽培だとか、バラであれば香りも表示しながら販売しているのに、そのことをお客様にお伝えしていない花店もまだ多いのは残念だ。
 ある繁盛している花の小売店は、オネストカード方式で"この品物がなぜ高いのか、なぜ安いのか"現在の市場の状況を知らせている。花瓶に10円玉を水に入れても、花の持ちは水とたいして変わらない。フラワーフードを使うことが大切だ、ともタイムリーに知らせている。
 
 毎年、12月の51週は、クリスマスと年末前の需要一服期だが、こういうときに繁盛している店を花屋さん以外でも見て歩くことはとても参考になる。是非とも自分の目で見てほしいのである。

投稿者 磯村信夫 : 12:05

2013年12月 9日

「踏ん張りどころの専門店」

 8日の日曜日、首都圏に花を供給する東京の中央市場で松市が行われた。小さな首都圏と言われている皇居から50キロの千葉・埼玉・東京・神奈川には、日本の約4分の1の人たちが住んでいる。「東京は良いですね。一極集中で景気も良いし」とおっしゃる人がいるが、4人に一人が本当に景気が良ければ、日本の経済はもっと良くなるはずだ。
 例で、団塊の世代で言えば、長男は地元に残ったが、その弟たちは首都圏に出てきたわけで高齢化は倍して進んでいると言っても良い。しかし、人口が密集しているのは事実で、徒歩と自転車で、生鮮食料品・花きを買いに行く。花屋さんは、しっかりと商売になるエリアなのである。
 
 私は大森に住んでいるが、いつも利用しているCGCグループの食料品スーパーが花を販売するようになったのは今年からだ。徒歩で5分くらいのところに3つのスーパーがあるが、いずれも花を販売している。花屋さんも花の専門店として良い品揃えをしているので、しっかりと営業していると思う。
 このような商売の環境の中で、8日松市が行われたわけだが、私が見立てをしたところ、思っていた以上に量販店の集客力が強くなっているようだ。買参人である花の専門店の買う力が弱かったのだ。物日の店頭において、花が売れる数量は専門店では通常の2~3倍、量販店では7~10倍くらいである。花屋さんたちは頑張っているが、売れる時期になっても売り場面積をこれ以上増やすことは出来ないし、人手も沢山増やすというわけにはいかない。スーパーなどはセルフが多く、売れるときには面積を拡大することが出来るので商品を多く配置できる。なので、通常の10倍の売上げになっても不思議ではないのだ。
 
 花き市場の私たちは、お得意先であるスーパーへの納品業者である花束加工業者の優勝劣敗が今年決着したと見ている。素晴らしい花束加工をする業者がどんどんシェアを広げ、そういった勝ち組の業者は量販店からの申し出を断っているところもある。このことは分かっていた。市場での取引の内容を見ると、予約相対(注文品)やらセリ前取引も、以前に比べ多くなってきているのだ。こういう状況の中で、昨日松市のセリが行われた。消費者の気持ちは前向きだし、専門店の人たちは高級な花を扱う業者として、晴れやかな日であるお正月の花は今まで以上に頑張ってもらいたいし、彼らもやる気であろうと思う。なので、大田花きとしては、品質の素晴らしい松やブランド産地の松はしっかりセリで購入していただこうと準備をした。
 
 しかし、しかしである。セリの結果からして量が多かったということであった。素晴らしい品質のものも量が多いと食べ切れなかったのである。一年で一回の松市、良いものが安くては生産者に申し訳ない。大田花きとしては、今後とも専門店の花屋さんに期待をする。しかし、量販店の花売場は優秀な花束加工業者などの納品によって、ここまで消費者に当てにされるようになったのだ。"量販店の花売場はここまでシェアを伸ばしていたのか"と改めて思い知った松市であった。
 
