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2008年12月29日

2008年3大ニュース

今日の止市は入荷量、買参人数とも例年の2?3割増。しかしスプレー菊、小菊、キンセンカは低調。暮れ相場はカサブランカなどオリエンタルハイブリッドであった。

2008年を振り返ると、手数料率の自由化と奨励金制度の取決めを妥当な線で決着したことが最も大きな出来事である。手数料率については、卸売会社は開設者である東京都へ中期計画を添えてパーセンテージの届け出をし、東京都は経営状況を鑑み、それを認めるというものである。今回出された委託物品に対する手数料率を改定する場合は、3年後の2011年となる。出荷奨励金については、都内の花き卸売市場に歴年で10億円以上出荷した県連を対象にし、東京都に申請して承認を受ける。一農協あたりでは5億円以上とし、同様の手続きをとる。額は2/1000?3/1000である。完納奨励金については、都内の買参人・仲卸・卸で構成する東京都花き振興協議会での決議に従い、花きの買参人組合は代払い制度を行なっていないので廃止する。ただし個々の買参人と取引契約締結の時期が異なるので、不公平にならぬよう2011年3月31日までを猶予期間とした。さて手数料率の自由化が方針付けられたが、生産食料品と花き、それぞれの卸売市場の市場流通とは今後どうあるべきか、方針を出したいと考え、中央魚類の伊藤社長を会長に、東京青果の大井副社長、東日本板橋花きの樋口社長、そして事務局を東京農業大学の藤島先生にお願いし、「市場流通ビジョンを考える会」を立ち上げた。2008年、2009年の二ヵ年をかけて方針を出していくために、今年は2回勉強会を行なった。

二つ目の重大な出来事として、MPSが環境意識の高まりとともに花き業界では必要な資格となってきたことである。春に弊社ではMPSトレサートをオランダのラインズブルグの市場に次いで、世界で二番目に取得をしたが、この動きは生産者と仲卸の間にも広まっていった。また環境問題の広がりとともに、花き業界では日比谷花壇殿がカーボンオフセットの花束や鉢などを売り出し、弊社の関連会社である大田花き花の生活研究所はC.H.C.システム殿と一緒にC.O.P.ステーションを作り、実際に炭酸ガスを吸って酸素を出す植物C.O.P.を販売して注目を浴びた。

三つ目の大きな出来事として、資材の高騰と世界同時不況が生産者の経営を直撃したことが挙げられる。2008年1月から法人ギフトの数が少なくなりはじめ、母の日以降は前年の半分となり、さらに10月以降は半分すら行かない状況となった。石油・製品・運賃・ダンボールの高騰は生産者手取りを直撃した。冬作を計画する夏に、原油先物価格が高騰し、生産者の先行き不安をあおった。その後、原油価格は急落したものの、今度は世界同時不況が実体経済に影響を及ぼし、自動車産業や輸出が多い大手メーカーの工場などがある地域はクリスマスだけでなく正月までも低調な市況展開となり、生産者の収入を直撃した。来期は需要がどこにあるかを見極め、個人消費にターゲットを絞って生産出荷していくことになろう。


本年1年、ご愛読いただきまして誠にありがとうございました。
皆様方におかれましては、良いお年をお迎えください。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年12月15日

消費者中心経営

昨日は松市だった。景気の悪さを反映して、1?2割の安値といったところである。しかし昨年までは人気薄であった根引松や五葉松など、生け花やアレンジの素養がないと使いこなせない松が活発に動いた。
それには二つの理由があろう。一つは男松にせよ女松にせよ、良い根引きやナタ切りのものなど、生産量が少なくなって地方の大手の花屋さんや市場の人たちが大田花きのせりに参加するようになったこと。二つ目はこの経済の調整局面を自分たちの生き残りの局面と捉えて、専門店は積極的に量販店で売りにくい根引松や五葉松を売ろうと前向きに取り組んだこと。

このように花の専門店としての持味を前面に押し出し、この難局を乗り切っていこうとする意欲は今年のフラワーオブザイヤーOTAにも表れている。詳しくはHPのサイトを見ていただきたいと思うが、2年連続でダリアの‘黒蝶’が年間グランプリに輝き、しかも昨年の新ふくしま農協から、今年の秋グランプリは山形おきたま農協、そしてさらに年間グランプリではダリアを安定して年間出荷することを目的に作られたみなみ信州農協花き部会の‘黒蝶’が選ばれた。

