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2011年3月21日

コラボ消費

今日の立合は1時間40分で終わった。相場を戻したものもあるが、需要は浅い。
福島第一原発による放射能問題、前日指示される計画停電という名の停電で事業所や小売店、飲食店は計画が立てられないこと、自動車のガソリンと温室生産用の重油不足、自粛ムードによるイベント停止などがある。原発の問題が解決しない限り、正常にはならない。

春のこの時期、日本列島の花の需要は東北、北海道で30%、広く関東圏と言われる一都六県プラス静岡、長野、新潟で40%、残りの30%は浜松以西の需要であると言われている。現在7割の需要のある北海道、東北、関東で大きな影響を受け続けている。すぐには元に戻らない。時間をかけてゆっくりと正常に近づくと思うが、花き業界全体で見ると、地図が変化するかも知れず混乱が続くと言わざるを得ない。

さて、今日の話題はコラボ消費についてだ。今の言葉として、ハイパー消費とコラボ消費という言葉がある。リーマンショック以前は消費者として違いを見せることが大切で、自分だけ良ければ良いと、どんどんものを所有していた。地域社会のことを口では言うが、実際には地域社会のことなど考えず、そのために時間も使わず、自分や家族だけが良ければ良いと消費していた。それがリーマンショック後、サスティナブルな社会を作り上げること、子どもたちに未来をプレゼントする生産・消費活動をすることが必要だと気付いた。消費で言うとコラボ消費が大切だということに気付いた。またそれが格好良いと思ったり、コラボ消費こそ人間の消費のあり方だと思うようになってきた。コラボ消費の具体的なものとして、ファーマーズマーケット・直売所が世界中で増えて来た。プリウスがNo.1の販売台数になった。パリやロンドンで展開されている自転車シェアリングは今の社会での生活の仕方を象徴している。エシカル(倫理的な)消費など自分が出来ることをして、地球環境を良くしたい。コラボ消費はグローカルに考える地域社会人としての消費のありようだ。「奪い合えば足りず、分け合えば余る」という消費のありようで、「もったいない」や「お互い様」を前面に押し出したものである。これで事業規模が拡大するかというとそうではない。コラボ消費では生産量、消費量は大きく増えない。このようなコラボ消費が消費のあり方として定着しつつある中、大震災による花き業界のダメージだ。これは花き業界だけではない。ここでは花き業界のことだけ言えば、「足るを知る」をかみ締めつつある日本の消費者にリーマンショック後の今までとは違い、新しくコラボ消費の時代に入った花の提案をしていく必要がある。具体的に「差別化と値段」の切り口で言うと、良くて安い普通のものが、消費者が受け入れる基本になっていく。1・2月は日経平均で15,000円を狙うところまで日本の経済は回復すると期待したが、お金がこれだけだぼついても10,000円狙い。分を知った消費、「プリウス消費」が基本というのが今日のセリ場から読み取ったメッセージである。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年3月 7日

山形庄内・花き生産に前向き

近頃友人と集まると政治の話になる。昨年末はもう政府を頼りにしないで、民活でやっていこうと気持ちの上で政局の混迷に区切りをつけたが、このところ仕事に実害が出て来て、もう無視ができなくなった。そこで友人が集まると政治の話になる。結局は愚痴で終わってしまうのだが、この混乱に早く終止符を打たせ、再度仕切り直しをしたいところである。

先週、庄内たがわ農協の合併15周年に行った。広域合併して出来た庄内たがわ農協だが、花は新余目が中心であったから、そこに集結をし、新花き部会のリーダーシップを取った。全国有数の産地であるが、その特徴はなんと言っても部会員の結束の強さと共同育苗施設を持っていることである。庄内たがわ農協管内の庄内町では、花の町にしようと町長さんが先頭に立って、花き生産拡大と新規就農者を育成している。この庄内町で庄内たがわ農協の花き部会の生産者が利用するストック等の苗が生産されているのだ。もちろん農業だから天候の影響は受けるが、需要に合わせた生産が出来ることが農協花き部会の強さに通じる。仕事は質と価格と納期でなりたっている。この3つを自社の種苗センターを持つことで可能にしている。このような花き施設の補助を国や地方自治体から上手に持って来ているのが山形県の自治体の政治手腕である。どちらかと言うと内向きだったり後ろ向きになりがちな今の農業分野にあって、着実に山形県庄内の花は前進している。官民挙げて、素直で明るく、粘っこいタフな根性の賜物である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年2月28日