 花の小売店は、新しい花との生活を提案する専門店。ワンストップショッピングで良いもの安くの量販店・スーパーマーケット。生活の場所ごとにそこに似合う花を販売するホームセンター。花の買い物時間削減のカタログ販売・インターネット販売。これらの4つが消費者にとって必要であるが、近年スーパーが激しい業態競争とともに着実に花売場を運営されているようである。
 人口密度は高いのだから、首都圏の花屋さんは絶えず新しい提案をし、消費を引っ張る花屋さんでいてほしい。昨日の松市を見ていて、スーパーと同じ若松だけでなく、もっと根引き松や他の松など、自分のデザインが活かせるものを予算内で消費者に提供していただきたいと思った次第である。
 販売額や利益は、景気と業界と各社の開発力の三重の要素に依存する。専門店と一緒になって、伝統文化に則った新しい花のあるお正月を提案しなければならないと強く感じた松市であった。

投稿者 磯村信夫 : 15:27

2013年12月 2日

地元の市場にもっと荷を

 昨日、生産者の結婚披露宴で茨城県へ行ったが、同席された花市場の社長が荷が少なくて困っている旨の話をされていた。
 東京には共同荷受所が3つあるが、生産者はそこへ持って行けば東北地方まで含めて50以上の市場に出荷できる。都内は共同荷受所の運送部門が配達するが、東京以外のところは荷受所に取りに行く。もちろん運賃は荷主さんからいただくのだが、場合によってはその運賃が高いと感じているのだろうか。
 現在の日本は、地方の方が経済規模は小さいが明らかに東京よりも豊かな生活をしているように感じる。そういうところは花の需要がしっかりあるのだから、そこの市場に入荷量が少ないのは問題である。
 この頃、生産者が地元の道の駅や直売所と都市部の市場の二箇所へ出荷している。
直売所が出来た分、地元の市場への出荷が少なくなっているように思うのだ。是非とも、地元の市場を大切にして、出荷先を使い分けて欲しい。

 来年、花き振興法が国会を通っても、早速花の生産が増えるわけではなかろう。ここ2、3年は、団塊の世代の後の方はまだ現役だ。従って、収入もしっかりあり、花の消費欲も旺盛だ。なので、花の卸売価格は上ってきているのだが、この間に生産量が需要を充たせないというのは痛いことだ。花き市場としては、デフレストップから実質単価アップ、そして油代、資材高を生産者に吸収してもらい、再度生産拡大をお願いする段階になっている。だから、生産量を増やして大都市圏と直売所への出荷だけではなく、地元市場への出荷、これを是非とも昔通り続けてほしいのだ。
 日本全土、独特の花き消費文化がある。それを小売店と一緒に生産者は地元市場に出荷することによって発展させてほしい。

投稿者 磯村信夫 : 14:56

2013年11月25日

再出発は人材の育成から

 足元の花き業界の景気は、10月11月と上半期と比べてパッとしない。流通業者が言うには、「値段が高いので売れない」というのだ。市場としては、生産量が増えていないのに、消費者の求めに応じて安く売るというのは、生産を更に少なくしてしまうことになる。
 なので、デフレをストップしてなぜこの価格なのかを消費者に説明したり、アレンジやデザインや鉢物の鉢そのものの色合いをより見栄えの良いものにしたりして、納得価格で提供するしかない。
 勤労感謝の日が終わり、ようやくクリスマスの装いをする時になった。クリスマス、お歳暮仕事の需要期のここで販売するためには、消費が二極化する中でこれ以上安くしないと売れないというのでは困る。そこで、小売店の人の力によってコストパフォーマンスを上げていくのだ。
 
