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2005年8月22日

花が勝る

今年は戦後60年で、例年どおりの夏のイベント以外にも盛りだくさんであったから、十二分に楽しみ、この国のありようを考えることも多かった貴重な夏であった。8月21日の日曜日は子供たちを除き、気分は秋で東京はほぼ今までどおりの日常が戻ってきた。

 そこで昨日恒例の定点観測に出向いた。

 人は飽きっぽいものだから、飽きていないものはどんなものか、新鮮に感じるものは何かをあらゆる業種で模索しているし、秋を前にして昨日は給料日前の日曜日だから売上は期待薄なものの、衣料品始め雑貨屋さんなどはウィンドーショッピングの人たちに向けて、“今年の秋はこうですよ”という提案を積極的に行っていた。

よく見ると、一般的なお店ではこの10年間ですっかり造花が使われるようになってしまい残念だと思うが、その造花も季節に合わせて替えている。しかしブランドのお店は、デパートのイン・ショップでも生花が飾られており、質感を大切にし本物を見極める目をもつ日本人には、販促ツールとして生の花が必要だということが分かる。

あまり大きくないアレンジメントだが、銀座並木通りのは見ごたえがある。ライバルに育ちつつある丸の内中央通りだが、さらにお客様に来てもらうべくマーケティングをする必要があるのは花を見ていてもわかる。

 夏から秋口にかけて店内は乾燥する。そこで上手に季節を演出するのは苔玉の花々である。お月見のコーナーを作っているところでは、漆器や日本の絹で作ったウサギの人形に加えて、刈萱などで苔玉を作っている。こういう演出が心にくい。

衣料品でも、会社により流行の取り入れ方が、早かったり半歩前だったりする。男の衣料品は何といっても伊勢丹が新しい潮流をつくるが、ネクタイではいずれも細身になっており、45歳未満向けには無地に近いものが、そして新しいもの好きの人にはもうペイズリー柄を多く出し始めている。ファッションでは色で秋の演出をしようとしても、いかんせん外は暑く、お客様は半袖で買い物をしているから、結局色使いもそうは秋めいたものにできない。となると秋の演出は花で行い、売り場にアクセントをつけていくということになるだろう。これは外食生活や家庭生活の場でも同様だ。

季節の先取りとしての花の面目躍如が、敬老の日間際まで続く。

投稿者 磯村信夫 : 18:10

2005年8月15日

新しい時代に入った日本の花き産業

前線が停滞し、天気が優れなかったので8月盆の売れ行きが心配であったが、日本海側を除き、少なくとも前年並みは確保できた小売店が多かったようだ。遅れ気味だった開花も適当なお湿りのお陰でどうにか間に合い、一輪菊が70-80円中心の相場で多く流れたから、花き業界の皆が良かった8月盆需要期であった。

 7月から実感しているのは、都市と地方の格差が確実に改善されているということだ。経済的指標で土地の価格は下がり続けている。しかし、90年代のような混乱はなく、グローバリゼーションとITデジタル化による21世紀型の生活態度を身に付けたようだ。確かに社会にはひずみがある。しかし、それと同様に前を向いて歩んでいる人たちも多い。これはなかなか数字になって表れてこないが、少なくとも8月盆の相場の出方を見て、花は立ち直ってきたと言えよう。アメリカ、ヨーロッパ同様、農産物の中で花は嗜好品だから、品質プラスセンスの高いものが大変評価される。衣料品同様、素材ばかりでなく合わせの技術を持つ小売店の時代に入った。花き業界の新しい秩序への残る産みの苦しみは、

1 農業改革による生産者の入れ替わり

2 市場法改正による卸・仲卸の入れ替わり

3 量販店の寡占化による小売業者の入れ替わり

が主なものである。いずれも本来の役割を時代に合わせてきちんとすればよい。当たり前のことを行うことによって、生き残れることが可能と分かったわけで、温故知新を行うということであろう。

 以上の確証を掴んだのは先週11日(木)に東京証券取引所で証券アナリストの皆さん方へ当社の第1四半期説明会を行ったときの感触からである。かつては生販同盟で中抜きが叫ばれていたが、進化する卸を使った方が流通上割安という事実から、新しい機能を身につけた卸売会社に買いが集まり、生配販同盟を言う人たちが多くなってきた。昨年の説明会で中間流通に対する風向きは変わり、応援してくれていると確証を持ったが、今年は日本のアナリストに加え、外資系企業からの質問が多かったのは中間流通に対する理解が深まったことの表れと嬉しく思った。

