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2015年3月 2日

世界標準で日本の良さを見る

 先週、日本花き卸売市場協会の鉢物部会の総会が三重県桑名市であった。ナガシマリゾートの「なばなの里」を見学した後、泊まって温泉を楽しんだ。外国人が日本に観光に行きたいと思うと、最初に見るインターネットのサイトはジャパンガイドだ。ジャパンガイドでも、中部地区のおすすめの一つがナガシマリゾートのジェットコースターと温泉と「なばなの里」だ。私自身も十分堪能したが、なるほど、ジャパンガイドで是非とも訪れたい日本の観光地であるとしていることが良くわかった。

 二月に行われた東京ドーム世界らん展も、まさに世界に冠たるらん展だ。ここも蘭好きの人のみならず、国内は元より海外から来ていただいて損はないと思う。世界らん展に合わせて国内の洋蘭生産者は色々な種類を咲かせる。らん展が開催される二月のこの時期、一年で一番花き市場でも蘭の種類が多い時期だ。

 今日から三月の営業である。花き市場は繁忙期を迎えた。漸く凍ることもなくなってきた陽気だ。せり前取引の洋蘭を二月までは寒さで品傷みが出ないよう分荷せず、買参人や搬出を頼まれている運送店の運転手さんに、保温してある部屋まで取りに来てもらっていた。このように、どのようにすれば適温で花を小売店のもとに届けられるか、卸売市場は鮮度保持体制につき、寒い時も暑い時も考えて行動するようになってきた。

 現在、弊社ではMPSの認定を受けているが、鮮度管理を流通業者として適切に行うことは、消費者のため、生産者のため、必要であると思う。今後、家庭内需要が高まっていくことを期待しているが、そのためには、どうしても家庭で一週間切花がもってほしいと思う次第である。農協の集出荷場での鮮度管理、運送中の鮮度管理、卸売市場での鮮度管理など、花の体力が消耗しないようにして、家庭で一週間切花がもつようにしていきたい。

投稿者 磯村信夫 : 16:23

2015年2月16日

フラワーバレンタイン定着の兆し

 13日の金曜日、農林水産省の第十次卸売市場整備計画の案を練っている藤島廣二先生(東京聖栄大学 教授)を囲む勉強会が、東京で開催された。何だかんだ言っても、生鮮食料品花き流通の中心を担っている卸売市場は、少子高齢化の中にあっても、その重要性は変わらない。しかし、仕事内容をどのように変化に適応させるか。藤島先生の会は、そのような卸売市場流通を考える会である。卸売市場には、中央と地方の名称の区分があるが、機能は変わらない。安倍政権の農業改革、また、農協改革で、どのように卸売市場は変わらなければならないかを、魚、花、野菜の卸売市場の経営者たち三名が講演した。基本はマイケルポーターの「競争の戦略」を前提に、その中でサプライチェーン全体を考え、誰と取り組むか、また、ライバルともどのように地域分担し、協業していくか。出来た料理や出来た花束が、時間節約の為に、本物嗜好の好みに合わせた消費者の為にも必要になっている今日、現在の役割の中において、優れた実力を持っている人との連帯を呼びかけるものであった。

 勉強会が終わり、秋葉原から東京駅、自宅のある大森駅まで、花屋さんを時間が許す限り覘いてみたが、都内ではフラワーバレンタインが確実に花屋さんの商売になっているようだった。また、14日(土)の昼と、午後の9時前にも花屋さんを数軒回ったが、どこも売れていて、異口同音に「バレンタインが土曜日なのでどうかと思っていましたが、予想したよりもよく売れました」と言っていた。きっとこのまま「女性から男性へ」チョコを贈るのと同様に、「男性から女性へ」と花を贈るフラワーバレンタインが定着していくだろう。

 バレンタインデーが終わった15日(日)、チョコレート売場や花屋さんを再び見て回った。花屋さんでは、すっかり桃の花を前面に出している店や、今が旬のチューリップやラナンキュラスを前面に出して販売している店等、様々であったが、フラワーバレンタインを物日として販売していった店ほど、ガラッと雰囲気が変わって、店自体が新鮮な感じがした。一方、デパートや専門店のチョコレート売場は、なにか閑散としていて、虚脱感のようなものを感じた。花の国日本協議会では、愛妻の日とバレンタインデー、そしてホワイトデーの三点セットでPRしているが、的を射たものだと思った次第である。