 日本のあらゆる業界では、1991年のバブル経済の崩壊で新入社員の数を絞ってきた。その間花き業界は成長が続いたので、1999年まで優秀な人材を迎え入れることが出来た。
 種苗から生産、市場(卸、仲卸)、小売の各分野において、今では中堅になっている優秀な社員の人たちが他業界に比べて多数いる。
 しかし、21世紀に入ってここ10年、単価の下落が示すとおり、デフレでとにかく出血を止めて出さないことばかりに腐心をしてきた。そこで、今問題になっているのが、"花き業界を反転させよう"としても人の力がやや足りないということだ。特に第一線の若い人たちの知識とスキルが不足している。
 1960年以前に生まれた人と、それ以降に生まれた人たちとを違う日本人と分ける考え方がある。名前に関しては末尾に「~男」や「~子」と付く人は1960年以降少数になり、小学校の机も一人机になった。子供たちはお稽古で忙しく、親子で夕飯の時間が異なることも一般的になってきた。この傾向は1970年以降から更に強くなっているのだ。

 花は日本と西洋の文化、そして生活文化の上に消費がある。関心はCO2問題など環境問題の上にもある。こうなると、文化やら社会問題の知識と認識、そして花を育て、より美しく魅せる為の見せ方の技術が欠かせない。その上にマーケティングが身に付いていないと消費者の先に行くことは出来ない。こういった人材育成を読者の皆さんが属している組織でやってもらいたいということだ。"On the job training"(企業内で行われる教育訓練の手法の一つ)は当たり前、大切なことは社内で或いは花き部会でカリキュラムを作成し実行してもらいたい。

 先日、花キューピットの幹部の方と市場協会の執行役が意見交換をしたが、その際JFTD学園長が成人教育ならぬ、既に仕事に就かれている人を対象にした「出前授業」をするといった計画を聞き大変素晴らしいと思った。
 
 タダならいくらでも売れる。生産者のことを考えずに安ければいくらでも売れる。しかし、我々は生産者に適正な対価をお渡しし、花き生産をもっと活発にしてもらわなければならない。
 その為には、文化に根ざした販売をするための"知識"と"技術"が必要だ。それを勉強するのである。早速、皆さんの組織で取り組んでもらいたい。

投稿者 磯村信夫 : 12:04

2013年11月18日

消費拡大運動とまず黒字化から

 先週15日の金曜日、もうこれ以上生産を減らしてはならないと、2013年12月のシンビジューム、ポインセチア、シクラメンの需給見通し意見交換会が開催された。これを皮切りに、松・千両と菊類の意見交換会を開催する予定だ。
 急遽、日本花き卸売市場協会のテストランとして会議を行った。内容を市場協会会員と生産協会を始め、その品物を作っている生産者の人たちと市場を利用している買参人の人たちに伝え、適切な年末相場を出す指針にしてもらいたいと思っている。
 特にここ2・3年、需要期を見込んで荷がどんどん増えてくると、良くて相場は横ばい。場合によって相場は安くなり、減り始めてから本来の相場になる。ラスト1、ラスト2の市で、適正相場になってもピークの時に売上げが取れていないから生産者はたまらない。
 かつては、国の花き室で会議を開催していたが、今はない。現在では何をどのくらい作っているかどうかさっぱり分からなくなってしまったので、極端に言うと勘だけで動くことになっていた。例え多いとしても、昨年は天候異変で少なかっただけで、過去5年の平均値からしたら、たかだか2~3%増、しかし前年対比で2割増なので、3割安や半値になってしまいかねない。
 数字を持っていない、情報を持っていないということは、デフレを加速することに今までなっていたわけだ。"デフレストップ"それが市場協会のこの会議の目的で、どう実行性のあるものにして行くかどうか、実行しながらチェックして行きたいと思う。
 
 さて、この15日の会合の中で、更に気を引き締めなければならないと思ったことがある。鉢物のシンビジュームやシクラメンの生産者から、経営状況について"1割良い、1割プラマイの線上、8割赤字"という恐ろしいことを聞いたからだ。
 これでは、作ってくれと言うのは無理だ。花屋さんも大変厳しい経営状況だという。消費拡大運動と各事業体が損益分岐点を下げ生産性を上げる。この2つを真剣にやっていかなければならない。
 スーパーやホームセンターにおいても、積極的に販売して行かないと、花は生鮮品だから一日おいただけで価値が下がって枯れていってしまう。何もしないで売れていくようなものではないのである。
 