 今年8月盆でも仲卸は在庫を抱え、自分の取引先のストックヤードになったり、水揚げの付加価値サービスを付けたり、新しい機能を身につけていた。日本の仲卸や卸売会社は一歩も二歩も踏み込んで、お取引先である産地や小売店に役立てるよう機能を磨いていくに違いない。

投稿者 磯村信夫 : 18:12

2005年7月25日

スプレーギクの茎を固く

大田花きではセリの開始時、スプレーギクを2ヵ所、一輪ギクを4ヵ所、特殊なキクを1ヵ所、それから枝物を1ヵ所で競る。先週くらいから目に付き始めたのが、スプレーギクの茎が柔らかい産地があるということだ。スプレーギクは周年咲く型の産地が殆どだが、夏の時期だけ出荷する産地がある。そのようなところの品物は茎が固くて良い。

 大分のメルヘンローズの小畑社長はグローバルに物を見る方で、いつも教えられることが多い。小畑社長が「磯村さん、この間マレーシア(キャメロンハイランド)に行きましたら、キクを見てケニアでバラを見たのと同様のショックを受けました。これは明らかにかなわないというショックです。」全てのキャメロンハイランドの生産者がそうというわけではないが、良い物を作っている農園がある。国産よりも絶えず単価が高い農園があるのだ。こういう品目の花は他にあるだろうか。新しい花が出てから少し経つと、日本の農家の人たちは研究熱心で、オランダの農家よりも良い物を作り上げ、元々国産は鮮度の点で有利なのだから、同じ品質なら国産の方が高くなるところを、マレーシア産の2つの農場のものが絶えず高値だ。その一番大きな理由の一つが、茎と花首がしっかりしているということである。品種の問題もあるが、今はとにかくしっかりしているものが必要となった時代である。日本のスプレーギクの産地はバラと違って、苗を改植しながら周年栽培しているわけだから、夏に向く品種を作り上げ、栽培していくことが必要だ。そうすれば日本のスプレーギクは上手くいく。

投稿者 磯村信夫 : 18:15

2005年6月27日

むしろ規模拡大から家族経営に傾斜す

本題に入る前に一言。6月25日(土)には弊社の第17回定時株主総会が開催されました。招集ご通知にご案内のとおり報告並びに原案どおりに承認可決されましたのでご報告させていただきます。暑い中、遠路はるばるご来場くださいました株主の皆様に深く御礼申し上げます。また、弊社では毎年土曜日に株主総会を開催しておりますので、来年以降も更に多くの株主の皆様にご来場いただけますようお願い申し上げます。

さて昨日、神戸生花卸売株式会社社長の増田富士雄氏の藍綬褒章受章祝賀会が新神戸オリエンタルホテルで行われた。全国から300名余りが駆けつけ、盛会裏に行われた。

 この頃小生は電車に乗ったときできるだけ景色を見るようにしている。今まで電車やバスに乗ると本ばかり読んでいたが、たとえ少しの情報でも車中から外を見ることができれば、世の中の移り変わりやその地域の方々の生活がわかるのではないかと思ったからだ。 昨日も新幹線に乗り景色を見ていた。座席が往復とも富士山側だったが、往路は空いていたので海側の3座席の方に席を移って外を見ていた。帰りはまだ明るいうちだったので、富士山側の景色を堪能した。昨日の目的の一つは、グローバルな経済になった今日、温室やビニールハウスは大きくなったか、規模はどうだろうか、工場はどのように変わったかを自分の目で見てみたいと思った。まず工場はきれいになっており、特に神戸までの間は正に日本の心臓部とも言えるような場所で、高いレベルの工場ばかりだろうから、海外からもお金をもらって成り立っていると言うことがよく分かる。また、お茶の産業は元気なようだということが景色からも読み取れる。また温室やビニールハウスは温州蜜柑の施設栽培の規模が拡大しているが、花や野菜の施設栽培面積は以前のままだ。グローバリゼーションと共に面積が拡大していかないと、粗利を確保できない状況になっていくと、オランダ人が自分達がやってきたやり方で日本の園芸栽培を予測していたが、実際には1軒当たりの面積はこれ以上増やさないか、むしろ小売店と同じように家族経営で一定の規模、製品の歩留まり率を高めていこうとするこの方式を園芸生産者の皆様方は取ったようだ。

