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2014年7月14日

コーディネートで売れ方が異なります

 東京は、お盆でよく売れている小売店と、売れなかった小売店がはっきりしていた。また、物日というと日頃の評判が物を言うが、商品構成によっても売れたり売れなかったりしていることがはっきりした。今や、仏間のある家は少数である。仏壇を含め、盆用のしつらえをしている所は少なくないが、室内装飾全体はおしゃれな色調になっている。それは、家具や小物がこれだけ売れていることでもよく分かる。そういう中でお盆の花も飾られるわけだが、今までと違うのは、お盆の花も白を求める比率が少なくなっているということだ。それは、品の良さが必要だが、色々な色があってよい。ということであろう。
 もう約20年前だが、日本で初めてインテリアコーディネーターのキャリアを提唱した方から「家は、畳や絨毯からフローリングになってきますから、暖色系の色合いを多くしたらいかがでしょうか」と、今までどちらかというと花の色は黄色やオレンジ、緑は売れにくかったが、その比率を増やしてもらうように産地さんにお願いしたことがある。今は、ウッディ、白、黒、シルバー、アクリルやガラスの透明が主体だから、仏様の花も室内の雰囲気に合わせて、つい2、3年前まで主流だった白のおしゃれから、はやりのブルーやオレンジ、黄色、赤などを使ったものが好まれているようだ。そういう素材を売っている所や、組合せで売っている所は、古典的な、あるいは保守的な今までの仏花もよく売れている。
 今回のお盆で、小売店において、コーディネートによって売れ行きがはっきり違っているのが分かったので報告する。

投稿者 磯村信夫 : 16:24

2014年7月 7日

小売から要望される仲卸業も行う花き市場

 第十次卸売市場整備計画に向けて「卸売市場流通の再構築に関する検討会」が農水省で始まったが、第九次の「拠点市場化方針」について、東京・大阪の市場を除いては国から指定されたとしても、集散機能が高まっておらず、実際には市場間ネットワークが実施されていない事が分かっている。青果と水産について、国は正式に市場を指定したが、それらよりも消費者の買い物頻度が低い切り花や鉢物を取り扱う花き市場では、荷をまとめないと産地は運賃が高くなるし、買参人も品揃えも出来ないことから、切り花のメインは週3回、鉢物のメインは週2回の市となってしまった。そして、人口が多い京浜・中京・関西の中央市場や公設、三セクの市場などが国から指定されなくても拠点市場化する。繰り返すが、いかなる花好きでも家庭需要は一週間に一回である。それに比べて青果の場合、一日3回お腹が空き、計21回、しかも家族の数分だけ必要になる。一週間の需要量は二人世帯が平均値であったとしても、42対1のビジネス規模でありビジネスチャンスである。一週間に一回花店に行った時、花店で品揃えが出来ていて欲しいとお客様は思っている。

 切り花・鉢物ともに消費者の買い物頻度からして、品揃えが小売にとっては欠かせない。しかも、鮮度(花持ち)がレストランの生け込みだろうが、家庭の花であろうが、どうしても一週間もって欲しいと期待されているので、自分の市場で足りないものは当然、大手市場とネットワークを組まないと地方の市場はお客さんのニーズを満たせない。このようにして、花市場は年商30億円以上の市場と、10億円代10億円未満の市場と二極化しているわけだ。第十次の中で花市場の場合、10億円未満の取扱金額の市場と言えど、地域・文化が違い、独特の花の使われ方をしている地域が多いので、花市場は既にその地域で文化を扱う業者として欠かせない存在になっている。その為、地域の花市場は地産地消の仲介を第一に行う。大手市場と良い関係を結び、量や品揃えで足りないものを買ってきて小売店に満足してもらう。地域の特色と拠点的な市場とのネットワークが地域市場のオーソドックスな形である。