私はこのことをこのように捉えている。不安定な時代にあって仕事を続けていくためには、時代を映し出す花を選ばなければならない。そこで花屋さんは‘黒蝶’を仕入れた。そしてその花屋さんは‘黒蝶’を使い、飾った。お客様はお金を払っただけのことはあると感じ、花屋さんは対価以上のものをお客様へ差し上げることが出来た。消費者に買ってもらう「第一の真実の瞬間」に‘黒蝶’は勝利し、ユーザーや消費者に使いやすさや花保ち、揃い、そして美しさなどを与えたみなみ信州農協は「第二回目の真実の瞬間」に勝利した。特に経済の調整局面ではリピーターを作る「第二回目の真実の瞬間」で必ず勝利しないと明日はない。

花き業界のすべての人たちのお客様はただ一人、消費者だ。その消費者にお金を払ってもその花のある生活のシーンが良かったと思ってもらい、リピーターになってもらうこと。これが種苗・生産・農協・運送・卸・仲卸・小売の花のサプライチェーンを構成するすべての人たちの共通で唯一の目標である。花き業界は今、消費者中心経営をしようとする人たちによって再編されようとしている。景気が悪くなればなるほど、消費者主義の花き業界の完成度が逆説的に高くなってゆく。誰しも今つらいところだが、消費者に喜んでもらえることを念頭に、自分の役割に磨きをかけ、花き業界全体の最適のために取り組めればと思う。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年12月 8日

第50週の荷動き

いつもだと繁華街だけ定点観測を行なうが、昨日はそのうちの一つのお台場と品川、大井、大森の住宅地や商店街で観測を行なった。

お台場ではアクアシティを見てみた。新しく開発された商業地として人が集まるが、お台場という土地柄か海のイメージでクリスマスということではなさそうで思ったよりも人は少なかった。買い気については他の商業地との競争による減が半分、そして景気の悪さがそれに追い討ちを掛けているといった感じだ。一方、ホテルは二つあるがいずれも結婚式はコンスタントに行なわれていて昨日も何件もあり、その意味では結婚式のスポットとしての人気は高いようだ。

高輪、品川から大森、蒲田にかけての花店は日曜には5軒に3軒は営業しているが、2軒は休んでいるといった風で、質の良いシクラメンやポインセチア、シンビジュームなどが店頭を賑わせてはいるが、荷動きは今ひとつといったところであった。特にシクラメンについては、ヨーロッパと同じ様に多くの人は小さな鉢の方が好きで、大きな鉢の方が好きな人は以前に比べて少なくなってきている。だから市場でも大きいものを作る技を持つ荷主さんの荷をしっかり評価し販売しなければならない。来年はさらにフォーマルな感じのシクラメンからカジュアルなシクラメン、小さなシクラメンに移行するだろう。需要は街の花屋さんでもそのようになっている。家族も個人化しており、花鉢もシクラメンだけでなく、シンビジュームも一回り小さくなっている。景気動向から大鉢の業務用から小鉢のパーソナルユースへの流れは加速化している。


P.S. COP商品のPR
日経流通新聞に大田花き花の生活研究所が参画しているCOPステーション発売のカーボンオフセットプラントが紹介されたので問い合わせがあり、ここでもポイントのみお答えします。

今年の4月、丸の内フラワーウィークスでCOP(カーボンオフセットプラント)の商品紹介をしました。大田花き花の生活研究所と大田花きの商品開発室で商品を開発し展示したのです。その後、実際にどのくらい炭酸ガスを酸素に代えているか実測し、計器を使って目に見える形で商品の効能を説明しようと、町田にある株式会社C.H.C.システムと協業し、「COPステーション」というショールームをつくり、そこで実測をしてきました。

科学的な検証に加え、観賞価値の高いデザインも盛り込みましたので、この度日経流通新聞にお知らせしたわけです。夜間も炭酸ガスを吸って、屋内で長生きする。そして見た目にも大変美しい。良いところだらけの商品がCOPです。ご興味のある方は「COPステーション」までお問い合わせください。(TEL:03-3485-2830)

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年12月 1日

A重油下がる しかし・・・

昨日の夕方の交通情報では、行楽地に行った人たちの帰り渋滞で、どこの高速道路も混雑していたという。ガソリン代が下がったから、家族でドライブを楽しむ人たちが復活した。