 そういえば、東京都花き振興協議会会長の天田氏(生花店経営)とお話をしている中で「3千万円前後の家族経営のお花屋さんはなかなか良い経営をしています。花屋という商売は働き者が多いです。その中で一家を上げて仕事をしていく。確かにデフレですから一時期より大変ですが、平均したら1ヵ月に100万円前後を仕入れる普通の花屋が気を吐いている限り、花き業界の基礎はぐらつきません。」という話になった。小生から小売店は生業であるため改善すべき点も多いが、素晴らしい点も多いという話をした。まず一つ言えることは、昨日新幹線から見た温室の規模でやっていけるのはこの家族経営の小売店が家族経営サイズの生産者の荷を買ってくれているからだという事実、そしてこの専門店を大切にすること、頑張ってもらうということが日本の生産者にとって必要不可欠であるということである。卸売市場も当然日本中の平均的なお花屋さんたちにご利用いただくことによって荷主さんから荷をお預かりすることができる。現状はまずこれでよい。しかし後継者をどうするか、考えておくことが現在の課題だ。この1点に注力してどのようなやり方でどのようなサイズであれば小売店経営と農場経営は後継者たちを育成できる経済条件が整うのかを考えながら仕事を進めていきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 18:21

2005年5月30日

手取り確保の方法

先週の月曜日から切花相場は過去3年間で最低となった。鉢物は昨年よりも少し良い単価を保っているが、一昨年よりも安い。切花単価が最低となっている主な理由は、年商5千万円未満の店頭売りの多い小売店において、特に関東地方では連日降った夕方のにわか雨が20日悩み(一般的には25日が給料日だから、20日頃サラリーマンは金がなくなる)に拍車をかけたことにある。しかし、経済指標は景気の踊り場にいるが、個人消費は堅調と見ており、悪くても昨年並みの単価水準を保つことができる状況にあると考えてよい。但し、花も他の物財と同様、昨年と同じ事をしていたのでは単価が一割下がると考えるべきで、これは生産者も作業サービスをしている小売店や流通業者も同様だ。なにか新しいことをして前年並みである他業界と同様の見通しとなる。

 さて昨日の日経新聞が、2003年末には10年前と比べて運送会社が4割増えていると報じている。その理由は、いわゆるサード・パーティ・ロジスティクス、つまり自分で物流をやるのではなく、専門業者に託すようになったからとしていた。規制緩和で競争が激化し、その中で一部の業界が物流請負業として気を吐いている。

運賃の価格は荷姿が所定のものである限り、10年前と比べかなり安くなってきている。これは花も同様だ。生産者物流(BtoB)、消費者物流(BtoC・CtoC)とも運賃の下落はかなりのもので、大田花きに産地から荷を持ってくる運送会社はこれだけではやっていけないから、四苦八苦しながら帰り荷を確保していらっしゃる。運びやすい荷姿の物は競争が激しく、運賃は下がっている。

そこへいくと、今年も母の日の鉢物産地の集配センターの集荷・配送は、例年どおり大幅に遅れた。なぜ改善できないのか。それは、この国に5万とある普通のトラックでは運べない鉢物の荷姿になっているからだ。需要が一定量なら世間の運賃にスライドさせればその年の適切な運賃が出てこよう。しかし世間にスライドさせなければ世間と離れた無風な運賃となる。この荷姿をどうするかが卸売市場とて、とても大切である。荷主は運送の競争、或いは販売の競争を促せるよう荷姿を整えて、全国の運送店・卸売会社に供給できる手立てを打つことは無駄ではない。バケツ輸送された切花は裸のままだから鉢物と同様だ。従って、かつては上物・中物以下とを区別し、2つの卸売会社と付き合いながら上手に販売していたのに、今はバケツのままで運んでくれる運送会社が限られているから、一つのところになって手取りが減る可能性が出てきた。母の日以降はそれが顕著である。直送、そして中継の集出荷所を使う物流の2つは、生産者が今まで培ってきた安定した手取り獲得手段であった。これが物流と荷姿とともに出荷先の絞込みが行われ、それが生産者や卸売市場にとって、とりわけ年商2億円未満の業者とそこを利用する買参人にとって必ずしも好ましい方向に行っていない事実がある。ここをどのようにしていくか。地産地消も解決策の一つだが、そればかりではうまくいかない。産地はサプライチェーンと費用対効果をもう一度ゼロベースで考える必要がある時代となっている。