一輪菊ルネッサンスの年と位置づけたい

見通しなのでエコノミストが言う景気動向のように、当たるも八卦当たらぬも八卦と思いながらお読みいただきたい。今日は日本の一輪菊、特に白菊において、多様化を促す波が来ているということをお伝えしたい。

秋菊を電照したり、シェードしたりすることによって、通年で同じ品種が作れるようになって早30年あまり。秋菊だと夏は暑いので、実際は2品種作っている。一輪菊といえば仕事用の白菊に特化した年間2品種の絞込み生産が正解とはどうも言えなくなりつつあるのだ。何故なのか?混乱をきたさないように整理整頓しながらお話しよう。

一、葬祭用の白一輪菊は国内の優良産地の菊がこれからも使われ続けると思われる。
二、葬儀の祭壇は花祭壇になっている。団塊の世代が喪主の中心世代となり、季節の花を中心にした祭壇が多くなって、一輪菊の白の使われ方は、首都圏では量的にピークのときの1/3を下回ることになっている。
三、供花は芳名版にて済まし、花祭壇を供花としていて、篭花を出さないことが通例化してきた。よってカトレアの相場が下がっている。
四、中国系の人々は今まで白菊をあまり使わず、菊と言えばほとんど黄色であった。韓国も同様であるが、日本への輸出向けに作った神馬も相場の兼ね合いで輸出できないこともある。そうなると当然地元に出回るわけで、出回って早10年以上が経って、韓国、中国、台湾、東南アジアなどでもすっかり白菊消費が現地で定着した。「神馬」を作っておけば日本以外でも売れるので、海外の菊産地は面積を拡大することとなった。このことは輸入品の白菊のウエイトが高まっていくことを意味する。
五、スタンダードタイプの花として、一輪菊は東欧圏で人気である。ロシアはお弔いにカーネーションを使う。蕾の大きい一輪のバラと一輪菊は大変な人気である。一本の茎に大きな花は世界の売れ筋で、ジンジャやアジサイなどもそれに入る。世界ではもう一度、一輪菊に注目が集まり、スプレーギク同様、一輪菊も品種が多様化してきた。ヨーロッパでは団塊ジュニアといわれる第二期ベビーブーマーたちが消費を引っ張っている。ピンポン菊をはじめとした一輪菊の人気はすっかり定着し、今後とも新品種が待ち望まれている。そのトレンドがオランダから世界へ飛び火している。

以上が一輪菊を取り巻く消費環境、販売環境である。日本はJA愛知みなみの輪菊部会とJAふくおか八女電照菊部会の2つの軸を中心に、仕事花の菊を過不足なく安定供給している。一輪菊における輸入の比率は輸入10%、国産90%であったが、上記の理由から輸入比率が15%になる可能性が高い。
スプレー菊の場合、多方面に使われているので、国産は主にマレーシア産と競争しながらも棲み分けてきている。しかし一輪菊は葬儀の仕事用、そしてお彼岸や盆などの仏花に特定される。もっといろいろな場面で一輪菊を使ってほしいと思ってきたが、実際の消費拡大施策は十分なものだとは言えなかった。一年間、菊類が高かった2010年、それゆえ海外の業者は日本に向けて一輪菊を作りこんでいる。ここに用途が限定しているがゆえに、単価が下がっていくリスクがある。
言葉は適切ではないかもしれないが、「災い転じて福となす」のように、ご年配の方だけではなく若い人たちにも一輪菊の素晴らしさをわかってもらえるよう一輪菊の用途の拡大、それに合った品種の変更を行ってほしいと考えている。日本には素晴らしい品種がある。民間の育種家として名高い方々が多くいらっしゃる。普及所、試験所もJAなどの生産者を応援する部隊も世界一流だ。消費者のライフスタイルを意識した生産と需要の掘り起こしのための革新を2011年はお願いしたいと考えている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年2月14日

フラワーバレンタイン

あいにくの雪でフラワーバレンタインの運動に冷や水を掛けられたような気持ちだが、こんなことでへこたれるかと、良かった点や反省すべき点などを洗い出して、来年に向けての取り組みの糧としたい。