 どの市場も絶対欠かせないのが、その地域の買参人から負託を受けていること、良い関係にあることである。そして、地域によって役割が異なるということだ。もちろん産地市場としての卸売市場があって良い。農協や系統組織とは別に、地域農業の中で系統外でチームを組みたいという農業者がいるからだ。系統にしても直売を手伝って欲しいと市場に云っているところもある。このように、多様な、しかも形が違った卸売市場があるということが必要だ。ただし、産地市場以外は、花束加工などは、卸ではなく、他の業者に任せておいた方がよい。成功している卸会社は余程熱心な所だけで例外的な存在だ。理由は、卸はどうしても買う人の気持ちが分かっているとは言えないからだ。

 売るのが大変難しくなっている昨今、小売店はまだラーメン屋のように自ら美味しい店にラーメンを食べに行って、お客さんの立場から自分の店をどのようにしていくのか、もっと食べてもらうにはどうしたらいいのか等の研究が足りない。お花屋さんでライバル店に自分が消費者として花を買いに行ったことがあるだろうか。そんな話は聞いたことがない。まだそこまでいっていないのだろう。仲卸は小売店だった人が多いので、消費者の気持ちが少しは分かっている。卸と仲卸、そして小売は、どうも消費者の立場に立つというところで気持ちの理解度が随分と違うようだ。なので、卸は花束加工をした時に決まりきった仏花以外には、なかなかしっかりとした商品が作れていない場合が多い。こうなると、卸売市場の収入の多角化で、花束加工をするとすれば、その道の人を入れて社員になってもらい、新しく部署を作って行う必要があると思われる。

 多様化の中でも、川下に行って卸売市場を運営すればいいというわけでなないが、卸売市場はますます仲卸の機能を自社内に取り込まないとやっていけないところが多くなっている。それはお花屋さんの仕入れ代行業として、お花屋さんから利益を頂き、それによって、委託販売手数料10%と買付品から得た利益を合算してやっていかないと、取扱量が少なくなっている中では経営が成り立たない。新たな問題、仲卸との競合をどうするか。どのようにすれば仲卸と共働できるか、独自で仲卸業も出来るかがその市場の存亡の鍵となっている。 

投稿者 磯村信夫 : 15:53

2014年6月30日

バケツの水のバクテリアチェックを徹底する

 昨日の日曜日の集中豪雨は短時間であったが激しかった。東北では死傷者も出て何やら買い物どころではなかった。これから7月に入り、需要がしっかり出てきて市況も好転して来るのに、こんな天気だと外出するのも億劫になる人もいるだろう。

 温度・湿度ともに高いので、大田花きでは鮮度保持対策に忙しい。品質カイゼン室で荷受場からセリ場の後ろ、或いは荷捌場、定温庫などの温度管理とバケツで水揚げした花きには水質チェックをしている。困るのは浅水にしていても、すぐに水が汚れることだ。暖かくなりバケツの水の中にバクテリアが繁殖しやすくなったが、6月に入り露地物が本格的に出てきて草物や枝物を水に浸けたものは本当にバクテリアが早く繁殖する。これでは植物の導管を詰まらせてしまう。仲卸店の水質を見てみても滅菌剤を入れていないとすぐにバクテリアが繁殖する。水質保全の為の滅菌剤の代金だけで余分な出費のように思う人もいる。嘗ては弊社もそうであったが、そうであれば水に浸けない方がむしろ花持ちが悪くならない。この事実をしっかりと認識する必要がある。

 オランダではバケツ輸送が切花でも基本だが、バケツ洗浄は徹底している。また、綺麗なバケツに綺麗な水と滅菌剤を必ず入れて流通させている。日本でもリサイクルのバケツをしっかり洗っているだろうが、綺麗に洗わないで水揚げして花を流通させる場合がある。花持ち保証等というと、バケツで水揚げしたものの方が優位に思うかもしれないが、綺麗なバケツ、綺麗な水、滅菌剤が条件となる。ここを徹底しない限り、むしろ普通の箱で流通させた方が良い。バケツのバクテリアチェックシートは廉価で手に入る。日本全国の仲卸・小売店はバクテリアをチェックし、滅菌剤を入れた処理剤で水揚げ・販売すべきである。