花作りで使う重油はA重油だ。11月はリッターあたり85円だったが、12月には65円となった。地域によっては今も70円台のところもあるが、もうかなり下がってきている。しかしニュースでは経済的に暗い話しばかり。花き業界もシクラメンやポインセチア、シンピジュームなど、冬の商戦が始まったがどうもいけない。給料支給後の最初の土、日だというのに、昨日、一昨日は店頭の荷動きが良くなかった。こうなると今週の4日や5日にボーナスを支給する会社が多いが、受け取った社員は前から聞かされているものの、実際に昨年より少ないとなるとやっぱり消費意欲は減退する。これは一般社員についてだが、今年はパート・アルバイトにまで賞与が支給できる状態の会社は本当に少ないと見るべきだろう。世の奥さん方が家計を握っているわけだから、第51週の15日頃まで、あるいは少し長く見て20日頃まで、個人消費は少し元気のない状況となるのではないかと推測する人たちが多い。こういう状況下ではA重油がリッター65円になっても、なかなか生産者は焚ききれないところだ。特にこの冬、出荷するかしないかを決めたところで、農協の部会や地域の生産出荷組合の活動が活発な地域は情報交換して、暖房効率の良いハウスは加温し出荷するが、効率の悪いハウスや冬出荷するには新たな設備投資が必要なハウスは出荷しないことにしている。花き部会の活動が活発でない個人出荷が多い地域は、高齢化や後継者がいないこともあって冬は休むところが多い。こうなると品目によって違うものの、この冬2割以上少なくなることが想定される。

話しは変わるが、先日ソウルに行ったとき、「今度の不況で花の需要が3割減っています。日本はどうですか」と聞かれたので、「今のところ1割減っていますが、今後の実態経済への影響を考えると15%?20%減るかもしれません。今までの努力しかしない場合には10%?20%減。しかし消費者に花の良さや花のある生活の楽しさ、そして割安であることを伝えることができれば1割の需要減で止めることが出来ると思います。ヨーロッパでは不動産バブルが激しかった国を除いて、5%のデフレで済み、消費量は変わらないと見ているようですが、日本は残念ながらお客さんが減って、消費本数や鉢数が1割減ると見ています」と答えた。そのソウルの著名な経済人は「日本は3万5000ドルの年収、韓国は2万ドル。ウォンが下がり、今後輸出は急増すると思いますが、輸入品である油代はそうは下がらず、国内の施設園芸に打撃を与えています。パプリカなどの果菜類と花を日本に輸出していますがどこまで帳尻が合うか、工業はどうにか乗り切っていきますが農業が心配です。韓国国内で花の需要が3割減になっていると推測しますから、どうしても12月は日本に頼らざるを得ないところです。日本の全体の出荷量は12月どうなりますか」と聞くので、「大産地は昨年よりも1割多いですが、日本の多数の小産地や小さな生産者は花の栽培をやめており、全体で昨年よりも1割以上少ないのではないかと推測しています。1割少ないとなると、今年の傾向として需給バランスが取れ、単価は昨年よりも安くなっていますが、80%代になると単価が反発します。12月20日以降、年末年始の花の需要は例年と比べてそんなに落ち込まないでしょう。クリスマスと正月を迎えるとき、そんなにケチってどうするのだと考えている人が多いでしょうから、月の前半が難しそうですが、月の後半は悲観することないのではないでしょうか」と話してきた。

その方は花に関係のない人だが、日本に留学の経験もあり、お母さんが生け花を学んでいたこともあって、韓国民の豊かさのシンボルとして花のある生活があると考えている方だ。文化の交流もお互いにできるようになり、共々今後良き隣人として交流を深めていく。その中に花の輸出入がある。今は日本に来るばかりだが、日本のすばらしい花をウォン相場が落ち着いたら韓国に輸出できると思う。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年11月17日

来るべき冬の価格設定

9、10、11月と三大都市近郊で、花が露地で作れる時期なのに入荷が前年を下回る月が続いている。特にここ数年は小菊が少ない。そう実感するようになったのは農薬問題からだ。最初は指定農薬で花の消毒に使える農薬が少なくなった。だから効く農薬がなくなったと特に露地栽培の生産者は嘆いていた。そのうち農薬はポジティブリスト制になって、この農薬以外は使ってはならないとなった。露地菊の産地は露地野菜の産地にある。隣が野菜を作っているとなると、野菜の農薬検査をしたときに、指定外の農薬が入っていたのでは困る。また残留農薬の問題もあろう。そういうことから野菜の畑の中に花の畑が点在するということが徐々になくなってきた。

