大田花き 大田花きコーポレートサイトへ
 

2008年1月28日

雪の中の花の産地

先週の日本列島の冷え込みは厳しかった。
北育ち元気村花き生産組合発足10周年記念大会に出席するため、北空知へ伺った。当日は久々の晴れとの事、素晴らしい景色を車窓から愉しんだ。しかし、翌日は鉄道も空もダイヤが混乱するほどの大雪。この地で質の高い花を量産してくれていると思うと、まさに北の家族への熱い想いがこみ上げてくる。

複合経営を目指して花を導入し減反政策に備えた。今では温暖化で米も引く手数多、そして花も引く手数多で、輸送の努力や、また生産水準や商品の規格など広域ゆえにブランドを保つ努力をしなければならいが、一つ一つ前進して今日に至っている。
10億円あるとAランク産地、Sランクは20億からと花では言われているが、Sランクの産地になるのも今の元気さえ持っていれば時間の問題だと思われる。
先週同じようにJA新潟みらい園芸組織交流会に出席した。チューリップの切花産地として日本でNO.1の所であるし、ボタンは島根県の大根島と同様、世界に誇れる産地でもある。古くからの鉢物花木類を作っている。雪国は太陽の恵みが冬には期待できない。その中で、日本海側の一番の産地として最も注目されているのがJA新潟みらい農協だ。
大型合併というのが何にせよ難しいことが多いだろうが消費者の為、お取引先の為、品目ごとに新しい部会で大きく羽ばたいてもらいたいと思う。

日本ではあまり例を見ないが、EUの花き農業者では量販店などに対応する為に、作っている品目の違う物同士がチームを組むことがある。ちょうどジャズセッションみたいなところからまず始まる。もちろんリーダー格はいるが、一人一人が意見を言い、持ち場持ち場の楽器を奏でながらチームとして評価される。そしてビックバンドやオーケストラのように育っていく場合もある。
JA新潟みらいの場合には、オーケストラのようだ。ただ、奏でる楽器である品目が100以上あるとどのような音色を奏でていくのか、普通のオーケストラのチームとしては人数が多い。西洋音楽か日本音楽か、更にその中でもどのように分けるのかなど持ち味を生かしたグルーピングが必要だ。
大きいことは良いことだと言わなくなって久しいが、しかしこの頃また言い出した。
それは、重厚長大産業の分野では日本は強い。軽薄短小の産業である花は衣料品同様そうだが、世界と競争しなければならない。軽薄短小産業の勝負のポイントは、消費者に絶えず新しい物を提案することだ。だから携帯電話と同じくらい忙しいのだ。農業も市場も取り扱っている物は軽薄短小が多い。だからブランド化なのだ。
こう見ていくと、大型合併農協のJA新潟みらい農協は今後注目される農協だと言える。
目的意識を持って主体的に行動することだ。

北海道や新潟など、冬の厳しさの中でも未来を見つめて花き産業に取り組む人達は多い。
その人達の想いを胸に秘めて、消費者に花を届けたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年1月21日

我々はサプライチェーンを明確に意識しだした

今年はどういうわけか花き業界の新年会が大変多い。状況が決して思わしくないので結束して仕事に邁進しようというのであるし、不安を払拭したいというのであろう。成長をするためには、生産性の向上しかない。PDCA(Plan-Do-Check-Action)のサイクルを回し、改善に努める。その改善は卸売会社であればお取引いただいているのは出荷者と買い手であるから、双方により価値あるサービスを提供していくことに尽きる。価値あるサービスとは消費者に買ってもらえる花を提供することである。今が難しいのなら明日に、数ヵ月後に、一年後になど、将来を作る作業も今しておかなければならない。