ヨーロッパでもアジアでもバレンタインデーに向けて、花の取扱は大変良かったと聞く。特にヨーロッパでは昨年、寒波であったから20%以上取扱金額が上がったところが多かったようだ。アジア諸国は旧正月と10日ほどしか離れていなかったのに、これまた2桁ゾーンの取扱であったと速報値では伝えている。いずれも人気なのはバラで、お国柄によってちょっとした差がある。赤バラは基本だが、ヨーロッパでは白のアバランチェが人気であったり、中国系では黄色が人気であったりしている。日本ではチューリップやガーベラ、スイートピーなど、春の訪れを告げる花を前面に押し出そうとしているが、年代層によってその花も変わってくるだろう。ちなみに私はもういい年なので、今日バラを贈ることにする。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年2月 7日

2月に新しく追加してほしい花のイベント

4日の金曜日、沖縄県で花の品評会があり審査の打ち合わせをしたが、窓の外の緋寒桜はもうほとんど満開だった。大田市場にも伊豆太陽農協からプレゼントしていただいた河津桜が2本ある。今朝見たらようやく1~2輪咲き始めたところ、これからが楽しみだ。
 2月は花のビッグイベントが数多くある。初めての女の子のお子さんにと、2月に入るとお雛様を飾るので2月1日から花桃と菜花はどうしてもかかせない。3日は節分で今では恵方巻きにお株を奪われつつあり、花き業界として再度アピールしているのが柊と豆がらのセット。これはスーパーなどで良く売れている。今年は旧正月元旦が節分と一緒だったので1月末から2月初旬春節に向けて横浜の中華街の近辺や新宿の歌舞伎町(初めは台湾の人たちが開発発展させた盛り場)などでお正月用の花が売れた。そして11日から池袋サンシャインで関東東海花展が、18日からクリスマスローズ展が、東京ドームで19日から世界らん展が開催される。
花のイベント目白押しの中にあって今年は花普及センターが幹事役になってくれてフラワーバレンタイン運動が2月14日のバレンタインデー迄業界あげて展開されている。小売店の代表ともいえる青山(フラワーマーケット)さん、日比谷(花壇)さん、小田急(ランドフローラ)さん、東急(フローラ)さんなどなどの花の小売会社と組織として全国組織の花キューピット。また、インターネットで花を販売しているi879社やイーフローラ社などが参加。日頃ライバルとして凌ぎを削っている人たちがこぞって、「男性から女性に花を贈る習慣をつけてもらおう。男性に気軽に花屋さんに入る習慣をつけてもらおう。」という運動に参加し盛り上がっている。そのような中で私たち※ 東京都花き振興協議会も仲間に入れて下さい、と運動に参加した。花き市場協会も私たち卸も一緒にやっていきたいと運動に参加。市場に仕入にくる買参人に協力を呼びかけた。この運動の発起人である井上氏は5年後、10年後を見て運動をするという。男性に気軽に花屋さんに行ってもらって女性に花をプレゼントする。そういった習慣が日本で根付くことを目標にしている。業界をあげてフラワーバレンタインの運動に取り組んでいる人たちは「連帯感を感じて前向きな気持ちになっている」とうれしそうに言う。応援してくれている農林水産省花き産業振興室や㈶花普及センター、きっかけと仕組みの基礎を作ってくれた日本フローラルマーケティング協会にちょっと早すぎるかもしれないが御礼を言いたい。
今年は東京、静岡、大阪、広島などの各所でバレンタインデーに「男性から女性に花のプレゼントを!」と街頭で訴え、花を配布する予定です。(実施予定日:2月13日)

※東京都花き振興協議会
東京の5つの中央卸売市場花き部と多摩地区の計6つの地域の小売団体と仲卸関連事業者、そして卸売会社が一堂に会し首都圏の人々に花の良さを知ってもらおうとNPO的事業を行っている団体。

投稿者 磯村信夫 : 17:45

2011年1月31日

花の生産者と卸売市場は花屋さんで花を買う

先週、人間社会は交換が行われるようになって分業が発達し、我々は生産者と消費者の2つの立場で生きるようになった話しをした。交換価値が高いものを作っている生産者は、その分余暇が取れ、中には「小人閑居して不善を為す」人もいるが、人本来持っている素晴らしさで、社会を良くし、地球環境を整え、長寿にもなってきた。

日本は恵まれた立地条件にあり、平地は確かに総面積あたり小さかったが、そこに人々が集積し、人が切磋琢磨し、消費者として規律ある生活をしたので、現在も続く日本で最も古い事業体に、一番は神社仏閣の建設会社である金剛組、2番目に華道の池坊があり、今も脈々と続いている。我々花き業界として誇らしいことである。