だいたい露地花は高齢者が作っている。若い花作りは簡易温室のところもあるが、ビニールハウスかガラス温室が普通だ。3年くらい前から肥料や農薬、運賃が上がり始めた。特に今年に入ってからは本当に値上がりがきつく、生産費がかさむばっかりであるのに消費不振から市場の相場はパッとしない。こうなるとやる気が失せて、露地物は本当に少なくなった。またご高齢の生産者が花つくりをやめていくことが多くなった。今年の夏は集中豪雨があったが猛暑ではなかった。台風も来なかった。それなのに露地花のシンボルである小菊が足りない。これは意欲が減退した、やる気が失せた、少なくても「無理することはない、やってもしょうがないのではないか」という気持ちが蔓延しているのだろう。困ったことだが事実は事実。単価にはまだあらわれてこないが、消費が減退していくスピードよりも、供給の先細りの方が早く起こっており、今後需給バランスを押し測った価格設定をどのように行なっていくかがポイントになる。
消費者は景気が悪いから節約志向になっている。その中でも限られた財源で、元気に明るく快適に生活したいと思っている。だから安全安心な国産野菜や果物、次いで花と青果花きでは順番付けられる。野菜や果物は重要度が高いし、中国製品の問題があるから前年並みの売上を確保できるかもしれない。しかし花はその次に来るから少し需要は減るだろう。だがそれよりも供給量が少ないとなると、価格設定が難しい。どうしてもこれだけ生産経費が値上がりしたから、加工食品と同じ様に値上げと考えがちになる。だがそのとき、このように考えて欲しい。「いや、待てよ。消費者もボーナスが減って、しかも生活費はかさんでいる。とにかく花を選んでもらわなければならない。いっぱいある商品の中から花を選んで買ってもらうにはここは我慢のしどころ。とにかく花のある生活をしてもらう。そして消費者から買っていただこう。」こういう風に考えて商売してもらうのが今年だ。

年度前半(4月から9月まで)は昨年よりも1割以上も単価が安い日が続いた。10月も同様。仕入れが安かったので今年は楽だと利益を出している花屋さんが少なくとも全体の中で三分の一はいる。そういう人たちは高く買えるだけの余裕がある。そうでない人たちは商店街立地や駅前立地などかつては良かったが、街が変わってさびれたところで花屋さんをやっている。そういった三分の二の花屋さんは本年度のように単価が安くても利益があまり出ていない。どうも花き小売業界においても、皆が良いということはないようだ。だから時期によって消費者やがんばっている花屋さんに認められている花や産地は、消費者の生活の優先順位からいって今後、前年並みの単価をまず目標にする。ここからこの冬の価格設定を始めていきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年11月10日

花は生命

日曜日には政治経済番組が特に午前中を中心に放映される。今は楽観論を言うと間抜けのように思われているから、懐疑的な論調で結論は終わる。そうなると、我々視聴者はもっとこれから悪くなるのかと考える。こうして不安な気持ちになり、毎日の生活に張りがなくなる。なんと言ってもやる気が失せるのが問題だ。社会の空気と言ってしまえばそれまでだが、もっと“気”に満ちた生活を送っていってもらいたいと思う。

その“気”に満ちた展示会を昨日、3つ見てきた。日本橋高島屋の草月展、ベストフラワーアレンジメント創刊7周年記念スペシャルイベントの3人の花活け、目黒雅叙園で開催されている假屋崎省吾氏の百段階段の花活けである。もう満員御礼。流れに沿ってみる以外にない。が、しかし、その作品に思わず魂が揺すぶられる。まわりの人たちの熱気を感じ、作品群が観衆と一緒になってかもし出す熱いエネルギーのような、ある意味ではおぞましささえ感じる。花は“静”ではない、花は生命で、故岡本太郎氏が言うように“爆発”だ。最寄りの駅から電車に乗って本を読んでいても少しも文字が飛び込んでこない自分に、久しぶりに感動の深さを思った。家にある花とは違うものが、プロによって引き出された花にはある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年11月 3日