 なぜここで小売の現場のことを言うのかというと、来年4月の消費税上げでしっかりと増税分の転嫁は出来るのか、納品業者は量販店やショッピングセンター、結婚式場や葬儀場などの業者に消費税抜きの本体価格で、納品価格の交渉が出来るのか。
 すなわち、表示カルテル・転嫁カルテルを花き業界で結び、消費税が3%上がってかぶらないで済むかどうか。このままでは危ない。市場は国から指導があるので良いが、仲卸から小売店まで売上高経常利益率が3%以上出ている所などあまり聞かない。何も手立てをしないとすると経営は立ち行かなくなる。
 しかも買い控えは来年6月くらいまで起こる可能性がある。花き業界は20世紀の後半、良い時が続いた。しかし、21世紀に入り赤字のところがある。これでは、花き業界全体を盛り立てようとしても難しい。

 経営とは変化させること。利益は酸素だ。各自経営をしっかりして消費拡大運動や新商品開発に取り組む。これをやらなければならない。
 私の考えとしては、生産者や花屋さんに黒字化と生産拡大、販売面積拡大をしてもらい、もう一度20世紀末に記録した市場ベースの売上げで6千億円を目指してもらいたいと思っている。その可能性は十分にあるのでやって行く。

投稿者 磯村信夫 : 14:31

2013年11月11日

花持ち保証販売は、不満を少なくする販売方式

 先週の土曜日、アップル社の創立者であるスティーブ・ジョブズ氏の映画を観た。パソコンはずっとアップルで通してきたから、初期の頃、またマッキントッシュになってからもずっと愛好している。家では家内もマックを愛用している。スティーブ・ジョブズ氏は、徹底的に顧客志向で私たちの生活が豊かになる為にモノやコトをイノベーションしてきた。

 そして昨日、夕飯は鍋物にしようというので、生鮮品の品質が大森一だと思っているスーパーマーケットで買い物をした。
 しかし、そこで買ったうちの一つ、キノコのセットが、そこの店らしからぬ鮮度だと家内は言うのだ。これから家内は買い物をするとき、失望しないように疑いの目を持って吟味して買い物をするようになるだろう。
 
 以前、このコラムで書いた「不満要因と満足要因(※)」を思い起こした。
 昨日のキノコの鮮度は、「不満要因」だった。価格はともかく、そこの店と私たちとの人間関係が崩れたのだ。一方、アップル社は、iphoneにしてもipadにしても、自分の生活インフラを情報の面から支えてくれる。格好良いし、自分のライフスタイルもスマートになった気分だ。気分だけではなく、少し自分を律してスマートに生きることが出来る。これは、大きな満足だ。

 そういえば、大田花きの品質カイゼン室で、花持ち保証販売を随分前から行っている屋号「オランダ屋」(株式会社ブルーミスト)の蓑口社長にお話を聞かせてもらったことを思い出した。

「花持ち保証でお客さんが増えるのではありません。花持ち保証は不満を少なくさせるものです。ですから、皆が行えばお客さんは当然だと思うでしょう。しかし、我々はもっと沢山の人に花のある生活をして欲しいのです。そうなると、もう一度、満足してもらうことを考えなければなりません。」
 
 彼はそのようなことから、潜在需要を顕在化させる為、「試飾」を思いついたのだ。花持ち保証販売は、性善説の立場を取る人が多い日本人の不満を少なくすることを目的に展開されている販売方式であって、決して優先的に店を選んでもらおう、その花を選んでもらおうという方式ではないことを確認して実行してもらいたい。
 ただしスーパーマーケット等では、売れ残りが少なくなるという意味で、有効な販売方式であることを付け加えておく。