卸売市場では肉、魚、野菜・果物、切花類・鉢物類を扱う部類ごとの卸売市場が都合4つある。この4つの部類ごとの卸売市場を利用する生産者と市場の社員の中に、消費者の立場に立って考えることがへたくそな人たちがいる。それは花の生産者と花の市場だ。場合によっては仲卸もそうかもしれない。肉や魚、野菜や果物などを作っている生産者や値段を生み出している市場の人は、品物の良し悪しと値段を生産者の立場でも消費者の立場でもよく知っている。必ず八百屋さんや魚屋さん、お肉屋さんやスーパーに自分で足を運び、小売価格で買う。男の人でも人によっては自分で料理をし、生産者と消費者としての両方の自分の目で見て、それぞれの立場をよく知ることになる。生産者の立場に立ったとき、この消費者の立場としての経験が欠かせない。

買ってくださるその人たちの声にきちんと耳を傾け、ファンを作ろうと努力する。消費者のファン、したがって小売店のファンなど取引業者のファンを作ることをまず思う。しかし花はどうだろうか。生産者や市場の社員は小売店で花を買うことがどれくらいあるのだろうか。これをしなければ消費者の気持ち、小売店の気持ちはわからない。このように人間の根源的な欲求に花を飾るということがあっても、花そのものは文化的であり嗜好的であって、なくても済まそうと思うとそれで済む。だから生産者と卸売市場は消費者から離れてしまいがちだということをいつも肝に銘じておく必要がある。確かに花はまだ消費の二極化についていけていない。価値あるものと、値段が安いがまぁまぁのもの、この2つに分けられない。マーケティングの用語で「異質同質性」やら「小異同化性」などの言葉がある。そのものが成長期にあるとき、ちょっとの違いは話題を作る。しかしあるとき成熟がはじまると、ちょっとの違いなんて面倒くさいと同じものに見てしまうのだ。

はっきりと消費者に違いがわかるものを花き業界は今でも生み出しているか。確かに似通ったものもあるが、これはイエスだろう。トルコギキョウやダリア、ラナンキュラスなど他の業界にはない、時代を捉えたものが数多く出されている。しかし鉢物では少ないのが残念だ。もう一方の極の値段がこなれて、思わず買っちゃった。しかし意外に花が゙持ってよかったということがまだない。ここのコストリーダーシップの花の供給に向けてどう努力するか。栽培のイノベーションや大型化で取り組む以外にないのだろう。

オランダはこれで勝ってきた。2012年まで生産量は前年割れをし、卸売価格は小売価格に比べて割高な状況が続くと予測される。そのとき生産者や卸売市場は自分が良いから良いのではなく、仲卸や花束加工業者、小売など消費者に近いところ、まさに花き業界の「真実の瞬間(お客様と接する瞬間)」を持っている人が苦しんでいることを知っておかなければならない。そして商品に合った生産と取引方法を取らない限り、消費のパイを減じてしまうことになると知っておくべきだ。生産者と市場の人は必ず花を小売店で買おう。まずそこからだ。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年1月24日

花き業界はサービスレベルで一歩後塵を拝しているのではないか

筋肉痛で足が痛い。ようやく上越のスキー場にも大量の雪が降って、スキーをした昨日は新雪だったものだから今までと違う筋肉を使ったようだ。早く例年並の気圧配置に戻って、西南暖地から花の出荷が順調になることを祈っている。

歩いて会社に来るとき、車で寝泊りしている人でお互いに挨拶しあう人が2人いる。1人は源ちゃんでこの頁でも一度書いたと思うが、以前はホンダアコードのステーションワゴンに乗っていたが、今はスズキに乗り換えてもう3年以上経つ。もう一人は4トントラックの附木さんだ。彼らの生活を聞いていると、家を持たないものだから、トイレに行くにしても顔を洗ったり歯を磨いたりするにしても日常生活にかなりの時間を費やしているのがわかる。彼らは定職を持ち、家は車と決めて、ここ平和島のとある場所に金曜日の晩から土曜日は止めている。他の曜日はいないことが多いから他に一つか二つ安心できる場所を持っているに違いない。ホームレスの生活を見ていても、食べるためにほとんどの時間を取られている。それは着るものから住まいするもの、食べるものまで、狩りに行ったり水汲みに行ったりとまさに都会の原始生活で、便利なお金を稼ごうとアルミ缶を採取に行ってもライバルはいるし、縄張りもあるから、ライバルがいない獲物が取れるときに行くとなると本当に忙しそうにしている。忙しいというのはおかしいかもしれないがとにかく大変そうだ。寝る場所が固定化する前は、危険を感じない場所を見つけるためだけでももっと大変だったとホームレスの人たちは口を揃えて言う。

