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2007年10月22日

韓国も切花は午前1時からのセリ

韓国へ行った時のことだが、サムスンはソウルにある総合病院の同じ敷地内に葬祭場を作った。韓国は土葬が7,8割だから、遺体の移動を何回もするというわけにはいかない。よって霊安室が、近い家族以外の人たちとその死者とのお別れの場になっていた。床から一段高くして靴を脱いでお参りする。必ず座敷だ。余談だが、居酒屋でも韓国では掘りこたつなどはない。宗教はキリスト教が一番多いが、葬儀に使われるのは白菊が一般的で、黄色や他の色などは使わない。白菊やグリーンの葉モノ(おもにソテツ)を使う。一部には祭壇もある。近くて遠い国であった韓国は、韓流映画が特に日本のおばさま方の心をとらえてから、お互いに文化を尊重しあう良き隣人への道を歩んできている。

日本の花市場はセリ前取引とセリ取引、この二本立てで規模の大小を問わず現在営業をしている。切花と鉢物の両方を行なっている卸売会社は人員のシフト制を取っているが、どちらか一つの卸は48時間を1サイクルとして使っている。韓国には花のセリを行なっている卸売市場が4つあるが、ソウル中央卸売市場花き部は切花を日曜日を除く毎日、午前1時から、洋ラン鉢のように卸売市場経由率が圧倒的に高い鉢物類は午前8時から曜日を決めてセリ売りをする。台湾も朝1時ないし、季節によっては3時から切花を競っているし、雲南省昆明のセリ市場は午後7時から競っている。アジアのやり方は涼しいうちに夜中に取引をしてしまう。設備にお金をかけず鮮度保持する。そしてもう一方のやり方はオランダやドイツ、イタリアなどのように、早朝といっても人間が働くわけだから、6時からのセリにして、花の鮮度が落ちぬよう定温トラックや定温庫、定温売場を完備する。日本はその中間のようなものだ。

また、日本にはこのような問題もある。日本はセリ前取引、セリ取引として売っていくと、セリは最後の取引だから処分市になりやすい。そうさせないためには、誰もがほしい品物については、むしろセリ前取引に制限をかける必要がある。このような新しいルールを作り、守っていくためにはチェックシステムが欠かせない。チェックシステムとなると開設者と運営当事者が同じでないことが必要となる。今まで中央市場と地方市場の分け方をしていたが、これからは公設市場と民間市場といった風に分けるべきである。そうなると日本のセリを行なう卸売市場は一県に一つ必要というわけではなくなってきた。アジア流に午前1時からセリが出来るのか。そうするためには仲卸にさらに働いてもらわなければならなくなる。日本以外のアジア諸国でセリをやっているところは夜中からだということを我々は頭に入れて仕事をしていく必要がある。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年10月15日

HORTI FAIR

先週はオランダのHORTI FAIRとIFEXが同じ週に行なわれ、忙しい1週間だった。オランダでは花が国策でもありビッグビジネスになっているが、一方イタリアのチコレラはまた新たにオランダの花の輸出会社を買収し、ダッチフラワーグループに次いで、市場を除く花関連業者で第2位の会社になった。一人当たりのGDPの伸びではイタリアは、ドイツや日本と同様、脱工業化社会に十分に適用できず世界順位は下がっているが、生活を楽しむ産業の分野では更に拡大が続いており、チコレラが花に勝算ありとオランダの企業を買収しているのもそのような裏付けがあってのことだろう。

企業買収では日本のタキイ種苗さんがサーヒンを買収した。社長のケーシーが亡くなって、奥さんのエリザベートが、子供が育つまでしばらく社長をするつもりでいたようだが、グローバリゼーションの中で法人サーヒン社が今後とも発展していくためには、タキイさんの一会社として働く道を選んだようだ。ケーシーとは40年、奥さんのエリザベートとは彼女がイギリスにいたときからの付き合いになるので20年以上になるが、これで彼女も肩の荷が下りたことであろう。