(※)フレデリック・ハーズバーグの「二要因理論」
不満要因①給与 ②対人関係 ③作業条件
満足要因①達成すること ②承認されること ③仕事そのもの

投稿者 磯村信夫 : 11:31

2013年11月 4日

質が高いから顧客が増える

 「今年のハロウィーンはどうでしたか。」というと、読者の皆さんはカボチャやアレンジメントが売れたかどうか聞かれているのではと思うかもしれない。しかし、お孫さんや若い人が身近にいる人は、10月31日の仮装パーティーを早速イメージする。人によっては、素敵なお洋服を着て花束を持ったお嬢さんになった仮装や、デビルの仮装など、さまざまな格好をして"Trick or Treat"でキャンディを集めて楽しんだ。我が家も商売柄、カボチャを早速下げて、ポインセチアを飾り始めた。

 今月は、11月22日"いい夫婦の日"をキャンペーンしている。それは、アメリカも日本も勤労感謝の日、サンクスギビングデイまで、実りの秋を十二分に楽しんで生かしていただいていることの感謝をするのだ。それが終わってから冬になるので、クリスマスの飾り付けをする。日本では11月、さまざまな発表会で花束やアレンジメントの需要がある。七五三、いい夫婦の日と、紅葉の秋色の花以外にこういったシーンでの花々を提案しやっていかなければならないと思う。
 
 なぜ、今そんなに思いを強くするのかと言うと、日経ビジネスではないが、会社の寿命を30年として、ピークは18年、そして会社が生きながらえる、或いは活発に活動するには、創業者視点、顧客視点、共創の視点の3つが必要だとしている。
何やら、週末のたびに台風が来た今年の10月を思うと、"こんなことではいけない。もう一度創業者の思いに立ち返って基本を考えなければいけない"と花き業界全体が思っているのだ。創業者の視点で一番多かったのは何かと言うと、生産から流通まで「質」へのこだわりと探求だったように思う。

花そのものにしても、流通サービスにしても、生け花やアレンジメントの技にしてもそうだ。「質」を追求し顧客のことを想って価格を考える。今は楽して売る為に価格のことを考える業者も多数いる。これではいけない。まずは「質」だ。質を落とさない物やサービスをすることこそ、身体の栄養ではない、心の栄養の花き業界の姿勢なのである。

 今朝、東北方面に荷物を運んでいる運転手さんたちに東北楽天ゴールデンイーグルス優勝の印象を聞いた。オリンピックの招致もそうだったが、楽天イーグルスの勝利は東北の人々に勇気を与えてくれたようだ。  

 花き産地の復興もまだ思うように進まないが、そして漁業や海産物加工も復興途中だが、東北の人は何かやってくれそうな気がする。期待をしている。

投稿者 磯村信夫 : 11:30

2013年10月28日

日本通のアメリカ人が見た花の消費

 先日、オランダ系アメリカ人の友人と日本経済と花のパイが20年前と一緒だという話をした。彼は、1999年アメリカのマイアミでインターネット花店「フラワーファーム」を立ち上げ、その後ライバルのサンディエゴの「プロフラワーズ」と合併し、そこの社長をしている世界最大のインターネット花店だ。1ドル100円にして、現在450億円強の取扱金額がある。

彼は大の日本通でマレーシア、タイに洋蘭の仕入れに行く時に必ず立ち寄る。話し合った内容は、当然アベノミクスのことだ。私から「日本の現在の予算のうち、税収からは約40兆、国債等の借り替えで40兆。必要の予算の半分も税収で補えていない」このように言うと、彼は「だから私は1995年位からいつも言っているだろう。もっと金融を緩和して、デフレを止めてインフレ目標を作り、経済を成長させなければならない。ヨーロッパの主要先進国もイギリスを除いて少子高齢化だ。イタリアは日本よりもっと生まれてくる子供の数が少ない。しかし、ヨーロッパの平均でこの20年間GDPは2倍になっている。日本もまともな経済政策を行えば、GDPは20年間で2倍になっていただろう。今の赤字国債の借り換えなどなかった筈だ」というのだ。