「交換」というマーケットが発達し、仕事は分業化し、専業化してきた。だから生産性が上がって、自分の作ったモノやコトが結構高く売れるようになって余暇が出来たので、花の文化も消費量もこんなに多くなった。交換市場経済が確立されて、私たちは生産者と消費者の2つの立場に立って日々を過ごすことになった。花き産業の場合、1999年に日本人の所得が下がり始めてから花の単価が下がった。2008年、リーマンショック後の大不況で法人需要がすっ飛びパイそのものが小さくなった。しかし個人需要はしっかりしている。繰り返すが、だがパイは小さくなった。

さてここで苦言を呈したいのは、リーマンショック後3年目となってあらゆる産業の品質やサービスレベルが上がっているのに、花のモノとコトは上がっていない点だ。このことは、我々花やサービスを作る生産者として怠慢ではないか。甘っちょろくて不誠実ではないかということだ。赤字企業もいくつもある。利益がほとんど出ていない企業も多くある。そこでは人件費まで含めたコストカットをまず行い、反転のための投資などを行ったか。多くの企業がしていなければならないのに、私が知る限りその数は半数にも満たない。

クリントン政権のときの労働長官であったロバート・B・ライヒは「世の中の仕事には2つしかない」と言った。モノそのもので人を喜ばせる仕事か、コト(サービス)で人を喜ばせる仕事かである。コトで人を喜ばせる卸、仲卸、小売は、今日本が求められている国際競争力のある知的産業型サービス(情緒的品質も含める)を生み出さなければならないのは先進国として当然のことだと判断して良い。日本の経済が復活しないのは、サービス産業がただ単に対応型になっていて、知識産業として発展をしていないからである。勉強し、精進せよ。日本の消費者はそうは甘くない。その消費者本人が生産者の立場になったときに、自分を甘やかすことは許されないのである。

花き業界なら身だしなみや服装をもっと気をつける、生ものを扱っているのだから行動や歩き方ももっとそのようにする。知識も専門家として消費者の期待を裏切ってはならない。コミュニケーション能力、接客能力を社会人として磨かなければならないのだ。勉強度合いから言って、特に長年花き業界にいる人たちに、「続けるなら社会的責任を果たしてもらいたい」と申し上げたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年1月17日

首都圏支所

この3月に日本花き卸売市場協会の関東支所、東京支所、甲神静支所が合併して首都圏支所ができる。
県で言うと、
人口215万9,000人で
県内総生産が約8兆円5,000億円の長野県、
人口86万7,000人で
県内総生産が約3兆2,000億円の山梨県、
人口713万人で
県内総生産が約21兆1,000億円の埼玉県、
人口200万7,000人で
県内総生産が約7兆5,000億円の群馬県、
人口200万6,000人で
県内総生産が約8兆3,000億円の栃木県、
人口296万人で
県内総生産が約21兆1,000億円の茨城県、
人口613万9,000人で
県内総生産が約19兆6,500億円の千葉県、
人口1,286万8,000人で
県内総生産が約92兆3,000億円の東京都、
人口894万3,000人で
県内総生産が約31兆9,600億円の神奈川県、
そして人口250万人、
県内総生産が約10兆円の静岡県(浜松経済圏を除く)、
トータルで人口4,757万9,000人、県内総生産が約223兆6,100億円にある花き卸売市場50社が首都圏支所を作ることになる。
*各県の人口は平成21年10月現在、県内総生産は平成19年度の県民経済生産。

大きな流れはこのような判断だ。2008年、人類史上初めて都市生活者は全人口の半分を超えた。今後とも首都圏には人が結集し、活発な生産活動と消費活動が行われていくものとされる。日本は金融も含むサービス業で生きていくので、この人口集積は新しい仕事を作ったり、イノベーションが起こったりする上で欠かせない要件となる。それゆえ、協会3支所が合流し、新たに首都圏支所として卸売市場の物流だけでなく商流、情報流などを備えていく。そして、域内の小売店や消費者のためだけでなく、生産地としての確固たる経営基盤を打ち立ててもらおうというものだ。新執行体制は2月中に決まると聞いているが、新首都圏支所にグローカルな花き流通の発展を期待したい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年1月10日