投稿者 磯村信夫 : 17:01

2015年2月 2日

四十年問題が顕在化

 一月の営業成果はどうだったであろうか。秋口からの天候に併せ、ここまで油の価格が下がるとは思っていなかったから、前年の収益から作付減となり、都合1割近く出荷量が少なくなった。お葬式で使われる白菊を中心に菊類は高値が続いたが、卸売市場によっては前年の売上に届かなかった所、また、届いたとしても少し増えた程度の所等、葬儀場以外に消費が活発にならなかったので、総合すると去年よりも消費のパイが縮んだのではないかと心配する。まだまだ寒い日が続くが、一月末からの愛妻の日や節分、フラワーバレンタインやアジア諸国の旧正月への輸出、そして雛祭り等、需要が本格化してくる。まず小売の取扱金額規模を前年よりも上回るように、花き業界を挙げてプロモーションを援護して行きたい。

 一月になって、いわゆる「四十年問題」の話が地元市場で持ち上がっており、相談が寄せられている。花き市場が公設市場に入場したのは青果より後だが、それを考慮しても二十年は経っている。青果は四十年問題で建物の老朽化による建て替え時期にきており、営業しながら立て替えるのか、それとも移転するのか意見が分かれるところだ。営業成績が良いなら話は別だが、多くの市場が業績悪化とともに家賃の減額措置や、場合によっては家賃を支払っていない所もある。関東の一部では、「メンテナンスは卸売会社がやってください。その代り、向こう五年間は無料で使用してもらって結構です。」というような公設市場がいくつか出てきている。そこに入っている花市場も、どうしたものかと相談にいらっしゃった。消費対象の人口はどのくらいですか。今いる市場は、昔開発したわけですから、今では町の中心部になっていますか。新しいところに建てる場合、青果と花は同じ場所で営業できますか。こういったいくつかの質問をさせて頂き、日本花き卸売市場協会会長として、第10次卸売市場整備計画の話し合いで小生がお話しした内容をお伝えして、参考にしてもらっている。

 ただ一つ、当事者でないとどうしようもないのは、社風や人材の問題である。それは、自社の花き市場にしても、お隣さんになる青果市場にしても、専門店はもとより量販店や加工業者と取引し、今後とも地域の消費者の為に役立てるだけの資質があるのか、仲卸制度があるなら仲卸と敵対していないか、という点である。花はそうでもないが、野菜では、産地はより安定価格を求めるので、四割近くは契約取引、それ以外は産地も買い手も納得する価格で販売するのが卸と仲卸の役目だ。その為、あらゆる知識や情報をその市場の販売担当者は持とうと努力しているか、持って仕事をしているのかに、産地との取引の有無がかかっている。卸売市場は地の利と人がモノをいう。それは、花や生鮮食料品は生ものだからだ。時期や生産者、品種や天候により、同じ商品などない。これを一定の規格をつくり、枠内に収める。絶えず代替品を、代替産地を用意しなければならない。管理が難しく品質数量が安定しないから、卸売市場が流通の本流なのだ。卸売市場があるから市場外流通が出来る。

 今、四十年問題による建て替えコストや移転コスト、自治体の財政問題。また、マスメディアなどから流れる卸売市場無用論。合併ではなく、卸売市場そのものが三十万都市にすら無くなる可能性がある。卸売市場経営に見通しが立たないとする、自信のない経営者が少なからず居る。今後とも、どのように数の集約を図っていくか。そして、早急に国や県レベルで卸売市場のあり方を、また、どういう卸売市場を作っていくかを検討しなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 16:54

2015年1月26日

売買担当者に知識と情報を持ってもらおう

 会員制のリゾートホテルチェーンから、フロントにユリを中心とした花を活けてくれる業者を紹介して欲しいと連絡があった。世界のリゾートクラブでもユリの需要は多いと聞いてはいたが、日本のリッチな方々は大のカサブランカ好きで、必ずユリのオブジェの前で写真を撮るという。従って、そのホテルの方は、より花に詳しいユリ種苗会社に連絡をとり、弊社、大田花きにたどり着いた。そして、お客様をびっくりさせる、また、感動させるような良いユリを、様々な種類を活けて欲しいとおっしゃった。この話を受け、私は買参人のどなたかに活けてもらおうと思っている。