同様に今回オランダでは、すでに故人となって久しいが、オランダのライデン大学のユーモア学者として名高かったホットフリーボーマンスの奥さんと会ってきた。オランダも長寿社会になって、女性一人で生活をしていることも多いが、肉親や地域に温かく包まれて生活をしている。70歳を過ぎると、さすがにPCでのEメールや携帯電話は持たないが、しかしそれなりに連絡を取り合い淡々と生きている。そこでも花は欠かさず飾ってある。

オランダのHORTI FAIRのことに少し触れると、傾向として植物は大きくなっている。観葉植物でも葉っぱ一枚が大きくなっており、スタンダードの切花であれば花が大きくなっている。赤道直下の花の産地が増えたからではなく、全体が大きくなっていることに特徴がある。そしてもう一つがラッピングペーパーや鉢など植物を売るときに包む資材の充実だ。年々植物そのものが花き、種苗商とも価格競争を避けるため限定栽培で限定サプライチェーンとなっており、展示会で本当に新しい品種と言うものはもう見ることができない。一般的な花や観葉植物を魅力的に見せ、買わせるためのラッピングペーパーや鉢はまさに洋服のコーディネーションではないが進化しつづけている。そして三つ目はこの分野の進化が一番著しいが、撰別機や播種機などの生産機材と言うか、省力化あるいは均一化マシーンの充実である。花の分野にロボットなどセンサーの技術を使い、日本が車の分野でリードしている自動化やクリーン化をこの分野で実現させている。日本のIFEXも施設園芸展と一緒に行うべきとつくづく思う次第である。産業としての花き産業のあり様は、日本で言うと農林中央金庫と同じ得意分野のラボバンクがマーケティングについての講座を会場で持っていたように、関連資材、機材まで含めて展示紹介し、アジアのメッカになる必要があると感じた。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年10月 8日

勝手に作るのはもう危ない

 物日と普段の差が開いてきていると感じている小売店は多い。確かに諸物価の値上がりで財布の紐を締めている消費者もいる。しかし、仏花に力を入れるのは地域の花店として絶対必要なことだが、それプラアルファの日頃使いに、今ひとつその小売店が力を入れていなかったのも事実だ。もう一度自分の店を道路の反対から見てみよう。店を出している限り、車屋であろうがケーキ屋であろうが花屋であろうが、客の目で店をチェックすることは欠かせない。

 今、花き業界で重要視しているのは燃料代の高騰とダンボール代の高騰である。どうすれば合理的な流通が出来るか、卸は自分が担当する販売網では、どのように品物を流通させれば買い手と出荷者双方に無理がないかをよく話し合って、きめ細かい打ち合わせをする必要がある。そうでないと、もし我々が生産者であったら、情報がない中で生産するのは不安だから、結局コストの掛からない時期に出荷することになろう。それは10月、11月と5月の母の日過ぎから6月である。これを需要にあわせて作ってもらう当たり前の作業はもう失敗できない。失敗したら損失になってしまう現状では、消費地での販売担当の卸売会社と密接なコミュニケーションからすべてをはじめていただきたい。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年10月 1日

増える花束売り

彼岸の需要期の最中、北東北や北海道は大雨で販売も出荷も大変ご苦労された。米価がピーク時の三分の一になったとはいえ、米が倒伏したりして、この時期に優先しなければならない仕事が多くでき、この地域の花き消費は下がった。上半期を振り返ると、天候異変に翻弄された月日であったが、生産者や小売店の不断の努力で花き需要は大きく落ち込むことなく六ヶ月を終えた。

10月から下半期に入ったが、重油が1リッター70円台に跳ね上がったり、ダンボールやプラ鉢など生産資材がいずれも大きく値上がりしたりと、生産者はさらなる困難に立ち向かって頑張ってくれている。販売側のこちらもそれらを念頭においた応力の努力を惜しまないつもりだ。

さて9月の彼岸期はもちろん、この上半期を通じ花束加工の依頼が増えているとパッカーの人たちは異口同音に言う。仲卸さんも水揚げや花束製造依頼を取引先から要望されるそうで、切花でも一本売りから束売りへ少しずつ移行してきていることがわかる。これは近い将来を思うとますます束売りの形態が切花では増えるのではないかと思う。お惣菜のおいしいスーパーマーケットは流行っているが、まずいところは素材売りでは評価されると言っても、全体の評価からすると「あそこは・・・」となってしまう。