私は今アベノミクスで最後のチャンスだと思っている。日本は綺麗に儲けて綺麗に使う。経済活動に倫理性、精神性を求めながらやって行こうとしているのだ。日本を取り戻すということは、経済の分野においても倫理性を重んじて経済活動をやっていく。石田梅岩や二宮尊徳などの「日本の仕事道」を作ってきた人たちの経済を取り戻そうというのだ。

 彼は、コロンビア大学のMBA出身なので、日本文学者のドナルド・キーン氏が日本に越してきて、自分の死に場所を日本に定めたことやアップル社のスティーブ・ジョブズ氏が時間さえあれば日本に座禅を組みに来ていたことをよく知っていた。なので、彼も日本が好きなのだが、日本は確実に良い方に変わってきていることを言っていた。

それは1970年代生まれの団塊ジュニアの人たちが顔を上げて前を真っ直ぐ見て仕事をしているというのだ。彼は私と同じ年で、日本では団塊の世代が目をギラギラさせて仕事に打ち込んでいたことを知っている。しかし、それとは違う、もっと清々しいが日本のことを想っている人たちの生き様を彼は私を説得するように伝えた。学校を卒業し、社会に出て暫く右肩下がりだった70年代生まれも上昇志向というのとは異なるが、成熟社会を受け入れながら日本人として難しい国際関係の中でしっかり生きて行けるというのだ。

又、日本の伝統を守りつつ確固たる足取りで生きていけるのではないかと彼は感じている。私からすると花で言えば華道、華道をベースにしたフラワーアレンジメントなど、日本人ならではの花の表現など更に発展させるべきだと考えているが、現実は少し壁があるように感じている。

しかし、彼はそうではないと言う。2011年の3.11の時「今バルセロナの飛行場にいるが、日本は大丈夫か。もし、花の供給が少なくなるようであれば何でも言ってくれ」と早速電話が入った。彼は日本の再生は必ず成し遂げられると感じており、私は勇気をもらったようで、花の消費もGDP同様、もう一度成長を軌道に戻して行っている気がするし、必ずそうさせたいと思った。
 
 自信を持って、日本人として日本の伝統美の上に花の消費を拡大しよう。2月14日のフラワーバレンタインも古くは奈良時代の梅や、戦後の母の日のカーネーションのように舶来のものを取り入れて自分のものとして吸収している日本の伝統にのっとりフラワーバレンタインをやって行く。こういう気持ちで、現在日本の花き業界はある。

投稿者 磯村信夫 : 16:51

2013年10月21日

利益は酸素に同じ

 今週は週中、台風27号がやって来るので、被害を心配している。26号で亡くなられた伊豆大島の五味さんは、30年前から大島の特産の切花であったブバルディアの栽培農家で、他に枝切りのフリージアや千両も作っており、大島でも有数の花き生産者であった。
 五味さんの他にも被害が甚大な方も多く、天の恵みを受け行うのが農業なので、農業者の皆様方のやるせなさは如何なるものか。ただただお見舞い申し上げるしかない。
 伊豆大島と同様に、カラーで有名な千葉県の君津でも甚大な被害が出た。いずれの地域もしっかり利益を出し、それを再投資し、時代の要望に答えて進化してきた花き生産者が多くいる地域であるだけに無念でならない。今後の復興の為、花き市場として出来ることは何でもしたいと思う。