今年の新年会で感じるのは、生産団体にしても、小売団体にしても、サプライチェーンをイメージし、分業化の中で自分が一パートを仰せつかって仕事をしているということを明確に意識しだしたということだ。パートナーである小売店のことを知らなければならないと産地は思い、小売店は自分が販売する花のことや生産者のこと、栽培や品種のことをお客様に伝えることが必要だと思っていることが多いと思われる。お客様に受け入れられる店作りは、もはや花き業界全体の課題となっている。小売店での原産地表示だけでなく、トレーサビリティーも含め、どこでだれがいつ出荷したものか、MPSの認証を受けたものかなど、お客様が関心のある安全安心、そして知的興味を満足させるものでなければならない。これはきれいに飾りつけるという小売店の役目プラス流通業者、生産者が協力して行なわなければならないということを物語っている。

新年会に行くと、今更のように我々は仕事をさせてもらっているのだとつくづく感じ、ありがたさとやる気がみなぎってくる。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2008年1月14日

商売の秘訣?環境、安全安心に応える?

新年の相場の推移は2005年度並みとなっている。昨年は第4四半期すべて追い風であったから、総平均単価で切花、鉢物ともに前年比で2割安い状況が続いている。消費者心理と市場の声だろうか。生産者は生死を分ける状況になっており、大変なご苦労をなさっている。

年末年始の日めぐりは消費者にとって大型正月休みのカレンダーであった。だから7日の仕事始めが多かった。一方産地や小売店は、昨年押し詰まっても良く売れ、最終週52週がその前年よりも入荷量が(地域によっても異なるが1割?2割)多かったので、小売店や仲卸はその分在庫を持つこととなった。そして、年末の雨や雪である。在庫を抱えたまま初市となった。株式市場も下げ相場となり、石油高や食料品高で節約型の消費になっている一般層に加え、裕福層までもが消費マインドを冷え込ませた。

花だけでなく、青果物も同様の出荷傾向だったし、株式市場も、小売店の福袋以外のバーゲンセールにおいても、昨年秋口から持ち始めた景気後退の不安感が現実のものとなってあらゆるものの消費が縮こまっている。

先週一週間、相場立て直しの週として取り組んできたが、業務需要は例年通りだが、個人消費が今ひとつ、ここが昨年と異なる点だとはっきりし始めた。油高、生産資材高、運賃まで上がって、生産者はじめ花き業界の誰もが安値を望んでいない。

消費マインドとマーケットの需給バランスはかなり厳しいものがある。では打開策は?店頭での原産地表示、農場や生産者の写真、香りの提案、切花採花日や花保ち保証日数、環境に配慮していることのPRなど、消費者が自ら参加したいと思っている市場の声を卸売場や仲卸・小売の店頭に反映させることだ。環境、安全安心、セラピー自分たちがこれを買うことによって恵まれない人たちが良くなっていくこと、ここに花き業界としても今こそ本格的に取り組んで行く必要がある。社会の声をどのように商売で捉え、答えを出していくかが問われている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年12月24日

2007年 最後の中央卸売市場“新花”開場、花の中央卸売市場第一号仙台生花橋本会長亡くなる

本年、花の卸売市場業界で起きた最も大きな事柄は、最後の中央卸売市場花き部である新潟市中央卸売市場“株式会社新花”の開場と、花の中央卸売市場第一号で、花き卸売市場協会では副会長として業界に貢献なさってきた仙台生花の橋本芳一会長がお亡なりになられたことである。今までが終わり、新たに始まった花き卸売市場業界である。

今、花の卸売市場はセリ比率が少なくなり、セリ前相対、セリ前取引が増えてきている。これは1993年食品流通改善促進法ができ、卸売市場以外の生鮮食料品流通を正規な流通と認めるようになったこと、すなわちこれまで生鮮食料品花きの流通は、卸売市場流通こそが正規の流通としていたが、それ以外の流通や直売や商社経由などの流通も重要な取引だと国は認めた。

1999年、セリと入札のみを正規な取引手法としていたが、相対を正式な取引と認め、セリでも相対でも取引手法は良いとした改正卸売市場法施行。

そして2004年、富山の米騒動以来、卸会社の買付販売を認めていなかったが、買付を新たな取引手法と認めた改正卸売市場法施行。
この3つの流れは生鮮食料品花きにおける卸売市場の問屋化、あるいは流通センター化、商社化を促すものである。