花の売り方も今後、例え専門店であってもそういった売り方が増えてくると思うのだ。その理由は少子高齢化の中での女性の社会進出だ。EUでも北の方は、事実婚や同棲が一般的だ。さすがに40歳代になると、入籍する人たちが3分の2くらいとなるが、とにかく結婚のあり様が日本とは違っている。スウェーデンのように内閣の中で女性の大臣が半分を占める国では、子どもの半分以上が婚外嫡子で事実婚の夫婦が育てている。だから家族のあり様というのが基本的に問い直されているのが今の先進国だ。日本や日本より出生率の低い韓国はいずれも「そんなに長いこと同棲しているのなら早く結婚しなさい」と言われる。しかし僕の友人のフランス人も、子どもが二人もいるオランダ人も日本流の結婚はしていない。しかしそれぞれの国では認め合う一つの家族のあり方だ。私は娘が結婚するとき、「同棲して、この人とならと確信したら結婚しなさい」とまず結婚を先にすることを禁じた。このような家族の形態が増え、女性が専業主婦ではなく、子どもを両親と社会で伴に育てようとすることが日本の社会の一つのあり様として模索されはじめている。今の大田花きの女子社員たちもきっとそのような中で、夫婦で子育てしよう、花も時間があればゆっくり選ぶがなければ花束になっているものを買う。こうなってくるのではないだろうか。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年9月24日

前日集荷

消費者の手元に渡って咲ききるか、何日保つかということは最も大切なことである。それゆえ、湿式輸送のものが増えている。大田花きでは荷の半分以上を仲卸と地方の卸売市場等が買ってくれているから、即小売店というわけにはいかない。したがって湿式でも花だるまやソフトバケツなどを使い、ダンボールの荷姿で横積みできるようにお願いをしている。飛行機や宅配業者、あるいは混載の荷物を扱う運送店などは水がこぼれるのを最も嫌う。この時期、横にしても水がこぼれない水の量は生産者と共通の認識を持っておかなければならない。品質保持はその場の見栄えにもつながり、かなり多くの輸入された花はリパックしソフトバケツで水揚げされている。湿式になっていないのは菊とユリ、葉モノ、そして一部のネイティブフラワーだけであろう。ほとんどの輸入品がリパック、水揚げされ、シャキっとしたのはここ三年のことであろう。

物日になると専門店の販売量は日頃の2倍から3倍だが、量販店は6倍くらい。場所によっては10倍になるところもある。量販店の花は花束加工されているから自社で花束を作る場合もあろうが、ほとんど花束加工業者が花を仕入れ、花束を加工している。すなわちワンクッション流通過程が多くなっているわけだ。そうなると花屋さんが直接仕入れて販売するといった仕入サイクルより一回早い仕入サイクルとなる。それが花束加工業者の仕入日だ。加工業者にとっては、花代もさることながら人件費のウエイトが大きいから、残業しないで一定数量をこなしたい。そうなると鮮度の良いものを毎日仕入れて、毎日加工する。そうすると無理なく無駄なく良い花束が出来る。こうなっているのだ。

更に仲卸や市場のスペース、そして荷を運ぶトラックのスペースも限られている。例えば大田花きでは同時に4つの異なった場所で荷を受け、荷捌き業務をしている。同時にしないと間に合わないので場所を借りて行なっているわけだ。でも月、水、金の晩はその場所は余裕がありすぎと言うよりも仕事が無い。大田市場の花き部のところでは鉢物を扱っているから良いものの、他の場外の3箇所は使いたくても使えないのだ。そこで今年の暮れから主要な産地にお願いに上がるであろうが、切り花の売り日は月、水、金だが、入荷は毎日という風にしてもらいたい。沖縄県の太陽の花、おきなわの花の2出荷団体には、飛行機、船を使ってほとんど毎日出荷を促して、春の彼岸の荷を物流させてきた。消費者の花を買う買い物動向がますます物日にそのピークが高くなってきている。こうなると物日は、これに合わせて生産者に作付けしてもらわなければならない。いつも出荷している作付け面積の少なくても3倍、できれば6?7倍作付けしてほしいわけだ。そうなると切ってきて、自分の撰花場に置いておきたくてもはみ出してしまう。2日分なぞ貯めておけない。だったら農協の集荷場に持っていく。農協も2日分なぞ貯めておけない。だから毎日農協、トラック会社、輸送会社、卸、仲卸、加工業者は働き、流通加工する。消費者がほしがっているのに供給できないというチャンスロスを減らすため、こうしなければならない。「鮮度が大切だ」「朝摘みだ」一方にこういった完熟、朝採りなどの需要がある。もう一方に流通加工上、最もチャンスロスを逃さないような面から、堅い切り前、前々日出荷、これにより的確な情報売りが可能となる。物日はまず後者を作り上げることが現時点で最も花き業界にとって重要なことだ。