投稿者 磯村信夫 : 11:56

2014年6月23日

例え小さくとも「会社」の時代になったのである

 先日、小売店の二世の方々との勉強会で人手の話題になった。日曜日の日本農業新聞でも福島の農業関連の方々の人手不足について記事があったが、今まで家族だけで仕事を回せるようにしていたのを、ここにきて人を雇って教育し、お客さんの立場にたって物事を考えられるように戦力にして更に社業を発展させる。このような考えを持つ小売店が増えてきた。逆に言って、このままではお客さんの要望に応えられず、お店が駄目になってしまうという危機意識を持ち始めている。これは生産者も一緒だ。定期採用とまでは行かないまでも、2年に1回や3年に1回は、農業関係の高校から大学、或いは専門学校から採用して行きたいという希望がある。 

 小売店の方々と話していると「なかなか気の利いた人がいない」というが、そんな時にまず「人に親切にしなさい」ということを言って実行させては如何だろうか。親切にするということは、必ず相手の立場で考える。相手にこういう風にしたら喜ぶだろうということを自分で考えて実行する。この癖をゆとり教育や電子ゲームで育った世代に習慣化してもらう。仕事はお取引先にお役立ちをすることだから、相手の立場にたって物事を考えられない人が仕事の役割を果たせるわけがない。結局自己都合の品物やサービスを提供しておしまいだ。これでは商売にならない。まず親切から始めようというのだ。

 こういう残念なこともある。お客さんに喜んで貰う為に、相手の気持ちがわかるようになって技術を磨いた社員が辞めたり、花店として独立していったりすることだ。卸や仲卸であれば、お客さんを連れて他社へ移ったりすることもある。結局、その会社が厳しいけれどもやりがいがある良い会社でないとそういうことが起きてしまう。良い会社であれば多少は防げるか辞める人は少ないだろう。
 日本も花き業界だけではなく、ほとんどの現場仕事で人手不足感が出てきた。私ども卸売市場においてはトラックの運転手さん不足が直接的に影響が出ている。九州や四国の産地が関東地方まで出荷しているところは少なくなってきた。また、東北、北海道地方で関西地区まで出荷しようとする産地もそうは多くない。いずれも運賃高とトラックの運転手さん不足から来るものである。

 良い人に来てもらい仕事をしてもらって応分の対価を払う。花の流通業者として高い理想を持った会社が多数ある、そういった花き業界にしなければならないと小売店の勉強会で痛感した次第である。

投稿者 磯村信夫 : 12:28

2014年6月16日

縮小の向こうに

 "イエローリボン"の黄色から、父の日には黄色い花をプレゼントしようと、黄色のバラや向日葵を販売するようになった。切花だけではなく、鉢物を取り扱う生産者や市場は、父の日には観葉植物のプロモーションをした。首都圏の花店では、父の日に向日葵のプロモーションを行うところが最も多く、昨日15日の午後はお天気が良かったこともあり、父の日のプレゼントだけではなく、普段の家庭使いでも向日葵が良く売れていた。

 花はさまざまな物日があり、商品からしたら幸せ者だと思うが、商店街の花店では昨日の15日、父の日も日曜日は定休日だからと休んでいる所も多くあり、残念に思ったりもした。

 地縁・血縁が薄くなって結婚式や葬儀の規模が小さくなっている。小さければ小さい程、サービスは良くなり価格が下がって行く。1日、15日の榊や仏花の需要も少なくなってきたので、家庭需要や新たなイベント需要を花き業界では増やして行こうとしている。また、日本の花き文化を継承する為に花育活動を本格化したり、自分を極める為のお稽古ごとに年配者でも参加してもらえるよう、華道教室やフラワーデザイン教室をより盛り立てようとしている。