2009年4月、受託品の販売手数料を唯一の収入源とする(例外的に買付は2004年に認められた)規制が緩和され卸売会社は他の業務からも収入を得ることが可能となる。このような流れの中で、轡田社長、玉木副社長のもと新花が営業を始め、仙台生花の橋本会長がお亡くなりになった。ここで心しなければならないのは、中央卸売市場は地方卸売市場と違うという点だ。中央卸売市場の卸売会社は取引所運営会社としての役割と取引所を通さない取引を行なうという役割、この2つの役割があり、政令都市の中央卸売市場は利益を上げることを旨とする商社的な活動も大切ながら、最も大切なのは公正な取引所の運営であるということを肝に銘じ、セリ取引が活性化するようにしなければならないということである。世はまさにフリー、フェアー、グローバル、この3つが時代の声だと信ずるが、地方卸売市場はまさに民間そのものであり商売に徹していけば良いが、中央卸売市場の卸はフェアーを一義にしなければならない。すでに実質、卸と仲卸の垣根はなくなり、仲卸と卸の激しい競争が行なわれている。その中にあっても、中央卸売市場は取引所で価格を生み出す。その努力をしなければならない。最も譲って、すくなくとも中央卸売市場の卸会社は地物の出荷期間中は必ず取引所を活性化することが必要なのである。

本年最後のコラムとなりました。1年間ご愛読いただきましてありがとうございました。新年は7日の月曜日から連載をはじめます。変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年12月17日

花から見た今年の世相

昨日の千両、苔松・苔梅市も、今日の市でも、総じて上値は重く、手頃なものの流れはすこぶる良い。上値が重いと言っても、期待を大きく上回る特上のものには値段がしっかり通っている。その辺が昨年との違いだ。例えばフリージアでも特上は90円相場、チューリップも同様だ。だから一般的には景気の影響を受けて消費の動きは鈍いものの、絶対量が不足がちなので下値が高い。特上のものの値段がよく通っているということはそれを評価する消費者がいるということだ。それは都心部の一流花店を見ていただければわかる。パリの花屋さんに引けを取らぬセンスとレベルの店は多い。昨年までは見せ方やアイディア中心で、素材そのものにそうは感動しなかったのがこのところ違う。宝飾品を見るのと同じ様に楽しむことが出来る。しかも宝飾品と比べたら本当に値段は手頃だし、花は生き物だからコミュニケーションもできる。地方都市のことはわからないが、東京の都心は確かに生まれ変わりつつあり、その花飾りという生活文化はオペラやミュージカルなどがそうである通り、日本では世界最高レベルにまで到達している。

だが大田花きの取引所を見ると、多くの小売店は近隣のスーパーマーケットとの競争が激しくなっており、スーパーと同じ品揃えのものを仕入れようとしている。小売店と同じ物をスーパーが売ろうとしているのかもわからないが、とにかく価格競争になっている。これではどちらかが具合が悪くなってしまう。専門店が大手量販店に伍して活躍しつづけるには、サービスの質を顧客の立場に立って追求する、地域に密着し地域にお金を落としたいと思う顧客をゲットする。期待以上のサービス、これが“山椒は小粒でぴりりと辛い”を旨とする小売店の進む方向であろう。しかし現実は必ずしもそうなっていない。日本の消費者は小売店を使い分けるので、高い花を買ってもらえる専門店になってほしい。2008年、日本の量販店はもう一度自社で花を取り扱い、クローガーやテスコのように花販売でも成功したいと考えている。縮小気味だった量販店の花売場は活気付き、花の小売業界の実態競争は激しさを増しそうだ。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年12月10日