投稿者 磯村信夫 : 18:28

2005年3月21日

「2005年は輸入花との棲み分け元年」

  お墓参りに行っていまさらのようにストックやスナップなどの季節の花が素晴らしいと感じる。お墓には随分といろいろな花が使われるようになったが、キクとカーネーションはやはり主流だ。この2つがあって初めて他の花との取り合わせがうまくいく。今年はキンセンカの切り目が堅すぎて、お墓でも今ひとつ独特な色彩が出ておらず残念だった。来期は早目に営業活動をしないと需要が一割減りそうだ。

 さて、産地からお客様がいらした折、この頃よく話題になるのが輸入花についてだ。たくさん入ってきて単価が安くなってしまう。こういう嘆きを聞くことが多い。小欄でも以前お話した通り、私ども大田花きでは2010年までにキク・バラ・カーネーションの主品目はどんなことをしても国産比率50%を割らないようにしようと役員会で決議し、会社をあげてそのための施策を実行している。一番困るのは産地によって腰が引けてしまい、言うなれば敵前逃亡でその座をすっかり輸入品に取られることもあるということで、カーネーションの局部戦線で起こってしまったことがある。国産・外国産と闘い方はいろいろあり、産地によって強味を生かしてもらえるような方向でこちらからお願いしているが、現に国内産地でもマーケティングをして物心両面で特定関係を結んだところなどでは2002年から単価が上回ってきている産地も出てきた。

人は殆ど説得されない。聞いて頭で分かっていても行動に移さない。思っていることをこちらからアドバイスをした時、やはりそうであったかと改善行動が始まる。やらなければ始まらないわけだから、まず自らが自分の強味を認識し、特に海外の産地と闘う手立てを少なくともイメージしておいてもらわないと話で終わってしまう。2005年は行動の年にしようではないか。

ここ暫く花の生産は減っても単価が上がるということはないだろう。生産が減れば輸入が増える。それは昨年の10月の台風ですっかりみんながわかってしまった。そして中産階級が崩壊しつつあるから、質を妥協してでも安い方がいいという人たちが増えてきた。これは花でも同じだ。

買い手の変化を考えて輸入品や日本国内のライバル産地と比べたりしたとき、自分はどこが優れているか、余人に代えがたい物は何かなどをよく検討しておいて、それを以って集中する。そして競争し、棲み分けていく。2005年私たちは日頃の商売の中で、産地に存続の自信を確かなものにしてもらうべく、全力を尽くそうと考えている。それは特定関係のサプライチェーンマネジメントを生み出すことだ。2005年、一緒にやりましょう。

投稿者 磯村信夫 : 18:39

2005年3月14日

物日のピークに効率化のメスを

 今日は3月最大の出荷と需要のピークである。業界の人にとっては何も不思議ではないが、切花・鉢物が1日おきの出荷であることは他の業界の人にはなかなか理解しにくい。一番の大元は生産者と花店がいわゆる「生業」であって、家族だけで仕事をしている経営体が他の業界に比べて多いからということであろう。生鮮食料品は専門店やスーパーマーケットが中心に販売を司ることになり、しかもわたし達は毎日同じように腹が減るから休みの翌日はともかく、出荷量は凡そ平準化する。青果物とても天気によって出荷量・需要量ともにばらつくわけだが、花は伝統的な花屋さんが頑張ってくれているので、生産者と気が合い、月水金が切花、火木土が鉢物となっている。

しかしこれではたまらない。日本全国の全ての花市場、仲卸、花の配送センターは「今日は雨ではなくありがたかった」と感謝しているはずだ。日本の殆どの卸売会社では、閑散期はともかくも需要期となるとスペースが足りない。次に人手が足りない。これを解決するには切花は日曜日を除く1週間、コンスタントに出荷をする必要がある。そして、組織で動く農協・運送店・卸・仲卸は効率を上げていかざるを得ない。少なくとも大田花きの物流は既にそうなっている。おそらく地域事情によっても違うと思うが、効率良くスペースを回す、効率良く物流機器(トラック・台車・パレット)を回すことがJIT(ジャスト・イン・タイム)に欠かせなくなってきている。

 現在、東京都中央卸売市場花き部連絡協議会では、東京農業大学の藤島教授を講師に招き、今期アクティビティ・ベイスド・コスティング(ABC)を始めようとしている。大田花きでは既にこの取組みをしているが、他の卸売会社の皆さんもABCをやってみると標準とする作業にどれくらいのコストがかかっているかを知ってゾッとするであろう。例えば東京都に提出する品質クレームの事故伝票を1枚作成するのにコストが3,000円もかかっているとわかれば、あらゆる行動に対して標準的作業コストがいくらなのか、手数料自由化前に検証しておかなければならない。