地域内でしか流通しなくなった鉢物業界

今年のIFEXでは商品開発したカーボンオフセットプランツや凪、あるいはキリンさんと協業している無花粉ガーベラのフルーツケーキシリーズ、そして香りの商品等を展示した。たくさんの方々にお見えいただいたが、ちょうど接客中だったりして直接お話しできず失礼してしまった方も多かった。卸売市場、生花商というルートの日本の90%を占める流通ではない、いわゆる市場外流通を得意とする業者も多数出ていて、IFEXは見る価値がある。特に海外や国内産地からの出展ブースはなかなかのものであった。

先週開催された大切な会議は生産協会と卸売市場協会との会合であった。多岐に渡り話し合われたが、ポイントを絞るとすると二つ。一つは、鉢物の輸送運賃問題。現在、運賃の値上がりで生産者は売上高運賃比率が15%を超え、20%になる場合もあるという。だから生産者は道州制を敷いて、北海道・東北・関東・北陸など、そういった天気予報で使われるような地域内でしかもう鉢物は流通しなくなった。これをどのように他の運賃同様のレベルまで引き下げ、流通を活発化させるか、生産協会と市場協会の鉢物部会でプロジェクトを組むことになった。また、バケツ輸送は切花を鉢物化したわけなので、市場協会の切花の多い会員の参加も促すこととした。もう一つは花の消費宣伝基金の具体化へ向けての話し合いだ。市場協会の理事会を経て、全花協(共同歩調を取れないJFTDを除く、生産協会、市場協会、日花協、インドアグリーンの4団体)で行なうか、あるいは生産協会の意向を受けて、先行して生産協会と市場協会で行なうかを決める。とにかくこの機を逃しては永遠に消費宣伝活動ができなくなってしまう危機感のもと、前へ進めるということでこの会議の合意事項とした。


P.S.前年比マイナス10%の出荷量
台風がなかったので昨年相場が良かった11月、そして12月まで、冬場担当の暖地はいずれも107?110%の出荷量を見込んでいるが、11月の初旬に既に日本海側北関東以北の産地からの出荷はユリやチューリップ、ストック、ラナンキュラスを除いてほぼゼロに近く、昨年は12月も出荷されていた高冷地・中間地の出荷はストックやスナップを除きなくなる予定。となると、全体量として切花、鉢物とも前年比マイナス10%の出荷量となると考えてよいだろう。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年10月27日

アジア回帰

今年のHORTI FAIRとアールスメール花市場で行なわれたトレードショーの傾向は、アジアの時代と言っていいだろうと思うが、胡蝶蘭やアナナス系、アンスリュームなど、温帯から亜熱帯の感じをさせる花や新品種が数多く出ていて、経済や文明の軸がアジアに寄ってきていることがわかる。

その流れとは別に、ファッションが黒・白・グレーで構成されているので、色合いのはっきりしたものというよりも落ち着いた色調のものが多かった。また展示会独特のボリューム重視であるが、トレードショーの中には細い線を生かすような球根植物や草花も見えはじめ、しっかりした作り、どーんとした存在感のものから、少ししなやかなものへの傾向も見え始めていた。

ここ5年で概して花系が大きくなったが、家庭で飾るのに大きくなりすぎたものもあり、少しずつ輪が小さく、細身になってきつつあるのかもしれない。


P.S.入荷見込み情報

昨日の日曜日も高速道路は行楽帰りの車で渋滞箇所が多かったようだ。今年7月に最高値をつけた石油先物価格も、空売り規制と不景気感から今はもう昨年水準より低くなった。日本のガソリン価格もそうで、安くなったガソリン価格に加え、暫定措置で高速代金が割り引かれている。しかし実態経済の影響はまだこれからで、給与所得は以前のままだから家族でドライブに行った人が多かったのであろう。

生産農家の中でも「冬焚かないでおこうと思っていたのですが、やはり焚くことにしました」と生産計画を修正するところも出てきた。もうすぐ11月だというのに、まだ12月から3月までの出荷量を正確につかめたとは言いがたい。

不測の事態は為替相場にもあらわれていて、これだけ円高だと輸入品は割安に入るから、海外の花の絶対量は増えていないのだが、為替相場によって輸入花は増えてもおかしくない。想定外の経済状況になってきているので、ここで再度出荷状況を把握しなおす必要が、産地にも卸売市場にもある。得た情報をお互いに交換し、10月末時点とか、1週間、10日ごとでもいいが、明確に外に向かって発信する必要がある。とにかく状況が落ち着きなく変化しているのが今である。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年10月20日