 今花き業界で言えることは、やる気のあるところとないところ。繁盛しているところと衰退しているところで分けて二極化と言っているが、それは二極化ではない。質の高いテイラーメイドの花や緑を供給する場と、システム化され同一品質のものが供給される切花や鉢物、或いはアソートされたものを提供する場。このような例えて言えば百貨店とスーパーを二極化と言う。今はまだ未分化でその手前であって、繁盛する衰退するということを二極化と言っていることを花き業界は認証するべきである。専門店の花と言ってもどれくらい個性的なのであろうか。卸売市場と言っても考え方によりどれくらい生み出すサービスが違うのであろうか。50歩100歩の違いなら結局価格競争になってしまう。
 しかし、そうは言っても価格競争から脱している小売店がいて、それらの店舗はいずれも地元に立脚し地元の個性に合わせた専門店だ。そういう専門店の仕入先として地元文化に市場が合わせれば価格以外の競争が卸売市場で出来て、地域特有豊富な品揃え、特徴的な市場となる。こうして取扱量の大小に関係なく小売店や卸売市場は生きて行けるし、社会的に存続の意味を見出せる。今花き業界はここに向かって二極化しようとしているのだ。

投稿者 磯村信夫 : 14:35

2014年6月 9日

咲き切るバラ売場が作れれば繁盛間違いなし

 「あのお店のバラは咲き切る」と評判になれば、その花売場は絶大なる信用を得るだろう。それくらいプロの我々が見ても購入した時は良さそうに見えても、一週間も経たないうちに茶色に変色するボトリチス菌に侵された花だったり、ベントネックになったりする。

 冒頭からこんなことを書いたのは、人気の専門店でバラを購入した時はほとんど失敗がないのに、スーパーやホームセンターで購入したバラがしっかりと咲く確率が本当に少ないのだ。輸入品が咲かないというわけではない。大田花きでも花持ち試験室だけでなく、常温の事務所で花持ちテストや開花テストを常時行っている。おそらく原因は市場から後の水揚げや鮮度管理のやり方と花束加工場などがボトの出やすい環境にあったのではないか。

 近年、バラの価値が上がっているが、経済情勢からバラの単価は上がらずにいるので、今まで安い輸入のバラを使っていたスクールの人や量販店も国産のバラに切り替えてきた。大変良い傾向だと思っていたが、その後の品質保持の管理体制までしっかりとチェックする必要がある。今年は梅雨入り前に30℃以上の高温になり、バラは一斉に咲いて価格が下がって梅雨に入った。値段はお手頃だが、病気の出やすい時期だ。

 バラについてはもっと花き業界で注意を払い、鉢物も切花もどういう風にすれば消費者に楽しんでもらえるか、失望させない為にも消費者に説明したり作業場を6S(※)する必要がある。消費者からすると、花のガクが落ちていて咲き気味のバラを買うこと。必ず栄養剤を使うこと。そして、店員さんに産地表示がなければ、どこ産のものか聞くこと。それしかない。
 流通上は、ベト病・ボトリチス等を温室の中、産地の集出荷場、卸・仲卸・小売店の作業場で絶対に出さないよう、生ごみ等を出さないよう清潔に保つこと。あとは温度管理だ。

 切花においては今、切り前が変わろうとしている。その花で一番エネルギーを使うのは咲くときだ。なので、少し咲いてから切った方が持ちが良い。昔、西洋人は咲いた花が好きと言われてきたが、日本人は蕾からやや咲き気味のところが好き、と現代は変わってきている。
 家で必ず長持ちするカーネーション人気の復活をどう捉えるか。トルコキキョウもユリも菊も失敗しない。絶えず失敗するリスクが高いのはバラだ。
 我々プロの流通業者にとって、暑くなって行くこれからの時期こそ万全の注意を払って行く決意であることを今週は皆さんにお伝えしたい。