 物日を上手く乗り切るためにサプライチェーンの効率化に取り組まなければ、花き業界の全員が忙しいだけで利益が出ないという状況に既になってきているのである。卸売会社は産地と買参人の物流上の要望を聞き、それぞれの取引にしっかり取り組んでいかねばならない。

投稿者 磯村信夫 : 18:40

2005年2月21日

大切な冬

  週末、思ったように販売できなかったようで、今日のセリは重いスタートだった。週末お天気が良くないのは困りものである。

さて、きょうから花桃を一面に並べて売る。実質「春」のスタートだ。仲卸通りを見ても、フェイスを多く取り、花桃やら菜花を販売している。今年困ったことは、オランダの球根手当てが少なく、生産量が減少しているアイリスである。特注で事前に用意している買参人もいるが、セリだけでは足りない所が出てこないかと心配である。

この冬、印象に残ったのは買参人の花ひろさんから教えてもらった言葉である。「1年の始まりは冬からだ。」人生も同様、冬をどう過ごすかによって、その後の青春、果敢な夏、実りの秋が決まってくる。花き業界も冬の時期を大切に過ごすこと、これが大切だ。日々の商いの中で色々な事がある。しかし忙しさに紛れてはならないことを花ひろさんから教えてもらった。

投稿者 磯村信夫 : 18:45

2005年2月14日

公私混同が1月、2月前半の低調市況を加速した

  今日はバレンタインデー。春も近づき、散歩をしていると鳥たちが元気になってきているのを感じる。2月後半からは各会社でいよいよ決算期への追い込みがあることだろう。

  さて、今期に入って今まで低調な商いが続いたが、その理由を探ると・・・。

 組織には2つある。一つはゲマインシャフトと呼ばれ、構成員が幸せであればよいとする組織体で、家族や地域社会などがこれに当たる。もう一つはゲゼルシャフトで、目的をもった人為的に作られた組織だ。職場というのは企業は勿論、軍隊や警察まで含めゲゼルシャフトである。

 花き業界はゲゼルシャフトで構成されているが、種苗・資材会社を除き、いずれも小企業・零細企業で構成されている。組織の腐敗とは組織内でいつのまにか本来の目的を忘れ構成員の満足が目的になってしまうことにある。NHKのスキャンダルなどはその一例だが、どこにもそのような落とし穴が待っている。社員の幸福を願うのは目的を達成するため、手段として社員が頑張れるようにすることが必要だからである。ここを意識しておかないと、特に業績が良かった後など、すぐに甘くなり大幅に利益を失う。

 花き業界で難しいのは、構成員の幸せのために農業をやっていたり、構成員の幸せのために花店を営んでいたりする人が少なくないことである。良し悪しはともかくこの事実がある。良いときに公私混同ドンブリ勘定をしているので、厳しくなってもなぜ花を作っているのか、なぜ花店を営んでいるのか、このゲゼルシャフトとしての目的を忘れてしまっている。或いは端から花作りを通して自分の理想を掲げるとか、花屋という仕事を通じて何をしたいのかを考えずに何となしに仕事をしてきたから、どうしても自己都合に陥る。自己都合に陥っている店から我々は物を買うだろうか。自己都合に陥る人を我々は応援するだろうか。我々が物を買い応援するのは、いずれも現実を直視している人である。自分が生きていられるのは、消費者が花を買ってくれるからであり、花屋さんが自分の花を販売してくれるからであり・・・などと「お陰様」「お互い様」と思い、外に向かって積極的に新しい行動を起こしている人たちから買うし、何かしてあげたいと思う。今、花き業界は小企業・零細企業が集まった業界ゆえに、やむを得ないことではあるが2005年1-2月期停滞した。そこで提案する。2005年、この期に小さいからといって自分を甘やかしてはならない。小さいからこそ「山椒は小粒でピリリと辛い」ことが必要だから、もう一度花屋という仕事、花の生産という仕事、花の流通という仕事を通して、何を実現しようとしているのか、全ての人がこれを明確にしていく必要がある。蔓のない企業が淘汰の恐怖心だけで生き延びられるとは思わない。

投稿者 磯村信夫 : 18:46

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