P.S.
大田花き在宅セリ、OLIVE(大田花きインターネットを経由する取引)の審査基準について

株式会社大田花きは中央卸売市場大田市場花き部の卸売会社として、1990年農林大臣から認可され営業をさせていただいております。また1997年、現JASDAQ取引所に株式を上場しております。
またコンプライアンスは大田花きの社業全般に及び、したがって個々の取引関係にも当然各ステークホルダーから透明性を追及されます。お取引先におかれましても、厳しい審査基準がありますことを、この場をお借りしてご了承いただきたく存じます。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年9月10日

重陽の日

先週の土曜日は台風で延着した切花が多くあった。露地が多い時期なので土曜日の市にも切花は結構あるのだが、それにしても木曜から金曜の朝まで東名が御殿場?大井松田の付近で不通だったので西から来る荷物、また長野県でも中央高速が不通だったので新潟を回らずに東名に入ってくるため、大型車が何台も延着した。セリ前、担当者が本日の入荷量や状況報告などをせりに臨む買参人にしているが、金曜日のせり場にいた買参人の多くは、日ごろ買い付けている荷が延着だとわかると、土曜日にその荷を買いにわざわざ来てくれていた。それぞれの産地が、日頃から自分のものを買い、消費者に届けてくれている花屋さんを大切にしてくれているおかげだと思うと本当にありがたく思った。

昨日は重陽の日で目黒雅叙園では、マナコフラワーアカデミー本部と池坊東京武相会の花展があった。大田花きでは、今だからこそ菊をもう一度あらゆるところで使われる日本のメインの花にしようと本格的に努力を始めたところだ。切花の菊というと、いつの間にか白菊は葬儀の花、黄菊は仏花となってしまった感がある。しかし雅叙園のこの展示会を見て、そんなに狭い範囲に役どころを限定してしまうのはいかにも菊に申し訳ないと思った。

展示会では生の花と造花も使われていた。なぜ造花の菊を使うのかというと、大輪で咲いた菊というのがほとんど出回っていないからだ。だから先生方はやむなく咲いているピンポン菊やシャムロック、アナスタシアなどとその造花を一緒に使わざるを得なかったのだろう。

昨年ペテルスブルグのエルミタージュに行った折、回りの花屋さんをよく見た。ペテルスブルグはヨーロッパ的だが、それでも花の好みが大輪バラと大輪菊。これはモスクワを中心とするロシア人に今最も価値ある花だ。旧東ヨーロッパが、大輪菊が大輪バラと同様の価値を持つ花だと評価していること、この波紋がヨーロッパじゅうに広がっていること。したがって良い大輪新品種が、かなり多くで始めており、日本を除くアジア圏でも作られ始めていること。これらを日本の人口動態と菊文化の伝承を考えると、団塊の世代がリタイアをし始めた今、都会の超高層マンションやホテルのエントランスロビーなどに大輪の菊からスプレー菊、そして小さなマイクロマムまでを使ったアレンジが生かせる空間がどんどんできてきている。菊だからコストパフォーマンスも良い。大田花きはこのような需要を作るお手伝いができたらと考えている。

昨日は暑かったが、重陽の日に菊を使った作品を見て、菊についてやるべきことを再確認した。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年9月 3日