(※)6S・・整理、整頓、清掃、清潔、作法、躾

投稿者 磯村信夫 : 15:22

2014年6月 2日

花店はB to C良し、B to B横ばい

 第一四半期も残すところ後一か月。消費税が上がって青果や花の売れ具合はどうであったか。
 生鮮品の売り上げの中で、野菜・果物・切花、鉢物を比較してみると、"みかんの花咲く丘"、"リンゴ追分"でヘビーユーザーが戦中派と初期の団塊の世代の人たちが中心の果物が苦戦。
 次いで、ヘビーユーザーの年代が50歳以上の花が振るわなかった。人口が多い団塊の世代も60歳以上になり、団塊ジュニアも40歳以上となって、健康をいよいよ考えるようになってきた。なので、果菜類・軟弱野菜は消費税率上げでも然したる影響は受けていない。

 では、花の小売店では、どのような状況だろうか。全国の仲卸業者で花束加工をする人が多く、彼らはもともと出身母体が花の専門店だったので、花のことを良く知っている。そのようなわけで、納品先の量販店の花は良く売れている。
 ただし、ロス率ばかり気にしているスーパーは、持ちの良い仏様の花しか置かない売り場となり、つまらなくなってお客さんに相手にされなくなっているところがある。

 専門店は二極化して来ていて立地条件に関わらず、やる気のある専門店は売れているが、やる気のない専門店は、淘汰されていくと思われる。縮小している小売店の数が少なからずあるので、卸売市場としてゾッとしているのだ。頑張っている花の専門店はいずれも前年より10%は良い。B to Cの流れは(ビジネスから一般消費者)は期待できるのだ。

 花店でも、B to Bの事業は決して楽観視出来ない。B to Bとは結婚式、披露宴、葬儀の花などを業者に納めているところだ。競争は益々激しくなっており、今までよりもバックマージンを余分に要求される花店も出てきた。花の売れ具合は、B to Cは上昇、B to Bは横ばい。
 ただし、業界全体からしたら、一般小売店がスーパーマーケットの花売り場によって淘汰される局面にあるので、ちょうど地震の構造のように花き業界のプレートは下へ潜り込んでいる。エスカレーターで言えば、下りのマイナス5から10%位のものに乗っていると言えるだろう。
 このような中、通称"フラワー振興法"が国会を通って予算付けがなされる。勿論、国の為にも花き消費を、花き生産を、業界を挙げて盛り上げて頑張るが、実際に効いてきたなと実感できるのは、2016年の後半から2017年に入って、今から3年くらい経ってからだろうと思われる。それまで、ふるい落とされないようにしながら経営をして行かなければならない。

投稿者 磯村信夫 : 12:58

2014年5月26日

ワーキングウーマン

 今朝のNHKラジオのニュースで、NHKの調査によると"結婚をしてもそのまま仕事を続ける"という人が初めて50%を超えたということであった。ニュースになるくらいなので、まさに初めてのことなのであろう。
 安倍首相が日本経済の活力を引き出す為にも、女性の活躍を謳っているが、OECD加盟国34ケ国のうち、日本の女性(25~54歳)の平均就業率は69.2%で24位であった。また、もっと厳しいデータとして、世界経済フォーラムが経済、教育、健康、政治の各分野での女性の活躍を諮ったところ、ジェンダーギャップ指数で136ヶ国中、105位であった。

 今後、日本の生産労働人口は減少していくので、女性の負担がこれ以上重くならないで仕事を続けられる環境を作り出さなければならないのは言うまでもない。特に花き業界は、花を購入してくれるのは女性が多い。女性の活躍こそ、売れる花が流通し小売店も生産者も稼げるキーポイントとなっている。花き産業すべての分野において女性が生きがいを持って働けるような職場にしていくことが今後の急務である。
 話は戻るが、世界フォーラムの調査のジェンダーギャップは、社会で働く女性にフォーカスし日本を105位と言ったが、既にお分かりのように全ての場面で日本の男女格差が大きいかというと決してそんなことはない。奥さんやかみさんという言葉で分かる通り、女性は家族の意思決定のあらゆる分野で絶大な権力を握っているし、一人になっても長生きするだけ心身ともに健康である。