 さて、このように、想定するお客様が六十歳以上で、しかも、カサブランカ以外にもユリの種類をいくつかご存じの層がいることを、我々は意識してマーケティングをしていなかった。とある大手食品卸によると、高齢者をライフスタイルにより五つに分けて商品ラインナップを揃えているとのことだった。我々は、団塊ジュニアの方々、また、それよりも若い二十、三十代の方が、花をあまり買ってくれないので、まずは、フラワーバレンタインで男性が女性に花を贈ることはカッコいいというイメージ、また、団塊ジュニアの花の消費、この二点を狙って販売活動をしている。そして、花のファンである年配の方々が、消費税増税で消費を控えるようになったと、一律ワンパターンでそう勝手に思ってしまっているが、年配者にも、そういう人もいるし、そうでない人もいる。ここを明確に分けていかなければならなかった筈だ。また、ユリを中心にした花飾り、チューリップを中心にした花飾り等、どんなシーンでどの年代の人がその花を使ってくれるか、という想定すら体系化されていなかった。お花屋さんは分かっているのだろうが、業界でその情報が共有化されていない、あるいは、方程式化されていない。ここに大いなる無駄が、小売商と生産者が結局損をしてしまうということがあったのではないか。

 生鮮食料品花き業界において、実際の商売や物流、情報流は農協の担当者、あるいは、経済連(全農県本部)の担当者と卸売市場の担当者が行っている。この担当者があらゆる情報を持ち、価格が決定されていく。どこのどのような消費者に買ってもらえば、最も良い相場で取引出来るかを判断する。何をどのように、いつ出荷したら良いかどうか、新品種情報やマーケティングの知識も含め検討していく。このことが必要である。従って、系統農協と卸売市場は、第一線で売買している社員を教育しなければならない。その義務があるのだ。大田花きも、足元を見るとそれが出来ておらず、ここでお話しすることすら憚られる。しかし、この教育と担当者の実践こそが最も大切である、と痛感する次第である。

投稿者 磯村信夫 : 11:18

2015年1月19日

花の生産、まだ増えない

 加工食品メーカーに勤めている方にお聞きしたのだが、大手外食チェーンの鶏肉消費期限切れ問題から、「うちみたいに万全の態勢で生産・出荷している業者まで、多数の取引先から『中国工場のものはやめて欲しい』と言われ、中国と全く同じような工場をベトナムで立ち上げる算段をしている」と彼は言っていた。大手衣料品メーカーの品質を見ると、素晴らしい品質で、中国の方々の仕事に対する姿勢が伝わってくるが、食品については悪いイメージになってしまった。同じ大手外食業者からいくつもの商品の不具合が出てくると、今度は料理されたものの素材が、どこの産地のもので、どこで料理され、製品化されたものであるのかと、安心して食べたい消費者の希望は国内産の農産物に関心が来ている。大手外食チェーンでは、"当店の野菜は国内産です。"と宣伝文句にしている所もあるし、さらに、"自社農場です"ということを売物にしている業者も出てきた。

 国産野菜の卸売市場経由率は、農水省の発表によれば約9割とのことだ。とある仲卸さんに話を伺ったところ、「伝票だけは通っているものを入れたら8割近くあるかもしれないが、9割はどうですかね。」ということだった。しかし、日本列島は縦長で、桜前線、紅葉前線が春、秋にこれだけ足早に移動する立地条件だから、天候によって大きく影響を受ける農産物は、特定の地域と契約していたのでは、質、量とも計画通りには確保出来ない。卸売市場は契約取引の仲介を今後とも本格化させるだろう。

 今は野菜から食べ、メインディッシュ、そしてごはんという様に、炭水化物を最後にする食べ方が定着してきたので、去年は新米価格も戦後初めて下がった。このような潮流の中で、野菜は必要不可欠になったので、花から野菜生産へ変わった人もいるし、併用して野菜と花を作っている人も、野菜のウェイトが高くなった。そして2014年、そろそろ野菜の需給バランスが取れて余りだした。2015年、私は花が足りなくなっているので、その単価が上がるとみていた。そして、単価が上がるので、2015年後半ないし16年には花の生産がまた増えていくと想定していた。しかし、お総菜や外食まで国産野菜が優位になってくると、花の生産は増えないことを前提に花き流通をしなければならない。今年はどうすれば予算内で美しい花束、装飾を作ってもらえるか。また、花のある生活を消費者に楽しんでもらえるか。今しばし、業者の知恵の出しどころが重要な時となってきた。