松市

昨日は東京では最後の紅葉狩りの日となった。イチョウやナラ、カエデなど公園を散策する人たちが多数いた。大田市場の近辺では、今年京浜急行の平和島駅から歩いて10分のところに砂浜がきれいな“大森ふるさとの浜辺公園”ができた。旧東海道から羽田へ行く、これも江戸時代からの道があり、そこを通って少し行くとナラの林があり、その先が砂浜のある公園だ。カモやウミネコが多く、特にウミネコは餌付けをする人たちがいて群れをなしている。ウォーキングを楽しむお年寄りたちが起伏のある散歩コースを要望していたので、区はまたとないプレゼントをしたものだと思った。

大森の界隈は町工場が多かったが1980年代半ばから数は減りはじめ、特にここ10年、中国へ生産基地が移ってからピークの五分の一の数になった。その跡地はマンションになっており、あの油臭いスレートの家並がいつの間にかきれいになったので喜ぶべきであるが、しかし地元の人間としては寂しい気持ちがしてならない。こういった旧東海道の大森海岸界隈だが、伝統を守っている住人も多い。例えば供える榊はひとまわり大きい。だから中国で作られた作り榊は使えず、自分で作っている花屋さんが多い。

昨日は松市であった。門松が高騰した昨年とは異なり、今年はカラゲ松と根引松の生産量が少なかった。そのカラゲ松は大森界隈にはなくてはならない。それと根引松と五葉松の良いものも欠かせない。大森海岸の料理屋はもう一軒もなくなったが、その流れを汲む割烹や寿司、洋食屋は伝統を重んじ松を多く使う。古い家ほど松を多く使うので、この界隈の花屋さんは日本の一般の花屋さんより松の比率が高い。今、日本では季節のグリーンとして松を使うことが多いが、大森界隈は松が主役で花は脇役である。ここが違う。だから質の良いものにこだわる。昨日は良い根引と五葉松は一時の値段ではないが、現代としてはしっかりした値段であった。筋モノのカラゲ松や若松の大小も安定した動きであった。新しい花屋さんたちが多い大田花きのセリ場では、セリ人が松の良さを教える形でコミュニケーションし、セリが進む。大変生意気な言い方で恐縮だが、このコミュニケーションの取り方しか新しい花屋さんにどんな松が良くて、どんな松が良くないのかを教える手立てがない。今年の松市でとある波崎の荷主さんは小生に言う。「大田の松市は古い。どこの市場でも注文で事前に販売している。早く大田もそうするようにしてくれ」。千両はセリが主力だが、松は注文が中心取引となったようである。しかし大田では昨年の門松の不作、本年の根引とカラゲ松の不作。このように農作物は天候の影響を受ける。だから相場が必要だ。その花の今年の相場は大田のセリ場から生み出されると信じて、取引所運営に万難を排していきたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年11月26日

進化する街、進化する商品

忘年会やらお歳暮、はたまた来年の年賀の仕込みやらで、丸の内の中通りや有楽町、東京駅近辺に行くことが多くあった。「日本じゃないみたいね」というのが丸の内の中央通りだが、これにどのように日本の良さを出していくかどうかが課題だ。「なくても生きていける。でもほしい。」こういったこだわりをもったものが日本には少ない。海外のブランドはいずれもものつくりにこだわりがあって、使えば使うほど味が出てくる。日本のものはそこまで行かず、大量生産で作り手の個性が感じられないことが多い。どのように日本はもっと良いものを作っていくか、この作り手の個性を前面に押し出したものがあってもいいと思うが、新しい東京の街を歩いても、なかなかそれが見当たらない。