ホームユースを根付かせることの大切さ

オランダ花市場の情報部門Eコマースの部長であるユルンさんから、「入荷が5%増え、経済の低迷で単価は5%下がったので、今年は今のところ昨年並みの取扱金額になっている」との話を聞いて、何故そのくらいの単価安で済んでいるのか、需要の落ち込みはないのかと質問した。答えは家庭需要。花は暮らしに欠かせないものになっているから、需要はそんなに落ちないと言う。オランダの花き産業は家庭需要の上に花き業界を構築してきたから、これだけ強烈な経済の調整局面でも花の需要はしっかりしているのだ。

一般論として、ホームユースやパーソナルユースと、物との関係はどのようなものか。コンピューターがパソコンになっていくと値段が下がり、しかも良くないと売れない。花なら花保ちが良い、そしてユリならユリ、バラならバラの良さが際立っている。値段は普通の人が買える範囲、こうしたときに初めて家庭で使われることになるのではないか。

プレゼント、結婚式やお葬式、ディスプレイなどは個人の経費なのか会社の経費なのかわからないが、とにかく経費需要といえるものである。日本は高くても買ってくれるこの経費需要を充てこんで、作り、販売してきた。しかし今は経費削減だから、この花の需要は減るのだ。個人需要であれば生活に欠かせないものにだから、景気が下がったときでも少し安くなれば消費者は納得して買ってくれるわけだ。

今回見たアムステルダムのHORTI FAIR、オランダ花市場でのフェアなどはいずれも時代と共に移りゆく美意識を具現化したフェアだ。見るべきものも多くあったが、まずは物としての良さと値段を中心にしたホームユースに軸足を置かない限り、産業として成り立ち得ないのではないかと感じた。ホームユースを喚起する一つとしてのHORTI FAIRであった。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年10月 6日

来週の見通しを

市況商品である花や生鮮食料品は、俊敏にそのときの需給バランスを映し出す。現在の経済状況からすると、取引所を持たない他産業の需要減は今後本格化する。それが実態経済の影響と言われるものだ。株価は先行指標の一つだが、花や生鮮食料品の相場はそのときの台所事情を即座に映し出す。これを生産地が引き合うような価格で取引するにはまず供給元を絞ることが必要だ。販売元の数の調整が欠かせないということだ。ヨーロッパもアメリカもそうしてきたし、そうなった。青果はオランダでさえも、せりをやめてもう10年になる。花はせりを行なっているところも多いが、ヨーロッパではオランダとドイツとイタリア。アメリカ大陸ではカナダ、ブラジル。オセアニアではニュージーランド、中国、台湾、韓国、日本だけで、それ以外の国は相対である。日本では一部の市場を除いて、相対取引の一手段としてのせりといった風に、せりの使われ方も変わってきた。供給者の数を絞ることが必要なのは、オランダの花市場が一社になったことで分かるとおりだ。そして次に産地情報を道州制レベルで次に全国レベルできちんと捉え、取引所の会員に開示することが必要である。そうでないと、相場の乱高下が激しくなる。現在は経済が悪いから、情報がないと不安で安値に流されることが多いのだ。とにかく地域の基幹的卸売会社は情報を収集して、それを分析し、買い手と産地に発信する義務がある。少なくとも「来週の見通し」をきちんと伝えていく必要がある。

話題をもう一つ。石油高や資材高で暖房が必要な時期に花の生産が少なくなっている。しかし少ないから高いという風にはいかない。どのように再生産価格にまで引き上げるかだが、小売価格を上げられない中で生産者が手取りを増やすには工夫が必要だ。実感はなかったが、昨年までの好景気で産地はここ10年、一箱あたりの入り本数を少なくして花屋さんの買いやすい入数にしてきた。ダンボール代や運賃、手間隙がかかっただろう。しかしそれを補って、余りある高単価が得られると判断したのだろう。輸送容器、兼販売容器を産地は実現してくれたわけだ。しかし生産資材が高くなる中で何が落とせるのかというと、結局一箱あたりの入り本数を元に戻さざるを得ないのではないか。昔のように100本、200本、300本箱。必要だったら卸がせり中に小分けをすればよい。昔と違って仲卸も少なからずいる。こうすれば生産者はダンボール代、運賃が助かる。全体量が少なくなっているから単価がこれ以上下がるリスクはあまり多くないはずだ。入り本数を元に戻す、この時代に入ったのだ。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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