投稿者 磯村信夫 : 15:41

2015年1月12日

ドーパミンとエンドロフィン

 今日は成人の日。新成人達の自覚は昔と同様変わらぬものだ。今までお世話になった社会に、今度は自分が役立とうとする気持ちが表れていて大変頼もしい。そして、週末は家族の団欒、友人同士のホームパーティのような集まりで花が飾られた。スイートピーやチューリップなど、春の花がよく売れていたそうだが、花束としては、枝物や葉物、あるいは、グリーン系の花も一緒に使われたものがよく出ていたそうだ。この辺が、お洒落感覚のある世代がいよいよ成人していくのか、といった花飾りである。

 年末は、どんなお店がどのようにして花を売っているか拝見したが、人通りのある賑わいゾーンの花店がよく売れていた他、消費税増税の影響であろうか、ディスカウント的に花を売っている店がよく売れていたのが特徴的であった。我々人間は、ITが発達しても脳や身体は未だ狩猟民族の頃とあまり変わらないのではないかと思う。止まっているものは風景として捉え、動いているものに注目する。また、「欲しい」というのは英語で"Wanting"で、食べるものであれば1日3回お腹が空く。お腹が空くから、「何を食べようか」、こう思って考えるだけでも楽しくなるが、腹が減りすぎていれば、人と争っても先に食べようとする。例え夫婦の間でも、おかずが大きいか小さいかということは大問題だ。脳内ホルモンでいえば、ドーパミンが働くのである。また、食べるものを探している間、つまり、食べる前がむしろ楽しいという事はままある。食べた時、あるいは、やりたいことを行った時、楽しかったり美味しかったりすると、"好き"や"Liking"等の脳内ホルモンである「エンドロフィン」が出てくる。しかし、中毒性のある"Wanting"のドーパミンと違い、エンドロフィンは中毒を誘発するものではない。ドタキャンをしがちな人は、"Liking"よりも"Wanting"がとても強く、洋服を買ったけれど一度も袖を通さない人や、お腹が減った時に買った食品を冷蔵庫に入れっぱなしで忘れてしまう人である。それくらい、"Wanting"は強い欲なのである。

 何故こんなことをお伝えしたかというと、花は"Liking"であり"Wanting"ではないと私は思っているからだ。花は無かったら寂しくなって買うが、食品と違い、食べて無くなるものではないので、切花であれば週に一回、鉢物でも平均月一回買えば事足りてしまう。また、身近に無いことに慣れれば、散歩の時に山茶花や椿、日本水仙が咲いているのを見て、「いいなあ」で済ませてしまうのである。花を買ってもらうのは大変難しいのだ。従って、花中毒にさせることは出来ないが、人通りの多い所に花屋さんを開店させて「花って素敵」とお客さんに訴えかけて欲しい。また、効能を謳って頭で買ってもらう。さらに、「物日に文化として使うものだ」ということを教える。これらが、需要を確実にするために必要である。私自身は、花の効用は全てを受け入れる素直な気持ち、そこから出発しようとする勇気を与えてくれると思っている。私自身が思っているだけでは駄目で、事実として我々は科学的に花の効用を消費者に説明しなければならない。

 愛犬ルークは賢くて良い奴だが、散歩をしていてもいつも匂いばかり嗅いでいる。頭もよくて、人とは見つめ合うのに、綺麗な花に感動しない。こちらが花を見て立ち止まっていると、先へ行こうとする。この辺が、いつもルークと気が合わない所だ。どうも人間というのは、真善美ではないが、そういうものに心を打たれるものらしい。花のある生活をしてもらうために、供給サイドでは、ドーパミンとエンドロフィンのことを考えながら流通させていきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 10:38

2015年1月 5日

デザインし、素材を流通させる

 新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

 1月3日にも書いた通り、デザインされた花束が昨年末は良く売れていた。ご年配の方々がサラダやカット野菜を好むように、花も手間要らず、さらに、自分では普段やらないデザインであったり、普段使わない花が入っていたりで新鮮な感じがして、買っていかれているのだろう。また、30、40歳代で松や千両の使い方が分からない方も、デザインされた花を買っていかれた。小売店やスーパーでも、もちろん、専門店でも、4、5千円のデザインされた高価な花束が売られていた。花のある生活を提案することは、デザインされた花束やアレンジメントにある。というのも、消費者がこれを欲しているからだ。