 さて、花店ではもう既にお洒落な花束やアレンジメント、鉢が素敵な花鉢、観葉植物など、一人何役もこなす働く女性が気軽に買える花店は、駅ビルやデパ地下のお惣菜コーナーと同様に繁盛している。
 NHKの調査だけでなく、実際に1965年以降に生まれた人たちをターゲットに繁盛店は、働く女性たちの好みやライフスタイルを考え、そこへ向けた商品作りをしている。男でも女でも、まさにジェンダーフリーで若い人にとっては、ワインと同じように花を気軽に楽しむことは素敵な時を過ごすことである。

 今後、益々女性の社会進出が進むと、仏花も明らかにセンスが変わってくる。どんな風になって行くかは、素敵な働く女性たちに聞きながら新しい花束商品を作って行きたいと思う。

投稿者 磯村信夫 : 16:17

2014年5月19日

サービス社会において顧客はスタッフでもある

 週末話題になったのが、4月に中国人女子留学生が友人とすきやばし次郎六本木店へ行った際に起こした出来事である。女子留学生の友人が「生では食べられないので火を通してほしい」と店に頼んだところ、店は断った。女子留学生はこのことをブログに書いたところ、中国人から非難が殺到した。後日、再度店に出向き謝罪したということである。六本木店の店長もその友人を非常識だと非難するのではなく、悪いのは海外で寿司店と称して天ぷらやら煮炊きする料理を出すお店が多いことだと言って慮った。

 このことから学びたいことは良いサービスが完結する為には、ただ単にサービスを提供する者だけでなく、顧客はサービスの受け手プラスそのサービスに携わるスタッフの役割があり、正しい作法が欠かせないということである。即ち顧客は寿司店の作法に則り寿司を食べ堪能することが望ましい。醤油は嫌いだからソースで食べたいと言ってもすきやばし次郎の六本木店において顧客は本物の寿司を味わう者、サービスを受容するスタッフとして、寿司が料理として最も際立つ醤油で味わう。スーパーの買い物にしても、花市場のセリ取引にしても顧客はいずれにしてもそのサービスをより良きものにする為のスタッフとして作法をわきまえ、それを知って参加することが必要である。それがサービス業において、顧客はスタッフでもあるという点だ。

 今花き市場はセリ取引サービスだけでなく、セリ前取引サービスも行っている。1999年卸売市場法が改正され、セリと同等な取引法として、相対取引が認められるようになったからである。相対の申し込みは、前日に行われることがほとんどだから、出荷者の作法として厳格な品質区分、間違えのない出荷情報、写真や色や香りの情報等、時代に合わせた出荷情報の提供が作法となる。買い手は相対取引もセリ取引もその都度書面で契約書を取り交わさなくても、言ったことは買ったこと、すべて真剣勝負で二言があってはならない。これが作法だ。

 しかし、出荷者にしても買参人にしても人間として間違いはあるだろう。その間違えをどうジャッジするかは卸売のセリ人の判断だ。世の中は進歩している。情報については、あふれんばかりだ。取得も発信もコストが掛からずに出来るようになっている。こういう中で、顧客がサ-ビスという商品を完成させる為に顧客としての作法、すなわちスタッフとしての適切な行為が欠かせない。

 生産者や買参人の納品間際になってからの出荷のキャンセルや、単純な買い間違いではなく、前に高く購入したものを返品するという行為を許してはならない。サービス業が中心の社会というのは、コンビニのレジで人が並ぶ場所が決められているように、顧客もスタッフ、コンビニサービスを完成させる為にスタッフとして行うことが欠かせないのである。花き市場は顧客サイドの出荷者、買参人という顧客においても作法を明確化し、良い流通サービスが出来るようにしなければならない。具体的にはそれぞれの花き市場が規定をすべきところだが、卸売市場でセリの取引と同じように、フェアに振る舞うことが最低限出荷者と買参人に要請されるところである。