2011年見通し②

2011年の予測の第二弾、今回は「ターゲットは団塊ジュニア」についてです。

アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校のギウリアーノ教授とIMFのスピリンドーゴ氏の気になる研究成果が『競争と公平感』(大竹文雄著)に取り上げられていた。内容はちょうど高校や大学を卒業した18~25歳の頃、不況を経験すると「成せば成る」の努力よりも運の方が成功への第一条件になるというものだ。今期の就職内定率を見ていても、内定をもらえたかもらえないかを努力より運に求める気持ちもよくわかる。しかもそれによって内向き思考が大変多くなる。

この研究成果の正しさを裏付けるかのように、結婚式で披露宴までする人は半分近くになってしまったという。皆さんの身近でも婚姻届は出すが、結婚式に同僚を呼ばない方たちも結構いるのではないだろうか。推定でしか申し上げられないが、結婚式の花の大手の花屋さんに聞くと、「半分くらいが両家のご家族だけでおしまいにしてしまう結婚式ではないでしょうか」とのことだ。不況が長く続いているので、披露宴もごくごく慎ましやかな、花屋さんの出番のない結婚式が30万組近くもある状況が今年も続く。
葬儀の場もご案内のように自宅からセレモニーホールになり、そこも部屋が大きすぎることとなってしまったところが多い。

日本で所得格差があるというのは不況の影響、ITの発達でコミュニケーション能力が必要で考える仕事が多くなり割合と簡単な仕事は非正規雇用としたため、またグローバリゼーションの影響、そして高齢化、さらに離婚率の増加などに原因を求めることが出来る。その中でも、何と言っても大きいのは高齢化の影響だ。会社勤めでも40歳から所得差が出る。60歳以上はもっとだ。70歳以上はさらに所得格差が広がる。したがって所得の面からも葬儀は小さくなっていくことが予測される。冠婚葬祭とも、半分は花屋さんのお出ましがなくなってしまったのが2010年で、この傾向は更に強まるものと予測される。

今年の経済界は「政治に頼らない」とどの会社でも言っており、2010年は2009年の売上を超えたので、今度は2008年の売上を抜くのが今年だとしている。法人税が5%少なくなるので、これを設備投資の財源にし、相変わらずコスト削減の手綱を緩めようとはしない。しかしコミュニケーションのツールとしての花の贈答はほとんどゼロから復活しており、企業業績を見てもまたM&Aの活動を見ても、法人需要がまだ低水準だが少し期待できる。そして需要がしっかりしているのは何と言っても、リタイアを前にした団塊の世代の家庭需要、仏花需要だ。しかし、これだけでは2008年水準を越えられない。超えるには新たに花の楽しみを習慣付けていく団塊ジュニアをターゲットにした売場作りが必要だ。シンプルに生きる上で、決して高価でない、質の高い生活をするためには花と緑は欠かせない。効能をしっかり明記して団塊ジュニアをターゲットに販売をしよう。日本の農産物でこれだけの国際競争力のある産物は他にあるだろうか。原産地表示や生産団体の顔などをしっかり明記し、旬を謳って販売したい。それができないところは花き業界のどの流通段階にいようがふるいにかけられていく。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2011年1月 5日

2011年見通し

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

昨年は年の瀬まで天候に振り回された1年でしたが、迎春用の花は日本列島を見渡すと、どこの花売場でもまぁまぁの実績であったところが多く、需要においては確かな手ごたえを感じた1年でした。

需給バランスでは、供給がやや少ないと感じられる状況がここ3年の生産者所得から見込まれており、2013年くらいまでやや少な目が続くものと思われます。

円高も手伝って、輸入品が前年よりも増えてくると思われがちですが、昨年の年末のような低調な相場や海外産地などにおいても天候不順などがあり、輸入商の方と作柄や出荷量などにつき、それぞれ綿密に打ち合わせる必要があると思います。そうでないと輸入商の損害は甚大になることもあると思われます。

デフレが続いておりますが、花の単価はいち早くデフレから脱してゆくものと思われます。

花き卸売市場は花き流通の要として昨年以上に品揃えを良くし、多岐にわたる需要に応えてまいりますので、旧に倍したご愛顧のほどお願い申し上げます。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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