 ところで、話は変わるがもう一月で12月。暮れの需要を前にして、花き業界で一緒に仕事をして行く為、事業体の健全経営について再確認の意味で話をしておきたい。
「組織体にとって収支を合わせる。」そして、その「利益とは私たちにとっての"酸素"と一緒なのだ。利益が出なければ本来の事業活動の目的であるお取引先に喜んでもらい、お取引先の数を増やすことは出来ない。」
「組織である夫婦、家族、NPO法人、株式会社も全ての組織が帳尻を合わせる。投資の為の或いはメンテナンスの為の利益を出すということは最低限のことだ。」
「商売であれば、お客様から利益をいただく。NPO法人であればお客様から利益をいただかないが、寄付という形で活動資金をいただく。そして経営理念の実現と収支を合わせる。」ここが出来ていない花き生産者や流通業者、小売業者がまだ多くいると思われるので心配だ。

 2007年サブプライムローン問題、2008年リーマンショック、2011年3.11、そして2013年3月末の金融円滑化法打ち切り、来年4月からの消費税3%アップ。このような文脈で企業がふるいにかけられている。
 日本では青果がそうしたのか、魚がそうしたのか分からないが、スーパーマーケットの支払いが遅すぎる。スーパーの業態を作ったアメリカのクローガーは、生鮮品は鮮度の度合いから担保にならないから、10日締めの5日後で支払うのを基本としている。日本ではイトーヨーカ堂は設立当初からこのサイトだ。また、オランダの花市場では、農協系のラボバンクに預金残高がなければ買うことすら出来ない状況だ。
 もう一度言わせていただく。組織体にとり利益は目的ではなく、必要不可欠なものであることをしっかり認識していただきたい。
 この12月と来春の消費税値上げの時、消費減退の可能性がある。その波を乗り切っていきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 11:41

2013年10月14日

輸出で所得倍増

先週の11日(金)から、公益社団法人 日本フラワーデザイナー協会が主体となって大田市場で、第13回全国障害者スポーツ大会東京大会の完走者へ渡す花束プレゼントの作成を行った。
日本花き生産協会からピンポン菊と一輪カーネーションをご提供頂いたり、㈱クラシック様からはヒペリカムをご協賛頂いたりして、喜んでもらえる花束が出来上がった。
国内で使うからこの基準で良かったのだが、例年よりも気温が高かったので、保管している間にシミが出たり、虫が出てきたりする物もあった。
大田市場での花束加工ではどうにか花束にできたのだが、これが輸出となるとこうもいかなくなる。

2020年までに農業者の所得を2倍にする。安倍政権の公約に向け、輸出は所得を倍増させるための欠かせない手段である。
輸出ルートを開拓して、青果の業者も切花の業者も日本の素晴らしい農産物を輸出して、コンスタントに農家の所得を海外でも上げてもらう。これは我々流通業者が是非ともやらなければならないことだ。その時に痛感するのは、残念ながら日本は輸出を考えないで生産をしてきたから、ボトをはじめカビの病気あるいはアブラムシの防除などのレベルは、オランダよりも低い所にあるというのが事実だ。
今まで輸出をしたことがないのだから当然で、これから世界の貿易システムに合う病虫害の防除をしていけば良い。

オランダでは白サビ病が出たら、その畑一枚は焼却だ。日本では今まで100%国内で使われるから、使い方によっては白サビでも十分な場合がある。
しかし、今後の人口減を考えると、農産物は輸出が実現すれば、農家の所得の倍増が可能になる。
花では幸いなことにMPSの国際認証があり、基準もはっきりしている。これは国際食品規格委員会(コーデックス)が自分達の基準としているユーレップGAPを批准したものだ。
この基準に則ってやれば、生産から流通まで輸出はそんなに難しくなくできるのではないかと思う。国内生産者はもう一度、MPSをチェックしてもらいたい。

そして、卸売市場に植物検疫官に来てもらい、輸出検疫を行う。もし検疫が通過できなかったとしても市場の中なら代替品を持ってくることができる。検疫を通過できなかった物でも国内向けに回せる。こういうルートを主要都市の空港や港に近い市場ができれば良いと考えている。

是非とも花の生産地と主要都市の空港などに近い卸売市場は、花の輸出を考え、生産者の所得をさらに上げられるように計画を立てて頂きたいと強く思う。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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