 話は変わるが、少子高齢化で人口が少なくなっている日本において、消費を増やすことが出来る農産物は"花"である。しかし、ミドル世代があまり花のある生活をしてくれないので、ヨーロッパやアメリカと違い、日本の花き業界は下り坂にあると言われていた。人生もそうであるように、下り坂もあれば、上り坂もあり、"まさか"もある。年末の菊類の相場でも、下り坂だと思っていたら、猛然と急反発し上り坂になった。急反発があったり、じわじわと上がっていったり、品目によって様々な上がり方がある。

 消費税増税で消費が振るわず、昨年は単価の上昇が期待出来なかった。今年は長さやボリュームの足りない品物であっても、花持ちが変わらない限り、手頃な大衆品として上手に花束にしたり、アレンジにしたりして買って頂く。鉢や苗であれば、寄せ植えの素材として流通させ、花屋さんや消費者の方に寄せ植えをデザインしてもらう。そういう風に無駄をなくし、単価を上げていけると思う。

 市場の仕事も、デザインされた"モノ"、それは花瓶にしても、広い空間デザインにしても、はたまたインドアプランツにしても、いずれも花のある生活文化をデザインし、素材を流通させていく。それによって、消費と生産を拡大する。そういった仕事のやり方をやっていくのが卸売市場の役割と肝に銘じ、邁進していきたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 14:22

2015年1月 3日

お正月作品が売れる時代に

新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

年末は寒波で残念ながら例年より売上を落とした処もあったが、首都圏はお天気にも恵まれ、お正月の花はよく売れていた。繁盛店では創作した花束やアレンジはとうに売れて無くなり、1本売りで接客していたのでお客様が列をなす光景が見られた。その売れた花とは・・・・・

いくつかの繁盛店で、それぞれの室内空間に合わせたライフスタイルブーケのお正月バージョンが作られており、目を引いた。普段なら20㎝の花瓶に合わせた小さめのものが多いが、壺に活ける70㎝から80㎝の伝統花束から、水盤やボールに浮かすように活け、テレビを見るのに邪魔にならない低い創作花束までメッセージが添えられて売られていた。1本売りから創作花束へとお花屋さんのセンスと腕がモノを言う時代となった。

花束加工のお仕事をなさっている皆様も、生け花やフラワーアレンジをより勉強されて、花のある生活を提案して欲しい。専門店は更にその先へ行き、新しいデザインや出廻りの多い花を使っても作者の心が映し出された作品を販売して欲しい。
お客様はそういう花を欲しがっている、と花の売り場を見て感じた。

投稿者 磯村信夫 : 10:30

2014年12月29日

止市で荷がそろう所とそろわない所

 12月29日の月曜日、本日の止市は良い荷姿で、切前は固いものが多かったが、全体はスムーズな取引が行われた。来場された買参人が、土日で売れたので嬉しそうに「思ったよりも荷があるね」と小生に声をかけてきたので、「止市で今日は月曜日だから、まとまって荷を受けてくれる市場に出荷したからじゃないですか」。と答えた。

 今年、輸送問題は生鮮品・花き流通にとって大きな話題となった。大型車で600㎞までがワンマン運転の限界だろうか。そうなると、福岡・大阪の双方に営業所がないと、バトンタッチをしながら九州から東京まで、というわけにはいかない。また、北海道の場合には、苫小牧~八戸のフェリーを使いしっかりと休息時間を入れれば、ワンマンで走れないこともない。しかし、今年の秋、青森からの荷を運ぶ運送会社は、二人で大型を交代で運転しながら来ていた。

 今までは、高速道路網によって、また、帰り荷のある・なしによって出荷市場の絞り込みが行われたが、今年からは、運転手確保、労務管理も意識して出荷先を絞るようになった。そして、Eコマースが本格化し、宅配便が増加し、今後の人手不足まで考えて、箱の規格化、仕分けの自動化、さらに鮮度保持化を行う物流施設の大型投資が盛んになってきた。また、花き業界にも影響があった運送事情として、宅配便は規格外の大きさのものは扱えなくなってきた。この中に、花鉢や大きな枝物等が入る。