ヨーロッパやアメリカに行くとアシックスの運動靴やミズノのグローブやバットの評価が高いのでびっくりする。ゴルフクラブもそうで、ヨネックスまで含めて日本の運動具類はさすが日本人の技、機能だけでなくフォルムも素晴らしく、使えば使うほど味が出てくる。ここに日本の良さがあるのではないか。油絵、文学、クラシックやジャズなど明治時期から学び、日本人の表現として世界から評価されているそういうものがもっと身近にあって良い。小澤征爾を出すまでもなく、現代日本人の生活様式に合った日本の本物を我々は身にまとい、それらと一緒に生きたいのだ。丸の内中通りに文房具の「伊東屋」がある。これである。家具や洋服、靴や眼鏡などもっと質の高い日本の本物を作出し、路面店で販売してほしい。これと同じ様に日本人がこだわって作った花、ここに日本の生産者の生きていく道がある。産業としての花作りだから、一定の規模は必要だ。かつて3000坪と言われていたが、先週シンガポールで日本とASEANとのEPAの締結がなされた。将来を見込むとグループ化するなり、共撰化するなりして、5000坪を1ユニットとして自分たちのブランドをデザインし、販売戦略をきちんと立ててこだわって作っていく。お客はすでにもういる。日本中の政令都市で販売することをイメージし、新しく産地をリニューアルしてほしい。売上が落ちているということは、リニューアルすることに遅れをとったという意味だ。早く新しい都市に似合う良質な花を作り上げてほしい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年11月19日

現在の花の輸出とサブプライムローン問題

サブプライムローンの焦げ付きから、最初に手持ちの長いEUの金融機関、次いでアメリカの金融機関の被害総額が発表されるにつけ、株価が下がってきた。株価は7?8ヶ月経済事象を先読みして、実態経済に先行していると一般的に言われている。そうなるとさらに格差が世界中で広がることになる。差はどこに現れるかというと、良いときはどこも良いのだが、経済が悪くなってくると、通称“勝ち組”と言われているところは5%くらいのマイナスで済むのに対し、“負け組”と言われているところはドーンと下がっていく。景気、不景気を繰り返すうちに差が大きくなっていくのだ。

日本はバブル崩壊後、1999年まで国や地方自治体が、民間が稼げなくなったGDPを肩代わりし、トータルの日本のGDPは横ばいであった。しかしロシアのデフォルト、またタイバーツの暴落に端を発したアジア通貨危機は日本を除くアジアの国々を1997年直撃した。それは悲惨な状況であった。

そこから10年、アジアは立ち直った。しかしアジア諸国で花き産業がその恩恵を受けるようになったのは、2005年頃からで今年はまだほんの3年目にすぎない。もちろんそれまでも台湾のように官民挙げて競争力をさらにつける品目や品種の開発や改良、花保ち剤の開発、輸送コストを落とすための船便のテストなどに取り組んだところは一定の成果を出している。最終消費財の農産物に2000年から力を入れはじめたマレーシアも特にここ5年ほどの農地の規制緩和で民活を使い、日本にもたくさんの上質なスプレー菊を通年輸出するまでになっている。しかし今度のサブプライムローン問題は、アジア圏での域内貿易がそれぞれの国で一位か二位の輸出割合になるとは言っても、結局はアメリカが一番消費しているわけだから、その各国に及ぼす経済的な影響は大きい。当初は「北京オリンピックまでは大丈夫、いや2010年の上海万博までは大丈夫。」と中国のみならず、ASEAN諸国の景気動向をアジア圏ではこう肌で感じている経営者がほとんどだった。だから大規模設備投資も行い、各国の経済はうまくまわり、結婚式や葬式の花は日本のバブルのときと同じくらい使われることもあるらしい。それが現在設備投資の取りやめにまず来た。そうなると日本からの上質な切花の輸出はどうなるかである。国を挙げてやりはじめたことだから、そうは簡単にやめる訳にはいかないが、少なくとも定着することを目的に、息の長い取組みをし続けなければならない。台湾で日本の1/5の消費金額であるがその花き産業の育成と共に輸出額が伸びるようにすることから、韓国では日本の1/10の消費金額からはじめ、タイも同様だ。2010年ASEANが統合し、日本もFTA、EPAを結んでくれないと、切花で28%?35%も関税を掛けられたのではたまらない。その辺りも考えて、今回のサブプライムローンによる影響を考えながらも近隣諸国の花き業界と付き合っていく必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年11月12日