投稿者 磯村信夫 : 15:57

2014年5月12日

例年並みの需要に戻った母の日

 5月12日(月)今日のセリ場は、母の日疲れでセリ参加者は少ないのではないかと心配したが、普段の人数以上の買参人が朝一から参加している。小売店各社は予想した範囲の母の日の売上げであったし、今日から初夏の装いに店も品揃えを変えて行く必要があり、仕事を前向きにやって行こうとする意欲が感じられた。

 東北地方では、今年の母の日が11日であったことから、3.11と同じ11日なので、お墓参りに行った人も多かった。菊とスターチスを手向けた人ばかりではなく、カーネーションを手向けた人もいて多彩であったという。首都圏では、2011年3月11日から、4回目の母の日となった。思い起こせば、11年の3.11直後から、一ヵ月間花どころではないと感じた人が多く、お彼岸の需要期であるにもかかわらず価格が低迷した。

 GWの前くらいから、少しずつ国民の気持ちも自分の仕事を通じて被災された方たちやその地域に役立とうとした。自分の楽しみの為に使うお金も東北の人たちに使ってもらえるような気持ちになり、家族や友人たちの絆が大切なことを改めて感じた。母の日前から花の相場は、従来の相場に戻って行った。
 
 翌年の12年には、GW中の日めぐりの問題もあり、例年並みの母の日需要であった。13年はGW中の日めぐりの問題やお母さんに何か贈ると孫の誕生日プレゼントや服などを倍どころか3倍以上になって返ってくること、また地縁・血縁の「絆」の価値の高まりと伴に地元のお花屋さんで購入する人が多かったこと。また、「絆」の大切さから浮動票的な人も花を購入し繋がり消費のピークとなって3.11から3年後の母の日は燃えた。

 そして本年は、新年度になり"3.11を忘れるな"とメディアで呼びかけても自分なりに贅沢にお金を使うこと、またそのような時を過ごすこともそれなりに悪いことではないという雰囲気から、絆消費分の花のプレゼント量は減ったと思われる。それはピークから減っただけで、11日の昼前のラジオでもお花屋さんに花を買いに来た消費者に質問する等、母の日のアイテムとして定番のカーネーションを中心とした花は広く国民の中に浸透している。その売れ行きは例年通りの母の日需要に今年はなったと見て良いだろう。どのお花屋さんでもカーネーションやバラの切り花、或いはカーネーション、アジサイの鉢が母の日のプレゼントとして良く動いていたように思う。

 日本花き卸売市場協会では、カーネーションとバラの切り花の母の日向けの生産重要予測と鉢物ではカーネーション、アジサイの生産需要予測の会議を3月、4月とそれぞれ行い、そこで話し合われた通りの数量であったが、市況は昨年が絆消費で良かったものだから、それと比べると消費者から早めの予約がなかったので価格は安くなった。
 例年通りの形になったので、来年は小売店は積極的にGWに入る前にも受注を取るようにすれば良いと思われる。生産と需要のバランスは、やや生産が多いだけであったが、花き流通業者が楽観的に需要予測をしたので、期待が大きすぎた分だけ裏切られて、相場が下がったと見るのが適切だろう。

 団塊ジュニアの消費者があてにする花売り場の場所は、前年の地縁の絆の価値が薄れた分、(60歳代以上は、地元主義は変わらず強くなっている)駅周辺、通勤途上や活性化している商店街、そして量販店に限られたが、そこのお店は来年もまた母の日は忙しいはずである。
 しかし、母の日プレゼントを他業界に流れないようにするには小売店での積極的な母の日PRを4月中からしていくことが欠かせないことは言うまでもない。

投稿者 磯村信夫 : 12:40

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