 産地は地域の大手花き市場に出荷先を絞るようになってきているが、輸送事情が更に厳しくなると、花のボリュームが三分の一以下のことが多い園芸産地にとって、花き市場単独だけでは契約運賃が上がってしまう。そうなると、青果市場と同じ場所に花き市場がある公設市場や中央市場が選ばれる条件になっていく可能性が高い。

 青果市場は30日まで営業している。花は今日が最終日だが、今日の大田花きの荷姿から平常の月曜日のような気配が感じられた。花はどこのスーパーでも扱われるようになって、日常的な生鮮品となったようだ。花の産地も市場も、もう一度生鮮食料品と花きを同系列に捉え、より大衆的な"モノ"として流通させていくことを考えていく必要がある。その為にも、ピラミッドの先端を売るこだわりの花を取り扱う専門店が、ますます重要になってきており、カッコ良くないといけない。従って、今年の年末の売場を専門店・量販店ともチェックしていく必要がある。若い方々に向けて、少しでもアピール出来ているか。大の花ファンである高齢者の方々が、もっと多くの花を買ってくれるようにアピール出来ているか。改善して消費を拡げる。そういった来期に向けてのチェックをしておくのが今年の年末だ。


 皆様、どうぞ良いお年をお迎えください。

投稿者 磯村信夫 : 15:01

2014年12月22日

成熟社会の仕事のやり方をする

 今年も、今日を入れて月曜日はあと2回となったので、花き業界の1年の反省を、弊社 大田花きの企業活動も含め述べていきたい。一昨年の12月に安倍政権が誕生して、3月までの間はアベノミクスで花き業界の逆風は無くなり、無風状態となった。関東地方の降雪や油高で、花き業界は逆風を受けたが販売は好調になり、全体としては的確に仕事をした人はそれなりの実績が出た。しかし、今までと変わらないやり方の企業体は時代に流されるという結果となった。年度が新しくなり、4月からの増税で花き業界にはアゲインストの風が吹いた。特にパパママストアの小売店は、せっかく財務省が外税方式を期限付きで認めたのに消費者に転嫁が出来なかったのも一因で、価格が下がった。そして、4月から9月までは、花き市場全体では前年比95%、予算未達の月が続いた。この間、特に目立った傾向が、3、40歳代の消費者の気持ちを上手く捉えることが出来ず、相変わらず60歳以上の方々に花を買ってもらっているという事実である。これでは先行きが危ないと、国会の与野党の先生方にフラワー産業議連を立ち上げて頂き、法律として2014年12月1日から花き振興法が施行された。そうしたら、12月15日過ぎになってようやく陽の光が見えて来た。

 売るに天候、作るに天候で、花き業界は機会を捉えて販売してきた。1日、15日の仏花と榊が必要になる時に、他の切花・鉢物も一緒に販売してきた。このように、需要の機会を捉えて成長してきた花き業界。あるいは、季節の物日需要に合わせて成長してきた花き業界及び弊社 大田花きであったが、日本社会が成熟社会になると共に、この花き業界や大田花きの在り方では、成長はおろか、現状すら維持出来なくなっている。では、どうすれば良いか。一般論として、各社は自らが大切にする価値観を前面に出し、品物やサービスを創造して、具体的に世に問うことだ。日本のアパレル小売企業でいえば、ユニクロやBEAMS、UNITED ARROWS LTD.等の価値創造型の企業でないと、また、業界でないと成長出来ないことを、消費税増税によるアゲインストの風を受けてしみじみと痛感した。

 2014年12月の現時点では自公が衆院選で大勝し、地方創生まで含め、アベノミクスに対する期待があり、花き業界はアゲインストが止んだ。しかし、これからもフォローの風は吹かないと思う。他力では花の需要は作れないと思って、日本の食品流通業界、自動車業界等の価値の出し方を参考に、花き業界は自社のサプライチェーンにより創造した価値を前面に押し出して提案し、取引先や消費者に受け入れて頂けるようにしたい。弊社 大田花きでは「モノとコト」、この2つで価値を創造したり、お取引先の問題のソリューションをすることによってお役立ちしていきたいと思う。

 花き業界それぞれの企業が創造する「質」を、消費者や取引先に受け入れてもらおう。そういう価値を提供する業界でないと、花き業界は成熟期を迎えることなく、成長期から衰退してしまう可能性があることが分かったのが今年である。だから、弊社 大田花きは先頭に立って必ずやるのだ。可能性のある花き業界をこのまましぼませてなるものか。

投稿者 磯村信夫 : 16:48

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