銀座、丸の内の秋

猛暑だった8月の実績はいかがだったでしょうか。単価水準は中旬まで過去3年間の真中、それ以降は特に20日過ぎ、最も高い水準となった。朝刊各誌ではこの8月の売れたもの、売れなかったものを各種報じているが、おもしろいことに殺虫スプレーはあまり売れなかったという。暑いのであまり人が外に出ていないのもあるが、高速道路などは相変わらずの混み具合だから夏休みはいつも通り。それを考えると夜中も25℃以上で植物や虫などにちょっと異変が起きていたと考えられる。

さて土曜日から9月が始まったが猛暑が続いていたので、どのように秋物を売り出していくか、そのアイディアを見に、土日にかけて銀座、丸の内、日本橋を見た。東京では六本木ミッドタウンが話題を集めていたが、落ち着いた大人の街としてここ銀座や丸の内界隈の人気が高くなってきている。花で言うと、最も素晴らしい装飾だったのが9月1日オープンのペニンシュラホテル。そして日本橋の高島屋であった。各所、この月曜日に花の入れ替えを予定しているので、このレポートでは限定的な土日の様相をお聞きいただきたい。落ち着いた雰囲気を出す小道具として、花を使っているのがフランスやイタリアのブランドショップだ。あまり大きくは飾らないが、大変気の利いた季節の花をさりげなく飾っている。特別なデザイナーがいたり、有名な花店と契約を結んでいたりするのだろうか、日本だけの花使いもあれば世界統一の花使いもある。ぜひとも東京に来たら、銀座や丸の内界隈のブランドショップでウィンドウショッピングをお楽しみいただけたらと思う。

花使いの街の様相も高齢化と共に「大人の」というのが一つのキーワードになってきている。新丸ビルのお花屋さんや東京駅のサピアタワーのお花屋さんなど、艶やかな中にも落ち着いた雰囲気をかもし出すところが東京では増えている。秋の花で言えばコスモスよりケイトウだ。またフランス風やイタリア風なども良いが、生け花の良さもこれらの街では注目されてきている。

赤坂の草月会館で加藤華先生の社中の展示会があった。大変珍しいオランダ柳をたくさん使っていて、その荒々しい北海の風を感じさせる柳を使った作品に打たれた。同様にミズキを使った造型にも魅せられた。蓮の葉もあったが、これら水に親しんだ材料を使いながら強さを打ち出している作風に見入った。

銀座や丸の内が商業地として根ざしているものは、やはり商売として買ってもらわなければいけないのでもう少しワクワク・ウキウキしたものだが、花の作風は元来、床の間や客間などに飾るもの。その生け花の美しさは日常生活の中で襟を正す一瞬でも良いから持っておきたい、欠かせない時間や場所である気がする。いずれにしてもバブル崩壊後、デフレで「本物」が少なくなっていったが、それではいけないともう一度質の高いものに注目が集まり出した。これらの場所では子どもをほとんど見かけない。このような場所が人気になっている。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年8月27日

これから不作が少し続く

実質今日から花き業界の秋が始まる。今年の秋はどうだろうかと今朝荷をチェックしたが、思いの外、暑さ焼けして花が良くない。本当の野生のホップなど焦げているものも入荷している。この分で行くと、残念ながら彼岸くらいまでは上物が不足するのではないか。トルコギキョウのように例年の品質を確保できている品目は数えるほどで、小売店の苦労の程がしのばれる。中国産のカーネーションをチェックしていたら、雲南、四川と今年大雨で、畑によっては水没したところもあり、出荷者によって質のばらつきが大きい。もうすぐ9月だというのに品質チェックをきちんとしなければならない。昨年の冬、史上初めて凍ってしまったコロンビア産はこの秋は安定している。また、数量では圧倒的に多い国産品も6、7月の曇天とその後の猛暑で例年の品質が確保できていないが、山間部や北海道を中心に品質が上がってきている。ダイアンサス類は暑くても品質は劣化しないから比べてみると本当に良い品が多い。暑さに弱いカーネーションはこのような状況で、この分では今年の秋は目利きかどうかによって各社の商売に優劣ができそうな状況である。