新しい住環境が新しい花の需要を生む

先月から今月にかけてヨーロッパ、東アジア地域を訪れてみると、日本だけ取り残されているといった印象を持った。平時において国民の関心事は飢えをしのぎ、寒さをしのぎ、夜露をしのぐこと。この段階を脱すると、美味しいものが食べられて、おしゃれが出来て、良いところに住めるようにすること、そして生、老、病、死に対し十二分に慮り、家族や社会の手助けを出来るようにしておくこと。これが政治上、最も重要なことである。

日本は生においては3万人を超える自殺者、老においては年金の問題、食においては偽装、衣は現在最も充実しており、男性もおしゃれを楽しむようになっている。そして花き産業にとって最も大切な少子高齢化にふさわしいゆとりある住環境、グローバリゼーションでも負けないシャープなアーバンライフを演出する都市、ここも耐震構造疑惑姉歯問題から、官が検査するのは良いが手続きが大渋滞し、内装メーカーだけでなく大手家具店の株価も停滞の影響で下がってきている。このようなマイナス点が一時に頻出しているのが日本の現状で、恐ろしいのはこのようなことで政治家や産業界のみならず国民も自信を喪失しているということだ。自信がぐらつき、余裕がなくなると、足を引っ張ったりいじめを行なったりすることに繋がりがちだ。そうならぬよう小さなうちに消火活動し、すでに燃え盛っているような問題に対しては、早さが重要で一刻も早く全力で立ち向かい、火を消し暫定措置をする。その暫定措置の間、抜本的な改革を行う。そのようなことが必要だ。

日本の花き業界だけを言えば、現在停滞している新しい日本の街づくりを一刻も早く再度軌道に乗せることが必要だ。住みかが新しくなると、家具も家電製品も、場合によっては衣類も食生活さえも、車も新しくする可能性がある。このように住は裾野の広い産業だ。せっかく人口が少なくなっていくのだから、それにふさわしいウサギ小屋ではない住環境を整えること、その豊かな暮らしを花き産業はお手伝いしたいと思っているのだ。そこに花き産業のこれからのお役立ちのポイントがある。そこに日本が早く踏み込むよう運動する必要があるが、そのプラスを得るまでは現状の需要に対してモデルチェンジをスピーディーに行い、飽きさせない努力が必要となる。

世界をリードする日本の先進企業が世界の各所で計画されているビッグプロジェクトに参加し、成果を上げている。その影響を受け、日本経済は好転している。しかし内需の問題となると、経済だけではなく政治が重要な鍵を握っている。ここを花き産業としても認識し、打つ手を間違えてはならない。こうヨーロッパと東アジアの諸国から帰ってきて痛感している。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年11月 5日

仕入れ機関として最もローコストな卸売市場の開拓者

仙台生花株式会社の橋本芳一氏の告別式、法要、会席が日曜日、仙台で最上級の礼を尽くして行なわれた。
昭和48年、仙台に中央卸売市場花き部ができ、東北・北海道のみならず、花き流通の整備が国中行なわれるようになって今の日本の花き産業がある。私たち卸売業者は、橋本会長が追求してきた卸売市場はどうあるべきかを自分流に考えて我がこととして捉え、その時代その時代に合うようモデルチェンジを絶えず行い、地域の花き流通の中核として今後とも改革に努めなければならない。それはなぜか。それは取引の手法がセリだろうが相対だろうが何だろうが、卸売市場はプロの目利きを育てる場所だからだ。花は生き物で品質と価値が絶えず変動するし、花は生鮮品の中でも最もファッショナブルなものだから、それを値踏みするのが毎日の仕事となると、仕事は卸売市場や仲卸の社員をプロ化する。また市場の仕事は物流のプロ、銀行業務のプロも作る。だから市場は経済学で言う、「取引減少の法則」「在庫適正化の法則」の経済効果以外に、プロの目でスクリーニングした花の取引が実現されるから、花をお金に替える機関として最も安上がりにつく。
橋本芳弘社長は会葬御礼のご挨拶の中で新たな決意を語り、一連の法要は参会者に深い感銘を与えた。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

Copyright(C) Ota Floriculture Auction Co.,Ltd.