さて先週の25日、第17回大田バラ会議が大田市場のアーバンホテルで開催された。130名あまりの人たちが熱心に夕方まで勉強していただいた。小生は挨拶の中で、成長とは若さであることを認識し若い血を入れたり、それが適わない場合は若い心を持ってして生産をしていってほしい。またプロの花作りとして儲かる少量多品種生産をしてほしいとお話した。大田花きにご出荷いただいている方のみだが、「在宅セリの見るだけ会員」を募集するので、気配情報を欲しい人はぜひとも参加してほしい旨を申し上げた。

現実を知って未来を先取りするのが花作り。このレベルの領域で花を生産し、装飾するのが日本の生産者と小売店。今何をすれば良いのか分かってきたので、それを実行に移すのが花の実業者だ。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年8月 6日

都市化とシングル世代

日本でも三大都市に人口の半分が住むようになったという。東京の街は高層マンションも多くでき、また私のいる大森もマンションがどんどん建っている。人口の都市集中は世界の習いで、世界中であえて集中させないようにしている国はドイツ連邦くらいではないだろうか。他は都会に人口が集中し、発展途上国でも都市部に人が溢れ返っている。もう一つの近頃の傾向はどこの国でも一世帯あたりの人間が少なくなってきていることだ。先進国では2人前後が多い。それはオーストラリアや北米のように土地の広いところでもそうで、かつては1家族5?6人、それがまるっきり夫婦単位やら1人単位へと移行しているのだ。東京なら2LDKやワンルームマンションのような集合住宅ならわかるが、土地に余裕があり、一般の人が一戸建て住宅を買うことができるカナダでもオーストラリアでもそうなので私はそれを知って唖然とした。

都市部に核家族やらシングルが多い世の中になっている。こうなったときどのような花を開発すればより喜んでもらえるか、どのような鉢物やフラワーアレンジメントをギフトに使ってもらえるか、そのような議論を社内でしていたときにこの2つの条件が浮かび上がってきた。

お父さん、お母さんはどれくらい子どもに庭いじりやフラワーアレンジメントを教えてくれただろうか。お誕生日やちょっとしたお呼ばれのとき、ホストに心理的負担にならないくらいの花束やデザート、あるいはワインを持っていく礼儀を教えてくれただろうか。あまり期待せず、子どもに教えていないとして、我々は花のプロモーション活動をしなければならないのではないかと思った。この2つの条件はいずれも固有の文化や家の慣わしが伝承されていないことを意味する。このような状況のもとでどんな花を開発するかは皆様の夏の宿題としてお考えいただければ幸いです。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

2007年7月23日

大山講

89年前の今日23日は米騒動があった日。米騒動から近代の卸売市場での取引が規定された。セリと入札の原則、現物を見せ公開の席で取引すること、これが商物一致の原則である。1999年、そして2004年の卸売市場法改訂でセリと入札、プラス相対取引を正式な取引と認め、卸売会社の買付を許可し、そして一部だがITを使った商物分離を認めた。このように卸売市場は取引所としての重要性もさることながら、その地域の生鮮食料品花きの物流デポとしての色彩を強めて来た。

先週の19日、大山講を行なった。丹沢山系にある大山は丹沢の中で最も相模湾寄りに位置し、「雨降り神社」である阿夫利神社で、農業の神であり同様に漁師は魚場を確認するため大山を一つの目印としたので漁師たちからも信仰を集めた。うちの先導師は織部さんだが、そこは神田市場の流れを継ぐ東青卸と同じ先導師だ。参道には魚や青果市場の講の名前が刻まれた石づつみを見ることができる。豊作と安寧秩序を願い、講を作り参拝して来たわけだが、江戸時代から続くこの大山講の時間軸で卸売市場を思うとき、いかに便利な世の中になろうとも、日本が少子高齢化になろうとも、卸売市場が流通の中で重要な地域のインフラストラクチャーであることを痛感し、身の引き締まる想いであった。

それと同様に身の引き締まる想いをしたのが21日土曜日。花き部では最後の中央卸売市場開場となるであろう新潟県新花の開場記念バーティーで轡田社長や玉木副社長の挨拶を聞いたときであった。新潟に本来そうあるべき大規模な花の中央卸売市場ができたことは新潟県民のみならず我々市場流通関係者にとってもありがたきことだと強く思った。

投稿者 磯村信夫 : 00:00

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